春画と日本人

劇場公開日:

解説

2015年に開催された日本初となる大規模な春画展の開催までの道のりを追ったドキュメンタリー。15年9月、東京の小さな私立博物館・永青文庫で開幕した春画展は、国内外で秘蔵されてきた貴重な春画約120点を一堂に集めて展示し、3カ月の会期中21万人もの来場者が訪れる大成功を収めた。しかし、展覧会開催までの道のりは平坦なものではなかった。当初、ロンドンの大英博物館で開催され、成功を収めた春画展の日本巡回展として企画されたが、東京国立博物館をはじめとする国内の公私立博物館20館への打診がすべて断られ、小規模な私立博物館での開催となった。海外では美術品として高く評価されている春画の展示が、なぜ日本ではスムーズにいかないのか。なぜ21万人もの観覧者が訪れたのか。この展覧会を大成功へと導いた人々を追いながら、春画と日本人をめぐるさまざまな謎に迫っていく。

2018年製作/87分/日本
配給:ヴィジュアルフォークロア
劇場公開日:2019年9月28日

スタッフ・キャスト

監督
製作
大墻敦
撮影
大墻敦
編集
大墻敦
ナレーター
濱中博久
音楽
矢部優子
池田陽子
長谷川美鈴
長谷川武尚
サウンドデザイン&ファイナルミックス
Mick沢口
カラーグレーディング
堀井伊玖磨
アシスタントプロデューサー
中澤祐子
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映画レビュー

4.5日本の表現規制の根本をあぶり出している

2019年10月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イギリスの大英博物館で春画展が開催された。その巡回展を日本でもやろうという動きがでたが、日本の国公立の博物館・美術館はどこも開催に応じてくれなかった。日本の伝統芸術である春画の展覧会が、イギリスではできても日本でできないとはどういうことか。異様に矛盾したこの状況から本作は、春画が近代にどのように扱われてきたかをさらけ出し、妙な忖度から生じる日本の表現規制の根本的問題をあぶり出している。
なぜ春画がわいせつとされたのか、美術という概念が明治時代に新しく生まれたのと、どのように関係しているのかなどが非常によくわかり、今日の日本の性的表現に関する表現規制の源流を見つけることができる。日本の絵画史を学ぶ上で貴重な知見がたくさん詰まった映画だ。
春画展は結果的に私立の博物館、永青文庫で開催されてが21万人を動員して大成功だったそうだ。映画の中でも有名な春画作品を無修正でたくさん観ることができるし、そういう意味でも見てよかったと思える作品だった。

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共感した! 2件)
杉本穂高

2.0無修正や裏ビデオを社会的抑圧として捉えよう

2024年11月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

日本の伝統的な性表現である春画の歴史と文化的意義を探る、2015年に永青文庫で開催された春画展では、国内外の貴重な春画約120点を展示し、3カ月の会期中に21万人もの来場者を集める大成功を収めた。しかし、開催までの道のりは平坦ではなく、国内の公私立博物館20館への打診がすべて断られるなど、多くの困難がありました。 これを追って社会的な春画の受容を歴史的に俯瞰しようという試み。

春画は中国の「春宮画」に由来し、平安時代から存在していた。江戸時代には町人文化の中で発展し、大名家がパトロンだった。結婚の祝いとして嫁に贈られたり、甲冑の制作時に一緒に春画が制作されるなど、縁起物としての側面も持っていました。

しかし、1722年の享保の改革以降、好色本の発禁令が出され、春画は地下出版へと移行しました。その後も、鈴木春信、喜多川歌麿、葛飾北斎などの浮世絵師によって、技術的に洗練された作品が生み出された。本編では、鳥居清長の「袖の巻」が特に取り上げられている。また、19世紀の記述『エルベ号艦長幕末記』では、市中での春画の氾濫が記述されており、当時の風習や習俗として根付いていたことがわかります。

明治時代以降、西洋文化の影響を受け、日本では春画が猥褻物として扱われました。一方で、西洋では日本の春画が芸術として評価され、ピカソにもその構図や描線に影響が見られます。日本国内では、出版は許可されても無修正の現物展示が難しい状況が続き、自主規制や警察、社会に対する忖度が存在しました。また、1990年代までは春画の日本への持ち込みが制限され、買い付けた国に送還されていたことにも触れられています。

春画は、農耕民族である日本人の性文化や信仰とも深く結びついており、田植えの際の儀式や、日露戦争までは戦場での玉除けとしても用いられていました。昭和初期まで、春画は日常生活の中で力を持ち続けていました。

映画館での鑑賞が必須と言えない、映像資料

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ジャパニーズ先住民

4.0良い作品でした。

2021年7月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

うまく編集されてて、サントラはオリジナルで、思ったよりも、映画として良い作品と思いました。面白く興味深く観れました。
ただの卑猥なものではなく、美術的に貴重な、厳選された春画の原画を観れるので、機会があれば映画のスクリーンで観る価値あると思います。

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プロクター

3.0狂騒する理由がない

2020年2月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

春画が芸術か猥褻かは、制作された江戸時代の大衆、そして制作者本人がどう思っていたか次第では。文献みないとわかりませんが、少なくとも現代の名工の腕をもってしても繊細な描写を再現できないとすれば、そこまでの技術を要してまで猥褻物を作ろうとはしないだろうから、当時は芸術の域だったのでは。
実際映画を見ても卑猥とは感じず、むしろ表現の自由を謳歌しているようにしか思えなかった。
それに春画が卑猥なら地方にある秘宝館や性器を象った祭は何ということになるが、今回の展示会を含めこれらを特別視して大勢の人が集まるのは、芸術や猥褻という次元ではなく、単に人間の持つ性に対する好奇心が一番の要因なのでは。

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さんにん@㌦㌦