劇場公開日 2019年9月28日

春画と日本人のレビュー・感想・評価

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4.5日本の表現規制の根本をあぶり出している

2019年10月25日
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鑑賞方法:映画館

イギリスの大英博物館で春画展が開催された。その巡回展を日本でもやろうという動きがでたが、日本の国公立の博物館・美術館はどこも開催に応じてくれなかった。日本の伝統芸術である春画の展覧会が、イギリスではできても日本でできないとはどういうことか。異様に矛盾したこの状況から本作は、春画が近代にどのように扱われてきたかをさらけ出し、妙な忖度から生じる日本の表現規制の根本的問題をあぶり出している。
なぜ春画がわいせつとされたのか、美術という概念が明治時代に新しく生まれたのと、どのように関係しているのかなどが非常によくわかり、今日の日本の性的表現に関する表現規制の源流を見つけることができる。日本の絵画史を学ぶ上で貴重な知見がたくさん詰まった映画だ。
春画展は結果的に私立の博物館、永青文庫で開催されてが21万人を動員して大成功だったそうだ。映画の中でも有名な春画作品を無修正でたくさん観ることができるし、そういう意味でも見てよかったと思える作品だった。

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杉本穂高

4.0良い作品でした。

2021年7月24日
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鑑賞方法:映画館

知的

うまく編集されてて、サントラはオリジナルで、思ったよりも、映画として良い作品と思いました。面白く興味深く観れました。
ただの卑猥なものではなく、美術的に貴重な、厳選された春画の原画を観れるので、機会があれば映画のスクリーンで観る価値あると思います。

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プロクター

3.0狂騒する理由がない

2020年2月1日
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鑑賞方法:映画館

単純

春画が芸術か猥褻かは、制作された江戸時代の大衆、そして制作者本人がどう思っていたか次第では。文献みないとわかりませんが、少なくとも現代の名工の腕をもってしても繊細な描写を再現できないとすれば、そこまでの技術を要してまで猥褻物を作ろうとはしないだろうから、当時は芸術の域だったのでは。
実際映画を見ても卑猥とは感じず、むしろ表現の自由を謳歌しているようにしか思えなかった。
それに春画が卑猥なら地方にある秘宝館や性器を象った祭は何ということになるが、今回の展示会を含めこれらを特別視して大勢の人が集まるのは、芸術や猥褻という次元ではなく、単に人間の持つ性に対する好奇心が一番の要因なのでは。

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さんにん@㌦㌦

2.5春画は芸術かワイセツか?

2019年11月19日
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鑑賞方法:映画館

エロ写真とセットにしたらワイセツ?
全編国内で開催されるまでの関係者のインタビューのみ劇場で上映するならもっと広く詳しく描いて欲しいが!?

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ゆたぼー

4.0価値をはかる

2019年11月8日
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鑑賞方法:映画館

事の意味を考えた。
外国で評価されて改めて自国の文化の価値がわかるって、どうなのかなぁ?

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Momoko

3.0日本人の精神性を春画というある種芸術ともタブーとも判断される媒体を...

2019年11月2日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

日本人の精神性を春画というある種芸術ともタブーとも判断される媒体を通じて表現されている。それはそれは極めて日本人ぽいドラスティックさのないさざ波のような変化、凪じゃないんだけど意識しないと気づかないようなもので・・・

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ちゆう

4.0春画って高尚なイメージがあったので、いまだに猥褻物扱いをされている...

2019年10月27日
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鑑賞方法:映画館

春画って高尚なイメージがあったので、いまだに猥褻物扱いをされている事に驚いた。

たしかに性器の細かな所まで描き込まれているが、絵画としての評価の高さで海外にも認められるのは承知の通りだし、もっと過激なエロ本がコンビニに立ち並ぶこの日本での事とは、到底信じられない。
そんな中、春画展の開催に奮闘する人々も春画に精通しているだけあって、とてもユニーク。
春画って相当開放的で人間模様が垣間見える。
ひょうひょうと春画の魅力を語る内容は、知識が無い私には非常に面白かった。

いかに技術が優れていたのかが、もっともわかるのは春画の名作を再現する場面。
毛の質が違うから、彫り方も全然違うんですね。
江戸時代の技術と開放感にあっぱれ。

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パプリカ

3.5春画展開催への挑戦

2019年9月29日
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鑑賞方法:映画館

終映後のトークで、何が「春画」かについて、一つの定義が可能だと聞いた。“検閲”印が押されているかどうか、というのだ。
検閲されていれば、とりあえず版元が“出版可能”と判断し、お上に見せて認められたということ。“あぶな絵”でも、検閲印があれば「春画」ではない。
一方、享保の改革以後の「春画」は、検閲印がない。店頭販売がNGになり、ウラで“貸本屋”などを通じて流通したようだ。

本作品は、2015年の展覧会にまつわる関係者のインタビュー映像を中心に構成される。
大英博物館で開催され、出版物は国内でも解禁になっているにもかかわらず、なぜか、現物を公開することができない。
関係者は、できれば“東京”で開きたいと挑戦を続け、永青文庫で実現する。そして、春画の将来のため、“絶対に失敗できない”という覚悟で、徹底的に準備する。

“忖度”による自己規制。しかし、何におびえていたのか?
結果的には、21万人もの観客で、うち女性が55%だったという。
女性が特に春画好きということではないはずで、一般に展覧会には女性の方が多い。むしろ、面白いアートとして、何事もなく受け入れられたということが重要だろう。
とはいえ、自分も行ったのだが、絵を見ていただけなのに、近くで見ていた女性になぜか睨まれた。彼女は何か恥ずかしかったのだろうか。

春画の扱いを巡る業界の歴史なども触れられる。
江戸の大名との関係や、縁起物であるという文化。
明治以降の、法的あるいは美術的な位置づけ。
在野の艶本研究者・林美一氏の「国貞裁判」。
当時40代だった辻惟雄氏や小林忠氏ら4人による、無修正画集の出版。
慶応大学や国際日本文化研究センターのコレクション。
そして、ピカソと春画の関係も・・・。

90分のドキュメンタリーとしては、しっかり楽しめた。
ただ、アートの映画とは言えない。春画の内容を、掘り下げて解説するシーンはない。版画技術にも、軽く触れられるのみだ。
また、「春画と日本人」という題だが、そこまで内容は深くない。
「春画展開催への挑戦-現代日本社会の自己規制をめぐって-」という題名の、社会ドキュメンタリーと考えた方がいいと思われる。

自分は、これまで春画は局部よりは、ハッピーそうな顔の表現や、それを覗き見る滑稽さの方を楽しんでいた。春画の登場人物たちは、生き生きしている。
だが今回、改めて見ると、版画における“陰毛”表現に感心した。ランダムな方向に伸びる毛を、凸版で、あれほど密度濃く彫るとは、驚異的である。

名だたる浮世絵師で、版画あるいは肉筆で、春画を描かなかった人は、ほとんどいなかっただろう。
この映画で、話題になった展覧会を振り返りながら、日本の性文化、その建前と実態の歴史、アートや滑稽本としての春画の楽しみ方について、勉強するのも悪くない。
ただし、もちろん◆18歳未満入場禁止◆であり、「DVD販売の可能性もありません」(公式サイト)とのことだ・・・。

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Imperator