私のちいさなお葬式
劇場公開日 2019年12月6日
解説
突然の余命宣告を受けた73歳の女性が自身のお葬式計画に奮闘する姿を描いたロシア映画。村にただひとつの学校で教職をまっとうし、定年後は気のおけない友人たちと大好きな本に囲まれ、慎ましくも充実した年金暮らしを送っている73歳のエレーナ。そんな彼女が病院で突然の余命宣告を受けてしまう。都会で仕事に忙しい毎日を過ごし、暮らし5年に一度しか顔を見せないひとり息子のオレクには迷惑はかけたくないと、自分で自分の葬式の準備をスタートさせる。惨めな死に方だけはしたくない彼女の願いは、お葬式に必要な棺や料理の手配を済ませ、夫が眠るお墓の隣に埋葬されること。親友やかつての教え子たちの協力もあり、彼女はお葬式の準備を順調に整えていく。しかし、完璧かに思えたエレーナのお葬式計画に想定外の事態が持ち上がってしまい……。
2017年製作/100分/G/ロシア
原題:Karp otmorozhennyy
配給:エスパース・サロウ
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2019年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
人生の最後を意識することで、人の生き方は大きく変わるという。私は未だそういった境地に立てずにいるが、本作の主人公のささやかな決意と行動力は、その人生の真理を優しく、柔らかく伝えてくれているかのようだ。
医師から余命いくばくもないことを告げられた彼女にとって、ロスタイムがどれだけ残されているのか皆目わからない。だがその中で彼女はやれるだけのことをやろうと一つ一つ物事を処理していく。このあたりの几帳面さにはかつての教師歴とも関係しているのだろうか。今やすっかり中年になった教え子たちに「先生、先生」と慕われる主人公は、彼らや友人や隣人らを巻き込みながら、自らの手で準備を着々と進める。こうして過ぎ行く日々は、死へのカウントダウンではなく、むしろ生をぎゅっと凝縮させた時間と言えるし、冒頭から登場する「鯉」はまさに生の象徴として印象を刻む。深遠さを感じさせるこの映画の美しいラストが私はとても好きだ。
ロシア映画って私の中ではレアですが。
これもある意味「終活もの」と言えるでしょう。
心臓病を指摘され、主人公である老婆がとった行動は。
「自分で自分の葬儀を段取りしよう」。
その気持ちはわかるけど、順番が逆を辿っていくのが結構笑え。
火葬は嫌だからと、亡き夫の墓の横に「自分用の墓穴」を掘ってもらい。
棺桶を買う→死体安置所→死亡診断書を今日付で書いてもらう。
クソ真面目なのが余計ツッコミ。
でもなぜ自分でするのか。
それは「離れて暮らす忙しい息子だと、できないだろうから」。
前半は近所に住む友人との話、後半は息子との話。
終盤ちょい前まで、笑うエピソードが多かったので。
「え、そこで終わる⁈」。
100分ほどであっという間の掘り出し物でした。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「お前は幸せかい?」。
2022年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
寡婦の主人公は余命宣告を受け、都会で暮らす一人息子に迷惑をかけまい、と自分の葬式の準備を始める。
徹底しており、死体検案書まで作ってもらい、棺桶を購入する。
母と息子の関係がなんとも言えず、可笑しいやら悲しいやら、見入ってしまった。
2021年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
久しぶりに、暴力的な部分がないロシア映画を見ました。2回ばかりロシアを旅した経験があり、ロシアの田舎の日常生活がよく描かれています。日本と同様に、田舎は多くの老人と野心のない少人数の若者しかいません。この映画で出てくるようなアルコール中毒者はロシア中どこにでもいます。ロシアの平均寿命が低いのも大部分がウオッカのせいです。
ところで、この映画を息子の立場から見ると、別の物語になります。私も親の介護の経験があり、息子の行動が痛いほどわかります。
ロシアを旅した頃を思い出し、楽しく見させていただきました。
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