「悪くないのは知ってるけど」カセットテープ・ダイアリーズ テツさんの映画レビュー(感想・評価)
悪くないのは知ってるけど
うん、スゴくキラキラしてて爽やかな青春もので良かったんだよ。なんだけど…
人種差別な視線に苛まれる街で、保守的な家庭環境で燻っていたパキスタン青年がブルーススプリングスティーンの曲との出会いから、友情、恋、家族、才能、夢と向き合い成長を遂げていく青春ドラマ
実話ベースということで劇的な展開とかはないにしてもTHE 王道の青春成長譚を見せてくれるのが、見ているこっちが気恥ずかしくなるようで微笑ましい
でも、なんだろ、なんかモヤッとすると言うか…全体的に都合良く進みすぎ?
きっと彼には文才だけでは無く、出会いの才能もあったのだろう。
映画的な演出もあるだろうが、良き教師、良き友人、彼女、隣のおじさんまで好い人で、父親が解雇されても家はそのままで学校もそのまま通えて…
幼い頃から書きためたものが評価され、その才能を認める人に出会い、新たな友人や恋人にも恵まれ、昔からの親友ともすぐに仲直りし、対立した父親とも少し頭を冷やして会えば改善する…どうにもご都合主義の映画に見えてしまう私はひねくれているのだろうか?
王道の若者青春ストーリーでそこを彩るブルーススプリングスティーンを始めとする80年代ソングとリンクする主人公の物語はストレートで見易い。若者が夢に向かって邁進する姿は見ていて気恥ずかしくて、キラキラしているのが見ていられなかったのかもしれない…
演出としては、冒頭の幼い頃とラストがリンクするとかは好みだった。
歌詞が壁に投影されたり、彼等の行動がミュージカル調になったりと映画として魅せる画造りも見ていてポップで見易く楽しい感じはする。
時代背景としては知らない部分も多くて、あの年代での人種差別の苛烈さや政治的背景、大量の解雇者とか知らない部分も多くて勉強になる。
また、主人公一家の家族性?と言うのかな家長主義的な文化も知らなかった。
最後のスピーチはブルースに囚われすぎて周りが見えてなかったとこを反省して新たな自分の道を見つけるようなスピーチに落とし込んだのも好感は持てる。
…多分個人的に趣味が合わなかった作品だな。実話ベースゆえに主観的な目線が多くてご都合主義的な展開に見えてしまったことが合わなかったのかも?
人生を変えてくれる音楽という奇跡の出会いをきっかけに、自らの夢へと新たな道を踏み出す若者を描いた青春ストーリー
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確かに皆さんの言うことも分かるし、良い映画と思ったのは間違いない
ただ、主人公の変わり具合というかどういう形で変化したのかが伝わらないと言うか…
スプリングスティーンに出会う前と後で彼が変わった部分と言えば自分の表現を肯定して前向きになったこと。それが才能を見出だされてことになるわけだ。
彼のこの表現、つまり詩の部分に関して彼の成長ぶりとかこう変わった、スプリングスティーンに出会ってからこうしたんだみたいな頑張りというか変わりようが見えてこなかった…いやなんか違うかな…そんな感じがしたのかもなと思ったので記録しておく