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様々な文化が入り混じったかのような独特な世界観が魅力な作品です。
映画における脚本からアニメーション制作までを監督が1人で行っていると聞いて色々なインタビューなどを読みましたが、調べれば調べるほど面白いです。
この作品からも似たテイストを感じますが、スタジオジブリの宮崎駿監督に10代で師事したそうです。初監督作品は大林宣彦監督がプロデュースを務めており、またアニメーションプロデューサーの丸山正雄氏からの推薦で、今敏監督の作品でも演出として参加しています。これだけでも鬼才達から一目置かれていたことが伝わります。
特に、著作権を監督自身が所持することにこだわってオリジナル作品制作に取り組まれている点が非常に興味深いです。監督が芸術系の大学教授も務めており、このコルボッコロの制作を1人で行うことで、アニメーションの作業工程を把握しながら作品の制作過程にできた素材を教材にして教育に活かしているようですし、製作資金の回収も含めて自身で結果を出されているという、他に類を見ない取り組みをされていることに驚きました。
映画自体は短いこともあり、もう少し深くキャラクターを描いてほしいと感じましたが、ストーリーの全てを描き終わってはいないようで、続編を作りたいとインタビューなどでも答えていらっしゃいましたし、その完成を楽しみに待とうと思います。
西野七瀬が声優初主演として参加したのも、この企画が面白いと感じたからではないでしょうか。主題歌もそこで流れる影絵の映像も壮大な感じが伝わり、とても素晴らしかったです。
風車の動きで街の状況を伝えていたり、街の中に自然が描かれていないのに、それでもそれを気にすることもなく当たり前のように生活する人々の姿が描かれているのを見て、色々考えることがありました。
劇中に、他の人と同じことがしたくないのではなく、何故それをするのかを自分で考えないと、道がなくなった時に動けなくなる、といった表現の台詞がありましたが、監督自身の行動がそういった危機感からのものであるかのように思えて、作品と共に感慨深い気持ちになりました。
同時上映のサンタ・カンパニーとのつながりも色々考えられており、観てよかったと思います。