Winnyのレビュー・感想・評価
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出る杭はうたれる社会
もともとこの事件を知らなかったけど、Abemaで紹介されていて興味がわいたため、みてきました。
東出さん演じる金子勇さんが本当に純粋にプログラミングが好きな人に私には見えました。
この事件に関わったそれぞれの人の熱い思いが伝わってきました。
それと同時に出る杭はうたれる社会ともいわれる現代日本に疑問を投げかける良い作品だったと個人的には思います。
映画化するのは相当な勇気が必要だったように思いますが、とても素晴らしい映画でした。ありがとうございました。
良く出来ていたと思いました。
サスペンス、法廷ドラマとしてもとても面白かった、という感想です。
WINNYはP2P型のファイル交換ソフトで、冒頭でファイルを交換したユーザーが著作権侵害で逮捕されていくのですが、関係する弁護士らが「開発者本人は逮捕されないはず。ナイフ殺人者は逮捕されても、ナイフ発明者は逮捕されるはずがない。米国のナップスターの開発者も罪に問われなかった。」と話すシーンがあります。しかし、本件は逮捕されてしまい、その後長い裁判を争ったという実話に沿ったものです。
東出昌大が開発者、三浦貴大が弁護士で、好演しています。凄腕刑事弁護士の渡辺いっけいもよかった。開発者が純粋な開発欲で開発したことを法廷の尋問で示すところも面白かった。
ラストのクレジットで当時のご本人の記者会見が出てくるのですが、東出昌大は雰囲気よく出していたなと改めて思いました。
満天の星
裁判を控え、不器用に秋刀魚を食べる金子に壇弁護士が語りかける。「私の人生の五年間を金子さんのために使いますから、金子さんはこれから生まれてくる日本の技術者のために残りの人生を使ってください。」
第一審で有罪判決を受けてから七年、最高裁で無罪を勝ち取った金子さんが、その後実に半年間しか技術者として生きられなかった。
金子さんのためにもひとりでも多くの人に観てほしい。
金子さんを演じた東出昌大がその人の良さを体現していたのをはじめ、弁護士役の三浦貴大、皆川猿時、和田正人、吹越満、劇的な見せ場がない役柄を淡々と演じていつもよりそれぞれが実力を発揮する好演。気を衒わない真面目な演出も好もしい。
愛媛県警の裏金問題がどう絡んでくるのかと思っていたら、そういうことか。
PCや最新技術に疎い同僚弁護士や助手?を配することで、彼らに問題を説明するような形で観客にもわかりやすく伝える脚本も上手い。
金子さんが見上げる夜空の満天の星。
法廷でプログラムの説明に熱中する金子さん。
エンドロールで流れる実際の金子さんの映像。
目に焼きついて離れない。
こういった良質な作品が若い作家監督の手によって制作され、全国公開されている。マスコミや観客も応えなければいけない。(平日の昼間とはいえ貸し切りだったのは残念)
初公判で有罪判決を出した裁判官は何も問われないのかなぁ。
事件を知らない人も、知っている人も楽しめる法廷ドラマ
2003年に起きたファイル共有ソフトWinnyをめぐる事件の映画。面白いし、考えさせられる作品ですね。
まあ、事件そのものは、おじさんオタク世代なら覚えている話ですし、Wikipediaで読めば分かります。もちろん映画なので「権力に抗ったエンジニア」として描かれています。
ただ、興味深いのはWinnyの話だけではなく、中世的な日本の司法制度や匿名性の功罪、内部告発の難しさ、などこの事件を題材に投げかけるテーマが複層に絡まり、あえてそこには答えを出さない、という作り方が良いと思います。
テーマに対する一つの答えとして、エンドロールでWinnyの開発者である金子功氏が語るセリフが考え深いです。最高裁で無罪を勝ち取った後の記者会見で冤罪をもたらした責任はどう考えるか?という記者らしい煽り質問に、「誰かの責任にすれば良い、という考えで自分が逮捕されたのでは」、と。
映画としても面白い。やはり東出昌大は上手いです。エンドロールのご本人と雰囲気そっくりです。予告編だと三浦貴大の熱血弁護士が啖呵を切っていますが、本編では秋田弁護士が本当の主役ですね。
最後の被告人の陳述で「Winnyの修正が裁判のおかげでできなくて悔しい」とSDカードを手にするのですが、臭い芝居を入れたな〜、と思ったら、パンフレットを読むと実際の法廷でもやったそうです。法廷でも、SDカードは「仕込みの小道具」として使ったそうで、法廷も舞台なんだな〜、と感心しました。
Winny事件の功罪はあえて語りませんが、Wikipediaでは意外と批判的に書かれていますね。本編でも警察の陰謀論が少し出てきましたが、うやむやになってしまいました。私は陰謀論好きなので、ちょっと深掘りしてみたいな、と思います。
話が盛り上がるところのはずなのに
裁判メインというより主人公の人間性を追求した感じの作品かな。
法廷での逆転劇というエンタメ作品では無かったのは当たり前なのか。
一審で敗訴し、最高裁で勝利するわけだけど、その敗訴からの7年と最期が字幕で片付けられたのは、かなり残念。
敗訴からの勝訴への課程を期待したんだが。
悪用されたせいで・・。
Winnyを開発者、金子勇の半生の話。
幼少の頃からパソコンを触るのがすきな金子、本屋でパソコンの本(ソフト開発の)と、電気屋の店頭にあるお試しパソコンで暗記した本の内容を入力し、本屋と電気屋を何度も行き来を繰り返し独学で勉強。
後に大人になりWinnyを開発するんだけど悪用(違法アップロード、ダウンロード、コピー)する者が多く最終的に著作権法違法ほう助の容疑で逮捕。
この後、裁判になるも一度は有罪になるも後の裁判で無罪になる。無罪になるもその半年後急性心不全?42歳の若さで亡くなってしまうっていう金子勇のストーリー。
金子を演じたのは東出昌大。
エンドロール途中のこれからの若者へメッセージを観た人、IT関係の仕事されてる人に刺さったんじゃないかなと思います。
裁判で無駄に時間を費やした金子、だけどこういうベースがあるからこそ今があるのよね!
何のために生まれ何を為したか
ファイル共有ソフト
2000年代初頭のネットは
まだISDNの64kくらいが主流のところを
ADSLで8Mが爆速と言われた時期
クライアントサーバーへの保存と
アクセスを介さずユーザーのPC間で
直接データをやり取りすることで
普及したフリーウェアソフト
WinMXやNapster等が有名であったが
結果的にゲームや音楽ファイルなどの
データが違法にやり取りされる下地を生み
社会問題化のきっかけを生んだ側面が
あった
そんな時期に2chのユーザーの意見を
取り入れながらファイル共有ソフト
「Winny」を開発した「47氏」
金子勇氏のあまりに急な逮捕から
無罪を勝ち取るまでの顛末を
まとめた今作
どうだったか
世代的にリアルタイムで
この事件に触れていた事もあり
思い出すように感じ取れるシーンも
ありましたが
同時期に発生した警察の裏金事件
なども重ねながら世の中のために
良かれと思って生み出された道具に
果たして罪はあるのか
公平性をかなぐり捨て機能不全し
オワコンと化したマスコミが
醜態を連日さらし続ける令和の世に
問いかけるもの
大きかったと思います
前述の通り2chの住民と
意見を交わしながらWinnyを独力で
作り上げた「47氏」こと金子勇氏
世間はそれによる違法コピーの横行
によって逮捕者も出だしたところで
彼の元にも警察が訪れます
そして取り調べの中で
コレを書いてくれたら帰す
といって誓約書の例文を渡し
金子氏は「著作権侵害を蔓延
させる事を目的とした」という文に
違和感を感じつつもうっかり
その通りに書いてしまいます
その後警察は家に帰すと
言いながら結局警察を原告とした
著作権侵害幇助という罪状で
刑事裁判にかけられてしまいます
そんな報道がなされた頃
それを見ていた北尻法律相談事務所の
壇俊光弁護士は
「ナイフで人を殺した事件があって
ナイフの製造者が罪を問われるわけがない」
「開発者が捕まったのなら
弁護します」と言っていたら
その通りになったので
弁護を引き受けることになります
金子氏の逮捕は不当であり
技術者の意欲を削ぐ可能性を
はらんでいるからです
実際アメリカではNapster等同種の
ソフトウェアにまつわる訴訟において
ソフト開発者の罪は問われない
と言う判例が下っています
壇が金子に接見してみると
やや変わったコミュニケーションで
人の言う事を鵜呑みにしてしまう
ところがあり裁判で自分を不利にする
事をも意識が無い事に頭を抱えつつ
2chを通じて集まった裁判費用のカンパ
を見せあなたを支持してくれる人が
これだけいるんだから頑張りましょう
という意図を伝えます
すると金子は涙し壇はこの人は
決して悪い人じゃないという確信を
持ちます
丁度その頃場面は変わって愛媛県警
内部で行われていた裏金作りに
若い警官が加担させられているのを
目の当たりにして我慢出来なく
なっている仙波敏郎巡査の場面も
出て来ます
この事件も同時期に実在した
ものです
とはいえ壇弁護士は
苦しい戦いを覚悟しました
日本における刑事裁判は
99.9%有罪になるとよく
言われます
ですのでそうした条件でも
幾度と無罪を勝ち取ったことがある
秋田真志弁護士に主任弁護を
依頼することにしました
委細を聞いた秋田は
・警察が原告であること
・逮捕が早急であったこと
などに疑問を持ち
法廷においての質問にも
答えることがありませんでした
著作権侵害であれば著作権保有者が
まず訴えるべきだし何故?
と思っているところへ
京都府警の情報がWinnyを通じた
ウイルス感染で流出したという
ニュースも流れます
つまり府警のPCでWinnyを
使った署員がいたこと(不祥事)
を隠蔽するために金子の逮捕を
急いだという勘繰りを弁護団は
するわけです
壇がそのあたりを金子に尋ねると
Winnyは脆弱性が弱点で
ウイルスに弱いことや
(実際キン○マウイルスなんて
呼ばれるヤバいのがあった)
使われながら改善を進めていく
途中だったこと
何よりWinnyを作った目的は
匿名のまま著作物を広く公開
出来ることであったこと
などの答えが返ってきます
壇は金子がピュアなプログラマーで
あることをただでさえ裁判官や
世間にはわかりにくい
コンピューターやプログラムの話で
どう伝えるかに頭を悩ませることに
なります
その頃先ほどの愛媛県警の仙波氏は
地元マスコミに公表を訴えるものの
取り合ってもらえない事でついに
弁護士を通じて世間に公表する
決意をします
弁護士からは身の安全を第一に
ホテルを使うなど要請されます
ここを映画では
Winnyが目指したものと
対比しているのでしょう
裁判は
金子が「自発的に書いた」
と警察側が言う申述書の
蔓延を「満えん」と誤記してある
部分から秋田弁護士は
この文章は普段使っていない
言葉を用いた→書かされた
ものであるという機転もあり
捜査情報流出の不祥事を抑えるため
京都府警が手っ取り早く逮捕状を取り
申述書を無理に書かせた事実を
ほぼ暴く事に成功します
しかし金子氏の著作権侵害の意図が
無かったことまでは
証明し切れていません
そこで檀氏は法廷で金子氏が
他に作っていた飛行機や
人形が格闘するプログラムなどを披露
ある意味彼がプログラムすることにしか
興味が無い事を裁判官に訴えます
またその頃ついに愛媛県警の裏金を
公表した仙波氏
県警は事実を否認するものの
裏金の証拠となる架空の捜査費用や
協力費の領収書がWinnyを通じて流出
それを見た新聞社が報道し
事態は急転していました
人知れずWinnyがその本来の
目的を果たしていたという
印象的な描写です
(事実として実際関連したのかは
わかりませんが)
そして判決の時
結局金子氏は一審では有罪になって
しまいましたが最高裁まで争い
7年後に金子氏は無罪を勝ち取ります
しかし…その半年後に金子氏は
急性心筋梗塞でこの世を去り
自由にプログラミングを続けられたのは
ほんのわずかだった事になります
それでも遺族の姉は弟は檀氏にいつも
感謝していたと遺品の眼鏡を
檀氏に託すのでした
2003年時点で
Winnyを作ったことが
早かったか遅かったか
今ではYouTubeやSNSなど
情報を個人が広く拡散するツールが
あふれる時代にWinnyが普及する事は
無かったでしょう
早く生まれた技術が批判のやり玉に挙がる
これはよくあることです
個人的にはWinnyに崇高な設計思想が
あったとして金子氏が意見を取り入れた
という2chの住民の意図は本当に
違法ファイル拡散でなかったと
言い切れるのか?
と思うところもあります
ただ普及のし始めってやっぱりそんなもの
(YouTubeだって初期は
TV録画の無断公開ばかりでした)
公開を経て順次改良改善を加えていく
そうやって社会に則したものに
なっていくものです
Winnyは金子氏の裁判によって
その機会を失ってしまった
不幸なソフトと言えるかもしれません
正直ちょっぴり
映画で伝えたいことの焦点が
ぼやけてわかりにくい印象も
ありますが
色々考えさせられるには十分な
作品だったと思います
改めて東出昌大は良い俳優だなと
感心しました
天才の悲劇
この映画を見終わってまず頭によぎったのは、ノーベル賞の事だった。ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルは、wikiで調べると、「ノーベルにとってダイナマイトが戦争で使われることは想定内であり、むしろ破壊力の大きな兵器は戦争抑止力として働くと予想していたが、実際には高性能爆薬の普及により戦争の激化を招いたことで世間的には「死の商人」というイメージが広まっていた。これらのことからノーベルは死後の評価を気にするようになったという。」と、ノーベル賞が創設された経緯が書かれている。この映画の金子勇氏もまさしくそうだ。著作権侵害を幇助するつもりなど、さらさらなく、世の中に貢献するために開発したwinnyが、一部の人間たちによって、悪利用され、金子氏自身も、悪事の隠蔽工作のために抹殺されたであろう事が、映画の中では暗示される。普通のプログラマーが3年かかるプログラミングを短時間でやってのける彼は、天才に他ならない。しかし多くの天才がそうであったように、金と欲にまみれた俗物の餌食にあい、不幸に見舞われるのだ。彼の一番の不幸は、不当な逮捕と裁判により、5年以上の時間を奪われたことだ。映画を見ると分かるが、プログラミングこそが彼の自己表現であり、それを禁じられた年月は、凡人からしてみたら、人間の五感を奪われるのと同じであり、凡人が何十年もかけて開発する偉業を成し遂げる機会を奪ったことになる。まさしく天才の悲劇である。
無実を証明するために奔走する弁護士の前で、「これからの開発者のためになるなら、どうぞ僕を有罪にして下さい」と言い放ってしまう金子氏は、その純粋さ故に、いわゆる一般社会での生活に不自由を感じていたのではないか?
今巷では盛んに多様性云々と言われているが、表面的な言葉だけでなく、この世の中にはおそらく非凡な才能を持ってはいるが、一般社会に適応しにくい人たちがいるのではないか?そういう人たちを早く見つけ出し、この世の中の悪感情や災難から守ってあげる、この映画の弁護士のような人間が本当に必要なんだなとつくづく思った。
事件を知るきっかけとして
実はこの事件、全く知らなかったため興味深く鑑賞しました。
確かにナイフや包丁を作る職人や工場、会社が「使い方を間違えれば危ないものだから作るな」となっては必要な道具まで無くなるわけだし。
この主人公の実在の方が無罪のあとどうなったかまでは知らなかったので、最後に当時のニュース映像、インタビュー映像も流してもらえて良かったです。
東出さんの演技は、御本人映像があったのでなかなかよく似せていて、コンフィデンスマンのような軽妙な感じも少しありつつ、開発以外の世情には疎い主人公をうまく表現していたと思います。
分かりやすく映画にしてもらったので、こういう事件があったと知ることが出来て良かったです。
別事件と思えた警察内部の捜査費ねつ造事件とのリンクもあり、内部告発をどうすればいいのか、とかも考えさせられる内容でした。
タイトルなし(ネタバレ)
Winnyよりも京都府警の汚職方が気になってしまった笑
金子勇が著作権侵害幇助の罪で捕まり一旦有罪となるが、最終的に逆転無罪となった。彼が捕まらなかったら、、みたいな話があるが結局どうかは誰にもわからない。
開発者の意図とは異なり、Winnyは悪用される。使ったことが無いから分からないけど、違法アップロードされた動画などを鑑賞可能なのだと思う。便利な一方でウィルス感染してしまうと個人情報や機密情報が流出し拡散する。度々問題になっている。
東出昌大が金子勇というか、エンジニア特有のキモさを演じていた。彼は役者なんだなと改めて感心した。弁護士が誰だか分からなくて無名俳優が抜擢されたのかと思っていたら三浦貴大だった。
金子は逮捕されると、2ちゃんで支援者が沢山現れて金子勇に支援金が集まる。しかし裁判では負けてしまった。誓約書など警察や検察が用意した書類にサインしてしまう金子も悪いのだが。
金子はWinnyの発想の原点にFreenetというソフトウェアを上げた。Freenetがどういったものかよく分からなかったが、世の中のニュースには情報提供者がいて、誰かがその人を知っている。Freenetならば完全に匿名化出来るようだ。
映画の中では京都府警の汚職の話が並行して進む。一人のベテランが汚職を告発する。彼は告発したことで危険にさらされることになってしまった。匿名であれば、早期に汚職も防げていたであろうか?
Fly Away
10日公開は個人的に魅力的な作品が少ない週…。消去法で今作を選びましたが、これがまぁ傑作でした。マジで舐めててすいませんでしたとしか言いようがないです。
パソコンで立ち上げたサイトが悪用されて、そのサイトを作った開発者が不当逮捕されてしまい、その開発者の無罪を証明するために戦う弁護士と開発者との物語になっています。
日本の警察描写は基本的に間抜けなことが多いんですが、今作はとにかく悪どい奴らが多いので、腑抜けに感じるシーンはあまりありませんでした。とにかく権力で抑えつようとする感じ、裏工作を仕掛けて事を収めようとする感じ、年代は違えど悪い警察はとことん悪い、それを体現するメリハリの付け方はとても良かったと思います。
役者陣の入り込みも素晴らしく、東出くんのひょうきんさとダークさが絡み合った濃厚な演技、三浦さんの真摯に事件と向き合う弁護士の鏡の様な生き様の演技、渡辺いっけいさんと吹越満さんの裁判シーンでのバチバチの演技、吉岡さんの警察の裏を暴露する強い姿勢を見せる演技、邦画の中でもトップクラスの演技合戦が観れて最高でした。最初から最後まで隙のないものになっており、エンドロール後に流れるこの作品のモデルにもなった金子勇さんの映像を見ると、東出くんが完全に重なっており、憑依力がエグいと思いました。
リアルな裁判シーンでこんなにもカッコいいと思えたのは初めてで、僅かな隙を見つけてボロを出させて、一気に証拠をたたみかけるという頭脳戦で圧倒する面白さを邦画で体験できたことがとても嬉しかったです。これからの邦画の裁判シーンはこの作品と比較されていく気がします。
淡々と進むドラマに緊張感が直走り、その中で解決へのピースが埋まっていく瞬間、最高に気持ちいいです。ぜひ劇場へ。
鑑賞日 3/10
鑑賞時間 12:10〜14:30
座席 F-14
起起承承転結転結結のストーリー構成
Winnyの実話としての物語性は素晴らしいものです。そのために本作の題材は悪くはありません。
しかし、監督が金子勇さんという人物を理解しようと努力して、敬意を払い、観客に伝えようという意思は全く感じられませんでした。
本作は金子さんを逮捕した警察の裏の意図を観客に伝える役割として、仙波敏郎さんという実在の方を用いていますが、“観客にそのことを伝える実力が監督には無く”、作品の中に金子さんを主人公とする物語と仙波さんを主人公とする物語の2つが、重なることなくそれぞれ独立して存在します。
そのために起承転結が2つ存在し、合間に挟まる仙波さんの物語が、金子さんの物語に集中しようとしたときのノイズにしかなっていません。
また金子さんの物語の「転」の後、急に時間が飛び別の1つの「結」が現れます。
さらに最高裁の判決という本作の本来の「結」の部分を過程を省略して表現していて、さらに非常に簡素であり、なんの感慨も生まれません。
そのためにタイトルのような起起承承転結転結結のストーリー構成になってしまっています。
結論としては、この作品は監督の描写、脚本によって表現したいことを観客に伝える能力が求められる能力に達していないことによる力不足と、過去に実際に起こったWinny事件を理解しようと努力しない怠慢による金子さんへの冒涜です。
新技術の開発者へのエールになっているが、陰謀論的な印象操作はいただけない
社会的な常識に欠けていて、周囲の者をイラつかせる主人公のキャラクターが、東出昌大のそれと重なって見えて面白い。エンドロールで映し出される本人のドキュメント映像を見ると、決してソックリとは言えないものの、これは、これで、「好演」だと思う。
ただ、物語の核心でもあるWinnyについては、具体的にどのようなソフトで、何が凄かったのかが分かりにくく、今一つ話に入り込めなかった。もっと、IT弱者でも理解できるような、分かりやすい説明があっても良かったのではないだろうか?
さらに、ソフトの開発者を犯罪者に仕立てようとした警察や検察の「裏の意図」が、最後まで明らかにされなかったのは物足りない。劇中の台詞にもあるように、これが裁判に勝つための鍵となるはずだったのに、結局、取り調べの不当さを立証することが争点となってしまい、しかも被告側の敗訴となった一審までしか描かれないため、裁判に勝つカタルシスが弱まってしまったのではないだろうか?
裁判と並行して描かれる愛媛県警の裏金事件からは、Winnyに、著作権の侵害という負の側面だけでなく、不正の暴露という正の側面もあるということが分かるようになっている。しかし、それ以上に強く印象に残るのは、警察という組織が大きな闇を抱えているということである。
仮に、警察の「裏の意図」が、こうした組織の闇を隠すことであったと言いたいのだとしても、だからといって、ソフトの開発者の逮捕には結び付かないし、逆に、陰謀論的な胡散臭さばかりが鼻についてしまう。
物語としては、裁判に直接関係のない裏金事件の詳細な描写は必要なかったと思うし、一審での敗訴と主人公の死亡という悲劇で締めくくるのではなく、裁判における最終的な勝訴をクライマックスにした方が、もっと心地よい後味を楽しめたのではないかと思えるのである。
『満えん』
P2P技術での世界に於ける日本のアドヴァンテージを予感させる開発であったWinNY
しかし、余りにも日本の世情とのミスマッチによる運の悪さに因って、プログラマ自身が逮捕起訴されるというトンでもない転がり方をした事件の顛末を描いた作品である
勿論、ドキュメンタリーではないのでドラマとして加筆している部分はあるだろう しかし鑑賞後に改めてこの事件をネットで調べてみると興味深さは一段と浮き彫りになる内容である
主人公である開発者、そして対峙する警察・検察、味方となる弁護士、そして世論 このどちらにも『プロトコル』が存在していない この事件に於ける一番の問題は、お互いの欠けている部分を認識し、並列にすべき概念を逸している事なのではないかと思う それはクライアントサーバー型式のように上下の繋がりではなく、正にピアツーピアの発想こそが請われているコンセプトなのではないかと愚考したのである
それぞれの立場故に中々相手を慮る姿勢については困難を極める 未来永劫それは無理なのかも知れない それでも風穴を開けたいと願う人間は出現する 一人は天才 もう一人は正直 何れも共通するプロトコルは"純粋" 純度が高い程、爆発的な化学反応を引き起す だからこそ雑味が酷い一般社会に於いては、それを『異形』と称して排除しようとシステムが稼働してしまう
しかし、純度が100%に限りなく近かったら?・・・ 雑味は所詮妥協の成れの果て 自覚しているからこそ武装するのであって、本来はその重い鎧を脱ぎ捨てたい
抽象的な話に始終してしまったが、"純粋"と"不純"、その相克を突きつけた意義のある作品であると強く感じたのである
もう少し削ぎ落として良い箇所、しかしストーリーとしてのカタルシスを刻みたい欲 制作陣の苦悩がそこかしこに色づけされていることを痛い程感じてしまったのだ
力量不足…
全体的に無駄な場面が多く冗長
大して関係ない愛媛県警の話も織り交ぜて一審の有罪判決までをダラダラ描いて、無罪判決を得るまでのところは全カットって…。
そこに本当にドラマは無かったのか?
いくら何でも負けて亡くなって終わりは無いだろうよ。
どこにピント合わせて作品作ってるんだよ。
エンドロールで現実の映像が流れるが、演出の方法としては”逃げ”だと思った。「それを”劇”にしないとダメなんじゃないの?」って。
役者の演技は良かっただけに残念。
【”革新的ソフトに罪はない。”行き過ぎた公権力の姿を軸に、刑事訴訟された天才プログラマー及び弁護団の姿を描いた作品。粗い箇所もあるが、公権力の闇や、力の乱用に釘を刺す意味では、意欲作だと思う。】
ー 今作は、2002年に革新的ソフトを開発、公開した事から”著作権法違反幇助”の罪で刑事訴訟された故、金子勇さんの姿を描いている。ー
◆感想
・序盤は利用者同士が簡単に無料で遣り取りできる”Winny"を開発、公開した金子(東出昌大)の、簡単に警察が誘導した書類にサインする姿にヤキモキしながら、観賞。
ー あんな、警察が用意した文章を自分でそのままなぞって書いたら、思う壺だろう。金子の天才プログラマーながら、社会的な経験値の低さが描かれる。-
・弁護士の壇(三浦貴大)は、”悪用を前提にしたモノではない”と、裁判で抗弁するが、ナカナカ主張が通らない。何しろ裁判長自身が、デジタル素人なので原告と被告の弁論が理解出来ていないのである。
ー そもそも、原告が検察というのもイロイロと勘繰りたくなってしまう。-
■今作が巧いと思ったのは、"Winny"事件だけを描かずに、愛媛県警で長年行われて来た裏金作りを併せて描いている点であろう。
老刑事(吉岡秀隆)が、その事実を記者会見で告発する姿。
<今作は作品の作りとしては、可なり粗い。
だが、今作は公権力の闇や、その力の乱用に釘を刺すという意味では、余り映画の素材にはなりにくいデジタルソフト開発を軸にした意欲作だと思う。>
評価に迷います。悪くはないが良くもなく。
ノンフィクションを作品にするって大変ですよねえ。主人公のイメージってリアルな本人がいるわけで。エンドロールの最後に本人のインタビュー映像が映し出され、なるほどと俳優の役作りを知ることが出来ます。
主人公が小学生の頃に電気店の店先でPC8001のプログラミングを行うシーンがあり、それはちょうど私が大学のころで、アルバイトでお金貯めて168000円で買ったなあって懐かしかったです。
全体的に大きな抑揚は無く淡々と時間が過ぎていくような感じですが退屈するほどではなかったです。
ただし、リアルストーリーなのでもう少し時間の経過とかがわかりやすい工夫があればと思いましたし、最初に小学生のころから入って、ソフトウエアのオタクに成長する過程とかがあれば入り込むきっかけになれたんじゃないのかなって思いました。
最高裁で勝訴するのが時間の関係か物語に不要なのか省かれているのはちょっと違和感がありました。
まあまあそれなりに楽しめたのかなあ?って、どうなのかなあ?自分自身よくわからない映画でした。
全58件中、41~58件目を表示