Winnyのレビュー・感想・評価
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当たり前の自由…
「緊張感のある現場だった」…出演のひとりである親友からの一言がなかったら、僕はこの映画を観ていなかっただろう。
この作品には、何よりも先に、金子勇氏を始めとする実在する人物に対する敬意と配慮が行き届いている。これは悪人は誰かを追求するのではなく、一人の無垢なるクリエイターが、なぜ、こんな体験をせねばならなかったのかを呈示し、いかにして「無実」を証明し、「当たり前の自由」を取り戻したのかを描くヒューマンドラマである。
映画表現というリアルに挑戦する試みとして、並走する愛媛県警の実直な警官の描写も側面から効いてくる。過剰の説明を避けて、吉岡秀隆演じる警官の目に宿る腐敗への嫌悪と恐れを必要最小限の情報で見せる。
体重を増やすことで役柄に同化したかのような東出昌大と三浦貴大も好演。個人的には、勝訴率の高い弁護士を演じた吹越満の芝居が良かった。
朝日新聞に掲載されたひとつの記事を端緒に、今や当たり前になったオンライン環境の黎明期を現出させた松本優作監督は20代でこれを撮った。日本映画もまだまだ可能性を秘めている。
日本映画の意欲作
近年の実話を基にした作品自体が日本映画では珍しいうえに当事者も実名で登場する意欲作だ。事件の経過もすごく調べられていて、きちんと社会派映画としても機能していて、日本の警察・検察、そして司法の問題点をあぶりだしつつ、人間ドラマとしても完成度が高い。
この作品は、WinnyというP2P技術を用いたソフトを巡る物語ではあるが、技術の妥当性やディテールを細かく描くものではない。それよりも、日本の司法の異様さをあぶりだす裁判映画であり、法廷ドラマとして構成している。一番の見どころは迫真の法廷劇である。特に秋田弁護士による警察の尋問シーンがすごくエキサイティング。人質司法によって捏造された証拠の問題や、メディアを利用した悪質なイメージ作り、有罪率99&の日本の司法のどこがまずいのかをわかりやすくストーリーの中に組み込まれていて見ごたえがある。
この映画を見ると、日本の冤罪を生みだす仕組みが良くわかる。最近も袴田事件の再審が決定したニュースなどがあったが、冤罪を生まれる土壌は、21世紀になっても温存されていて、最新テクノロジーをめぐる事件でも暗躍していたのだ。
実話ゆえの苦い後味と、過ちへの対処について
1990年代からIT系ニュースサイトで英日翻訳に関わっていたので、主に米国や世界全体でのナップスターやビットトレントなどP2P型ファイル共有ソフトの普及や問題についてはある程度把握していた。だが日本の状況については相対的に関心が薄かったため、Winnyを開発した金子勇氏の逮捕や裁判の経緯などはそれなりに報道されたはずだがほとんど記憶になく、本作で初めて知ったことも多くていろいろ考えさせられた。
Winnyは結果的に映画や音楽などの著作物の違法アップロードと違法コピーを招いたのだが、では共有ソフトの開発者を著作権法違反ほう助の罪に問えるかどうかが主な争点であり、本作の大きな要素にもなっている。デジタル技術の進歩に法整備が追いつかないのは日本だけの事情ではないにせよ、才能ある開発者が斬新なソフトウェアやサービスを作った結果、意図せずして法に触れる使い方をされてしまったケースは少なくないだろう。金子氏は天才プログラマーだがいわゆる“専門バカ”で、一般常識が足りない人物として描かれている。もし彼が、2ちゃんねるという場所を介してファイル共有ソフトを公開した場合に著作権侵害に使われる可能性を予見できていれば、長年に及ぶ訴訟に人生の貴重な時間を浪費することなくデジタル革新に貢献できていただろうにと惜しまれる。
サイドストーリーとして描かれるのが、愛媛県警の裏金問題を内部告発した仙波敏郎・元巡査部長の話。本筋のWinny問題との関係性がやや弱いのは難点だが、興味を持ってWikipediaの仙波氏の項を見たら、県警を定年退職後に鹿児島県阿久根市のワンマンな竹原信一市長の専決処分で同市の副市長に就任し、4か月後に市長が失職して市長職務代理者になり、さらに1カ月後には解任されるという、なかなかに波乱万丈な人生を送っている。仙波氏の人生にフォーカスしても一本の映画が撮れそうだ。
最後にもう一点。罪に問われ法廷で裁かれることになった人物を東出昌大が演じることに、「寝ても覚めても」で共演した唐田えりかとの不倫騒動と杏との離婚、仕事の激減に思いを馳せる人も多かろう。東出本人も重ねられることは承知の上で引き受けた役だろうし、共演陣と製作スタッフらも東出を窮状から救いたいという願いをそれぞれの演技や仕事に込めたのではと想像する。それ自体の是非をここで書く気はないが、日本で芸能人同士の不倫騒動が起きると、復帰までの期間や仕事量の戻り具合から推測して、男性に甘く女性に厳しい傾向があるのは確か(川谷絵音とベッキーの件もしかり)。こんなところにも日本社会での男女不平等が表れており、処し方についてもっと議論され、改善されるべきだと常々思っている。
《 出る杭が打たれない社会であるために 》
まだ二十代の長編映画3作目位の松本優作 監督が撮った史実映画。
主要役者他、渡辺いっけい、吉田羊、吉岡秀隆も良かったが、吹越満がとても良くて初めて吹越満を格好いいと思った。
ファイル交換ソフトのWinnyの事件は覚えている。
1、違法利用者が悪いが、開発者も悪いのか?
2、開発者に悪意はあったのか?
3、開発者が逮捕された!
4、開発者に出る判決は?
5、有罪判決が言い渡された!
ここまではリアルタイムでNEWSで見てた。
しかし、それ以降はこの映画で知った。
何故 知らなかったのだろう、多分マスコミがあまり取り上げ無くなったからだろうか?
自分が無関心になったからか?
※当時、著作権違反で映画をWinnyで違法アップされた映画界側が本作を映画化する事にも意味が有る。
※壇俊光 弁護士が裁判シーンを監修したらしい。
※役者が演じながら付けてた眼鏡やカメラは本人が使ってた本物を借りてたらしい。
※主人公の金子勇さんは1970年生まれで茨城大学の工学博士を歴て日本原子力研究所で働いてた天才の方らしい。
※昔、裁判の傍聴を休日に行ってた時期が度々あった。とても良い経験だった(不謹慎だとは思わない)。また行くか、、、と思う。
未来を先取りした技術
東出昌大扮する金子勇は自由に映像や音楽を楽しめるファイル交換ソフトWinny を開発し、ユーザーは200万人を超えた。
昔、噂になってたので懐かしく感じるな。確かに封切り中の映画を自宅で観られたのは驚異だよね。でも逮捕者も出たしアングラソフトなんだろうなとは思うけど、未来を先取りした技術でもあったんだろうね。
興味はあったけど、映画としては警察裏金問題もからんでいたがいまいち面白みに欠けたんじゃないかな。弁護士泣かせの被告だね。ただ金子勇氏が2013年42歳で亡くなってしまったのは極めて残念だね。
あっという間に観てしまった
なんだろ、ほんとに
主人公の「いい人」感と
警察の「やなやつ」感と
そしてこれが実話という恐ろしさとで
とても興味深く観ているうちにあっという間に観終わってしまいました
俳優陣が素晴らしかったのでしょう
いい映画でした
しかし日本もったいないですね…
YouTubeもTwitterもfacebookも
もしかしたら日本人が先に違うものを作っていたかもしれなかったと思うと…
日本で…
こんな映画作れるんだと感心した。Winny確かにそんなことあったなぁと。どちらかと言うとウィルスの方が問題になってた記憶しかない。ソフトやシステムを悪用し、犯罪行為する方が違法であって、あくまでも制作者側は違法ではない。映画を見るまでは半信半疑だったが、警察の裏金情報流出などWinnyによって真実が暴かれる事案を見ると、確かに使用者責任だなと思った。金子氏と弁護団の掛け合いが軽く映り、緊張感が無いと感じる場面もあったのが残念だった。彼の警察に言われるままに誓約書を書いたりする、あまりにも世間知らずの点(←どこまで実話なのだろうか)がまどろっこしい感じもした。二審三審を、特に無罪を勝ち取る過程が見たかった。ラストの本人のインタビューで彼の真の研究意欲がよく分かる。彼の研究時間を裁判で奪ってしまったことが悔やまれる。
歴史的事実を知るためには面白い映画
Winny 開発者の逮捕を巡る裁判に焦点を当てた作品。下手にエンタメを加えるのではなく淡々と開発者とその弁護士に焦点を当てている。
警察側の非道さを描いていたりと、善悪ははっきりしてはいるけど、それほど強烈に描くことはあまりなく、全体を通じて面白く見れた。
警察側がWinnyのあらゆる問題への対応の不手際を全て開発者に背負わせるような卑劣な方法を取ってはいるが、それは日本という社会の縮図でしかない。
日本という社会において、出る杭は打たれるかと如く、必然的な逮捕だったかもしれない。
しかし、開発者の金子さんや弁護士が人生をかけて戦ってくれたおかげで、そうした出る杭は打たれる社会も、少しはマシになっていることを祈るばかりだ。
世間知らずな偉人
うまく出来た作品。
ストーリー展開もテンポ良く、2本の軸で構成されていることで、無罪を勝ち取った金子勇さんを追悼する作りとなっているようだ。
無罪になったシーンは本人映像でチラリとしか出てこなかったところも、それまでの道のりの長さ、大変さを物語っている。
開発されたものが世の中を動かすような、善にも悪にもなり得る怖さを知ると、興味や好奇心だけで場違いな場所に公開してしまったのが、なんとも後悔の念…
何かに極めて優れた偉人は世間の一般常識に関してはあまりに無知…
プログラム、ただそれだけを追い続けた結果なのだろう。
ノンフィクション映画
大学生の頃にWinnyが流行っていたが、このような話があったことは全く知らなかった。
ITエンジニア職に携わる人であれば観て損はないと思う。
ただただ、金子氏のご冥福を祈るばかりである。
警察は何を守ろうとしているのか
金子勇(東出昌大)さんのオタク度、少年のような純粋さに好感を抱きながらも、「なんでそれ署名する?」って思うんですよね、みんな。でも、彼でなくても署名してしまうんですよ。
20年ほど前です。私がある事件の参考人として警察で事情聴取を受け、しゃべった内容を元に、警官が作文しました。「私○○は、目撃した事実を、ここにご報告いたします」から始まるような文章(う~ん、古い記憶なのでちょっとはバイアスがかかっているか、どうかな)。安いドラマっぽいぞ、って思ったのは確かです。下々がお上にものを言わせていただく感全開。と思いつつもその場では、こういうもんなんだと納得するしかない。
でも、問題は事実。違和感ありありなんです。いかにも悪い印象を与えるよう、じょうずにじょうずに書かれている。間違ってはいないのですが、ニュアンスが微妙にずらしてある。
でも、やっぱりこういうもんなんだ、と思っちゃうんです。だから、署名してしまう。
映画の中にあったように、書き写すことはありませんでした。警官が書いたのに「私○○は~」で、私が書いた形式。こういうもんなんだ、世の中知らないことがいろいろあるもんだ、と思うんです。
冤罪などという大問題ではなかったのですが、処罰にどう影響したのか。後味がすっきりしない記憶です。
署名すれば早く帰れるとか、後で訂正できるとか、警官は嘘を言っても罪に問われないって、いったいどういう事なのか。「世のため人のためにお巡りさんになるんだ」っていう純粋さは、どこで豹変するのでしょう。小市民は犯罪者にされないよう、身の守り方を知っておく必要はありそうです。
私が知っている警察官は、いかにもお巡りさん、って感じの人。いい人はきっと多いと思うのですが。
役者陣の演技が良かった、東出さんも!
東出さんや周りの弁護士陣、警察官などの役者陣の演技が素敵でした。
集中して人とのコミュニケーションが難しい、天才プログラマーを演じる、東出さんの演技も良かったと思います。
日本の閉塞感、司法のゆがみ、警察組織の腐敗を描いており、ドキュメンタリーとして内容の濃い映画でした。
金子勇のメッセージ
金子勇はファイル共有ソフトのWinnyを作った罪を着せられてひどい目にあった…ということ以外、私は何も知らなかった。
長きにわたり研究に専念できず、そしてこんなにも早く亡くなっていたことを全く知らなかった。
国家権力を脅かしそうだから?警察や司法がITに疎かったから?それとも誰かの思惑が働いた?
悔しがってばかりはいられない。金子勇が戦い抜いた7年半を無駄にしないために、この作品は新たな光を当ててくれた。実在の人物を扱う際のリスペクト、丁寧さ、慎重さ、そしてエンドロールのメッセージが大変良かった。
既得権益者以外の新規参入者が儲けたり、ただ乗りすることをものすごく嫌う日本社会。それなのに、既得権益者が集団の利益にただ乗りして儲けることにはものすごく甘い。その矛盾を本件と愛媛県警の告発がうまく物語っていた。
東出昌大の法廷シーンが最高だった。
遅すぎた方が良かったのかな
東出昌大は大根役者とばっかり思い込んでいたが、18キロも体重を増やした(らしい)ことと、独特な声色が良いアクセントになってちゃんと機械バカの金子勇さんになっていた。
実際の金子さんの写真をみて「え、似てる…」と驚いた。
弁護士団たちが集まり夜遅くまで知恵を絞り策を練る様はまるでスポコン。働く大人カッケー。働くのは嫌いなのに働く人を見るのは好き。
仲間達のやりとりが温かくて良かった。
吹越満の覇気がすごい。できる弁護士オーラが見えた。
敵だと嫌だが味方だとなんと頼もしいことか。
ほんのちょろっとの吉田羊、満点の泣き演技でばっちり爪痕を残した。天晴れ。
金子勇さんがもし00生まれだったらどんなすごいものを自由に使っていたんだろう…と思うと本当に惜しい。
日本の停滞を招いたかもしれない天才技術者を殺した日本国家
プログラマーの天才
日本のトップ技術者と言っても良い
そんな彼が新しいソフトを開発したことで、不当な扱いを受けて逮捕された
まだまだこの時代はインターネット技術に疑念を抱く人が多く、国家としての警察や裁判官なども理解が乏しかったことが伺える
もしこの技術者がのびのびと開発を続けていたら、今頃アメリカ一強ではなく日本も世界で一矢報いていたかもしれない
そんなことを言っても仕方がないが、少なくともこの事件をきっかけに、これからの日本は新しい技術にすぐ疑念を抱くのではなく、社会に活かせるように取り込んでいける国になってほしい。
この事件朧げに覚えており、
何の気なく鑑賞したわけですが、
この事件、そういえば覚えておりました。
トカゲの
なかなか日本でこういう映画はメジャー作品では作られないのではないのでしょうか。
金子さんのためにも是非たくさんの方に鑑賞してもらいたいと思いました。
普段レヴューなど書かないわたしが投稿したのですから、強くそう思ったのでしょう。
いい役者
当時は大学生だったか、WinMXだけは使ったことがあったと思う。
そんで正直「そんな危ないものなら制作者が捕まるのも無理はないよね」
くらいの認識だった。
本作を見て思うのは、それって印象操作されてたのかもなと。
けっきょく人は自分の見たいものしか見えないし、
誰かから見せられてるものしか見えてないのかも知れない。
なんか空恐ろしくなる感覚だったけど、
東出さんはいい役者だな、なんて思ってしまった。
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