アートのお値段
劇場公開日:2019年8月17日
解説
「マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して」でアカデミー賞にノミネートされたナサニエル・カーン監督が、アートの価格を題材にアート市場の裏側に迫るドキュメンタリー。秋のオークション開催まで6週間と迫ったニューヨークのサザビーズ。アート界周辺がにわかに騒がしくなり、オークショナー、ギャラリスト、評論家、コレクター、そしてアーティスト、それぞれの立場のさまざまな思惑、価値観がせめぎあう。ラリー・プーンズ、ジェフ・クーンズ、ジョージ・コンド、ゲルハルト・リヒターら一流アーティストたちが登場するほか、サザビーズでの実際のオークションの様子などを紹介。「アートの価値」をさまざまな角度から掘り下げていく。
2018年製作/98分/G/アメリカ
原題:The Price of Everything
配給:ユーロスペース
スタッフ・キャスト
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2023年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
アーティスト、バイヤー、コレクターとそれぞれの立場から、想いや葛藤、利害関係をえがきだすドキュメンタリー映画。ストーリー性もあるし、やはり知らなかった世界を覗き見ることができる作品はとてもワクワクする。
ただ「世界の上位1%の超富裕層の資産は、個人資産全体の4割弱をしめる」といわれているが、その現実を描写する場面にはとてもモヤモヤしたものを感じてしまう。
2022年12月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
芸術家気取りの人間は無数に存在するが、成功した人間はごくわずか。
さらに現代は複製技術が飛躍的に進歩し、現代のアーティストに受難の時代である。
キャンバスのしわ一本にいたるまで精巧にコピーできるらしい。
ほとんど見分けがつかないほどのコピーが可能なら、芸術とは一体何なのか。
おもしろい問いかけだった。
2020年6月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
価値が分からないからこそ、篦棒な価格がつけられて倉庫に保管される。保管ができてそのものには具体的な価値がないマネーと似ていると思いました。一部の富裕層のゲームなんですね。カードやポスターを買って満足している身としては、アートってそんなに高尚なものじゃないと思います。
2019年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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原題はThe Price of Everything、すべてのものの値段。
ものの値段は自然発生するわけではなく、すべて人間がつけるもの。
一体どんな要素が絡まり合って、あんなものやこんなものに普通の人間が一生かかっても稼げないような値がつくのか?その答えが知りたくて観てみたけれど。
売る人買う人集める人飾る人作る人、さまざまな立場でアートに関わっている人たちの話を聞いていると、さまざまな角度からアートの世界が今、どう成り立っているのかが見えてくる。
アーティストが作品を発表し、それが大勢から称賛を受ければ高値がつく、という単純なことだけではないわけで。
ひもじい生活を送りながら、己の中に生まれる衝動のままに作品を作り続けるアーティストがきっと大多数だとすれば、認められて大金をつかむアーティストがほんのひと握りいて、更に「売れるもの」を作り続けられるアーティストもひとつまみくらいいて、そのひとつまみの作品を株だとかワインだとか不動産だとかそういうものと同じように投資の対象として扱うコレクターがいて、競売人やギャラリーが彼らに作品を供給する。
綺麗事を言えば、創作活動と経済は絡み合ってほしくは、ない。
だけど冒頭のナレーションが言うように、アートは金銭によって保護される、というのは少なからず事実であり、誰々がいくらで何を落札したとかいう派手なニュースも、アートの世界を活気づける契機にもなり得るのだ。
誰も見向きもしないものは、廃れて無くなるしかないのだから。
長年数多くの作品を収集してきた老コレクターの言葉、
「多くの人が値段を知っていても、その価値を知らないんだ。」
結局、価値ってなんなんだろう?
この人間が付与する極めて流動的なものに対する、正解はないみたいだけど、一歩引いたところから、どちらかというと我々庶民の目線で、そして極めて純粋で公平な態度でもって、この謎な世界を見せてくれたこの映画に感謝。
わたしはこれからも今まで通り、どこかで好きなものを、眺めたり、さわったり、自分なりのやり方で楽しんでいきたいと思う。