鵞鳥湖の夜のレビュー・感想・評価
全71件中、1~20件目を表示
グイ・ルンメイ、アジア映画界きっての演技派美人女優
ディアオ・イーナン監督の前作「薄氷の殺人」でこの長いキャリアの女優を恥ずかしながら初めて知り衝撃を受け、過去の出演作をハシゴしてますます魅了された評者だが、本作でもそのクールな美貌、儚げだがしたたかさも漂わせる存在感を堪能できた。トレードマークの短髪に、少年のように細く小柄な身体は、アジアンノワールのファムファタールにうってつけだ。主演のフー・ゴー(岩井俊二監督の「チィファの手紙」にも短く出演)は大柄な体躯を駆使して活劇を牽引するが、ルンメイが演じる娼婦もW主演と言って差し支えないほど重要で、彼女を軸に話を追うとミステリ要素を一層楽しめる。
「薄氷の殺人」が過去の事件の謎を刑事が追う比較的ストイックな作風だったのと対照的に、本作は(回想場面もあるとはいえ)出来事が現在進行形でダイナミックに展開。仏映画発のスタイリッシュな暗黒映画を継承しつつ、中華らしいケレンを添えて新味を出している。
夜の静寂の中に、鮮烈かつ魅惑的な野性味がほとばしるノワール作品
夜の静寂の中、鮮烈な野性味がほとばしるノワール作品だ。舞台は都市開発から取り残された鵞鳥湖のほとり。片や警察に追われる男がいて、片や「あなたの奥さんの代理で来た」と主張する女がいる。建物の陰で初対面を交わした二人は、これまでの経緯を回想しつつ、この先どうすべきかの決断を迫られる・・・。ストーリーだけみると単純な逃走劇かもしれない。だが、主人公をあえて一人に限定せず、男女それぞれが目線を絡ませあうことで語り口の面白さが増す。
寡黙で胸の内側をほとんど表に出さない彼らには、何を考えているのか分からぬミステリアスな雰囲気が漂い、だからこそ身体を駆使して感情が一気に噴き出す際の凄みは計り知れない。寂れた街並みを照らすネオンや蛍光色も忘れがたい要素。イーナン監督流の魅惑の映像美にすっかり陶酔しきりの我々観客の姿は、怪しい明かりを求めて水辺に群がる登場人物たちの生態とさほど変わらないのかもしれない。
グイルンメイ美人すぎる。
藍色夏恋からちょっと大人になったらこんなにも美人になっていた。物語としては重い。こんな世界で生きていかなくてはならないのかと夜が怖くなった。以上!
退屈…
ネオンの光など特に夜のシーンの映像美や
素早く、結構グロいアクションシーンなどスタイリッシュではあったけど、如何せん台詞も少なく、展開も遅く飽きてしまった。結局妻に夫の報奨金を渡したということ。
バイク窃盗団のリーダー格の男が賞金首となる。 妻に賞金を得させるた...
バイク窃盗団のリーダー格の男が賞金首となる。
妻に賞金を得させるために通報させようと画策する。
話としては悪くないが、ちょっとだらだらと引き延ばしたストーリーが残念。
グイ・ルンメイが美しい
中国では家族に報奨金を残そうとする、この映画のようなことが実際にあるようで、その事実に驚き。もし、そのことが警察に知れたらどうなるのか?
コロナ前の武漢で撮影されたそうだが、水浴嬢なる言葉も初めて聞いた。
映画の内容に、私はハマらなかったが、「薄氷の殺人」を観た時にはあまり感じなかったのだが、今回のグイ・ルンメイがとても綺麗で、ショートカットがとても似合っていて、彼女の印象が強く残った映画。
珍しい中国のギャングもの
オートバイ窃盗集団のボスが誤って警察官を射殺、逃げ出すも徐々に迫られえていく。
水浴嬢と妻がからんでくるが、ボスは妻に通報してもらい、賞金を手に入れてほしいと願った。
湖にやってきた男たちを相手にするのが水浴嬢らしい。
中国の現代ものでギャングを扱うのは珍しい。
自由の国、中国❓❓❓❓❓❓❓
何故か、韓国映画みたいだ、気合の抜けた。
共産党の臭いがしないのだ、わざと?
評判良いですけど、何処が良いのか、皆目わからない。
ひたすら眠い、何をしてるんだか、阿部寛似の男。
女優だけは良いの揃えてるようだ、謎の女と妻。
中国がこんな姿だと喧伝すれば、カンヌも評価するのだろうか。
いい意味で自由の国、悪い意味で無法地帯、ほんとかなーー、眉唾です。
とてもトホホな映画でした、最後まで観れるかな、忍耐力を試される映画。
懸賞金が掛かった逃亡犯と鵞鳥湖に住む水辺の娼婦
ノワール・サスペンスといえども、ストーリーとしては、単純な逃亡劇でそれほど複雑ではなく、推理して考察するような映画ではありません。けれど、何故か、ぐいぐいと引っ張られて見入ってしまう魅力が映像にたっぷり充満している感じ。舞台は中国の場末の貧民層が住むスラム街のようなところなのに、ネオンがかった赤むらさき色が目に飛び込み、光と影のコントラストも印象的で、きれいな映像だなと感じさせるところが何とも・・・。ノワールなんて自分とは無縁のジャンルだと今まで思っていたのですが、最近、そうでもなくなってきたかもしれません。笑
時代は2012年とあるのですが、盆踊りのように『怪僧ラスプーチン』や『ジンギスカン』に合わせて踊る住民たちを見ていると、はるか昔の昭和の時代のような気がして。懐かしさに吸い込まれそうになってしまいそうに。今は見ることのない三輪トラックもあちこちに停めてありました。見終わったあとも、旧き時代のディスコミュージックが耳から離れませんでした。
それにしても、主演のフー・ゴー、かっこ良すぎて強すぎる!! 妻に愛想を尽かされたサイテーな男という設定みたいでしたけど。
若き日の吉田栄作に阿部寛の、あの濃い感じをプラスさせた感じ。バイク窃盗仲間が集まる集会?にしても、一人、すみっこで光っていましたね。他の人たちはチンピラ感たっぷりだったのに。
水辺の娼婦アイアイ、ボーイッシュなんだけど美しかった。始終、おどおどしていて、不安定な感じだったけれど、それもサスペンスタッチのスパイスになっていたのかも。ボートでチョウと二人きりになるシーン。最初は日がまだあったのに、体を合わせたときには夜半か。長い時間、湖上で過ごしたということでしょうか。アイアイは無表情で何を考えているかはわからなかったけれど、ボートに乗っている時はちょっとご機嫌。霧が立ちこめる夜、一時の夢の時間のようにも思えました。ひょっとしたら、一瞬でも、チョウと一緒に南の方へ逃亡できたら、と思ったのかもしれないと、勝手に想像してしまいました。
ところどころ、おかしい(funny)なところも。エルメスのばったもんの派手ぇなシャツ着た刑事とか。あと、チョウが一人で包帯を巻くシーンとかも。それと、中国では晴れて犯人が検挙されたら、記念撮影をするのか??
猫目の仕掛けで金髪の頭が吹っ飛ぶシーンは、わぁぉーと思いましたが、北野武が好きそうな感じですね。
まあまあ最近、中国ドラマ『ロングナイト 沈黙的真相』(wowow放映)を見て、まあまあ面白くて、凄腕刑事役のリャオ・ファンが出ているということで鵞鳥湖を見たのですが、ここでも刑事役。
ラストは女性のしたたかさということなのか。アイアイとチョウの妻はグルだったのか??
それにしても、電車の音でかき消された「会話」。二人が何を語ったのか知りたい。
「どう?ダークでしょ?」って一人相撲する男たちの滑稽
命と引き替えに遺してやる30万元が、女たちにとってはただのラッキーな臨時収入だったという闇。
【前半=男編】
何でしょうね、この映画。
高尚な芸術作品なのか、B級ヤクザ映画なのか、僕は判断に苦しんだんですけれど。
は?パルムドール?
街を支配するチンピラ一派ならさぁ、ジンギスカンダンス踊ってんの、あれみんな警察官だって見破ってほしいですよ(笑)
ギャグかと思うようなこの導入で、お粗末なことこの上もないバイクの窃盗団です。そこに舞い戻って籍を置いているようなチョウ氏に(=イケメンではあるけれど)そもそも魅力が感じられる訳がないんですけど。
街がセット。セットが街。
住民がエキストラ。エキストラが住民。
そこだけはリアルなロケ画面で感心はしました。
すりガラスやテントの幕布にうつる追手の影絵の手法もなかなか。
けれど、
結局この映画は、出所した半グレの男に心寄せる二人の女の物語なのだが、先ず「何ゆえチョウ氏が刑務所でお務めすることになったのか」・・、そこの説明が無い。これは作品の致命的な欠陥ではないでしょうか。
(チョウの出所を、昔の悪い仲間たちも、妻たちも、誰も待っていない。
⇔山田洋次の「幸福の黄色いハンカチ」ならば、男の収監の理由は明かされなくとも待ち続ける家族の爆愛の描写が映画の核となって逸話の感動を最高潮に盛り上げるものを)。
まさか刑期を終えてすぐに再犯しちゃうとかの、よくある残念なパターンかな?
「訳あって牢獄を選んだが、苦労かけた妻に少しでも多額の報奨金を遺すために敢えて警官殺しを積み重ねた」というなら、これは男の末期にもいくらか同情したくなったかも知れないが、「間違って警官を撃ってしまったよォ」と何度も繰り返すチョウ氏って意味不明です。
魅力皆無です。
警官もチンピラ窃盗団もなんだかみんな同じ顔で、観るこちらを混乱させてくれるだけ。
総合評価としては「低」。ストーリーがカオスなのではなく、演出の出鱈目さがカオスなのだ。貧民窟という独特な舞台を選択しながら、正義も悪もまるで描き切れていない、そういう出来損ないでしたね。
⇒映画の出来の悪さを、貧民たちの混沌を言い訳にしちゃダメだと思う。
警官たちの記念撮影とか、最後の捜査官の“舐めるような視線”は、女たちの肉体と、持ち金への欲望感有り有りで、少し面白かったが。
【後半=女編】
夜と雨の場面が多かったけれど、リゾート地「鵞鳥湖」だけが明るい昼間のロケに使われている。
でも、幸薄い女たちには昼も夜もないんですね。覚せい剤が出てこないのは中国公司の指導かもしれません。
エンディングは、それまでの熾烈な抗争や官権の追及、そして旦那の悲しい死などどうでも良かったかのように
札束をしかと抱いて、ガッツリと腕を組み、ずんずんと歩きながら、ふと顔を見合わせて、こらえ切れずにニヤリと笑う女二人のシーンで終わる。
この後半・女編としては
「自分にかかった報奨金を命の代償として妻に残したい」と願った男の「お涙頂戴の愛」など、哀れ どこへやらだ。
あの女たちの薄ら笑いだけが闇に残ります。
結局、女たちにとっては、バイクなんぞに夢中になっている情夫たちの“幼稚で単純な闘い”など、どうでも良かったのですよ。男が死んでも顔色ひとつ変えない女こそ恐ろしい。
男どもは誰ひとり浮かばれず、女たちは笑う。保険金だけが欲しい。
そこが、そこの所だけが、この映画のゾッとするダークな結論だったのではないだろうか。
男の精気を吸い取る、まさしく「白鳥の湖」ならぬ、底無し沼、「鵞鳥の湖」の怪でありました。
女優の多岐川裕美が、離婚して戻ってきた娘華子に言い聞かせたあの言葉
「この世で唯一裏切らないのは女友だちとお金だけよ」
―を、思い出して薄ら寒くなった。
肉うどんにも、ゲップです。
・・・・・・・・・・・・
グイ・ルンメイ
「藍色夏恋」で爽やかさ満点の初恋を見せてくれたグイ・ルンメイちゃん。
あのキュートで清純な高校生が、まさかの水浴女になっているとは、きりん、大ショックでした(笑)
タイトルがいいです、ただそれだけのことなのです
作り物の世界から生身の人間が立ち上がってくる不思議。この世界に辛うじて片足で踏みとどまっているミステリアスな女。間抜けな男たちを糧にして愛と自由を謳歌する。
早く次!の監督になりました。
冒頭、開いた傘の下から現れるバッグ(このあとずっと出てくる)、そしてタバコを取り出し火をつけるシークエンスはこれから映画はじまるわーという感じでテンションあがる!廃ホテルでのシマ分けいざこざのところ、「薄氷の殺人」の美容院シーン同様、暴力の始まりがいきなりすぎて呆気にとられるし、入れ墨や擦過傷がパッパッパと順繰りアップで見せられ肉の生々しさが怖い!
こんな感じのディアオ・イーナンぽい暴力を楽しんでなんだかんだあって、鵞鳥湖に行くともはや辺境すぎてエキゾチズムを堪能。楽しい!白いつばの広い帽子の「水浴嬢」?とかピカピカ光るスニーカーの集合ダンスとか回る箱に入った歌うお姉さんとかマジでこんなのあるの?的な。「薄氷の…」にも途中で珍味みたいにダンススクール出てきたよね。変な映画だなって少し飲み物飲みながらぼーっと観てると、だんだん終盤に向け暴力出てきて、えー!ここでまた傘出るんかい笑、みたいな!
あとやっぱり、前作みたくホッと一息ご飯タイムがあって本当に美味しそうだし良いよね。もちろん最期くらいはね、って感じビンビンだけど。グイ・ルンメイって映画観た後ずーっと脳裏から離れないわー。口ゆすぐとこも良かった。@早稲田松竹
凄すぎる。
どんどんストーリーの内容がズレていって最後にプツリと切られる様な映画です。なんだこりゃ、どうなるんだと思いながらも違和感なくめちゃくちゃになっていきます。
演劇的というか(演劇に詳しくも無いのにこういった物言いをすることをお許しください)観客をしっかりと意識した様なこちらに感情を強く伝えようとする演出だったと感じます。
画面の美しさは言葉にできないほどです。ゴミゴミした路地でさえ魅力的に感じます。俳優たちのビジュアルも含めた演技の素晴らしさも言わずもがなです。
バイオレンスシーンの息を飲む、しかしどこか作り物の様で安心できるグロテスクさがとても良かったです。
同監督の「薄氷の殺人」はちょっぴりモヤモヤした部分があって、本作品...
同監督の「薄氷の殺人」はちょっぴりモヤモヤした部分があって、本作品はどうなんだろうと思ってましたが、こちらはかなりはっきりした描写で、ストーリーも面白かった。
ビニール傘の血とか最高な描写。バイクの首のところのおどろおどろしい音楽や、あの行為の嫌な感じを洗濯機の機械音に被せるところとかの表現は凄く印象的だった。
ルンメイさんも奥さん役のレジーナ・ワンさんも美しかったなぁ。
映像美と猥雑な都市風景が奇妙に入り交じった作品。
中国映画の「第六世代」の一人とされる、ディアオ・イーナン監督の最新作。予告編でも明らかなように、街の雑踏や暗がりを効果的に用いた、典型的なノワール映画の様相をまとっています。同時に、イーナン監督の映像感覚が随所にちりばめられていて、傘やカーテンを透かして見えるシルエットなど、表現手法そのものは決して真新しいものではないけど、やはり脳裏に刻み込まれるような美しさがあります。撮影は誰が担当しているのかなぁ、と思っていたら、ウォン・カーウァイ監督『花様年華』(2000)で撮影監督を務めていたウォン・チーミンが参加しているんですね。納得。
映像美と猥雑な都市風景が入り混じった本作ですが、時間軸が多少前後していることを除けば、物語を追う事はそれほど困難ではありません。犯罪組織からも警察からも追われることになった主人公チョウ(フー・ゴー)と娼婦リウ(グイ・ルンメイ)の奇妙な逃避行、そして誰が密告者なのか読めない展開が物語の牽引力となっています。
パンフレットで町山広美さんが指摘しているように、フー・ゴーは包帯の巻き方もさまになっていて、確かにかっこいいんだけど、いくつかの挙動が怪しすぎて、つい笑ってしまいました。ある場面の、バイクに乗った彼の動きは完全に不審人物のそれでしかない!なんでこんな演技をさせたんだろう…。一方グイ・ルンメイが演じた娼婦について、パンフレットでも「ファム・ファタール」と表現していて、確かに役柄上その要素はあるにはあるのですが、周囲から浮き上がるような衣裳と安物のバッグを纏っていつも小走りで動き回る彼女は、妖艶さというよりも不安感や行き場のなさを全身で表現しています。ちょっと『マジカル・ガール』(2014)のバルバラ・レニーと雰囲気が似てるかも。だからチョウが深みにはまったのかな。
なお本作は、中国南部の架空の都市を舞台にしていると言う事ですが、そのモデルとなっているのは2012年頃の武漢の景観で、実際の撮影も武漢で行われています(ただし本作の舞台となっているのは、都市郊外の未開発地区)。その後コロナウィルス禍の影響で封鎖されることになったこの巨大都市が、果たして封鎖前にどのような様子だったのかを記録しているという点でも、本作はとても重要な意味を持っています。
チャイナノアールと映像美
この世界観は嫌いではない。
しかし中国には共産党独裁体制下での急速な資本主義への移行が様々な闇を抱えているのが想像できる。
しかしトリッキーな固有名詞が多いのも笑える。猫目、猫耳、鵞鳥湖など。極彩色のネオンが映し出すディアオイーナンの世界にどっぷりハマる。Vシネくらいしか日本のヤクザ映画が更新されてないのも、ノアールを欲していたのかも。水浴女なんて実在するのか?
主人公のアイアイ役の女優は河井あんりに似ていますね。
スタイリッシュで美しいノワール
今年はビー・ガン監督の「ロングデイズ・ジャーニー」も鑑賞したが、雰囲気は今作と似ているが個人的にはこの「鵞鳥湖の夜」に軍配を上げたい。
中国の寂れた街がノワールにもってこいな世界観を醸し出していて、画がとにかくカッコいい。夢を映像化したように美しい。
雨の中佇む男
突如現れた謎の美女
明らかになる背景
疾走するバイク
響き渡る銃声
血に染まる透明傘
揺れる煙草の煙
湖の沈黙…
と、魅力的な要素でしかこの映画は構成されていない。
全71件中、1~20件目を表示