劇場公開日 2020年9月25日

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「グイ・ルンメイ、アジア映画界きっての演技派美人女優」鵞鳥湖の夜 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0グイ・ルンメイ、アジア映画界きっての演技派美人女優

2020年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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興奮

萌える

ディアオ・イーナン監督の前作「薄氷の殺人」でこの長いキャリアの女優を恥ずかしながら初めて知り衝撃を受け、過去の出演作をハシゴしてますます魅了された評者だが、本作でもそのクールな美貌、儚げだがしたたかさも漂わせる存在感を堪能できた。トレードマークの短髪に、少年のように細く小柄な身体は、アジアンノワールのファムファタールにうってつけだ。主演のフー・ゴー(岩井俊二監督の「チィファの手紙」にも短く出演)は大柄な体躯を駆使して活劇を牽引するが、ルンメイが演じる娼婦もW主演と言って差し支えないほど重要で、彼女を軸に話を追うとミステリ要素を一層楽しめる。

「薄氷の殺人」が過去の事件の謎を刑事が追う比較的ストイックな作風だったのと対照的に、本作は(回想場面もあるとはいえ)出来事が現在進行形でダイナミックに展開。仏映画発のスタイリッシュな暗黒映画を継承しつつ、中華らしいケレンを添えて新味を出している。

高森 郁哉