劇場公開日 2020年1月10日

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「見えない壁の可視化」パラサイト 半地下の家族 hi02さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5見えない壁の可視化

2020年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

大学受験に失敗し続けているキム・ギウは、
家族と一緒に暮らしており、両親にパラサイトしていた。

両親も定職には就けず、一家は半地下で暮らし、
貧困生活を送っていた。

ある日、ギウの友人が海外留学するため、
留学している間、IT企業の社長令嬢パク・ダヘの家庭教師を
代わって欲しい、と依頼してきた。

ギウは家庭教師となり、
やがてダヘ一家にうまく入り込み、
ダヘの弟の家庭教師をギウの妹に
ダヘの父の運転手をギウの父に
家政婦をギウの母に就かせることに成功した。

ギウ一家が丸ごとダヘ一家にパラサイトし始めた。

パラサイトするまでは成功続きだったが、
パラサイトし始めると、徐々にボロが出てきて・・・。

なぜ、本作品がとても評価されたのか。
貧富の差が現代風に効果的にアレンジされて表現されているからか。

ダヘ一家は建築家が作った高台の家で暮らし、
豪華な家具に囲まれ、
日当たりも素晴らしい。
一方で、ギウ一家は半地下で暮らし、
汚れた家具を使い、
日当たりは悪くて家の中は常に暗い。

見事なコントラストが描かれている。
しかし、それだけではないだろう。

ギウはダヘの一家と関わるうち、ダヘ一家とその友人達が振りまく
優雅さ、世間知らずでいられる特権的な立場、人生に対する余裕さ
などに気付く。

ギウが自分とダヘ一家との間の見えない壁に直面することを通じて、
見えない壁を観客に見せている。

服のにおいが象徴的だが、
単に物質的な貧富の差を見せるにとどまらず、
この見えない壁の可視化の成功こそが、
本作品の魅力だろう。

素晴らしい作品だ。

hi02