罪の声のレビュー・感想・評価
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似顔絵は本物?
佐藤蛾次郎が「キツネ目の男」について尋ねられたとき、「と、寅さん」と言ってほしかった。とにかく有名俳優がいっぱい。その中でも一番の好演だったのは梶芽衣子かなぁ・・・
最初からラジカセ(同じの持ってた)が登場したこの作品。1984年の事件という設定であるため懐かしさも満載。もうちょっと年配の方なら学生運動の様子も懐かしいだろうし、昭和と平成の半世紀という激動の時代の陰となった者たちにもスポットライトを浴びせた感じがする。
グリコ・森永事件をモチーフにしているだけあって、当時のニュースにくぎ付けになったことまで思い出した。子どもの声に撹乱されたり、ワープロの機種(パンライターP45)まで特定できたり、鈴木松美所長の音声研究所がクローズアップされたり、といった様々な報道が思い出されるのです。あぁ、懐かしい。
新聞記者の阿久津による独自の調査。人から人へと繋がっていく地道なものなんですが、当時の警察にできなかったこと、しかも35年も経ってるのに無茶やろ・・・とは思いながら、徐々に関係者の人数が増えていくにつれ、写真も古かったし名前を覚えきれなくなりました!重要なのは、元警察官の生島一家と殺害したヤクザ。そしてテーラー曽根の伯父にあたる達雄だ。
やっぱりこの長尺はきつかった。総一郎の激白、保険証がないこと、俊也に「あなたはどうでしたか?」と尋ねるところ。泣けた・・・どんな過酷な人生なんだ。姉の望は死んでしまい、この先生きる希望といえば母に会うことだけ。対する俊也が妻子もある、まだマシな人生を送っていたことに戸惑いを見せる星野源も良かった。
もう一つの個人的泣きどころは梶芽衣子の告白シーン。冤罪事件で死に至った父親の復讐の意味を込めて学生運動に参加。一旦は幸せな人生を選ぶものの夫の兄が達雄だったことで、犯罪に加担してしまう。そして俊也録音したのは・・・
子供の未来のことなど考えてもみなかった当時の状況。生島にいたっては、全ては金のためだった。望が翻訳家になる夢を抱いていたところも映画ファンとしては嬉しい限りで、大切そうに持っていた「スクリーン」誌が光っていた。
もう一回
TBSのドラマ演出家のツートップ、土井監督による演出(もう一人のトップは半沢直樹の福澤氏)、脚本は今をときめく野木亜紀子氏。これは見ないわけにはいかない、と公開初日に鑑賞。
流石である。抑え目の演出が生み出すリアリティ、喫茶店のガヤや廃棄場の騒音、飛行機の音まで抜かりなく丁寧。
俳優陣の芝居は今更どうこう言うまでもなく素晴らしい。
鴨川沿いのテーラーなどロケーションの風情も最高。
と高く評価しつつ、以下あくまで個人的な感想を書いてみたい。
正直お話の細かいところまで一度の鑑賞で把握できたかと言うと自信がない。結末を知ったうえでもう一度見ないと私はこの作品を見たと言えない気がした。恥ずかしながら私には人物関係など少々難解であった。株価がどうこうという不得意分野が語られたせいもあったかもしれない。
ただ、おそらくそれにもまして、感情移入しづらい部分、それは自分が未体験の感覚が作中にあるからだろう。
まず、警察、社会に対する反抗心、革命、学生運動に燃えた当時の学生の熱い気持ちが理解できていないのだ。
最後の最後、この気持ち、想いが重要な鍵を握るのだが、そこに共感する自分の体験がない以上、どうしても感情移入できたと言い難い。
また、自分の声が犯罪に使われたことに対する罪悪感である。それはもちろんあるに決まってる。だが、この子たちは何も知らず自らの声を利用された、いわば被害者である。
この子たちに罪はない。調べればそんなことはすぐにわかる。堂々と生きていい。そこに苦悩する星野源に100%の感情移入が私には出来なかった。ましてやこの事件、死者がおらず、金銭的な物が奪われなかった事件である。誘拐された社長には同情するし、振り回された警察もお気の毒であるが。
そこからお話がスタートする以上、全てを受け入れることが私には出来なかった。(ちなみにもう一方の姉弟の運命の理不尽さには激しく同情する)
あなたの感性がおかしい、不勉強だ、理解不足、そういった批判は甘んじて受け入れます。確かにそうかもしれないです。
でも、これが偽らざる今の感想です。
私はグリコ森永事件の時子どもであった。
お菓子を欲しがる立場であった。
星野源と同じ歳の頃だ。
ある日突然スーパーのキャラメルが包装されたこと。
キツネ目の男の似顔絵が子供心に怖かったこと。
なぜ犯人が捕まらないのか不思議だったこと。
もう少し勉強して、気合い入れてもう一回みます。
子どもの未来を奪うことへの作り手の怒りが伝わってきます
・自分が感銘を受けた原作のどの部分をどう掬い取りどう表現したのか。
・個人的に極めて重要だと思っている、弱い立場の子ども達への眼差しはどうか。
この二点で唸らされた作品は、私の場合、無条件に満点です。
原作は文庫で500ページを超える緻密な構成の作品です。真相は本当にこうだったかもしれない、と思わせる筋立てで圧倒された記憶があります。
映画という時間的制約のある中で、最大限に原作の厚みや深味を映像化していたように感じました。
さすがにやや急ぎ足の感はあるものの、破綻をきたさずに新聞記者の取材と真相を知りたいテイラーの二元中継で、糸を手繰り寄せていく展開。
自分の知らない新聞社という世界の雰囲気や、ちょっとしたロードムービー風の交流の中で信頼関係が深まる様は、確かに人間の付き合いってこういうこともあるよな、と感じさせる説得力。
生島の娘と息子に関しては、原作より感情移入を強めるドラマ性が付加されていたようですが、過剰な感じはなく、子どもを親の自己都合優先の事情(それは決して犯罪とは限らない)に巻き込むことは子どもの未来を奪う可能性がある、ということがストレートに伝わってきました。
2000年に制定された『児童虐待の防止等に関する法律』では、児童虐待の定義が下記の4種類に分けられています。
①身体的虐待
②性的虐待
③ネグレクト(保護の怠慢・拒否)
④心理的虐待
子どもを犯罪に巻き込むのは、結果的に①や④に繋がるわけで、紛れもなく児童虐待だと思います。
【リアルで怖い夢を見たので、忘れないうちに追記】
2020.10.31
それはこの記事が現実に報道されていて、聡一郎さんや、匿名の洋服店店主S氏が、ネット上で攻撃されていること。
曰く、
・聡一郎さんの悲惨な人生については、「バチが当たっただけじゃね?」
・Sって、○○町の△△という店らしい。
犯罪で儲けた金で作った店なんだろ❗️
などと、なんの根拠もなく決め付けて、他人まで煽るような攻撃に晒されていました。
本当に怖くて目が覚めました。
夢とは関係ないのですが、もうひとつ。
事件や事故、災害などに巻き込まれて助かった方が、亡くなった方や、自分より不幸な状況にある人を知った時に、
自分だけおめおめと生きていていいんだろうか。
みたいな罪悪感を抱くことがありますが(最近では『ホテル・ムンバイ』でも感じました)、キリスト教圏なら、告解室で懺悔したりそれなりに救われそうですが、日本だとなかなかその方面のケアが難しいように感じます。そんな時に『星の子』のような新興宗教に走ってしまうのは、また別の話ですが。
予告が1番面白いパターンのやつやん
原作未読です
邦画にしてはなかなか長尺で、集中してみないと置いていかれそうにもなる
が、飽きることはなかったし、意外とあっという間の140分だった
ただ、実際にあった事件を元にしているといっても、フィクションはフィクション
もっと泣けるストーリーを正直期待していた(ある意味予告のミスリードか…)
良作であることは間違いないが
聡一郎役の子役の男の子がインディアンスの田渕さんにそっくりすぎて話が入ってこなかったことは内緒です
緊張感の途切れない秀作
原作は未読である。忘れ難いグリコ森永事件をベースに、その犯人像を想像して話を展開させる手腕には感服した。非常に良くできた話であり、脅迫で持って来させた金の受け渡しに失敗しても、実は他にも金を手に入れる方法があったという点は、見ていて目から鱗だった。いかにも有りがちな話だと思った。犯人たちの目的と動機がバラバラだったというのも頷けるし、金以外の目的で参加した者たちの薄っぺらな正義感と復讐心には心底から憤りを覚えた。50 年以上前の学生運動で革命とかほざいていた連中の思慮の足りなさ、独善性を痛烈に指摘した描き方が痛快であった。
テキストの読み上げ機能など遠い未来の話だった当時、話者特定を困難にすべく、脅迫文の読み上げに3人の子供を使った犯人グループとその協力者は、その子らが後でどんな不幸を引きずるのか、全く理解も想像もしていなかった。その想像力の欠如、我が子を不幸にしてまで、社会に一矢報いたいと語る身の程知らずの行動には、非常に腹が立った。3人のうち、最年少の1人を除き、あまりに悲惨なその後の話は目を覆うばかりであり、胸が痛み、深い同情を禁じ得なかった。
上映中、途切れることのない緊張感は、子役を含む俳優陣の好演の賜物であろう。小栗旬は、原色好きの変な映画監督の太宰役で見て以来だったが、力みのない演技が別人のようで、いかにあの女監督が異常な演技を強いていたかがよく分かった。成人後の聡一郎役の俳優は、特に印象的で、悲嘆に暮れる際の血管を浮き立たせた演技の迫力には度肝を抜かれた。望役の原菜乃華さんの美しさは、物語の痛切さをいや増していた。あと、聡一郎の子役のほうが星野源に似ていたので、やや混乱した。
佐藤直紀の音楽は、登場人物たちの不幸に想いを寄せて寄り添っているようで、非常に好感が持てた。演出は非常に見事で、根っから根性の腐り切った悪人から、インテリを気取っているくせに他人の人生にまで考えが及ばない無自覚な悪人まで、良く描き分けてあった。事実が次々に明らかになる度にカタルシスが落ちる想いをし、それが連打で来るので、大変に見応えがあった。
(映像5+脚本5+役者4+音楽5+演出5)×4= 96 点。
大作ではあるがやや物足りない
予告編を見た時は殺人事件を捜査する刑事物のミステリーなのかなと思って期待していたのですが実際はグリコ森永事件をベースとした物語だったのでちょっと肩透かしを食らいました。
結局半分実話、半分フィクションな訳ですからなんか中途半端さを感じてしまいました。
もちろん本作品はかなりの大作ではあるのですが、怖さ、悲しさ、せつなさみたいなものが少し物足りないと感じました。
また、登場人物が多くて全体的に少し間延びしている感がありました。
違和感も多少ありまして、そんなに小さな頃ではないはずなのにいつ誰のお願いで録音したのか覚えていないというのはちょっと変かなと感じました。
グリコ・森永事件を知らない世代の方のほうがむしろ楽しめる映画なのかもしれませんね。
途中でアイコムのIC-232というアマチュア無線機が出てくるシーンがあったのですが、私も大昔に同じ無線機を使っていたのでめっちゃ懐かしかったです。
最後に小栗旬が若い時の原辰徳に似ているのが気になってあまり映画に集中できませんでした。
さすがの野木亜紀子脚本!
滋賀県草津市のイオンシネマ草津にて、公開初日の初回上映を鑑賞。
かつて日本中を震撼させ迷宮入りしてしまったグリコ・森永事件をモチーフにした塩田武士氏のミステリー小説を小栗旬さんと星野源さんのダブル主演により映画化。
あたかも「たぶんそうだったんじゃないか劇場」的なリアリティーをもって、この未解決事件の真犯人像と事件の真相に迫るミステリー。
物語としては、小栗旬さん演じる35年前に時効を迎えていた劇場型犯罪の真相を追う主人公の新聞記者・阿久津と、幼少期にこの事件の脅迫テープに自分の声が使われていたことを知ってしまう、星野源さん扮する、京都在住のテーラー店主・曽根俊也を軸に、35年も前に迷宮入りした事件を掘り起こして一体どんな意味があるのかと自問自答しながらも、知らぬ間に犯罪に加担させられ、ある意味、被害者でもある「声」の主たちを巻き込んで事件の真相を巡る謎解きを行っていくというヒューマンミステリー的なお話し。
あいにくとベストセラー小説の原作は未読でしたが、私自身も、グリコ・森永事件については、京都府という、あの事件の顛末に関わる地域に住んでいる土地柄から、事件の当時はすごく怖かった印象が残っていますが、一体どの様に、この事件を料理されるのか楽しみにしていましたが、さすがに野木亜紀子さんによる脚本担当の作品だけあって、見事なバディムービーとして昇華させてくれていました。
あくまでも原作者の憶測によるフィクションであるのは分かりながらも、とても重厚なストーリーに、長尺な事もつい忘れてしまうほどお話しに引き込まれてしまいました。
お話しの展開や内容が内容だけに、「グリコ・森永事件」の真相とは謳えなかったのも理解出来ましたが、劇中の事件の犯行グループの行動のあらましはあの事件そのままでしたので、未だにあの事件をよく覚えている私からすれば、よく些細についてまでも調べ上げてあって、スリル溢れる内容にもなっていて面白かったです。
小栗旬さんの自然体な演技や、星野源さんもさすがにミュージシャンだけあって音感に鋭いのか、京都弁を上手く駆使してられて素晴らしかったです。
また端役に至るまで、中高年代の昔ながらのオールド映画ファンには懐かしく嬉しい豪華キャストだったのも堪らなかったですね。
私的な評価としましては、
現実のグリコ・森永事件を知らなかった世代でも楽しめるミステリー映画になっていたことでしょうし、 勿論、あの事件を鮮明に覚えている世代にとっても楽しめる作りの映画になっていましたので、文句なしの満点評価も相応しい作品かと思いました次第です。
この国の大人たちは未来を信じている
観終わった後に不思議とそんな感想を抱いた。
子供が出てくる作品を続けて観たからかもしれない。
信じている、というより、祈っているという言葉が近いかもしれない。
入れ替わり立ち替わり様々な人物が登場するが混乱することもなく、いつのまにか没入させられていた。
パズルのピースが次々にハマっていきダレもない。
最後までハラハラしながらのめり込んだ。
たったワンシーンで登場人物の背景を伝えてみせる説得力のある演技も多く、時にはほっと一息つかせるような緩急もあり、飽きずに楽しめた。
子供たちの未来を祈る大人がいる、だからきっと、まだ、大丈夫。
そんな、希望を感じさせてくれる映画でした。
過去の欠片を丁寧に紡いで辿り着く答え
実際の歴史的事件を下地に、あくまでフィクションとして描かれた本作ですが、造りが非常に丁寧で細部まで矛盾がなく、且つ、大袈裟になり過ぎない物語になっているため、これが真実ですと言われても信じてしまいそうなくらいです。
ミステリー的要素よりも、時効を迎えたとはいえ日本中を巻き込んだ事件の真実が明らかになるにつれて変わっていく登場人物の心理描写に重きをおいて描かれていました。
真実を知らない方が幸せだった人もいれば、知ったことで少しは傷が癒えた人もいて。動機を聞くと「そんなことで」と思うけど、それは時間が経った今だから、当事者じゃないから感じることで。
令和の時代に見るとなお、昭和という時代の異常性が際立ちます。
でもラストは、哀しみや虚しさの中に少しの希望を感じることができ救われました。
動乱の70年代を過ぎて、どう生きて来たのか(狂った化石)
え。闘争?逃走じゃん。ってなりましたけど。何はともあれ年一候補でした。
製作陣営に名を連ねる面子で、この内容ってのはかなりの驚き。団塊世代の「闘争」を否定はしてませんが、変わらない姿を「化石」なんて呼びます。1984年のままだ?いえいえ、1970年のままでしょ。ってのは置いといて。
製作費をたっぷり使いました感が良いです。やっつけ感が全く無くて迫真。画も丁寧。役者さんはですね。星野源が気にならないならば、ちょい役の脇役さんまで、全く手抜き無しで、邦画ファンなら「豪華」と言う言葉を使いたくなるであろうくらいに贅沢です。ストーリーも好きな類い。堪能してしまいました!
全ての始まりは、生島の警察と社会に対する復讐心。生島の誘いに曽根達雄の「正義心」は奮い立ち、株の空売りで金を得ようと計画を練る。それは「金持ちから金を巻き上げる」事にはならないし、何より誘拐監禁も、脅迫も、毒入り菓子も、卑劣極まり無い。35年間、それは正義だったと思っていたなんて。まさに化石だよ。しかも狂ってます。
自分は正しい。正義は我にある。だから何をやっても許される。的な。大嫌いですわ、この手合いが。
少年時代。目の前で事故で姉を亡くし、それは自分のせいだと自分を責め続け。母親を一人残して逃げたと自分を責め続けたソウイチロウ。この母と息子の再会シーンが染みますだよ。ソウイチロウのヘビーな人生には胸が詰まりますだよ。
亜久津さんを見ていて思います。新聞社に、彼の様な矜持や良心を持った記者が、どれだけ居るんだろうか?
俊哉の父、光雄はテーラーとしての道を誠実に歩み続けた。その兄は活動家として奮い立ち、罪の無い人々を巻き込んで犠牲にして来た事を、正義だったと言い放つ。
生き方の話だよなぁ、この兄弟の対比。前を向いて、足元を見て、自分の足で立っている。そんな生き方をした光雄と、している俊哉。と、英士が素敵に見える映画でした。
望には生きてて欲しかった。
良かった。とっても。
真実を追う意味
昭和に発生した大企業への脅迫事件。テーラーの俊也は事件に使われた音声が幼少期の自分の声であることを知り…。
グリコ・森永事件をモチーフとした作品。関係者の証言をたどり事件の様相に迫っていく作品で、D・フィンチャーのゾディアックの様な作品が好きな人にオススメです。
フィクションだがノンフィクションのような作り方
未解決のグリコ森永事件を題材にした塩田武士のフィクション作品。
子供の声で身代金の運び先を指示され、警察が追ったが犯人逮捕出来ず時効を迎えた。その声のカセットテープを自分の家で見つけた星野源が自分だと分かったところから物語は始まっていく。
本当にノンフィクションかと思うほどの説得力あるストーリーだった。
土井監督はもちろん、脚本が逃げ恥の野木亜紀子だったのも良かったのだろう。
テイラーの星野源、新聞記者の小栗旬、上司の古舘寛治、伯父の宇崎竜童、・・・出演者、みんな素晴らしかった。
エンディング曲のUru「振り子」もこの作品にマッチして良かった。
ホントに素晴らしい作品でした。
流転
ストーリーの骨子が、ミステリーというよりは、声 Voice をめぐる人生の後悔に焦点があたり、より悲しさが際立つ構成で。
新聞記者さんとテーラー屋さんの話しが中心なんだけれど、間違いを犯しそれを是正出来ないまま、他者にその傷を背負わせることになってしまうという人生の哀切に焦点が絞られている。
流転の人生に、幸あらんことを!
中途半端はいけないよ
ヨークの撮影が素晴らしかった。映画を見るのはああいうシーンが見られるところだね。
もう一ついいのは、エンデイングに流れるUruさんの歌!
前半はイマイチだなぁ・・・
小栗旬が「何のために報道するのか?」みたいなところに行き始めた頃から、引き込まれていくかな・・・
学生運動闘争とか、一つ一つが物足りなくて、中途半端、事件の動機の背景を網羅したにすぎない感じがした。
まあ、星野源、小栗旬を見たい方の映画だと言っていいかな。
予告動画ではもっと緊迫感があると思ったのだけれど、少々肩透かし感が残った、残念。
もう少し言えば、大道具や小道具、美術の統一感にかけていた(私個人の感想)。
映画の楽しみはセットにもあるからね。堤幸彦監督の映画みたいな、ああいう絵は見応えがある。
脇役もいい
この事件については鮮明に覚えています。色々な解釈があって良いと思います。犯人は捕まって居ないのだから…。
タイトルを見ると、声が犯罪の加担をしていると読み取れますが、私はあえて、罪つくりな声って思いました。
この映画は、少ししか写らない脇役の方も、重要な証言をもっているので、見逃してはいけないと思います。
この事件を知らない若い人達も、昔の事件を調べてから観ると面白さが倍増しますよ。
観てから調べるか、調べてから観るか
声
あの事件は私が幼かったので、うる覚えだが記憶はある。
見応えのある作品でした。
素敵な役者さん揃いでした。
ソウイチロウが放った言葉『曽根さんはどんな辛い人生だったんですか』と
曽根は言えるわけがない。
幸せな人生だったなんて…。
余談にはなりますが、ソウイチロウの幼い頃の写真が星野源さんに似てるなぁと思ったのは私だけでしょうか。
今日もまた素敵な作品に出会えて感謝致します。
【”無垢な声を化石のような理念実現のために使うな!”「グリコ・森永事件」をモチーフに、国家権力への反発思想を持つ人々と烏合の衆に人生を狂わされた人々の姿を描いた物語。重厚で見応えある作品である。】
■印象的なシーン
1.自分の幼き時の声が、30年前の恐喝事件で使用されていたと分かった時の、曽根俊也(星野源)の驚愕した表情。ネットで再現する声と自宅のラジカセで亡き父の保管箱から出てきたカセットテープの声を聴き比べる姿。
- そして、再後半、その声を録音した人物が誰であったかが判明するシーン。国家権力に対する怒りに駆られたとは言え・・。-
2.且つては社会部記者として奮闘していたが、ある日虚しさを感じ、今は文化部記者として日々を過ごす男、阿久津(小栗旬:今作の演技は、良かった・・と思う。虚しさを感じながら漠然と生きてきた姿から、徐々に”且つての情熱ある記者魂を持った自分の姿”を取り戻していく過程を、絶妙に演じている。)が、30年前の未解決事件に再び向き合って行く姿。そして、全く違うアプローチから”偶然”出会った俊也と阿久津。
3.俊也と阿久津が且つての未解決事件の真相に徐々に迫っていく過程の描き方が、とても良い。数々の関係者への粘りあるアプローチにより、徐々に言質を捕らえ、真実に迫っていく過程がスリリングであり、グイグイと物語に引き込まれていく・・。
4.俊也以外に、恐喝事件で声を使われていた二人の女の子と男の子のその後の苛烈な人生は観ていて、キツイ。愚かしき父親のために”声を勝手に使われ”、自身の人生が崩壊していく過程。
俊也はオーダーメイドテーラーとして父の跡を継ぎ、幸せな家庭を持つ一方、生島望と生島聡一郎姉弟と母親がたどった過酷な人生は、正に紙一重である。
父親がキチンとした人物であったか、なかったかの違いである。
ー 家庭を持つ男は、”愛すべき人達をしっかりと守らなければいけない”という、至極当たり前のことを、改めて実感する。ー
5.阿久津が英国に、俊也の叔父である曽根達雄を探しに行く際に会った英国の大学教授の女性が最初は、阿久津の問い”30年前、親しくしていた中国人の現在の居所を知りませんか?”に対して、素っ気なく”中国人何て、知らないわ・・”と答える前半のシーンと、後半阿久津が再び”真の犯人を引きずり出す・・”と言い残して英国に飛び、彼の女性に再び”親しくしていた”日本人”の現在の居所を知りませんか?と、問うシーン。
それに対する、彼女の答え”彼は、”fossil"だから・・”
ー このシーンは、今作の胆の一つのシーンであろう。
阿久津の取材の仕方の変化(それは、彼自身の変化でもある)と、
英国の大学教授の女性が、且つての恋人である曽根達雄を、”fossil"だから・・と答える事で、達雄の”30年経っても変わらぬ思想”を否定していることが分かるからである・・。
そして、その考えは”今作品の根底”にもなっている。ー
6.阿久津が漸く、イギリスの田舎町で本屋を営む、曽根達雄と会うシーン。達雄の且つての理想、理念を捨てきれない姿と、そのために多くの人が悲劇に見舞われた矛盾を指摘する阿久津。絶句する達雄の姿・・。
ー 余りにも大きい、若き日の理想、理念を貫いた代償・・。-
7.職を失い、自死しようとしていた生島聡一郎(宇野祥平:このような役が絶妙に会う・・。失礼ながら頭髪の薄さ、やせ細った身体・・)の携帯電話に俊也から、電話が入るシーン。
一度は切り、命を絶とうとするが、俊也の言葉 ”僕も声を使われた・・”を聞いて。
ー 映像で見ると、リアルである・・。このシーンもこの作品の胆の一つであろう。生島聡一郎が世間に真実を話し、長き間生き別れていた母と再会出来たのだから・・。そして、記者会見に臨む聡一郎が着たスーツは・・。-
8.真実が明らかになった後、阿久津が俊也の店を訪ね、にこやかな表情で頼んだ事・・。嬉しそうに応える俊也の言葉・・。
ー 二人が徐々に再生していくだろう事を、暗示しているシーンである。-
<重厚で、見応え充分なヒューマン・ミステリー&サスペンス作品。
実際に有った、彼の有名な事件をモチーフに、土井裕泰監督が見事な手腕で、30年を超える人間ドラマを見応えある映像作品として仕立て上げた作品。>
■蛇足
・コロナ禍により、ハリウッド大作が次々に公開延期になる中で、邦画の良作(含むアニメーション映画)が続々と公開される僥倖感に浸る日々である・・。
原作以上
原作はイマイチだったが、映画は良かった。原作は事件に、映画は人物に重点を置いている
原作の出来事の順番の入れ替えや、場面のメリハリのつけ方が良く小説より話が分かりやすい。
事件を追う動機も映画の方が納得出来る。小説よりも2人でいる時間が長いので、2人のバディものといえる
小説同様アラも目立つ
都合よくヒントを得られすぎ
昔の事をはっきり覚えていすぎ
テープの隠し場所がすぐ見つかりそう
素人が探して犯人が分かったのに、今まで真相が解明出来なかったのか
これらの点も、事件よりも人々に視点を当てたと思えば、作品として成り立っていた
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