罪の声のレビュー・感想・評価
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よもや!よもや!だ!❓❓
過去の事件を過去だけのものとしない映画
あれだけ情報量の多い原作を140分の映画として脚本にまとめる野木さんの素晴らしさと、それを映像として生きたものにする土井監督、役者の方々がとても素晴らしかった。
過去の未解決事件をモチーフとしているフィクションの原作だが、まるでその結末が実際のものではないかと思うリアリティは映画でも伝わってきた。
この映画、原作の素晴らしいところは、今日もどこかで事件はおきていて、被害者と加害者がいる。
そして、その周りには家族や恋人、友人と関わる人々がいて、悲しみや苦しみは被害者と加害者だけのものではなく、今という時間だけのものでもない。
悲しみを背負い、未来を生きる人がいる事を私達はどう受け止めるかを考えさせられる。
もし、自分の幼い頃の声が事件に使われていたら、
もし、自分の家族だったらと考えたら中盤から終盤にかけては胸が苦しくて度々、涙が溢れた。
紛れもなく、過去の話で終わらせない素晴らしい今の映画だった。
役者の方々の顔をうかべながら、また原作を読もうと思う。
(ノД`)大人達のたかぶり、、、。
予告でもわかるようにグリコ森永事件を題材した知らぬ間に事件に巻き込まれた子供達の話です。脅迫文の録音を知らぬ間にしてしまい大人になった青年がひょんな事から事件の全容を知ることとなる。3つの脅迫文と3人の子供たち、姉弟は不遇の人生、、、姉は死亡、弟は流浪の人生、主人公は大人になって初めてその事件を知り真相に近づいていく。
最初から主人公の叔父が犯人である事が完全に分かり、全然おもしろくないんじゃないの?と思っていましたが、そこからの事件の全容解明に完全引き込まれます。こうゆう映画ってよくよく考えると辻褄が合わないんじゃないのという事があるんですが、主人公の星野源と新聞記者の小栗旬がこの事件でつながるまでが自然で、この事件の全貌も納得いく流れです。緻密な脚本です。そして意外な人物が事件に絡んでいる事に気づき、、、、。
面白い、ホントに見入ってしまった。星野源ともう1人生き残っている子供が間一髪で出会う事ができ本当に良かったと思う。不遇の人生には涙、死んでしまった姉に涙。
原因は大人たちのたかぶり、、、、つまらない罪によって関係ない人間が生き地獄を味わう事は許せん事でありましょう。しかしながらこの大人たちのたかぶり、、、わからない訳でもない。違う見方をするのなら不遇の人生を送った姉弟達の自力はいかがだったのだろうか?運はどんなもんだったのだろうか?
現に自殺しようとしていた弟は主人公と出会って命を繋いだ。土壇場で神に救われたのだ。
私は個人の自力と運を信じたい。
サスペンス・ミステリー的要素は少なめ
小栗旬の記者役はハマってましたね。
星野源のテーラー店主役も似合っていました。
素晴らしいキャスティングと演技に大満足。
周りを固める役者さんも火野正平、橋本じゅん、正司照枝など良かったです。
ただ映画は無駄な場面も多く、サスペンス要素を含みつつもココ一番の盛り上がりという箇所もなく、どんでん返しがあるわけでもなくといった感じでした。
何を期待して観に行ったかによって感想が大幅に変わるかもしれません。
私はサスペンス・ミステリーを期待していたので、ハズレっぽい。
長すぎる時間を2時間以内にまとめることで、もっと良い映画になった気がします。
それにしても「割烹しの」の板長さん、すぐに喋っちゃいますね(笑)
キャスティングに☆を追加しておきます。
声の重み
心変わり?
1984~5年に起きたグリコ森永事件をモチーフにした「ギン萬事件」という事件で、脅迫テープに声を使用された子供たちのその後の苦悩を描いた話。
亡き父親からテーラーを継いだ30代の男が探し物をしていると天袋にあった伯父の荷物から自分の幼い頃の声が入ったテープと事件に纏わることが記された手帳を発見し巻き起こっていくストーリー。
事件との関わりを知り、苦悩し、関係者を追って事件の詳細や真実を知ろうとする姿や、記者とのやりとり、そしてみえてくる真相は見応えがありとても面白かった。
しかしながら、主人公の苦悩はどこ行った?
何も救いの描写なかったのになんでそんなにすっきりしてるの?
他の2人と比べたらまし、程度の言いきかせしかなくないですか?
その家族も大人しくしてたら…とか、ちょっと都合良いし。
終盤の説明パートもちょっとムリがあったり説得力に欠けたり、ミステリーとしてはイマイチだったかな。
うーん、丁寧に作られてはいるが共感できない。
事件の背景にある学生運動の挫折なんて、世代が違っているので共感できないです。
あるべき記者の姿に悩む小栗旬にも共感できないです。
アラ還以上の方又は両主演のファンの方なら共感できるのかな・・
人間関係を新聞記者に次々暴露するおしゃべりさんが多いのは、ちょっとご都合主義ぽいですね。普通、初対面の人には簡単には喋りませんよ。まあ、それを言ってしまえば身も蓋もないのですが。
話の構成は整理されていて、登場人物が多い割に理解はしやすかった。
演出がTBSテレビの土井さんということで納得。
一方、グリコ・森永事件の企業名だけ変更して、その他の周知の事実をそのまま使っているのでどうしても違和感が残る。
ついでに言えば、海外逃亡中は時効進行が停止されます。ネタバレになるのであまり詳しく書けませんが、後日譚についてはちょっと描写が甘いような気がします。
(原作既読)力作。35年前に遡る話なので、証言者や事件関係者として実に懐かしい面々が出てくるのが嬉しい。映画として小説とは独立した面白さを持ち得た映画化の成功例だろう。
①原作は、「グリコ森永事件の真相はこうだったのではないか」という作者の推理を小説にしたものなので、面白くはあるが文学としての深みが有るわけではない。その映画化だからまたぞろ原作をなぞっただけの映画だろうとたかをくくっていたら、予想を上回る骨太の力作に仕上がっていた。②演出が最初から最後まで殆んどぶれずに一貫したリズムと骨太感で進むのに先ず感心した。土井裕康ってこんな達者な演出家だったっけ。勿論、ここまで刈り込んでも話の骨格は外さなかった脚色の巧みさや編集の上手さもあるだろうけれども。③小栗旬は、原作通りの好人物である阿久津を見事に具現化。原作ではあまり感じなかった記者としての成長も表現していて、良い役者になったなぁ、と感心した。星野源も実直なテーラーを好演。二人の関西弁も関西人である私にも違和感がなかった。④他の出演者もおしなべて好助演。原作の70年代の学生闘争とグリコ森永事件とを結びつけた発想も面白いけれども、その言わば中心人物とその協力者との晩年を、「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」で70年代にロックンローラー(昔のロックンロールは反体制の音楽だったんだけどね)として活躍した宇崎竜童と、「女囚さそり」で70年代初期に一世を風靡した梶芽衣子とに演じさせたのも粋なキャスティング。そしてなつかしや桜木健一が警察の柔道部の監督(?)として登場したときは「柔道一直線」をリアルタイムで観ていたオールドファンといては飛び上がる程驚いた。⑤上記の二人がそれぞれ京都とヨークとで真相を告白する場面を平行して描いたのは映画の作劇としては上手いと思った。ただある意味この映画のクライマックスとも言えるこれらのシーンが映画の他の部分と同じペースで演出されているので、皮肉なことにこの作品で最も最も喰い足りない。④映画は、所謂大人たちの欲望(金銭欲・権力欲・虚栄心・弱いもの虐め等)の犠牲になっただけでなく、反体制・反権力闘争に陶酔した若き日々(の自分)からぬけだせないでいる者たちの歪んだ主義・主張の犠牲にも子供たちがなったことを原作以上に丹念に描くことで、子供はいつの時代も大人の犠牲になるという構図を令和と昭和とを結ぶタイムレスな問題として全面にだすことで、この映画の現代性を強調する。この点が映画が原作との差別化に成功している由縁のひとつである。⑦小説を映画化した場合『こうなっちゃたのね↓』という残念さが多い中で、『こうい風にしたか!』と喜べる作品になっている。⑧なお、個人的なことながら、劇中で望みが読んでいた”スクリーン“の同じ刊を私、いまだに保管しています。そのことで、いっそう切ない気分になりました。それはそうと、グリコ森永事件が起こった年は新卒入社した年で会社と新しい環境になれることでいっぱいいっぱいで事件のことは細かく覚えておりませんのです。悪しからず。
キツネ目の男は誰・・・?
原作は新刊発売当時に既読。昭和最後の大事件、『グリコ・森永事件』をモチーフに、いつか実写化されるだろうと思っていたので、待望の映画化。自分達の世代には、大変印象深い怪事件で、連日報道される、警察をあざ笑うかのような成り行きに、釘付けになった。
「真実は小説より奇なり」の言葉通り、実際の事件をモチーフにし、それを脚色をしているため、ストーリー展開も、次への展開を期待させるサスペンスの要素だけでなく、人としての生き方や人間関係のヒューマンドラマとしても、大変興味深い内容となっている。
特に、何も知らずに、事件の声に使用された3人の子供達の成長過程のくだりは、穏やかで幸せな家庭を築いてきた曽根と、暴力団の監視の下で、底辺の暮らしをしてきた聡一郎の対比によって、哀愁を誘う構図となっている。
この事件の身代金要求に使用された子供の声。それが30年の時を経て、自分の声だと知ったテーラーを営む曽根。一方で、令和を迎える前に、この事件を掘り下げるために、取材を始める新聞記者の阿久津。それぞれが、事件の関係者を辿って、一歩ずつ真相に迫っていく。それは、70年代の過激派学生運動に遡っての過去を明らかにすることに繋がっていく。
俳優陣も、なかなか良かった。W主演の小栗旬と星野源は、安定した演技を見せてくれた。また、懐かしいところでは浅茅陽子、梶芽衣子、宇崎竜童等、昭和を代表する出演者も、この事件からの長い歴史を感じさせてくれる。
ストーリー展開は、本当にキメ細かく作られており、ジワジワと迫る真相への道筋やそれぞれの人生の歩は、観る人の共感や憂いをいざなう作品として、大変面白く仕上がっている。多くの人に観てほしい作品だ。
昭和世代は見るべき
作品の質は高い、でも共感はしにくいかな…
原作未読。
役者陣は良かった。
無駄に泣き喚かない、大声で怒鳴らない、不必要に走り回らない、抑えた演技。
目立たないキャラクターたちにもちゃんと存在感がある。
そしてさすがの脚本。
犯人グループを筆頭に、かなりの数の人名が登場するが、物語が整理されているのでまったく混乱しないで済んだ。
これだけでも特筆に値する。
とはいえ、前半は主人公の二人が過去の事件を追うことに終始するので、(前述したとおり、ちゃんと解る様にできているので今思えばそんな必要もなかったのだが)一時「疲れ」との戦いも乗り越えなくてはならない。
最後は家族のドラマに収束していくんだけど、我々観客が心を寄せるべきこの事件に巻き込まれた被害者たちの境遇やその経緯がかなり特殊なせいもあって、正直なところ感情移入の前に「気の毒だなぁ」が先行してしまい、かなり客観的に観ている自分がいた。
ささやかながら幸せを築いている主人公が、わざわざ自分の不穏極まりない過去をあえて探ろうと執着する辺りも私にはあまりピンと来なかった。
野暮を承知で言えば、これだけたくさんの見ず知らずの人々の証言が集まって真相に辿り着くという設定が、令和の現代としてはやはり無理筋と言えなくもない。今や、田舎のご老人でもこんなに口は軽くないよ。
色々気になって私はノれなかったが、映画としては良くできているのは間違いない。
「いまさら掘り返す意味あります?」
怨嗟の円環
この作品は日本現代史の一側面である。この円環は今なお途切れていないことに戦慄を覚えずにいられない。役者陣にとっても生傷であるかもしれないことを思えば、膨大なエネルギーが作品に込められているように思う。ヨークの町を最後の舞台に選んだのも歴史俯瞰につなげる意図があったのだろう。
■書き直し■
「怨嗟の円環」
この作品は日本現代史の一側面を捉えている。
現実に起こった事件をモチーフにしているが、事件構造は全くの架空である。
(『リアル』な表層に『バーチャル』な構造を埋め込み、『リアル』な現代史構造を表現して見せる)という『入れ子』構造が本作の鍵であり、成功している。
年嵩の役者陣にとっては尚疼く古傷であるかもしれないことを思えば、膨大なエネルギーが作中に込められているように思う。蛇足のようだが、これも『入れ子』と見れば、複次元的な『入れ子』が完成する。
その複雑な構造を持ってストレートなメッセージを直球で放り込むところに本作の魅力がある。原作は未見で恐縮だが、先ずは脚本の秀逸さを称賛したい。
作中、黒澤明『天国と地獄』への言及があるが… 深読みに誘われた。
作品の“ありよう“とて提示したのではあるまいか?
まさに“複眼“的な本作の特徴を思い、手前勝手に納得してしまった。
怨嗟の円環は断ち切ることができるのか?
最後の舞台となるヨークの町は、シェイクスピア史劇に象徴されるように、「繰り返された戦火」を想起させる。人間俯瞰につなげる構造的意図があったのだろう。そこで語られるメッセージに重さを与えている。
小栗旬の、“人間臭い“ 中に “青さ“ を持った芝居が良い。
星野源やその他のキャスティングも的を射ている。
本作が発するメッセージは是非、劇場で確認して頂きたい。
コロナ災下、目先の経済や衛生管理が大切であることには論を待たない。
しかし、私たちの“ありよう“を俯瞰的に再確認することもまた、大切なことではないだろうか?
本作のような力強い作品が公開されることを嬉しく思う。
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