罪の声のレビュー・感想・評価
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ストーリーは良かっただけに残念
久々良作でした。
月の初日の料金サービスデイということもあり、
鬼滅はホント圧倒的だけど、こちらも
結構お客さん入っていました。
グリコ森永事件をモチーフにしています。レディージョーカー等よく雑誌記者や新聞記者が
簡単に犯人組織を突き止めるのですが、今回も迷宮入りの超有名事件にもかかわらず
30年余りたった今にスルスルと解明していくのはお約束事です。
私がとか他の大多数の方が思ったであろう、
自分が警察官ならすぐに捕まえれそうな感じなんですが、
犯人グループに警察関係の方がいるのがミソなんですかね。
関西でしかもこれだけの事件を起こせるグループって限られていると思いますし、
警察ならいろんなデータを持っていると思います。犯人グループの運が良かったというのも
ありますが本当に間抜けな捜査だったんですね。一網打尽なんてする必要もなかったのに。
3億円事件も現職白バイ隊員の息子と
そのグループっていわれてますし。タブーのない文春とかの社員を警察に
入れたら未解決事件全部解明できるかもしれません。
原作はミステリー賞で1位になっただけのことはあり素晴らしい読み応えでした。
映画もなるほどと思わせるシーン、泣かせるシーンもあり良作でした。
鬼滅を観らずに社会派のこちらを見て良かったと思いましす。
不幸は生み出されつづける
小栗旬演じる阿久津記者は、二人のできた上司に恵まれている。阿久津の葛藤を硬質に受け止めて跳ね返しつつも、取材方法に口を出したりせず、自由にさせる。部下を信頼している証だし、結果を出す上司の見本だ。
そのうちのひとりを演じた古舘寛治は、最近の権力者の無知と横暴がよほど気に入らないようで、安倍政権から菅政権に続く一連の反知性主義政権に対してツイッターでときどき怒っていて、その内容が痛快で面白いのでときどき拝見している。こういう俳優がいるのは映画界にとって心強い気がする。
物語は阿久津記者と、星野源演じるテーラー主人の曽根俊也がそれぞれの動機で同じ事件の真相に迫る形で進む。視点が異なるので光の当たる部分も異なり、観客は事件を立体的に理解することになる。とても複雑な事件だが、時系列を追って説明してくれるのできちんと理解できる。地味な出だしだが、二人が絡んで以降の展開にはスピード感があって大変に面白い。
星野源の演技は無表情が多く、しかし状況からして何も思っていないはずがなく、万感を隠したその無表情に戸惑うが、鑑賞中の観客が想像力をフルに回転させるのも映画鑑賞の醍醐味のひとつだと思う。
小栗旬の阿久津記者は対照的に、言語表現を生業とする職業だけに、自分のことを客観的に饒舌に語る。主人公がスクープ一辺倒のスクエアな記者ではなく、取材の仕方や記事そのものに対しても懐疑的なところが、奥行きのある人物造詣となっている。小栗旬がこういう役柄を演じた記憶があまりなく、役者として新たな領域に挑戦したのではないかという気がした。
古舘寛治の上司は更に進んで、マスコミの在り方や事件報道自体をも相対化して批判の対象にする。頼もしい存在だ。現在の大新聞各社にもこういう存在がいるとは思うが、政権に阿る上層部によって押さえつけられている気がする。新聞社とはいっても大勢の人間の集団である。一枚岩ではないから一概に肯定も否定もできない。たとえば朝日新聞には政権寄りの記事もあれば反体制的な記事もある。多様性を維持し続けるのが報道機関の矜持だと思う。
挫折世代と呼ばれる年代がある。1960年代から70年代にかけての反体制運動の行き詰まりを挫折と呼ぶが、その傷を癒せぬままに折からの高度経済成長の波に呑み込まれて個性を喪失した世代だ。挫折のあとも公権力に対する怒りは燻り続ける。革命の炎は消え去ったが、公権力に一矢報いたい。そういう年代だ。
本作品はそういう化石(fossil)のような年代の男たちが、いつの世にもいる不良集団と手を組んで起こした事件と、それに巻き込まれて不幸に陥る人々の群像を描く。人間はいつだって不幸だが、大きな悲しみの中の小さな喜びに縋って生きていく。その小さな喜びさえ奪われたら、人は死ぬか犯罪に走るか、あるいは失意の内に心を閉ざして孤独に生き延びるだけだ。
共同体は共同体の存続を最優先にする。次が権力者の権力の維持だ。個人の幸福は20番目にも入らないかもしれない。法治国家では法によって国を統べるが、法は全員が遵守してこそ十分な統治機能を発揮する。憲法がしっかりと守られていれば価値観は多様性を保ち、一元論によるいじめや差別は起きにくい。しかし戦後何十年経っても、この国では憲法が十分に生かされず、広がる格差が犯罪を生む。本作品と同じように今日もどこかで犯罪によって苦しむ人々がいるのだ。権力の立場にある人間たちが自分も公務員のひとりであり、憲法第15条に書かれてあるように一部の奉仕者ではなく全体の奉仕者であるということを自覚する日がこない限り、不幸な人々は生み出されつづけるのだろう。
この事件で幸せになった人は誰もいない
本作品のモチーフになっている事件ですが、私自身が高校3年生の時に起きた事件で、当時コンビニでバイトしていたので、よく覚えているし、結局未解決のまま終わった事件で、本作品の公開を楽しみにしていました。
私は特に本作品の内容にリアルタイムで経験した者として大変に興味がある事から、大変に想いいれたっぷりみたので、本作品の内容に大変に満足しています。
本作品、フィクションなんだろうけど、これだけの作品を作り上げたのだから、お話を作ると言っても全てが空想ではなく、しっかりとした取材が有って作ったのだろうから限りなくノンフィクションに近い内容なんだろうと私は思っている。
特に本作品で注目しているのは、あの時代で有っても、その前の学生運動時代の革命を目指していた人が事件に絡んでいる事、事件に何だか形で絡んでいる人間達の悲劇・・・
特に、事件で使われた子供の声の主達の悲劇では、彼達彼女達の苦悩の描かれた方が凄く泣けてくる・・・・・
あの事件って結局誰がいったい儲かったのか・・・・・あれだけ世間を騒がしておいて、結局犯罪って奴は、関わる全ての人を不幸にさせるだけ・・・・いや~非常に考えさせられるな・・・・・
犯人側の言い分だって分かるんだけどね・・・・でも、結局、それが身勝手な正義であるのなら、やはり間違った事であるんだよね・・・
巻き込まれた大勢の運命を狂わされた人達は本当に悲劇でしかない・・・
大変に良く出来た映画だったな・・・・
最後は同情するとこちらも涙でいっぱいになるよ・・・・
最後の最後まで辛辣
グリコ森永事件になぞらえた作品。本物の事件のことはよくしらないけど気味悪さは伝わった。ひとつひとつ紐解くたびにしんどくなっていく。全容が見えれば見えるほど知りたくない現実が浮き彫りになってくる。いや~しんどかった。最後のある親子のシーンはほんとにしんどかった。切なさ?感動?とにかくつらかった。世の中にはたくさんの事件があって罪を犯した人間の家族やそのまわりの人のその後の人生にどれだけ重くのしかかってくるか考えさせられた。この作品の中では、その苦しめられた家族のまわりには支えになってくれる存在がちゃんといて観てて救われた。どんなに熱量もっていても守るべきものを犠牲にしてまでやる意義がどこにあるのか。人として親として理性を失うところに罪が生まれるのではないか。そして自分ならどの選択をしただろうか。そしてこの作品にも出てきた1984とゆう年号。よく使われるけど何か意味があるんかなあ。生まれ年だから気になる。
未解決事件
「これが真相なのでは」と本気で思ってしまう
予告からミステリーの雰囲気を感じ取り、予備情報なしで鑑賞してきました。開幕してほどなく、これが昭和最大の未解決事件をモチーフにしたものだとわかり、当時の記憶が少しずつ蘇ってきました。と同時に、当時はまったくわからなかった事件の真相が少しずつ明らかになっていく過程に興奮を覚えました。これは、事件の記憶がある者にしか味わえない感覚だと思いますが、事件を知らない若い方たちにも本作をきっかけに事件について調べてみてほしいと思います。
ストーリーは、子供の頃の自分の声が、日本を震撼させた未解決事件で使用されたものであることを知った男と、たまたま同じ事件の真相解明を命じられた記者が、協力して手がかりを追い、真相にたどりつくというものです。わずかな手がかりを必死で手繰りながら、着実に真相に近づく過程がテンポよく描かれ、ミステリー好きにはたまりませんでした。そこにはかなり多くの人物がさまざまな形で関わり、油断すると置いていかれそうになるのですが、終盤で真相が明らかになると、映像でおさらいしてくれるので、鑑賞後の印象はスッキリしています。
構成の面でも、主演の星野源さんと小栗旬さんが、全く異なる立場と事情で、たまたま同じ事件にアプローチし、やがて合流して協力し、最後はまた別々の場所でそれぞれに決着をつけるという流れがよかったです。それにしても、未解決事件にこのような真相を与えた想像力と、その中で自身の声を使われた子供たちのその後の苦悩にスポットを当てた着想、それをミステリーとしてこのようなストーリーにまとめ上げた構成力には恐れ入ります。中でも、不遇な人生を歩んだ生島総一郎と、何も知らずに幸せな生活を送ってきた曽根との対比が切なかったです。生島から曽根に発せられた「あなたはどんな人生を送ってきたのですか」という素朴な問いかけが胸に刺さります。さらに、母と再会した生島が、当時の姉の声を母に聞かせるシーンも悲しすぎます。
フィクションだとわかっていても、現実と想像の区別がつかず、「これが真相なのでは」と本気で思ってしまうほどでした。140分という長めの作品ではありましたが、終わってみればあっという間で、むしろこれだけの骨太の内容をよくこの尺で収めたと思います。原作未読なので映像化による是非はわかりませんが、ベテラン俳優陣をふんだんに用いた、いぶし銀の一本に、仕上がっていると思います。
最後に一言。グリコ森永事件は未解決のまま時効を迎えましたが、犯人、被害者、捜査員、その他の関係者にとっては、永遠に終わりなど訪れないでしょう。もし犯人が本作に触れる機会があるのなら、真相がどうであれ、事件が与えた影響について今一度考え、それを心に刻んでこれからの人生を歩んでいってほしいものです。
映画の視点と原作の醍醐味
グリコ森永事件の謎解きに迫る原作を読んで、映画になるのをずっと楽しみにしていました。
結論から言うと、原作の醍醐味を表現するには映画の時間では短すぎたということ。
あらすじを、映像つきで、線的なストーリーとして確認したという印象でした。
映画は、記者と店主、2人の動きに寄り添いながら事件に迫るのですが、迷宮入り事件のはずが実にあっさり真相に辿りついちゃいます。
原作の醍醐味である、事件の背景とともにだんだんと姿を現してくるドロドロした犯人たちの印象が、映画では全く薄まってしまいました。
小栗旬が重すぎず軽すぎずの好演、海外ロケの映像も素敵だっただけに、映画的なバランスの悪さがもったいなかった。
できれば、次は、小栗旬主演の8回くらいの連続ドラマとして、犯人側にもっと重みを持たせたストーリーで見てみたい。
毎週謎解きのヤマ場がある、次週が待ち遠しいドラマになるのでは?
拡げるのか絞り込むのか...。難しい選択。
見に行った理由はいろいろだけど、野木亜希子 脚本の映画を見て見たかったというのが一番大きい。自分の声が自分と無関係と思っていた大事件に使われていたことを知ったテーラーのミステリー、過去の大事件を掘り起こす仕事を突然振られた(報道への熱意を失った)新聞記者を主軸に、叔父の過去、同じ境遇の子供たちのその後などをいつしかバディとなった二人で追うことで、新たな事実が明らかになるとともに、関係者たちの悲しい人生に触れていく。真面目に作っていることは良くわかるが、やはりどうしてももう少し脚本を練りあげればもっと良くなる作品だと思う。
筋としての最大の欠点は、小栗旬自身に動機がないことだ。後半で少しそれらしいセリフを語るが、そもそも企画も降ってきたものだ。なぜそうしたのだろう。梶芽衣子が深くかかわっていることは、年を取った母にも活動家の過去があり父以外との恋があったであろうことが伝わるところは非常に興味深い描写なのだが、ここに対する星野源のリアクションはもっと深堀すべきではなかったか。ラスト、子供を抱きしめるところ、どんな感情なのか、伝わってこない。
そして舞台となった事件への推論についてもあり得る筋ではあるのだが、映画では謎解きに振るのであれば若い層への説明をもう少し丁寧にすべきだと思う。70年安保も絡めるというのであれば尚更だ。橋本じゅん一人ですべてをつなげてしまうのも簡単すぎて驚いた。
事件そのものより影響を受けた家族の群像を描きたかったのだと思う。場面場面は丁寧に描かれているが芯の筋をもっと練りあげて欲しかった。宇野祥平の、篠原ゆき子の熱演もスルーされてしまいそうだ。
化石
二人の子供が不幸になったのは父親がクズだったから。
犯人に事件後に波及して起こる事、全てに責任があるとは思わない。けれど、時効も過ぎて全てを白状した後に逃げるのはないな。やっぱりクズで化石だった。
証拠のテープと手帳を母親がなぜ捨てなかったのか謎だけど、あれがないと話が進まないから仕方ないのか。
それとも母親にとってはあんな物も正義だったのか。
日本では学生運動って遠い昔の話ように感じるけど、デモで捕まって拷問を受けている若者が今現在、隣の国にいるんだよね。正義だけでは大きな力に飲み込まれる。
映画関係ないけど、自由に発言できる今の日本はいい国だと感じました。
もちろんテーマは悪くないのだが
野木さんだから 源ちゃんだから
とても良い作品でした。 子どもを犯罪に巻き込む大人の罪の大きさ、マ...
さりげなく今年一の良作
もったいない。色んな意味で。
原作は何故か出版されてすぐに読んだ。帯見ただけですごく興味あったため。でもこれは映画にするの大変だな、と思ったらやっぱり大変だった。
人脈地図が壮大だからどうしても板付きの事情聴取になってしまって動きがなくて、時間もないから意外と簡単に情報が収集される。と、言いつつも、今やすっかり原作忘れてるのでどうだったか覚えてないけど、脚本はがんばってギリギリのところで新聞記者とテーラーのふたつサイドのバディ感と、なぜこれを追うのかという今の時勢ではあんまり共感の湧かないポリシーでまとめあげていく。優秀ではある。けども決定的に映画的興奮がない。篠原ゆき子が出ていてすら追いつかない!肝心な主演ふたりも良さを発揮できず。でもテーマがくっきり際立ったのは脚本の力ではあるのか。
もっと長尺でやってもよかったのでは、と。
某親子に幸あれと切に願う
原作小説は未読。予備知識なし。
文庫は買ってるからこれから読みたい…本当は映画観る前に読もうと思ってました…
全く関わることのない2人が段々と近付いてついに出逢う。そこから物語は加速するー…!かと思ったけどまぁ徐行でした。段々明らかになるのは好きです。ちなみに2人が出逢うまで1時間くらい経ってる。チラッと腕時計見た。
曽根夫婦が話し合って、曽根さんが阿久津さんに協力するようになったところ。その後の車内で考えの変化を問われてましたが、夫婦のシーンとして見たかったなぁ…あっさりだなと感じました。
曽根さんと生島姉弟の境遇に差があり過ぎて、惣一郎さんが曽根さんの境遇聞いたらそのまま死ぬんちゃうかと思ってましたが、最後まで生きてて本当に良かったです…あそこはとても辛い。
子供たち(特に生島姉弟)の人生を狂わせた達雄と話している阿久津さんには「もう殴って!そいつ殴って!」と思ってました。殴ってくれなかったけど。曽根さんが言葉で殴ってくれたかな…
結局達雄は逃げるし、罪の意識があるなら素直に捕まるべきやったなと。結局自己満足で自己陶酔やったんですね。お母さんも同じく。
お母さんが亡くなって病室で曽根奥さんと娘さんがお礼を言ってましたが曽根さんは何も言葉にして…なかった気がするんですが、まぁそうなる。
生島親子への救い…望さんの肉声、あれか…と思うと辛いです。
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