風の電話のレビュー・感想・評価
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震災からもうすぐ10年。その日本から、ついにそしてようやく発信する。世界中のありとあらゆる傷心の人々へ捧げる歴史的名作です。
これからも世界中に起こるであろう天災と、そこに立ちすくむしかない自然の一部としての私たち、人間。
そして、復興。
それは、現実に家族や住む場所を失ったり追われたものが、簡単に発することのできるような言葉ではありません。むしろ客観的なよそよそしささえ想起させます。失ったという事実はもう取り返しがつかないのであり、そこにあるのは復興などではなく、あきらめとその先にある昇華でしかないからです。
どう乗り越えるか。それだけが事実です。
その意味で、劇中の少女は、そのことを意図せずに、乗り越えよう乗り越えようとして、故郷の現状を確かめずにいられなかったのだと思います。家族の不在も含めて。家族の不在と故郷の消滅を、確かめたかったのだと思います。自分の目と心で。それは、決して後ろ向きの旅ではなく、まさに成長と進化への道程です。
ひとしきり泣いてどうしようもない悲しみを噴き出すことを自分に許した後、湧き上がってきた生きることへの希望と決意。静かではあるけれど、ささやかな自虐の笑みまで湧き起こせる力さえ自身の中に感じます。それこそが乗り越えた瞬間なのかもしれません。
ラストの10分間はまさにその体験を、少女と共にすることになります。モトーラさんは、恐らく演技ということを忘れ、劇中のハル自身になっていたことを確信します。演技という世界があるならば、これ以上の演技と表現が、存在するでしょうか。
もはや「鑑賞」などではない。傷つき閉ざされた心が、そして魂が、昇華されていく。その瞬間をモトーラさんや他の役者さんを通して「体験」する映画です。
震災後10年。自然の驚異と戦い続け、そして共生を模索するこの日本から、ついにこれだけの発信をすることができたことに、同じ日本人として誇らしさまで感じます。制作に携わった皆さん、ありがとうございました。
心に残るロードムービー
虚構と現実の見事な融合
凄い演技・パフォーマンスだなと思うところと、どこがドキュメント・真実でどこがフィクションなのか分からないところが入り乱れている感じがして、かなり“あの日”を思い起こすような感情に支配された。だから、あの日流れた涙が自然と流れた、悲しいとかいう単純なものではなく、否応なく目から溢れるものを抑えきれないといった部類の感情が蘇った。
主演の演技は驚くほどにナチュラルで素晴らしく、脇で支えるベテラン陣も自分をさらけ出してるかのような力感で素晴らしい。
とにかく大人しく、淡々と展開する物語であるために、すべての人の絡み合いやパフォーマンスが心を引きつける要素であった。
映像そのものも印象深いカットが盛りだくさんで、福島出身の名優とか雨の車中とか家族との夢想とか震災の遺構とか少女の絶妙な表情のバストショットとか、追憶やあの日を追うだけではない何かがあった作品だと感じることができた。
きっとこれからもあの日を題材にした作品は数多く生まれるに違いないと想像すると同時に、その中でもこの作品は紛れもなく多くの感情を揺さぶるに違いないと思いました、最後のメインはちょっと間延びした感じがしたけれど─。
一人旅で大人へ
心の傷の癒し方のヒントをおしえてくれる映画
そこに行けば、言葉で解放される…
舞台挨拶付き試写会に参加し、撮影には台本らしい台本がなかった…という事を知り、では、あの電話ボックス内でのセリフ、他はハルを演じたモトーラ世理奈さんが、その場で創作したものなのか…と、あまりに自然だった事に驚くと共に、『当事者の身になる』事を体現してくれた、素晴らしい女優さんだな〜と思いました🎵
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
『言葉』の大切さ、『会話』の大切さを思い出させてくれ、傷つき途方に暮れ、前進出来ないでいる者達に、未来への一歩を踏み出す背中を押してくれる、こんな手段=『風の電話』が、多くの人々の『同意』を得て存在している事が、奇跡にも思えました🎵
そして、その事を思い出させ又、知らしめてくれる本作品は素晴らしく、オススメの映画です❣❣
139分の上映時間も、あっという間でした(≧∇≦)b
ロードムービーにしては・・・
完成披露試写会で鑑賞。
岩手県大槌町に存在する風の電話と呼ばれる天国に繋がる電話をモチーフにしたロードムービー。
ロードムービーにしてはテンポがゆったりしてるのと、モトーラ世理奈演じるハルのキャラクターに共感出来るか出来ないかでこの作品の評価が分かれると思います。
感性のままに映画を観れたら、とても幸せ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
モトーラ世理奈ちゃん。
この子は天才なんだと思う…。
彼女が何か一言、発しようとするたびに、その子の言葉に耳を傾けたくなる…。
すごく不思議な子(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
感性のままに会話をしているのかと思いきや、すごく時間をかけて慎重言葉を探そうとする時もある。
そんな彼女に、どんどん引き込まれてしまうのは、やっぱり彼女が天才的な演技力を秘めているからではないでしょうか。
そんな彼女が今回演じたのは、震災で家族が行方不明中の高校生。
家族を失い、広島の叔母の元で生活していたある日、叔母が突然家で倒れている姿を発見する…。
震災で突然家族を失ったように、また叔母も失ってしまう恐怖に駆られた彼女は、突如家があった岩手に家族を求めて旅立つ…。
知り合いもお金も何もない中、街で偶然出会う人たちに助けられながら、旅を続ける姿がか細くて消えてしまいそうに脆くて、すごく心配になる。
でも、街で出会う人がみんな親切だから、とても救われるけど
(●´ω`●)
彼女の他に、西島秀俊さんの演じた、福島で家族を失った元原発職員の男もとても印象的。
旅先で出会った2人ですが、震災で家族を失ったもの同士、お互いが心の底に悲しみを背負いながら生きている…。
彼女が岩手に向かう旅をサポートする姿もとても頼もしく、支えになっていました。
実は監督曰く、台詞が殆どアドリブというからビックリ!
与えられた設定だけを頼りに、お互いがその時の感情のままに会話していく姿がとても新鮮でした。
まるで一つのドキュメンタリーを観ているかのような感覚だったので、余計にモトーラ世理奈ちゃんの自然体の演技が光っていました。
西島さんの物腰柔らかな雰囲気が、また彼女との旅を温かなものにしているから、観ていて救われた気持ちになったのは確か。
そしてなんと言っても、この映画の見所は、最後の電話ボックスでのシーン。
風の電話とは、電話線の繋がれてない電話ボックスで、天国にいる想いを伝えたい人に向けてメッセージを伝える場所。
この電話ボックスには、実際に3万人もの人が訪れて、天国へ言葉を送っているようです。
震災で家族を亡くした人たちも、この電話で救われて人はとても多かったはず。
自分の張り裂けそうな不安や思いを、言葉にできずにため込んでしまっている人がどれだけいるか…。
溜め込みすぎると、心が崩壊してしまうから、その前にこの電話ボックスで、自分の心の叫びを言葉にすることってとても大事だと思います。
言葉にすると、自然と自分への戒めになるから言葉って不思議。
言霊っていうけれど、やはり言葉にする事で、天国にいる家族にもその想いは伝わるんじゃないかなと思いました。
気持ちを吐露する事で、彼女自身が生きようとする強い気持ちを持てた事が何よりも嬉しい!
╰(*´︶`*)╯♡
こういう、心の拠り所はこれから先もずっと必要なものだなと思いました。
最後に…。
年末最後の試写会で、豪華俳優さんたちの舞台挨拶に参加できたことに感謝!
ベテラン俳優に囲まれた、モトーラ世理奈ちゃんの初々しさが可愛らしい。
そして、周りの大人たちが彼女の優しい雰囲気に包まれて、一体となっている感じも、とても和やかで素敵でした。
素敵な試写会をありがとうございました。
素敵な映画をありがとうございます
(〃ω〃)
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