劇場公開日 2020年1月24日

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「虚構と現実の見事な融合」風の電話 SHさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5虚構と現実の見事な融合

2020年1月24日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

凄い演技・パフォーマンスだなと思うところと、どこがドキュメント・真実でどこがフィクションなのか分からないところが入り乱れている感じがして、かなり“あの日”を思い起こすような感情に支配された。だから、あの日流れた涙が自然と流れた、悲しいとかいう単純なものではなく、否応なく目から溢れるものを抑えきれないといった部類の感情が蘇った。
主演の演技は驚くほどにナチュラルで素晴らしく、脇で支えるベテラン陣も自分をさらけ出してるかのような力感で素晴らしい。
とにかく大人しく、淡々と展開する物語であるために、すべての人の絡み合いやパフォーマンスが心を引きつける要素であった。
映像そのものも印象深いカットが盛りだくさんで、福島出身の名優とか雨の車中とか家族との夢想とか震災の遺構とか少女の絶妙な表情のバストショットとか、追憶やあの日を追うだけではない何かがあった作品だと感じることができた。
きっとこれからもあの日を題材にした作品は数多く生まれるに違いないと想像すると同時に、その中でもこの作品は紛れもなく多くの感情を揺さぶるに違いないと思いました、最後のメインはちょっと間延びした感じがしたけれど─。

SH