ひとよのレビュー・感想・評価
全255件中、161~180件目を表示
お母さんかっこいい。
昔も今もここまでかっこいい母親はいるだろうか?そのかっこよさが子供達に伝わりきれていないようで少々悔しい。出演者の皆さん全員がとてもいい演技をしていたと思います。
拙い手で互いに紡ぐ、脆くて強い家族の絆
良い映画でした。凄く良い映画でした。
個人的な境遇と色々重なった所もあり、
物凄く心を動かされた作品となりました。
色々書きたいがあまり長くなってもアレなので
今回はちょっとだけ飛ばして書こうと思う。
白石和彌監督作で、予告の内容も観る限りでは
相当に重く容赦無い映画になるのかと身構えて
いたのだけどーーいや実際に扱ってるテーマは
確かに重いのだけど、現実味はあっても優しく
どこか爽やかで軽やかな作品となっていた。
キャストのユーモラスな演技や散りばめられた
笑いのお陰で優しい気持ちで観ることが出来るし、
同時にそれらの笑いが主人公達に作用している点
も巧い(「復刻してんじゃねえよ」(爆))。
...
まずはキャストについて。
極力手短に書くが、主演から脇役に
至るまで、出演陣がみんな良いです。
とにもかくにも、田中裕子がカッコイイ!
映画を締める名女優さんとは思っていたが
まさかこんなカッコイイ女優さんだったとは。
後半でも書くのでここではそれくらいで。
佐藤健はやっぱただのイケメンじゃない。
鮫のようなザリザリとした雰囲気。動かない
表情の下で抑え込んでいる怒りが確かに伝わる。
そして、その表情がわずかに緩む時の優しさも。
松岡茉優は可愛い上に毎作品で巧いが、
本作の彼女は、マジで巧い。台詞回しの自然さ
生っぽさはこちらが銀幕の存在を忘れるほど。
やさぐれ娘が純な幼子に戻る添い寝の場面に泣いた。
鈴木亮平は一番大柄なのに、伏し目がちで弱気な
役柄をしっかりものにしているからか、三兄妹で
一番小さく見えるこの不思議。どもりの演技で
逆に伝わる彼の不器用な懸命さが良かった。
息子との夜を想い慟哭する堂下さん、
いつもオドオドしてる社長の優しい一喝、
自分を頼ってと憤る大樹の妻の芯の強さ、
サバサバ美人の牛久ちゃんとビールぐい呑み歌川君、
回想シーンの子役に至るまで、みんな巧いし魅力的。
...
時に重く、時に軽やかに描かれるのは、
家族という絆に付きまとう悲しさと優しさ。
まずは子ども達の視点から。
「あんた達は自由に生きていける。何にだってなれる」
自分の可能性を、将来の夢を信じてくれたのに。
自分の身を犠牲にしてでも幸せになるチャンスを
与えてくれたのに。けっきょく思い描いたような
大人になることは叶わず、抱いた夢は夢のまま、
歳と後悔ばかりを重ねてしまっている今の自分。
あなたのせいで俺の夢は叶わなかった。
あなたのせいで俺の人生はずっと暗い夜のままだ。
そう言って全てを親のせいにしたい気持ちはある。
だけど――
本当の本当は、それら全てが親のせいでは
無い事も分かってる。才能も努力も足りなかった
自分の選択の結果でもあるんだ、と悔やんでいる。
兄に「母が憎いだろう」と言い寄ったり、
母の罪をまた掘り返すような真似をしたり、
母を憎むような言動ばかりの雄二だが、
いつもいまも手にしているレコーダは、
夢を信じてくれた母のプレゼントだった。
愛情と憎しみは必ずしもプラスマイナス
ではなくて、それらは同居し得るもの。
雄二や大樹が母へ向けた憎しみは、
「俺を信じて必死に守ってくれたのに、
あの日あなたが信じてくれたような
立派な大人になれずにごめんなさい」
という大きな後悔の裏返しでもある訳で。
それは親への大きな愛情の裏返しでもある訳で。
...
母のこはるも、自分がそんな立派な人間
だとは思っていない。「そんなんじゃない」
という言葉は、あの行為が子どもの為だけ
でなく、私的な激情に駆られた結果だと
思ってもいるからだろう。だけど、
自分の行為を間違いだったと言ってしまえば、
子ども達に送った/子ども達が信じたあの
言葉までもが嘘になってしまう。それまでの
15年を本当に否定することになってしまう。
だから彼女は、例え恨みをぶつけられる
頑なな的になろうと「間違ってない」と
言い続けなければいけなかったんだと思う。
子どもにとって親は自分を守り
生きる道を教えてくれる神様で、
親は自分が完璧でない立派でもないと
思っていても、大切な子どもが子ども
自身を信じてすがる為の”柱”として、
必死に“親”であり続けなければいけない。
子どもも成長するにつれ、昔は神様のように
思えた親が、完璧な人間では無いと気付くもの。
そして、自分と同じように完璧とは程遠い
その人が、自分を守る為に、必死に”親”
で居続けてくれていたのかと気付くもの。
私情もあったかもしれないけれど、
子ども達のために自らの手を汚し、
子ども達の大きな夢を信じてくれた
あの夜の母は疑いようもなくかっこいい。
律儀に15年後の夜に帰ってきて、
何があってもブレない道であり
続けようとする母はかっこいい。
エロ本を万引きして「それでも母さんは
立派か!?」と開き直る母は、笑えるけど、
15年前のままずっとずっとかっこいい。
(エロ本読んで笑ってるおばさん史上
最高にかっこいい背中だと思う)
...
終盤、
息子と分かち合えたと思っていた夜を回想し、
「あの夜は何だったんだ!」と慟哭する堂下
に向けて、こはるは優しく静かに語る。
「ただの夜ですよ。自分にとっては特別な夜
だけど、他の人にとってはなんでもない
ただの夜なんですよ。でも自分にとって
特別なら、それで良いじゃないですか。」
血の繋がった親と子くらいに強く確実な
“繋がり”というものも無い訳だけれど、
どれだけ強く繋がっていても、どれだけ
大切に想っていても、全く同じ人間では
ない訳で、完全に理解し合うことはかなわない。
「母さんは母さん、俺達は俺達」という
言葉の通り、家族というのは世界で最も
愛しく近しい他人なのかもしれない。
それはとてもとても寂しいけれど、
どこかでそう割り切らないと、愛情と憎しみ
の重さで自分も皆も壊れてしまう気がする。
母はあの狭い青空を眺めて何を想ったのだろう。
流れる雲に見とれていただけだろうか。
それとも、あの暗く長い夜から始めて
明けた空のように感じていたのだろうか。
心の底は分からないけど、その小さな背中
を見つめて、待ってあげることは出来る。
「家族の絆は泡沫(うたかた)の花飾り」
だなんて、とある歌の詞を思い出した。
強くて脆い絆を、付かず離れずの
柔らかな手先で紡いでいくのが、家族。
最後、すました顔の雄二がタクシーの
車窓越しに振り返る母と、兄と、姉の笑顔。
別れたばかりなのにもう懐かしいその笑顔。
...
物語上、あの父親をひたすら悪辣に描くしか
なかったのかという点や、テーマの現実味に
対して僅かに寓話的に感じてしまう部分は
あるが、正直些細な欠点だと思う。
今年一番心を動かされた作品かも。5.0判定で。
<2019.11.09鑑賞>
.
.
.
.
余談:
「更に死ねッ」(水バッシャア)は今からでも今年
の流行語大賞になってほしい。むしろなれ。
恨み骨髄・オブ・ザ・イヤー。
人よ…なんて惨めで誇らしいんだ。
あゝ映画は本当に素晴らしい。
そう思える傑作に出会えた。間違いなく2019年の邦画No.1だろう。
『ひとよ』、『一夜』、『人よ』、『人世』、『日と夜』。
シンプルでありながら何重にも意味が折り重ねられこのタイトルのように、物語は細部に至るまで味わい深いディテールで満ち溢れている。
圧巻は本作の脚本と演出だろう。夫を殺し、子供達の前に戻った母親・こはる、だが家族だけでなくタクシー会社の面々ともどこかぎこちなく、ボタンが掛け違ったような居心地の悪さが冒頭から観るものの胸を詰まらせる。
人の醜さ、惨めさ、みっともなさ、みすぼらしさを描くながらも、それでも意地らしく生きる人々を映す白石監督の最高傑作だ!
次男・雄二を演じる佐藤健は食事の際の首の角度から、父の墓前での足癖の悪さから愛想のない敬語使いから、とにかくやさぐれきっている。
だが、クライマックスに語られる『母さんが親父を殺してまで作ってくれた自由なんだ…』という独白に心が震えた。
母さんのためにも夢を叶える、夢を叶えるために母さんを売る。自分は母さんを憎んでいたのか、感謝していたのか。
暴露記事まで書いたのに、何故自分は今母親を守ろうと車を走らせたのか…。
『どこからやり直せばいいか、教えろよ…』
この言葉は多かれ少なかれ兄と妹にも共通する言葉だろう。
兄の大樹は吃音という壁とともに、逃げ切れない過去を自分のうちに飲み込んでしまった。夢を断たれ、必死に築いた家庭も崩れかけていく。そして無情にも心を蝕んでいく『殺人者の孫』という言葉。
本来なら父亡き後、一家を率いる長とならなければならないはずの長男を、鈴木亮平が巨体を持て余す不器用で臆病な男として力演している。
彼が思わず振るった暴力は彼の心まで壊した。こはるとの言い合いのシーンは本作で最も涙が溢れた。
妹の園子も決して苦しみから逃れていない。母親と同じようにDV男と付き合ったしまうのもそうだが、彼女は決して最初から母親を歓迎してはいないのだ。
出所の日こそ迎えに行ったが、いざ15年後にこはるが現れると一歩も動けなくなっている。そして、こはるに甘えて一緒に寝るシーンも、まるで『自分が母親を信じたことは間違いではないんだ』と、必死に掴みとるように抱きつくのだ。
母親・こはるを演じた田中裕子の熱演はもはや言葉では表せない。戻った直後に(夫を轢き殺した場所で)車のバックの練習をしたり、子どもたちの現在を無神経に詮索したり、逆に従業員の弓からデリカシーのない一言を言われたり。健気で子ども思いの母親だが、一挙手一投足が間が悪く、事態を悪化させていく。それでも強かに自分の行いを誇りつつ、時折揺れるような表情を垣間見せている。
また、堂下と息子の件は疎遠になった息子と父親の距離感を、とても生々しく切り取っている。親だって人間だ、神様じゃない。それなのに少しでも過ちを犯せば、糾弾される恐ろしさに懊悩している。彼もまた家族と言う名の楔で、身を削ってきたのだろう。
長々と書いてきたが、一点の曇りなく家族に後ろめたさはないと言える人は本作を観なくてもいいかもしれない。
むしろ、しがらみがある人は必ず観るべきだ。
この映画は画面を超えてあなたの生を揺さぶる。
そして、自分と自分の家族ともう一度向き合う特別な“一夜”をもたらしてくれるだろう。
白石監督頑張れ❗️
DVの父親を殺した母親か15年ぶりに帰ってきたところから話は始まり、殺人犯の母親の子供として3兄妹それぞれがたどった過去と現在の状況が上手く対比されて描き出されていたと思う。白石監督の作品は初めて見ましたが、すごく応援したくなりました。
父親の暴力から幼い子供達を守った母親の辛さと強さを田中裕子が抑えた深みのある演技で好演しています。佐藤健、鈴木亮平の兄弟と松岡茉優の妹、3人とも素晴らしい演技だと思う。
世の中、幸せ一杯の家族ばかりじゃない、重い過去を背負った不幸な家族も沢山あるはずだ。そんなことを考えさせられる作品だった。
ラストの家族全員の記念撮影の母親と3兄妹の笑顔が忘れられない❗️
デラべっぴん・・・発音はデラ↓べっぴんらしい。GOROの世代なのでべっぴんはよくわかりません。
まさか、タクシー会社の中での話だと思わなかったので、今日は休もうか迷ってたのに観てから仕事することにしました。業界用語で「おばけ」というのは幽霊ではなく長距離の客がふと現れること。ただし、定期便で長距離走るのはもはやおばけではないと思います。
ついつい、タクシー運転手目線でずっと観てたので、ストーリーよりもそちらに力が入ってしまいました。佐々木蔵之介が乗ってた車はマニュアル車でハンドルの横にギアが付いてましたが、そんな古い車はもうどこにも無いと思います。多分、撮影のために古い車をかき集めたんだろうなぁと感じたのですが、終盤まさかの展開に!あぁ、このために古い車を・・・
最近は刺青の残った元ヤクザの運転手も少なくなってるみたいですが、そんな運転手はだいたいが運転が荒いもの。大手の会社は刺青さえ禁止です。知ってる中ではわざわざ消した人が数人いました(笑)。無線の笑えるシーンもあったのですが、普通は他の車の無線は聞こえませんよね。そういった突っ込みどころも満載でしたが、嫌がらせは15年前からあっただろうから、防犯カメラをもっと早くからつけておきましょうよ!とか、24時間体制なんだから派手な嫌がらせもないだろうに!などとも思ってしまいました。まぁ、一番気になったのは、普通なら殺人じゃなくて業務上過失致死だろ!ってことです。1回じゃ死ななかったので、2回くらい轢き直したのかもしれませんが。
家族に殺人犯がいたらどうなるか?などというテーマがあるにはあったけど、どうしても心理面がいまいち届いてきません。筒井真理子の母親など、認知症問題まで取り入れてるし、ツメコミ感もあったためかもしれません。今年3本観た白石作品の中では一番下でした。とほほ・・・
ひとそれぞれ
一夜で変わる?
人生では一夜とは限らないですよね
ある時を境に、変わる瞬間がある
人生に翻弄される中、それぞれしっかりとした考え方を持つことが大事
子供たちは母が帰ってきてからやっと大人になれたのかな
俳優、女優さんたちは良かったです
ただ、ヤクザさんはちょっと消化不良
しかし、貼り紙やなんやら、世間はそんなに馬鹿なのか・・・・
それぞれの一夜(ひとよ)
親と子は別々の人格である。それぞれに基本的人権がある。だから平等で公平な関係でなければならない。主従関係でもなく、支配と隷従の関係でもないのだ。民主主義が進んでいるヨーロッパでは、親と子が人間同士として対等の関係であるという意識がある程度浸透していて、言うことを聞かないからといって子供に暴力を振るう話はあまり聞かない。
日本は封建主義の精神性がいまだに残っていて、目上の人間という言い方がある。目上の人間を想定するということは目下の人間というものが対義的な存在として想定されているわけで、明らかに差別的な精神性である。差別は形式や作法、礼儀などといった考え方にも通じていて、例えば上座という考え方があり、床の間に限らず、エレベータの立ち位置や飲食店の席でも上座が存在する。おまけにそれを教えることを商売にしている人間さえもいる。差別を商売にしていることが当然のように受け入れられている日本社会は、社会全体が差別構造になっているのだ。
子供の口の利き方や表情について「親に向かって何だ」という非難をする親がいる。「親に向かって」という言葉自体が差別だ。「誰に物を言うとるんじゃ」というヤクザの言葉と同じである。自分が上で相手が下という差別だ。「親に向かって」という言葉を使う親は、差別を子供に植え付ける。「親に向かって」という言葉で暴力を受けた子供は、大人になって子供が出来たら、同じように「親に向かって」という言葉で子供を差別し、人権を無視して暴力を振るう。差別の世襲である。
親が子供に愛情を覚えるのは、飼っている動物を可愛いと思うのと同じである。犬にも猫にも子供にも名前を付ける。名前を付けるとそれに対する愛着が生まれ、愛着している対象との関係性が幸福感を齎す。ものを収集する人の精神構造も同じだ。ゴータマ・ブッダは愛着を、解脱を阻害する煩悩として否定した。
田中裕子は不思議な女優さんだ。どこまでも人を受け入れる母性のような独特の雰囲気がある。母性というのは無条件の愛情だ。封建的で高圧的で暴力的な父性とは対極にある。父性というのは組織の論理のひとつで、子供が共同体に受け入れられるように従順性を植え付ける。それは同時に個性を殺すことでもある。思春期で主体性が芽生えると父性に反発するようになる。そのときに母親が父親から子供を守らないと、子供は歪んだ性格のまま、父性を継承して封建的な人間になる。
本作品は田中裕子演じる母親が父性の暴力に対して行動を起こすシーンからはじまる。それに対して差別社会である日本社会がどのような働きをしたかが描かれる。そしてそういう中での兄妹の振る舞いが物語の中心である。母親の行動は是だったのか非だったのか。
三兄妹はそれぞれにいい演技だったが、特に長男を演じた鈴木亮平がいい。吃音の演技も自然で、父親への憎しみ、家族に抱く愛情、長い間押さえ付けてきたコンプレックスなどがじわっと伝わってくる。生きてくるのが大変だっただろうなと思う。
本作品のテーマは多岐に亘っていると思う。そのひとつが親と子の関係性についてであり、田中裕子が母親の家族、佐々木蔵之介が父親の家族、それに筒井真理子が娘の家族の3つの家族を描くことで、共同体と家族の関係性と家族間の関係性の対比を描く。
佐々木蔵之介は少し無理のある設定ではあったが、力業で役にしてしまった。凄い演技力だ。流石である。筒井真理子もベテランらしく、娘と母親の一夜を演じた。
三者三様の一夜(ひとよ)を描くこと、そして共同体の中の家族を描くことで、日本社会の構造を縮尺してみせた白石監督の名作である。
とても昔風のお金をかけてない良いお話なんだけど?
細かで余計な事を言わせてもらえば15年間面会へ行ったことはどの程度あったのか?何日の何時に出所するとか教えてもらえないのでしょうかね?エロシーンみたいなのもあったが必要でしたか?個人的にはおばさんよりも松岡がお水系の役なら彼女に人肌見せてもらいたかったが?
良い映画
松岡茉優の演技が自然で良かったですね…前までは、いいなぁぐらいでしたが、ファンになりました…笑
(梅田であった『勝手にふるえてろ』の舞台挨拶とか、確か観に行ったよなぁ…と、急に思い出した…今にすれば、貴重な経験だった笑)
肝心の作品ですが…
3人の子供たちにしろ、田中裕子演じる母親にしろ、MEGUMI演じる嫁にしろ、佐々木蔵之介演じるヤクザにしろ、現在に至るまでの空白とか苦悩の部分が、映像を通して伝わって来なかった…というのが正直なところ…この作品の一番肝心なところだとは思うんですが…(笑)
もちろん、想像は出来ますよ…でも、なんか今ひとつ感情移入しにくかった…。
松岡茉優演じる娘が、母親の布団の中にもぐりこんで来る場面が、一番印象に残りました。
ダークサイドに落ちきれない人々
15年ぶりの再会。大人になった子供たちとの再会はキツイ。しかもこの状況では。
主役級のキャストを集めて内容的には素晴らしい。しかし全くスッキリしない。観る人に訴えるものがない。原作のせいなのかは未読なのでわかりませんが、監督の最高傑作なんて言うのならスッキリさせて欲しかった。
松岡茉優ちゃんの演技力の幅と成長を確認できたのが唯一の救いでした。
ちょっとキツめの感想なので?健くんごめんなさい。
家族や仕事仲間のやり取りが魅力的
夫のDV、加害者家族の生きにくさと葛藤、周囲からの嫌がらせ。こうしたテーマを扱った作品は、見慣れて平凡。
ただ、家族や会社関係の人たちのからみや暖かさは、引き込まれる。とりわけ、後半の佐々木演じる父親の悲しみと怒りの表現は迫力があった。それぞれの個人には、一人一人、魅力的な輝きがあった。
夢を諦めないで
まず言いたいのは私的には松岡茉優ベストアクト更新で、過去のどの作品よりも俺が見たい松岡茉優でした。投げやりな言動、それがピークに達してる感のあるカラオケシーン。エンドロールで改めてその曲タイトルが現れた時グッときてしまった。過酷な中でも持ち続けた母を信じ続ける芯の強い女性を見事に表現してたと思う。
もちろん彼女が素晴らしい、だけでは片付けることはできない。人間ドラマと所謂エンターテインメントが歪なバランスで共存する白石和彌監督の作品群でもトップクラスで好きだこれは。特筆すべきは一つ間違えたら重苦しいだけの作品になるところに絶妙に?いや結構多目に入れてくる「笑い」が最高なのだ。タクシーの無線を使った掛け合い。内容はヘビーなのに笑ってしまう。デラべっぴん復刻版事件。そんな偶然現実であるか?でも「母」ってそういう部分で何か持ってたりするよね。あるあるだよこれは。
いやあ語り尽くせない。何が正しいか?考えさせられる?いや!あの兄妹、こんなに真っ直ぐに成長したじゃないか!母はやはり正しかったと思いたい!
あと、斎藤洋介、年取ったなぁと思いつつ、15年後、年取ってないっていう笑
気分が重いです…
映画なので、リアリティを求めたら、根本から、この作品は成り立たない。だって、旦那の暴力から、子供たちを守るために、旦那を殺すなんて…。シェルターとか、いろいろあるじゃんって話になっちゃうと、成り立たなくなるので、それは言いません。
これを観ながら、「楽園」を思い出していました。聖母かどうかは分からないけど、子供たちを守りたかった母。でも、世間にとっては、ただの人殺しなんですよね。佐藤健くんが、「残された俺たちの気持ちを考えたことがあるのか」みたいなセリフを言いましたが、好機の目にさらされた子供は大変だったと思います。
結局、佐々木蔵之介さんの件があったから、母親を守ろうとしたけれど、心から許せたのでしょうか。書きかけの原稿を消すってことは、許せたのかな…。
この作品を観ながら、何が正解で、何が不正解なのか、分からないなぁ…なんて考えてました。
とりあえず、「閉鎖病棟」からの「ひとよ」鑑賞だったので、気分が重いです。同日に観るものじゃなかったなぁと、少し後悔してます。
不器用にもそれぞれを繋ぐ作品だからこそ、なんか惜しいです。
なかなか重いテーマの作品ではありますが、豪華キャストに釣られて観賞しました。
で、感想はと言うと、う~ん正直惜しいかなぁ。
重い設定で本筋がブレてなくてもちょっといろんな横路があって、それがいろんな余計に感じたりする所があります。
シンプルで素材の味わいだけで勝負出来るのに、たまに余計なソースが添えてあったりな感じと言うのでしょうか?
田中裕子、佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優と鉄壁な豪華キャストではありますが、ストーリーでは少し穴がある感じで、キャストはメジャー感がありますが、演出面は些かミニシアター系な感じではあります。
子供達に慢性的に暴力を振るう父親を殺害した母親と成長した3人の子供達との15年振りの再会からお話が始まりますが、子供達を救う為の行為は結果的に子供達を苦しめる事にもなり、母親がいない間の生活は様々な迫害、誹謗中傷の日々でそれぞれがそれぞれの思いの中で母親との空白だった15年を不器用にも埋めていきます。
主演の4人の演技は申し分無しで、吃音症でコミュニケーションが苦手で結婚しているが離婚寸前。母親との再会に戸惑う長男の大樹役の鈴木亮平さん。
週刊誌の風俗コーナーを担当しているが、将来的には小説家志望で母親との再会に苛立ちを覚える次男の雄二役の佐藤健さん。
美容師志望だったが、事件の影響で美容師の道を諦め、スナックで働き、母親との再会を喜ぶ長女役の松岡茉優さん。
子供達に暴力を振るう夫を車で殺害し、出所後、各地で仕事を転々とし、子供達と15年振りの再会を果たした母親のこはる役の田中裕子さん。
演技面では文句無しで上手いの前にとても不器用さを出されており、役柄にピッタリです。
田中裕子さんが初老の不器用な母親役を演じられてますが、田中裕子さんと言うと、個人的には90年代に流れてましたサントリーオールドのCMが印象的でキャッチコピーの「恋は遠い日の花火ではない」と共に凄く良いんですよね。
そんな田中裕子さんが初老の母親を演じられてるのは年齢的にはおかしくないんですが、なんとなく「思えば遠くへ来たもんだ」と思えるぐらいの時の流れを感じますw
実家に戻ってからのこはるは少し天然的で空気の読めなさがある物のw、素朴で優しく、体当たりで子供達と接しています。
殺人を犯したと言う過去に暗い影を落としがちな所も自分のやった事にブレが出てしまうと子供達を迷わせてしまうと言う思いから気丈に振る舞う姿には心が震えてしまいます。
雄二の振る舞いからコンビニでエロ本(デラベッピン 復刻版w)を万引きした際の開き直りや大見得切りなんかはちょっと笑ってしまいますが、不器用に子供達を見守り、自然体にユーモアを醸し出してるのは流石です。
特に良かったのは松岡茉優さん。今までの主演作役柄とは少し違い、気丈に明るく、ちょっとガラが悪くw、直球に兄妹と家族の絆を繋いでくれます。
先月公開された「蜜蜂と遠雷」でも新しい一面を見せてくれましたが、今作でも新たな引き出しを見せてくれてますが、降り幅の広さに感心しながらも、こう言った少しヤンキーが入ってるけど、根は良い子的なのは合ってると思いますw
鈴木亮平さんも今までとは違った感じの演技ですが、少し佐藤健さんよりも意識的に退いた感じがしてちょっと勿体ない。
佐藤健さんは最近はやさぐれた感じの役柄が多い気がしますがw、元々降り幅の広い方かと思うので、そろそろ正統派の青年の演技が見たい気がします。
出てくる人達も皆良い人達ばかりで、影で様々な嫌がらせがありますが、それが描かれてないのが個人的には救いで人を貶めたり、虐めたりする描写は必要な演出であっても正直凹んだりします。
稲丸タクシーの人達も皆良い人達で地方にありがちな閉鎖的な排除感が無いのが良い(画面に映ってない人達は除きますがw)
音尾琢真さん演じる叔父さんがホント良い人です♪
ただ、難点があるとすると様々な事件が起き、本筋に絡んでいくんですが、些かドラマチックに描こうとして、意図的に用意した感があったりするんですよね。
徘徊する祖母の介護に疲れて、情事を重ねている内に祖母が入水自殺していた件や佐々木蔵之介さん演じる堂下の息子とのすれ違いやラストの暴走は確かに稲村親子の仲直りのきっかけにはなってますが、意図的に用意され過ぎている感じなのと、その事の締め方も放ったらかしになっていて、ちょっと鼻につく感じします。
兄弟での思いの違いやすれ違い、葛藤や爆発なんかを丁寧に描かれてると思うだけに個人的には過剰な演出に感じるんですが、如何でしょうか?
また、父親の度重なる子供達の暴力に至る迄の過程があっても良かったのではないかと思います。
家族全員で撮影した記念写真が飾られており、また一家の長としてタクシー会社を経営していたにも関わらず、何故子供達に暴力を振るう様になったのかは気になる所です。
暴力を振るった行為自体を肯定する訳ではなく、そこに至る迄の過程はどうだったのか?
だからこそ、こはるが子供達に度重なる暴力にも我慢を重ねるのにも理由を知る事でストーリーに深みが出ると思います。
雄二が暴力を耐えさえすれば良かったと言う台詞には心が痛みます。
暴力を振るう中でそれぞれの理由があるにしても、被害を受ける者が自分が耐えれば良いと言うのは見ていても胃が痛くなります。
そんな事を良しとしてはいけないけど、母親が殺人を犯し、両親がいなくなったその後には想像を絶する苦難があると思います。
この選択には正直正解が見つからないのですが、こはるが子供達を守った事には悔いがないと言う毅然とした態度には救われた感じです。
タイトルの平仮名での「ひとよ」には様々な意味合いが含まれているかと思います。
いろんな人間の様々な事情や本音があからさまになり、生々しい部分も多々ありますが、家族の本音を問うドラマだと思うからこそ、なんか惜しいんですよね。
佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優と若手を代表する人気・実力的にも油の乗った3人に田中裕子さんがガッチリと優しく包み込む作品だと思うからこそ、もっとストレートに行っても良かったのではないかなと思います。
あくまで個人的な意見の1つとして受け止めて頂ければ幸いです。
演技派の役者の競演 どの役者の演技も素晴らしい出来 しかし、脚本が...
演技派の役者の競演
どの役者の演技も素晴らしい出来
しかし、脚本が…余りにも、様々な人間関係を詰め込み過ぎ
近場でくっつき過ぎというかベタで、先が読める展開
ひとよというタイトルに込めた、人の世、一夜で、人生が変わる事を表現したい監督の気持ちがわからないでは無いが、観ている側からすると忙しい
物語の始めにドローンを使って撮影しているが、意味がわからなかった ドローンを使う必要性が、考えられなかった
始めのシーンだけに残念だった
ただの夜
どんな一夜だったとしても
他のみんなにとっては、ただの夜
誰が死のうが新しい命が産まれようが、
ただの夜にすぎない
時代背景が3~40年前位なのかな?
まだDVとか世の中では見て見ぬ振りしてた時代
あんなに傷だらけの子供たち
今の時代では普通に学校行ってるとか有り得ないから
あの時代の子供たちが親になって、
またその子供たちも親になってて
きっとトラウマで自分にされたのと同じ様に自分の子供を傷付けてるんだろうな
家族でも分かり合えない事ばかりだよ
蛙の子は蛙
だけど、こはる母さんの優しさは本物だね
子供たちを傷付けまいという思い
自分がこんな父親と一緒になってしまった申し訳なさ
そんな奴から子供たちを守れない自分の惨めさ
田中裕子さん
「共喰い」と近い感じかな、と思いましたが
子供たちと向き合って、自分が壊した家族の形を
必死に取り戻そうとする愛嬌のあるお母さんでした
松岡茉優の兄弟喧嘩は迫力たっぷり
兄ふたり居たらやんちゃに育つもんね👊
弓さんの家族
二三子の家族
堂下さんの家族
本当に何も問題ない家族なんて居るわけない
誰か一人で抱えず、皆で分かち合えればいいと思う
でも、そんなに簡単に行かないのが人間
家族だからこそ素直になれない時もある
簡単な一言を探すのが大変
体いっぱいに紋々入ってるその後の堂下さん家族が最後は気になってしまいました(><)
子ども一人ひとりの受け止め方は違う
凄惨な殺人を起こして15年後に帰ってくる母親を迎える3人の成人した子どもたち その15年の間に起った苦しみは想像できるのだが、怒りや恨み、寂しさなど入り交じった感情がよく描かれていると思いました 親はいくつになっても親で、幼い時の出来事までしっかり覚えている 子どもの方は年齢も違うから異なる受け止め方をしているが、おとなになっていくにつれ、同じ苦しみを共感しているきょうだいだからこそ、異なる受け止め方をしていても、同じ方向を向こうとするところがよかったです きょうだい3人母親を心の中で恨んでいても、きょうだいとして母親に向かう 白石監督ということで構えてみましたが、いい終わり方だったと私は思いました(11月14日 TOHOシネマズ二条にて鑑賞)
全255件中、161~180件目を表示