ひとよのレビュー・感想・評価
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大人も迷いながら生きている
DVから子供を救うためにと夫を殺す母、だが残された子供は母が言うように自由にはなれず、なりたい者にもなれなかった。
社員のドウジョウ(佐々木蔵之介)は子供が薬の運び屋になってしまい、その現場を後輩の画策だと思われるが目の当たりにして世の不条理と子供は自分の失敗を親のせいにすると嘆くが、稲村家の親子は互いに人のせいには意地でもしない姿勢で踏ん張って生きていた。
人の弱さと強さをたっぷり見せられたが、終演後は不思議と胸糞悪さは無くスッキリとした気分で映画館を後に出来た。その理由は田中裕子はじめ、佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優さらにまわりを固める俳優女優陣が素晴らしかったのもあるが、自分の運命を受け入れて頑張って生きる姿を一貫して見ることが出来た事による。
最後、髪を切られるためにエプロン?をかぶった田中が空を見上げ涙ぐむシーンは、見る人によって様々な心理描写を引き出すシーンであったと思う。わたしには私は間違ってないと言っているように思えた。
フェリー乗り場でのシーン、自分にとって特別な夜も他人から見れば普通の夜という感じの言葉に深く頷いた。
重い話が考えさせられず、素直に受け入れられる
なんだろう?重い話なのに、所々クスッとさせられ、鑑賞後もいい気持ちなんです。
ラストのこはるさんの姿に3兄妹もきっと思ったはず。『貴女は菩薩様ですか』って。
上手い俳優勢揃い
救いようがない人々を描かせたらこの監督しかいない白石和彌監督の本領発揮でした!
一部聞き取りにくい台詞がある部分もありましたが致し方なし。
撮影が今年の5月頃なので
『ピエール瀧さんが何もなければあの役だったのかな…』と余計なことも頭をよぎりました。
劇場で観れてよかったです!
主役のいない群像劇
最愛の子を守るために暴力夫を殺害した母親が刑期を終え、その事件によって人生を大きく狂わされた3兄妹の元へ15年ぶりに帰ってくる、その再会の行方を描いた舞台劇の映画化です。田中裕子、佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、佐々木蔵ノ介、筒井真理子、音尾琢磨等の一癖ある俳優連が揃いつつも、明らかに特定の主役のいない、集団群像ドラマといえます。
ただ登場人物の皆が皆、親子の柵による桎梏とトラウマを抱え、それを乗り越えられずに苦悩し、己の生き方を見つけられず踠いています。己の居場所が見つけられず、生きる道筋が定まらず、己の拠って立つ基盤を持てずフラフラと浮遊して彷徨っている、多くの現代人の表象でしょうか。
カメラも、登場人物の誰の目線でもない視座に置かれ、映像は極めて客観的に且つ冷徹に撮られ切り貼りされている印象で、恰もドキュメンタリードラマのような体裁でもあります。
また上映される122分の間、画面はひと時も静止することはなく、常に動き、そして揺れています。カメラはフィックスされず、パンしたり手持ちであったりして不安定なままです。アクションが少なく室内劇が主体となるにも関わらず、寄せカットにせず、殆どが引きカットで構成されており、誰かの感情的な抑揚よりも集団全体の空気感を画に漂わせます。多くの場合、重苦しく暗澹とした濃密な空気感であり、苦悩し踠き続ける人物たちの焦燥感と閉塞感が満ちています。
これらの視覚効果により、観客は、終始不安感と鬱屈感を昂められ、落ち着かない遣る瀬無い気持ちに晒されます。
物語の枠組みが示され、人物像が徐々に浮き上がってくる前半は台詞ばかりであり、作品の方向が見えてきた後半に漸くBGMが挿入されていくのも、効果的でした。
本作は、今、最も脂が乗っている監督の一人である白石和彌監督の、今年公開された三作目の新作です。
白石監督は、人間の心の奥底に潜むダークな本質を曝け出させ、対峙させ、そこに生じる荒ぶるドラマを作品化してきているように思います。本作もその延長線上に位置しているといえますが、「荒ぶるドラマ」まで行き着けたかについては、やや疑問です。
新手の人間模様ファンタジー
予想したほど悲痛な話ではなかった。
タクシー会社が舞台なので、傑作「月はどっちに出ている」を連想。
地方の零細タクシー会社には訳アリの人が身を寄せるものと、相場は決まっているのだろうか。
「友罪」でも、息子が起こした事故の贖罪に縛られている佐藤浩市がタクシー運転手だった。
この映画は家族再生の物語なのかもしれないが、シチュエーションが特異なので、母親にも子供たちにも共感は難しい。
とは言え、母親に対する子供たちの三者三様の感情は、あり得るかなと思わせるものはあった。
全体的にリアリティーに欠けるなと思ったら、舞台の戯曲が原作だったのですね。
タクシー会社の面々もキャラクターが極端だし、「15年後に帰ってくる」と言ったから出所しても15年になるまで放浪してた母親とか、なんだか新手のファンタジーのようだった。
母親田中裕子の行動が、いちいち大胆でおかしい。
あれだけのことを起こして「誇らしい」という自信が揺るがない強さは、母であり続けようとする決意の強さだ。
タクシー無線を使ったエピソードで、そう言えば昔はタクシーに乗っていると他の運転手と事務所の会話が聞こえていたなぁと、懐かしさを感じた。
貼り紙の嫌がらせも前時代的で、昭和感たっぷりだった。
それにしても、人の不幸が嬉しい屈折した人間は現にいる。むしろ最近は増えているか。
次男の佐藤健が、父親の暴力にはただ耐えてさえいればよかったのだと言う。
だが、男の子はやがて男となり、父親は老いていく。
体力が逆転したとき、息子が父親を殺していたかも知れない。
殺人者の子と言われてまともな生活ができなくても、暴力による拘束からは解放された。自ら殺人者となることと、どちらが不幸だっただろうか。
もしかしたら、長年の暴力で抵抗する気力さえ奪われて、自分の意思ではなにもできない大人になっていたかも知れない。
いや、父親の暴力が加速して殺されていたかもしれない。
佐々木蔵之介の暴走劇がこの子供たちに何をもたらしたのからは分からないが、結果として次男は母親を受け入れた様だ。
それはそれで、大団円として良い気持ちで観終えることができた。
黙って空を見上げる母親は、何を思っていたのだろうか。
本作は、松岡茉優と佐藤健が名だたる演技陣を相手どって、見事。
佐藤健演じる次男は、終始一貫したキャラクターだったが、松岡茉優演じる娘は物語の序盤ではアバズレっぽく描かれていたのに、母親の帰還後は少し変わって母親を慕う娘になる。
母親の寝床に甘えて入ってくるところは、「万引き家族」で偽装祖母の樹木希林に甘える演技を思い出させたが、こういう演技に彼女の魅力が一番現れる。
最近ハイスピードで作品を発表している白石和彌監督だが、多作家の某監督のように質より量に陥らないことを願うばかり。
家族の絆
良かったです。
俳優さんがみんなハマってました。
松岡茉優本当に素敵な女優さんですね。
「更に死ね」が印象的。
あとMEGUMIも良かった。
家族なのに分かりあえない。
家族だから分かりあえない。
母の罪。父の罪。息子の罪。
母が帰ったことでそれぞれがその罪に向き合ってゆく。
刑期を終えても罪は一生背負ってゆくもの。
家族はその罪に寄り添い共に生きてゆく。
田中裕子さんが圧巻です!
最高過ぎる‼️たまらん‼️ 始まりから、ドクっとする。 その後も、...
最高過ぎる‼️たまらん‼️
始まりから、ドクっとする。
その後も、どんどんどんどん感情に訴えて来る。
心がパンクしちゃう‼️
ストーリーも、演出も最高に良すぎる。
最初からラストのシーンまで、心に与えるものが非常に多いのだけれど、最後、子供の頃の3人と、大人になった3人が 車で母親を追うシーンで、観る側の感情に更に追い打ちをかけてくる。
その上で、ラストは、家族が平和に纏まり和やかなムードで締め括っているのも、もうなんとも言えない。
涙が流れて来てしまうシーンが非常に多い。
しかも、ポロポロではなく、雪崩のように涙が出て来てしまう。
親が子供を思う感情&子供が親を思う感情が、本当に上手く描かれている。
メインの家族以外に表現されている他の家族も、映画の効果を上げている。
母親として 田中さんが発する言葉は、毎回のように、染みるものが多い。
音尾さんは、このズッシリした映画の中で、和み微笑みを与えている。
佐藤健くんをはじめ、田中裕子さん、松岡茉優ちゃん、鈴木亮平くん、その他の人達も、たまらなくいい演技をしている。
100点満点を超えて、私的には、200点を付けたい作品。
ひとよ で 始まり、ひとよ で纏まる❣️
観る側の感情を抉るような作品を作る監督としては、やっぱり、白石和彌さんは、ピカイチだな。
ー追伸ー
松岡茉優ちゃんが、深夜に枕を持って、母親の元へ行き、同じお布団の中で横になり、母親の田中裕子さんに甘えながら、親子で語るシーンも、私は大好きだ。(かき氷)
ここも、親子間の愛情が非常に伝わってくる。
演技派
設定がややゆるいというか、そんなことある?的なことがいくつかあるのは一旦横に置いておいて。
俳優陣はみな素晴らしかったですね。
みないい顔して、役にハマりきっていました。
松岡茉優好きだなぁ。かわいくてかっこいい。
さらに死ね、と、復刻してんじゃねーよが
最高でした。
田中さんもとてもいいオーラだった。
自分の人生は自分で決めるんだな。
人の物事の捉え方は人それぞれ。
自分がどう思うのか、自分がどうしたいのか、
自分がしたことにどう責任を取るのか。
周りが何をいうかでも、周りがどう思うかでも
なく、自分が自分に恥じない、後悔しない
生き方をしようと思った。
迫力のある作品
役者の皆さんの迫力ある演技で作品にも迫力があった印象。
人それぞれに色々な人生があって、家族愛、夫婦愛、兄弟愛など考えさせられる作品。
本作はなかなか観られずに諦めようと思ってたけど観賞して正解でした。
相変わらず松岡茉優さんの演技が素晴らしい。カラオケも上手い(笑)
ってか皆さんの演技が凄すぎる。
三人の兄弟が本当の兄弟の様。
田中裕子さんも良かった。
三人の兄弟がタクシーに乗っているシーンが過去のそれと対比させていて印象的。
タクシーのカーチェイスも迫力がありました。
「ひとよ」のタイトルも上手い。
「人よ」と「一夜」と「人世」を表してしるのかなぁ( ´∀`)
子を思う母、路頭に迷う子供、母子の絆の意味。
タクシー会社を営む稲村家の母こはるが、夫を殺害するシーンから始まる。
最愛の3人の子どもたちの幸せのため、酒癖が悪い家庭内暴力夫から守るための犯行だった。
これで、やっと暴力から解放され自由に暮らせる!幸せになれる!、、、はずもなく、突然の殺人事件でしかも母が容疑者、父が被害者。運命を大きく狂わされた次男・雄二、長男・大樹、長女・園子。残された3人の兄妹は、事件のあったあの晩から、心に抱えた傷を隠しながら人生を歩んでいた。そして15年後、母こはるは、出所して3人の子供たちと再会する。めでたしめでたし、とはいかない。
誹謗中傷、嫌がらせ、残された子供が背負うにはあまりに重い。SNSの拡散もあったかも(それをやっちゃうと2時間では収まらないからそこは無かった)。
母こはる役の田中裕子は、見事に子供思いの肝っ玉ど根性母ちゃんを演じていた。そして、次男雄二役の佐藤健も実力派俳優と言う名が板についたいえる迫力の演技。
幸せそうに見える家族でも、一夜にして、ガラガラと音をたてて崩壊していく絆。
幸せそうに見える家族にも、いろいろな事情がある、それがいつ爆発してもおかしくない。他人事ではない!と感じたのは私だけだろうか?今一度、家族とは?と考えさせられる作品。
チグハグです
原作、脚本、演出、のやりたいことの方向性が全て違っているのではと感じた。
演劇作品特有のとんがった設定と荒っぽい展開は舞台作品ならではの魅力なのだが映画でそれをやると必然性の低下にしかならない。
これは主として脚本の責任だろう。なにをしたいのかさっぱりわからない。監督はこういうテイストで仕上げたかったのであれば手を入れるべきだった。
俳優は監督の意向だと思うが実在的な存在感を強調した演技をしていてそれはそれで素晴らしかったのだが舞台の魅力のひとつは非実在的な人物造形にある。田中裕子の役どころは多分木村伝兵衛的な要素が必要だったと思うが中途半端に終わっていた。
蒲田行進曲のようにコミカルななかに残酷さを潜ませるような作り方のほうが良かったと思う。
すべての人物に自分の欠片がある
人はどうしても、そこまでは強くなれない。だから間違いを犯すし、そしてその間違いから解放されずに縛られ続ける。そんな家族の話だ。
子どもたちの為に夫であり、子らの父を殺した母。田中裕子が演じる母は「誇らしい」と高らかに宣言し、そして約束を守り15年後に子らの前に戻り飄々と振る舞う。
彼女は強そうに見える。何かを悟った風でもある。しかし、いくつか垣間見えるシーンで彼女が、高らかに宣言した程の強さを持っていないことが感じられる。ただの女性だったはずの人が、子どもの為に過ちを犯す。本人も過ちと分かっているけれど、それを出してはいけないのだという、引き受ける者、全てを受け取者としての母親がそこに居る。
三兄妹は母の気持ちを全員受け取ってはいる。しかし表出の仕方が全員異なる。受容、拒絶、鬱屈。綺麗に分かれたその感情全てに理解できる部分がある。母が父を、自分たちの為に殺した、という事実。その後の生活にもたらされた暗さ。そして何より、「自由」は意外なほど彼らを縛る言葉だったのだ。
恥ずかしながら中盤からずっと涙が止まらなかった。何故だかは分からないが、母も、三兄妹も、他の人物も、全てにどこか感じ入る欠片が存在したからだと思う。全く理解できない者がいない。どこか分かる。人間の情の形をそこはかとなく見た気がした。
シリアス一辺倒かと思いきやくすりと笑える要素を入れたり、カーチェイスを入れたり(それも綺麗に伏線としている)、きちんと娯楽映画として機能させながら、それぞれの人の形が出ていて、やはり笑いながらも泣いてしまった。
役者が全部良い。どことなく型に嵌ったような振る舞いなのに、きちんと魅せてくるのはやはり役者の力が強いからだろう。
ハイペースで撮り続けている白石和彌監督、最近なんというか作風が安定してきたような気がする。それが喜ばしいことなのかは分からないが...。
まさかの「でらベッピン」の使い方
松岡さんはやっぱりいいな。インタビュー記事の言葉を借りれば、「頼りにならない鈴木亮平」「かっこ悪い佐藤健」であるが、松岡さんは何だろう…大洗で大笑いのヤンキーかな。ポンコツ酒乱とか。ゲロとか。墓地でのくだりとか。田中裕子も今更だがスゴイ女優だと思った。
松岡さんはベロベロでも歌上手い。選曲も後から考えると意味深か。
かつての家族を思い温かい涙が流れた
子供たちに暴力を振るう父を母が殺した。子供たちを守った自分が誇らしいと言って警察に向かった母。母を必死に追いかけたが見失った子供たち。
15年後の再会がくすぐったかった。
世間からのバッシング、そして何より時間そのものが父親に対する憎悪や母親への思いを曖昧にしたが、家族を取り戻すのに時間はかからなかった。
4人のポートレートが実にくすぐったかった。離れるときに寂しいと感じる家族。そんな家族があったことを思い出した。温かい涙が流れた。
「ひとよ」の霹靂
この映画は、ある家族に起きた「ひとよ」の霹靂から生まれた、家族の「崩壊」
そして、「ひとよ」の霹靂から生まれた、家族の「再生」を描く物語。
家族に起きた事件をそれぞれの想いで背負い、生きていく、母と三人の息子と娘。
四者四様の葛藤や想いを抱えながら、
最後には四人の想いはひとつになる。
「家族」とは、との問いを投げ掛けられたような気がしました。
別々の感情
きっかけはテレビでの撮影秘話をみての鑑賞。
開始5分で母親の衝撃的な行動からはじまり
兄弟3人が15年後事件に対して別々の感情があることが
色々な場面で感じれた。
特に中盤の3人揃ってタバコをすいながら
話していた「母が帰ってきてどう思ってるのか」
に対して
長男=変わらなければいけない
次男=無理だろ
長女=帰ってきたんだからもういいじゃん
と全員違う意見。
佐藤健の世界を憎んでるような物事を客観的にみてしまう役が毎度上手いと感じた。
と全員ちが
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