ホテル・ムンバイのレビュー・感想・評価
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テロの描き方
テロの描き方に大きな特徴を持った作品だった。この手の作品では、人質の人々の英雄的行為にスポットをあてて、テロリスト側は悪役として扱われることが多いが、この映画はテロリストの事情も描いている。家族のために命をかけるホテルのゲストに対して、テロリストも貧しい家族のために戦っていることが示唆される。ホテルの一流の食事を食べて喜んでいる姿も印象的。おそらく彼らはテロリストにならなければ、あのような一流ホテルには一生縁がなかっただろう。
この映画は、テロ報道のあり方についても考えさせられる。テロ首謀者もまたテレビ報道を逐一チェックしており、実行犯につぶさに情報を伝えている。そのせいで犠牲者が増えたと思しきシーンも描かれている。
監督はこれが長編映画初監督だそうだが、そうとは思えないほど成熟した作りになっている。リアリズムに徹した演出も見事。大変見応えある作品だ。
多民族・多宗教のインドに対する豪出身監督の誠実なまなざし
ムンバイで2008年に起きた同時多発テロ事件が題材。デヴ・パテルが演じるアルジュンは複数のホテルマンをモデルに創作されたが、勇敢で冷静な料理長などは実在し、物語の大部分は実話だという。事件直後は日本でもそれなりに報じられたはずだが、ご多分にもれず記憶にほとんど残っていない。だからこそ、ホテル従業員と宿泊客らの勇気ある行動や自己犠牲の精神を伝える本作が日本公開されたことに感謝したい。
アルジュンをシーク教徒の設定にしたのはパテルのアイデアだとか。信者のアイデンティティーであるターバンを巻いたアルジュンに、偏見の目を向ける老白人女性に返す彼の言葉が胸を打つ。本作で長編監督デビューしたアンソニー・マラスはギリシャ系オーストラリア人。脚本も共同で書き、テロ実行犯の少年たちの不安な心情も描くなど、単純に善悪を図式化せず、多様な人々の言動を通じて人間の本質に迫ろうとする誠実で真摯な姿勢が好ましい。
テロという何の前触れもなく訪れる恐怖
実話を元にした作品であったが、感動の実話!のようなドラマ系作品ではなかった。
もちろんそのような要素があるにはあるが、無理に感動的な場面を入れたりすることもなかった。
カテゴリがアクション映画になっていたので、シク教徒のインド人と、アメリカ以外に無知でバカなアメリカ人と、傲慢なロシア人が謎の共闘をみせてテロリストと戦うのかなとも思ったが、それも違った。
ではどんな作品なのかというと、無力な一般人が、無差別に殺戮を繰り返すテロリストに怯え逃げ惑う、恐怖を感じるスリラー。
いや、殺人鬼から逃げる、ただただ怖いホラーのようだった。
「お願い、殺さないで」とか「金なら払う、助けてくれ」とか、そんな映画とかドラマにありがちな命乞いをする間もないほど、呆気なく簡単に人々が殺されていく。
ドラマ的ではないからこそ、急に訪れる死に対してすごく恐怖を感じる。
思っていた感じと大分違ったものの、パニックアクションやホラーとして面白かったと思う。
【受け止められないテロ映画】
見応えのある実話ベースの作品。
実話ベースの映画。テロの場面も実にリアリティーがあり、俳優陣の演技力も見事。オーストラリア人の監督は長編が初らしいが、どちらにも偏らない素晴らしい作品に仕上がっていると思った。事件から17年経ったが、インドだけではなく世界中で格差は当時よりも遥かに拡大しているのが現実。インドの中心都市であるムンバイに特殊部隊が居ないとか、デリーから部隊を送るのに無茶苦茶時間がかかるとか国危機管理の甘さが明白となる作品でもある。(全員ではないが)ホテル従業員のプロフェッショナリズムと最後まで赤ちゃんを守り切ったナニには拍手を送りたい。ロシア人役のジェイソン・アイザックスはパトリオットの強烈な悪役ぶりが印象的な役者だが今回も見事にヒールを演じている。
不謹慎かもしれませんが
実話ベースの再現ドラマ
緊迫と高潔
ずっと手が震えてしまった
いつか観よう観ようと思いながらも、中々勇気が出ず観られなかった作品。
実話だというのだから、本当に恐ろしい。
恐怖のあまり123分間ずっと手が震え、心臓が痛いほどバクバク鳴っていて本当に辛かったけれど、実際に経験した方々は何十時間もその恐怖に晒され続け、しかも従業員の皆様は自身の安全だけでなくお客様の安全まで考え続けていたと思うと…言葉が出ません。
家族と民族を想い、吹き込まれた事を心から信じた若者達たった10人で、こんなにも沢山の犠牲者を出してしまったのですね…。
ほんとに怖かった…。
観て良かったです。
ヘトヘト。
実際のテロ事件をリアルに描き出した緊迫のサスペンスだからとんでもな...
恐怖で体が震える
こんなん、運になってしまう。。
たくさんのifが浮かび上がる内容、同時多発テロの始終を当時の映像織り交ぜ無慈悲これでもかと観客が緊迫する状態に置かれる123分。本当、長かった(実際は3日)冷静な判断力をもって旅客を導いたホテルマンに感動した。
最近観たインドにまつわる作品は長くも時間が過ぎるはあっという間であったがこの作品は...気力をかなり消耗するので元気な時にお薦め。
事実をもとにした群像劇
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イスラム教の首謀者が若い信者を使ってインドでテロを起こす。
舞台となったホテルにも10人ほどが乗り込み皆殺しを仕掛ける。
生き残った人々は何とか隠れるが、地元警察は手が出せない。
特殊部隊が田舎町にはなく、首都から来るまで待てとの指令だった。
ホテルの従業員は逃げ道を知っており、逃げることも出来た。
どうするか問われ、逃げた従業員も当然いた。
だが大半の従業員は客を救出する道を選択。
また地元警察も、指をくわえて待ってはおられず潜入。
そんなこんなで結局、一定数は生き残ることができた。
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ここでの評価が異常なほどいいから、劇場で見てみた。
確かにいい映画で、テロの恐怖が伝わって来る。
こんな事件が現実にあったってことも知ることができた。
だから見て良かったとは思ってるが、映画としては☆3つかな。
登場人物が多過ぎて、誰が主人公というわけでもない群像劇。
これは実際の事件をベースにしてんだから仕方がないが。
でもそれだけスポットを当てる点が分散してしまい、感動が少ない。
おれは主人公に感情移入しながら見たいタイプなんやなって思った。
そういう気付きも与えてくれた良い映画であることは間違いない。
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