劇場公開日 2019年8月16日

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「死生観、霊、家族、性同一性、依存症への示唆に富む豊穣な物語」命みじかし、恋せよ乙女 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0死生観、霊、家族、性同一性、依存症への示唆に富む豊穣な物語

2019年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

まず単純に、ドイツ人女性監督ドーリス・デリエが日本の文化と映画人へのリスペクトを込めた映画を作り続けていることが喜ばしい。80年代から活躍し、ドイツで最も成功した女性監督と評されるが、この20年ほどで日本を題材にした映画を5本制作(本作含む)。中でも「HANAMI」(08年)と繋がりが強い本作は一応続編の扱いだが、前作を未見でも大丈夫。

茅ヶ崎館は、かつて小津安二郎が投宿し、樹木希林も「秋刀魚の味」撮影時に杉村春子の付き人として訪れたとか。また、歌詞が邦題になった「ゴンドラの唄」は、黒澤明の「生きる」でも歌われた。さらに日独の死生観や死後の存在(身近な人の亡霊)のとらえ方についての考察も込められている。

死を控えた樹木だからこそ「生きてるんだから、幸せにならなきゃ」の言葉がしみる。国際的なダンサーの入月絢も存在感をみせるが、日本での活動を考えると清水富美加似のルックスがマイナスか。

高森 郁哉