「Kwaidan」命みじかし、恋せよ乙女 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
Kwaidan
クリックして本文を読む
少し前に「嵐電」という映画を観て、監督が感じる映画だというようなお話をしていた。
この映画は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「Kwaidan(怪談)」に収められてそうなお話で、日独にまたがって展開する。
ただ、日本古来の何か切なさ…、死んだ者とその未練、残された者と亡くなった人にもう一度会いたいという気持ちなどが巧みに散りばめられた不思議な…そう、きっと彷徨える魂の物語だと感じた。
複雑に展開する人間関係の物語は、ドイツの因習の残る、とある家庭の親子・夫婦・兄弟の葛藤、父親の戦争の苦い思い出、そして、日本では一人取り残された旅館の女将の悲しみを綴る。
ここからは勝手な僕の解釈だ。
カールの魂は生死の境にある時に、日本を訪れたのではないか。
ユウの魂は、実は、ドイツにカールの魂を迎えに来ていたのではないか。
そして、カールの魂は、旅館でユウの祖母に会い、母娘の悲しい物語を知ったのではないか。
だが、ユウにも葛藤があったのではないか。
カールの魂を向こうの世界に導こうとしながらも、もっと、あなたは生きなさいと言いたかったのではないか。
カールは、こちらの世界でもう少し生きようと決心する。
何か切なく、悲しいが、優しさを感じるストーリーだった。
樹木希林さんが役を引き受けたのもよく分かる気がした。
樹木希林さんが演じるユウの祖母の流す一筋の涙と、ゴンドラの唄の歌詞「いのち短し 恋せよ乙女 あかき唇 あせぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日は ないものを」に、何か生きることに葛藤を抱えた皆に、もっと生きなさいというメッセージが込められているように感じられて、胸が熱くなる想いがした。
コメントする