ファイティング・ファミリー

劇場公開日:2019年11月29日

解説・あらすじ

アメリカのプロレス団体WWEで一夜にしてスターの座を掴んだ女性ファイター、ペイジの実話をもとに、プロレスを通して固い絆で結ばれた家族を描いたヒューマンドラマ。ペイジとその家族を描いたドキュメンタリー「The Wrestlers:Fighting with My Family」に感銘したドウェイン・ジョンソンが、イギリスの映画製作会社Film4 Productionsとタッグを組んで映画化した。イギリス北部でレスリングジムを営むナイト一家。中学1年生の時からリングに立っている18歳のサラヤは、いつかWWEの試合に出て一家を盛り上げたいと願っていた。兄ザックもプロレス命だが、その一方で愛する彼女と結婚して普通の家庭を持ちたいとも考えている。そんなある日、WWEのトライアウトに参加した2人は、尊敬するスーパースター、ドウェイン・ジョンソンと対面を果たす。兄妹は大喜びでトレーニングに励むが、サラヤだけが次のステージに進み、フロリダへ行くことが決定し……。主人公ペイジを「トレイン・ミッション」「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー、兄ザックを「ダンケルク」のジャック・ロウデン、父パトリックを「ショーン・オブ・ザ・デッド」のニック・フロストが演じる。ドウェイン・ジョンソンも本人役で出演。「蜘蛛の巣を払う女」などに俳優として出演したスティーブン・マーチャントが監督・脚本を手がけた。

2019年製作/108分/G/アメリカ
原題または英題:Fighting with My Family
配給:パルコ
劇場公開日:2019年11月29日

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(C)2019 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC., WWE STUDIOS FINANCE CORP. AND FILM4, A DIVISION OF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

映画レビュー

4.0 イギリス映画らしい渋いドラマ

2020年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

プロレスという題材に、メインビジュアルにドウェイン・ジョンソンがデカデカと載っているために、派手なハリウッド映画かと思ったが、1つの家族の絆と夢を追いかけた、泥臭さももじった渋めのドラマで、イギリス映画の十八番の階級社会の下の人々の悲哀をユーモア混じりに描いた人間ドラマだ。
一家でプロレス興行をする家族は、地元の悪ガキたちにプロレスを教えて、小さな興行で糊口をしのいでいる。放っておけばヤクの売人になってしまいそうな若者たちに生きる糧を提供しているのだ。そんな家族の長女と長男はともにWWEのテストを受けるが、長女だけ合格し、家族思いの長女は複雑な想いを抱えながら単身渡米する。
プロレスは虚構だが、本物じゃないと見てもらえないというドウェイン・ジョンソンの言葉が印象的だ。虚構のプロレスで本当の自分を見つけようとあがく彼女の姿は多くの人が応援するだろう。プロレスシーンも本格的で素晴らしかった。

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共感した! 6件)
杉本穂高

4.0 プロレスってだけで泣けてくるんですよね……

2025年11月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

興奮

カワイイ

私はこれまでにも「ミッドサマー」(19年)や「オッペンハイマー」(23年)など、フローレンス・ピューの出演作自体はいくつか見ていたのですが、「サンダーボルツ*」(25年)を観てようやく「これがフローレンス・ピューかぁ~」と、その存在を認識したのです。しかし映画をよく観る人の間ではもう既に相当の注目株だったそうで、普段こちらで仲良くしてくださっている、私の何倍も映画を鑑賞されているレビュアーさんの紹介で知った本作。しかも本作で描かれるのは一夜にして世界のトップ団体の頂点を掴んだプロレスラーの半生という事で、これは是非にと鑑賞したのです。その結果これがまたいい映画だったので、今回も本作を紹介してくださったレビュアーさんへの感謝と共に書いていきたいと思います。

この映画には夢と居場所を求める若者の迷いと挫折、そしてひた向きな情熱があり、家族との軋轢と絆があり、若者が挑む厳しい世界と試練があり、そしてその挑戦の先にようやく世界が開かれていくという至ってシンプルな王道サクセスストーリーです。出てくる登場人物達も本当に実在するのか?と疑いたくなるほど物語の登場人物としてハマっており、特に主人公:サラヤの兄であるザックの存在は、その心情を思うと胸が締めつけられはするものの、物語上では実に美味しい役回りなのです。この映画の面白さはザックの存在があればこそといっても過言ではないと個人的には思うのです。まぁ実話を基にしているとはいえ映画をより魅力的にするための幾つかの創作はあるのだろうとは思うのですが、そのどこまでが作り物でどこからが本物なのか?という虚実入り乱れたショーというものは、それこそプロレスであり、プロレスの最大の魅力なのです。なので本作はそういう意味でもとてもプロレスらしい映画と言えます。

主人公サラヤの家族はイギリスはノリッジで活動する超弱小プロレス団体を経営しており、映画は彼女が両親に懇願されてプロレスデビューを果すところから始まります。『初めての相手だとドジるから嫌だ』と難色を示すサラヤに兄のザックが『僕が相手をする』と申し出ます。覆面を被り性別を偽ってリングに上がるザック。100人入ればいいかな?程度の小さな会場でもガラガラの客席。まばらな入りの客席を相手に試合をする兄妹。渋々リングでファイトするサラヤでしたが自分の一挙手一投足に観客が歓声を上げる事に段々満更でもなくなっていきます。一閃ザックの攻撃でリングに受け身をとると、一気に時間が経過し画面には成長したサラヤ:フローレンス・ピューが映し出され、同時に鳴りだすモトリー・クルーの「Wild Side」(87年)!インストヴァージョンなのが少々残念ですがやっぱりプロレスとヘヴィメタルの親和性は抜群です!オープニングのほんの短い尺ではあるのですが、その中でプロレスラーという人種が碌な稼ぎにならなくても危険を顧みずにプロレスを続けるのは観客の歓声(時に罵声)を浴びる事が中毒になってしまっているからだという事がよく分かるシーンです。実際これだけ日常からプロレスが縁遠くなった日本にも未だに無数のプロレス団体が存在しますが、ほんの一握りの団体を除けばこのオープニングのサラヤの団体と同じような規模、客入りで細々と活動を続けているのです。
そんなんで食べていけるの?という話ですが、大抵のレスラーは副業を掛け持ちしていたりするのです。そうまでしてプロレスを続けるのですから本当にプロレスが好き…というか憑りつかれてしまっているような人達なのです。(もちろん他に稼ぐ当てがないから仕方なく…というレスラーもいますがそんな人は観客を湧かす事ができずに長続きしない印象です。)

プロレス興行のビラを配るピューと連れの女の子。同じ年頃の女の子にビラを差し出すと浴びせられる強烈なプロレスへの偏見。彼女たちは実際にはプロレスを見た事はないがプロレスは嫌いだと断言します。ピューが彼女たちに軽く言い返したせいもあるのですが『フリーク(異常者)』と捨て台詞を吐いて立ち去る彼女たち。イギリスのプロレス事情は知りませんが、どうやら日本とそう変わりはない様子で、このあまりにプロレスと世間の関係を正確に捉えたシーンからしてもう泣けてくるのです。
しかしプロレスに対する世間の無理解、偏見はあながち見当外れではありません。確かにプロレスとはそもそもいかがわしい見世物であり、プロレスラーにまつわる数々のエピソードやスキャンダルを聞くに、とてもお近づきにはなりたくない人種である事は確かなのです。本作におけるピューの家族だって問題だらけです。
そんな世間が良しとする価値観とは何故だか相容れなくて、はみ出し、こぼれ落ちてしまった人間たち。「Love & Peace」より「Seek & Destroy」の方が性にあってしまう、そんな“フリーク”たちがギリギリ社会秩序の範囲以内に踏みとどまる事が出来るのもプロレスという居場所があるからこそなのです。
映画の舞台となっている正確な時代はわかりませんし、ただの映画の演出かも知れませんが、ブリットポップやエレクトロニカ等の音楽ムーブメントを経た後の、2000年代以降のイギリスでアイアン・メイデンの「Bring Your Daughter... to the Slaughter」(89年)やモーターヘッドの「Born to Raise Hell」(93年)をバンの中で大合唱する子供たちがフリークでない訳がありません!でもみんな楽しそうでいいんですよね。やっぱり子供の情操教育にはプロレスとヘヴィメタルが必要なんですよ。ヒップホップダンスを義務教育で履修させている場合じゃありません!(ちなみに両曲ともかつて映画に提供された楽曲で、「Bring Your~」は『エルム街の悪夢5 ザ・ドリームチャイルド』(89年)に、「Born to~」は『ハードロック・ハイジャック』(94年でスティーブ・ブシェミも出ています)です)

この映画のホンのさわりの部分の描写を見るにイギリスと日本のプロレス事情とそこに集まる人々の質は割と似ている気がするのですが、世界のトップ団体であるWWEがあるアメリカでのそれらはどうやら少し異なる印象を受けます。イギリスで行われたWWEのトライアウトに唯一合格したサラヤが単身渡米し、そこで出会うアメリカ人の練習生たち。モデルやチアリーダーあがりの彼女らは明るく社交的でサラヤのイギリス英語に興味津々です。英語のヒヤリングがてんでダメな私はこの米英の発音の違いの演技がどれ程の物か全くわからないのが残念ですが、とにかくプロレスの技量自体は自分の方が上なのに彼女らの恵まれた体格に体力、人目を惹く華やかな雰囲気に劣等感を募らせ孤立していくサラヤ。そもそもサラヤは一見勝ち気な性格なのですが自身のリングネームの『ペイジ』はドラマシリーズ「チャームド ~魔女3姉妹~」(98年~06年)に登場する魔女の名前から取っているという、なんともオタク的なところがあるのです。日本の特定の世代の多くのプロレスラーやそのファンも一見粗野で乱暴な雰囲気ですが、そこはかとなくオタク臭が漂う人種なので、このサラヤの性格にはとてもシンパシーを感じるのです。わかりやすく迷走し自分を見失う様の痛々しさも含めて実にいいキャラしているサラヤ。それをフローレンス・ピューが正に体当たりで好演しているのです。

欲を言えばサラヤがレスラーとしていかに優れているのかがもっとわかりやすく表現されていればなぁ…とも思わなくはないのですが、この規模の映画でお馴染みの(失礼!)ヴィンス・ヴォーンもいい味出してますし、イギリスから来た黒い髪とアイメイクのサラヤに観客が『オジー・オズボーン(25年没)』とヤジを飛ばしたり、まさか本物から電話がかかってくると思っていないサラヤの父親が電話の相手に『俺はヴィン・ディーゼル』と返す小ネタも効いています。

多くの者がその夢の舞台に立つ事を望みながらも数多の試練を越えてそこへ辿り着けるのはほんの一握りの選ばれた者のみ。選ばれた者は選ばれなかった者の無念に報いるためにも簡単には諦められない厳しさも描かれ、それでも最後はとても爽やかな気分にしてくれる。そんな作品なのです。

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共感した! 9件)
モアイ

4.0 拾い物

2025年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

最初にびっくりしたのは若い女性が多かったこと。TOHOの日比谷で観ましたが、半分くらい女性だったです。プロレスマニアや格闘技好きなオッサン連中が多いと決めてかかっていたのでちょっと意外に思いました。

ストーリーは、ペイジ・ターナーがイギリスで家族経営のインディーズ団体からWWEのトライアウトを受けて王座を取るところまでですが、そこまでのストーリーはWWEらしいというか、事実を踏まえながらも面白く、わかりやすく演出していて興味深いものでした。登場人物のキャラをしっかりと表現して、全体的にははっちゃけながらもきちんと要所を押さえてくるのはプロレスの演出と同様にさすがでした。

ただですねえ、”If you smell what The Rock is cookin’!”の字幕に納得がいきませんでしたw

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zem_movie_review

4.0 家族愛

2024年9月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

興奮

幸せ

ぷろれすには全く興味ないですが、めちゃよかった。
フローレンス・ピューがほんといいのとこういうサクセスストーリーは好きです。
周りを味方につける魅力ってのがほんと大事だと思いました。あと兄役のザックがいい味といいところを演じていたのがとても光った。

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共感した! 2件)
たけお

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