「狂おしいほどの愛が静かに刺さる」窮鼠はチーズの夢を見る ごーるどとまとさんの映画レビュー(感想・評価)
狂おしいほどの愛が静かに刺さる
女性も含めてどの登場人物にも感情移入はできないけれど(勿論する必要は無い)成田凌演じる今ヶ瀬は魅力的だったな。対する大倉忠義演じる大伴は優柔不断で流されるまま、まぁかなりのクズっぷり。
2人のラブシーンは過激というより「そこも描写しちゃいます?」っていうリアルな部分もあり。
始まってすぐに(これはブエノスアイレスへのオマージュ?)と思い始め、20年以上前に観た「ブエノスアイレス」のことばかり考えてしまった。ウォン・カーウァイ監督作の中で一番好きだった作品。戯れあったり嫉妬したり喧嘩したり、ゲイの恋愛も男女の恋愛と何ら変わらないんだな、という当たり前のことに気づかされイグアスの滝のシーンに涙が止まらなかった。今観るとまた違った感情が生まれるのかな?
当時あまりに衝撃が強かった「ブエノスアイレス」とどうしても比べてしまうけど。
灰皿、ジッポ、カーテンなどの小物や掃除したりゲイバーに行ったり椅子を見つめたりという行動・動きで感情を表す演出がすごく生きていた。
苦しい程に人を愛した記憶が蘇る作品。
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