嘘八百 京町ロワイヤルのレビュー・感想・評価
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馴れ合い芝居
前作同様、骨董詐欺コメディ、歴とした犯罪なのだが巨悪を小悪が倒すというか毒をもって毒を制す小気味よさで犯罪感を薄めています。「お宝鑑定団」の影響もあり骨董好きにはたまらない映画かもしれません。古物商の中井貴一さんと陶芸作家の佐々木蔵之介さんの腐れ縁が肝ですから一作目からご覧になった方がよいでしょう。
一作目は利休でしたが塚地さん扮する学芸員のモデル、堺市博物館、さかい利晶の杜の矢内一磨さんの協力、監修もありもっともらしい架空の名器「黒織部はたかけ」が登場。
骨董品は不案内ですが織部焼は美形を廃し野趣を尊んだ作風のようですね、織部焼を選んだのは器の独特のゆがみと人のこころにある歪みを掛けているようです。
それにしても詐欺師もののサスペンス感とお笑いを混ぜるのは難しい、どうしても緊迫感が薄くなりますし、いまだに喜劇と言うとオーバーアクションで笑いを取りに行く役者さんが多く興醒めです。文化財保護を隠れ蓑にした贋作工場など大風呂敷を広げたのにうやむや、打ち上げで盛り上がるだけではすっきりしません。騙し討ちの手口も稚拙だし頭を使っているところが見えません。喜劇に寄せるのも結構ですがコンゲームならではのカタルシスも物足りない。
最後に広末親子まで如何わしく描いて終わるのはやりすぎ、これでは息子も将来、詐欺師かと思えて不憫です、嘘八百ならひとつ位は綺麗な嘘のままでも良いでしょう・・。
陶芸作品の価値
次回作待ち遠しい
個人的な名シーンは…
友近良いです。
痛快
コン・ゲーム?
堺を舞台にした千利休所縁の幻の茶器を巡る、骨董焼き物の裏の世界を描いてヒットした前作(『嘘八百』(2017年))を受けて制作された続編が本作です。
いわゆる騙し騙される“コン・ゲーム”映画ですが、続編ながら、冒頭イントロのカットが細かく割られ、次々とシーンが展開し、息つく間がなく小気味よいテンポで物語に導かれる処は、大いに期待を抱かせます。
サブタイトルにあるように今回は京都が舞台で、千利休の後継者である、武人にして茶人の古田織部の幻の茶器を巡る虚々実々の駆け引きが見もののはずですが、登場人物と舞台設定の全容が明らかになって以降は、騙す仕掛けやその来歴の説明カットの長回しが多く映像が饒舌になり、徐々にテンポが弛緩して間怠くなってしまいます。
コン・ゲームの核心は、相手を如何に手際よく鮮やかに騙すか、もさることながら、それ以上に観客を如何に出し抜き、アッと驚かせるかの手練手管の巧みな痛快さにあります。
本作は、前作同様に、詐欺グループメンバーの家族描写が多く、また騙す相手の狡猾さと辣腕ぶりによって醸し出される嫌悪感、即ち極悪ぶりの表現がやや不十分で、また騙す手口も切れ味が鈍く意外性も弱いため、勧善懲悪のカタルシスによる痛快感や爽快感も満足いくものではありません。
茶器を巡る口上と会話が多くなるため、寄せカットが多くなるのは已む無いながら、緊迫感が欠けるカット回しが多かったように思います。
京都の彼方此方でロケが行われており、京都の持つ妖しき怪しさが本編を通じて映像に漂っているのは評価できます。中でも東本願寺飛地境内・渉成園での庭遠景・室内各々のシーンは圧巻でした。ただ騙す仕掛けが決まる、この渉成園でのクライマックスは極めて冗長で、且つスマートなオチではなく情緒的な長回しのために、折角のこのシーンが辛気臭く退屈にも感じてしまいます。
また中井貴一、佐々木蔵ノ介の主役二人以外の登場人物のキャラ立てが弱く見えます。コン・ゲームという映画の性格上、極端にエッジを効かせても良いのではないかと思います。特に騙され役の悪党役二人(加藤雅也・龍雷太)は、もっと厭らしいワル設定が望ましいのではないかと思うしだいです。
尚、ラストで登場した豪華クルーズ船が、何と奇しくも例の「ダイヤモンド・プリンセス」であったのは、撮影時には予測も出来なかった因縁であり、本作にとってケチの始まりにして儚き運命であったといえましょうか。
鰌(ドジョウ)って・・・彼は獺(カワウソ)。某首相が好きなのは「獺祭(だっさい)」
残念なところは坂田利夫師匠が手と足を交互に動かすギャグがカウンターに隠れてしまって見えなかったこと。嬉しかったのは前作に続き田宮兄弟コンビが復活(一緒には映ってないが)していたことだろうか。タミヤのプラモデルってのも伏線の一つか??
前作もTV向けというか、スケールがそれほど大スクリーン向けではないと感じていたのですが、今作での大画面臨場感は最後に出てくるクルーズ船だけだったかもしれません。京都にも行きたいし、クルーズ船にも乗ってみたい。終わってみればスッキリはするものの、やっぱりこじんまりとした印象が残ります。その地味さ加減はスタッフたちの報酬が1万円と飲み食べ放題だけだったというところにも表れてたでしょうか。
今作では最初から贋作感がいっぱい。広末涼子は嫌いというほどの女優さんではないのですが、和服が似合わなすぎる気がします。一転して、クラブのホステスを演じているところでは凄く似合ってました。まぁ、和服も詐欺師っぽい演技の一つだと言われれば文句のつけどころもなくなるのですが・・・。
そんな地味さの中で、出番は少なかったものの佐輔の息子がメイクアップ・アーティストになっていたところに映画愛を感じることができます。「トム・サヴィーニを超えてやる!」という言葉。実際にはオスカーを二度獲得している辻一弘(現カズ・ヒロ)もいることですし、もっとゾンビメイクを打ち出しても良かったかと思います。これも贋作の一つ!日本映画の誇るべきジャンルになることを願いつつ、帰路の車中では「ダイアモンドだね~♪」byプリプリを思いっきり歌っている自分がいました。
嘘も立派な詐欺罪でっせ
新作が公開されるということで、Netflixにて改めて鑑賞(2022年12月22日)。やっぱり、この作品が好きだ!ストーリーの面白さはもちろんのこと、話の構成も、キャラクターも、すごく秀逸で、最高に面白い!武正晴監督の底力が見られました。
冒頭から「この映画、当たりじゃない?」雰囲気満載で、そのウキウキを最後まで離さずに楽しませてくれる本作。〈嘘八百〉〈陶芸〉〈骨董品〉〈詐欺〉という要素をこれ以上無いほどに上手く絡み合わせて、少々安っぼさはあるものの、とても見やすく、非常にいい作品となっている。2作品目にしてこの面白さを提供してくれるとは...あっぱれ。
騙し、騙されの、大どんでん返しも、もちろん最高に面白いのだけど、広末涼子、山田裕貴、竜雷太、加藤雅也のキャラクターが濃ゆくて、ビックリするくらい見応えがある。1作品目からのキャラも魅力が最大限発揮されているし、役者も演じていてすごく楽しそうで、見ているこっちも楽しい。よくもまぁ、こんなにいい脚本を考えつくものです。
あともう一押し欲しかった感はあるけれど、2回目見てもかなり満足度の高い作品でした。この映画見て思ったのは、映画ってキャラクター設定がすごい大事なんだなって。またこのメンツで新作やって欲しいな笑
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