「葉→歯」サイダーのように言葉が湧き上がる いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
葉→歯
画調とすると、イラストレーター鈴木英人又はわたせせいぞうといった、カラリと湿度の低いアメリカ西海岸を思い起こさせるようなイメージである そこに日本の"俳句"を織り交ぜながら、ボーイミーツガールなドラマが繰広げられるドラマに仕上がっている そんな難しい入り組んだストーリーではなく、お互いコンプレックスを抱いた男女が、グループホームに参加しているお爺さんの願いを叶えるために協力するという縦糸、そして男の子は近く引越ししてしまうことを告げられずに日々が過ぎるという横糸 コンプレックスの内容が、女の子は出っ歯、そして男の子は極度の赤面症 お爺さんが探しているレコードの謎も含めて、細かい所の伏線回収は、確かに観賞していて腑に落ち、カタルシスは感じる 余りにも関連性を繫げ過ぎるので或る意味ご都合主義と言われればそれまでだが、この手の青春モノだからこういう夢があってもよいとは思う
巧いアイデアは、これを田舎の巨大スーパーモールの中でほぼ完結するコンセプトを考え出したこと 対極である、それぞれの家(男の子、女の子、お爺さん)との往復のみで、他のロケーションはほぼ出ないという集中的な空間は、観客を飽きさせない演出にもなっているのではないだろうか
俳句に関しては、一寸"ダジャレ"的要素もあって、言葉を一つの定形に設えるというのも、こういう集中化としても一役買っているのかも知れない
冒頭から13分程の印象シーンで、勤務終了を知らせるホーム内の壁掛時計の模様、これを謎解きの鍵にするというのも、中々のアイデアであり、こう言う細かい芸当は制作側の真摯を感じられて、ポジティヴな作品であると強く感じる
とはいえ、好みかと言えば自分は逆なので(苦笑