「重い現実をラテンのビートが彩る」イン・ザ・ハイツ N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
重い現実をラテンのビートが彩る
日本にいるせいか「移民」という言葉がピンとこなかった。
だが本作をみるうちにも、縁遠かった言葉が身近と迫ってくる。
そんなラテン系移民が住まう町を舞台にした群像劇が本作だ。
華麗なラテンミュージックに合わせて、全編ミュージカル仕立てと華やかに構成されている。
貧困や差別に喘ぎ、不法移民もいれば、だからこそ尊厳を持って日々を送る登場人物たちはひたむきだ。
そこにミュージカルながらリアルを感じるのは、作品自体が社会問題を真正面から扱うべく企画されたものだからだろう。
また移民としてやってきたところで二世、三世となればもう、本人にとってはそこがホームタウンのようなものである。
だがそれでも「移民」とくくられるとき彼らのアイデンティティに、
日本人として日本に住む限り、在れば得られるようなものと違い、
自ら掴み取らねばならないタフさを、ハンディキャップを感じて止まなかった。
なるほどこれが「移民」か、と。
ただ中で奮闘する姿へはだからして、応援せずにはおれなくなる。
同時に「幸せに生きる」とはどういうことなのか、についても考えさせられる1本だった。
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