ジョーカーのレビュー・感想・評価
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もしも自分が…
怖かった。ホラーとかそういう怖さではない。
誰にでも辛いこと苦しいことはある。些細なことなら乗り切れるが、ごく稀にそれが積み重なり嫌になることがある。だが、家族、恋人、あるいは友人が救ってくれる。
ただ彼は違う。友人に裏切られ、恋人に裏切られる(現実なのかはわからない)。そして最後には家族にも。
そんなこと耐えられるわけがない。
アーサーという優しい1人の人間が転落する物語のように見えるが、それは違う。
これはアーサーの成長と成功の物語だ。
「この人生以上に硬貨(高価)な死を」
この言葉の通りアーサーは高価な死を(生物としてではく人間として)手に入れることが出来たと、目的を達成できたと考える。
音楽も演技もとても惹き付けられた。
隣の女性は終盤顔を覆うことが多かったし途中で女子高生は退出していた。
適当な気持ちで見るとただ辛いだけで終わってしまうと思う。
世界のどこかでJOKERの種は芽生えようとしているかもしれない。そう思った。知らない誰かかも、日本人かも、友人かも、家族かも、私かも…。それが、怖い。
守るものがあるということ
社会生活を営む人間は、守るものがあることで常にルールに縛られていということを意識させられる映画。
強い者とは守るものが多い者である。
ルールを守ることによって人はその持ち物は守られている。
それに対して弱い者がとりうる抵抗、自分の存在を主張する手段とはノーガード戦法、ルールを無視した戦い(テロ)である。
人は、特に映画館に足を運べるような層は、守るものがあることの幸せさを知っていて、身近に壊されたくないものがある。そして、守るものがない人に対して同情できる。感情移入できる。
一方で、自らが抑圧されている存在として、憤りもあるし開放されることへの憧れもある。
ゆえに、JOKERに対して相反した感情を持たされる。
強すぎてとてもストレスのかかる映画であったが、観る価値のある映画であった。
不幸の連鎖が招く悲劇
周りに凄く良かったと言われるほど足が遠のいていた作品。
信じていた者に次々と裏切られていく姿が切ない。たぶん裏切られていくだけでは、ジョーカーに成り得なかったのかなと。
彼が抱える不満と彼以外の人が社会に対して抱える不満がマッチし、彼が暴動の象徴に祭りあげられたことで、ジョーカーが誕生したと思いました。
ただし、ジョーカー自身は社会に異を唱えるとかには興味なくて、あくまで自身の不満が中心になっているのが、僕たちの知る一匹狼のジョーカーの姿を上手く表しているなと感じます。
ただ、この作品は、ジョーカーがどうなるのかというオチを知っているからこそ、その過程を楽しめる作品で、ジョーカーを知らない人が観たら少し長く感じる部分もあるかもしれません。
是非劇場で確認してみてください❗️
エネルギーがある映画
ここまで魅せられるのか…
かわいそうなおじさんの話
評論家連中に絶賛の嵐のようなので観に行ったけど、つまらんかった。
曰く、この映画を楽しめない人はジョーカーに「悪のカリスマ」を期待したせいだという。
でもそれは僕にはあてはまらない。特にダークナイトに思い入れもないし、哀れなホアキンフェニックスの話という触れ込みだったので、そうだと信じて映画館に行った。
で、その通りだった。なんの意外性もなく。
不幸な境遇の男が、銃を手に入れる。ヴィランの話なんだから、それだけでどういう展開になるのか想像がつく。
現実と妄想の区別が曖昧なんて使い古された手法だし、こんな奴に彼女ができるなんて不自然すぎるだろうと思ってたら妄想でしたってことで逆に納得がいったし、あんなのがテレビに呼ばれるなんて非現実的だし、夢オチなんて最低だ。
現代の社会問題をどうのこうの言うのもあるが、そんなもんこの映画の下敷きになった「タクシードライバー」の時代からある話で、なんの目新しさも感じない。
ここに書いたことも別にネタバレに値しないことだと思ってる。
正直、なんでこの映画がこんなに高評価なのか困惑している。煽りではなく、本当にどこが面白いのかおしえてほしい。
僕の見方が悪かったのか、IQが足りなかったのか。評価している人は社会的弱者か、ジョーカーに感情移入できたということなのだろうか。
納得です☺️
ジョーカーと言えばヒース・レジャーが演じたダークナイトでのそれが印象に残っています。あの気味の悪さがこうして生まれたのかと、妙に納得させられました。元々、万人が生理的に受け付けないタイプなんだけど、さらに劣悪な環境で育つことで非情な人間にならざるを得ない、ジョーカーになることが必然なんだなと。
でも彼に同情の気持ちは生まれませんでした。それが、この映画のすごい所かなと思います。可哀そうだけど、こんな奴許せない、だからバットマンどうかやっつけてくれってなるんですよね。
映画館を出たら、きれいな道路や駅、真面目そうな普通の人々が目に入ってきてホッとしました。でもこの日本にもジョーカー予備軍がいるんだろうなとも思いました。
想像力を働かせ他人の苦しみを理解してあげられるのも人間だし、一方的な思い込みで他人を傷つけてしまうのも人間なわけで。ジョーカーが生まれないよう、思い込みよりも想像力が勝る人になろうなんて思いました!
人生は喜劇だ
悲劇を喜劇に変える格好良さ。
フォアキンフェニックス。可愛く愛嬌のある道化の姿、ただただ愛を渇望する無垢な子供の様な表情。ジョーカーとなった姿のキマった格好良さ。
何か分からないけどゾクゾクする格好良さ。
悪のカリスマと呼ばれる所以が判ります。
チープに言うと、イジメられっ子の復讐劇。
社会から虐げられ続けた怒りの、暴力的欲望。
その化身がジョーカー。
笑えなくても笑うんだな。
生きていく為に。
それもまた、力強い人の姿だなと。
自殺するか、ジョーカーとなるか。
己の人生を悲劇と幕を下ろすか、イかれた喜劇に変えるか。
イジメ相談室でおススメ映画として紹介するべき映画。
人は格好良く生まれ変われる。
ファーストカットからラストカットまで、印象的で素晴らしい。
スラップスティックコメディの様なラストカット、
アーサーは単に狂った殺人者では無く、彼が憧れたコメディアンその者だった。
悪意に満ちた救いのない地獄
ただみんなを喜ばせたい、笑顔にしたい。
そんな純粋でやさしい一人の男が、
馬鹿にされ、さらされ、笑われる。
子供も大人もみんなそろって、マジョリティだけが正しい、偉大だと思い、
マイノリティを迫害する。
暗く悲しい物語の中で、女手一人で育ててくれた母、
同じアパートに住む恋人のシングルマザーだけは
アーサーを愛してくれる存在かと思っていたのに、
実は母とは血縁関係になく、過去ひどい虐待を受けていた。
そして恋人は、アーサーの妄想に過ぎなかった。
すべてを失い孤独になったアーサーは、社会への復讐をする、
冷血で恐ろしいサイコパスになってしまう。
ひたすらにずっと暗いが、
物語構成、映像、演技、そして最後の階段でのダンスシーンは圧巻だった。
劇場で見てよかったが、しばらく重いものが心に残った。
生まれたてのジョーカーとして
現代情勢に一石を投じる
治安の悪さ、現代の格差社会の不満をゴッサムシティといて表してるかのようだった。救いがないというか、絶望連鎖、一度はまったら抜け出せない恐ろしさ、決断したのは本人だが、そこまでの行動で社会全体の雰囲気がそうさせてしまったと思う。ダークナイトでのジョーカーと比べるとまだまだ誕生したばかりなんだと思うが、人はどんどん変わってしまってしまうのだと思うと恐ろしいなと感じる。それにしても俳優の演技力はすごいな。
苦しみをかき消すための笑い声が胸を締めつける
評価が分かれていたからどうかと思ったが、心配する必要はなかった。傑作中の傑作と言っていい。
アーサーは最初から最後まで狂ってるとかいうレビューもあったが、間違ってる。
本当に狂ったのはラスト。血でメイクをした場面から。そこまでは、この狂った世の中で、何とか正気を保つために、心と体が狂うことを求めている状態だ。
その繊細な心理描写を可能にしたホアキンフェニックスは本当に素晴らしかった。あんなにいい役者だったんだなと感嘆した。
話はジョーカーの誕生秘話な訳だが、これでもかというくらい現実社会とリンクする。
格差が拡大しスラム化した街、それを肯定する大企業、倫理観の欠片もない少年たち、非正規を足切りするブラック企業、里父と実母のネグレクト。
アメリカだけじゃない。ここ近年、日本で起きた事件の背景とまるで変わらない。これはゴッサムの話ではなく、すぐそばの話なわけだ。
この映画をつまらないと思う人は、現実の社会問題を直視できていないからだろう。自分とは違う他人事、自分はこうはならない、その人たちの状況や気持ちを理解しようともしない。その能力に欠けているからだ。
これがあの天才ジョーカーの話なのか、というレビューもある。そう思うのは、そもそもダークナイトのジョーカーの理解が浅いからだろう。
あの作品でジョーカーは、正義に対する悪のアイコンとして描かれる。だから「You complete me」という台詞になる。
あくまでジョーカーは悪の思想家であり、ある種の狂気で、社会に矛盾を突きつける役割である。だから、彼はあくまでアイコンであり、ジョーカーの狂気に触れて、計画化し、実行するのはジョーカーの同志、マフィアたちだ。だからジョーカーは犯罪者として天才なのではない。自分が見てきて、受けてきた社会の苦痛を世の中に見せつけているに過ぎない。そこに彼の孤高さと苦しさがある。
今作で、マレーは、社会の状況によって、ジョーカーが現れたと語る。
その喜劇的な狂気の発想で、これから様々な社会の矛盾を社会に突きつけ続けるだろう。
そして、もはや現実社会の中で、多かれ少なかれ、ジョーカーたちは姿を現し始めているのだ。
グロテスクな孤独
バットマン見たことないですが、評判の高さにつられて見てきました。
ラストでお面ピエロに両親殺された男の子が、のちのバットマンなんですよね?多分。そこはピンときましたよ。やるね、あたし。ブルースくん?だったかな。
アーサーがジョーカーになった境目はおそらく母(養母)を殺した瞬間かなぁと。
アーサーは愛されたかったんだと思います。母に、父に、誰かに。
愛されたくて、できることは頑張った。少なくとも母には。
なのに、実は養母で、ネグレクトされ虐待されていて、そのせいでアーサーにも重い精神疾患がある(とあたしは解釈した)。必死で愛される未来を夢見て生きてきたのに。事実を知ったときには、絶望しか残ってなかった。こんな悲しい話ある?捻れて捻れて悪のカリスマになっちゃったとして、責められる?
ジョーカーになって、マレーの番組に向かう途中、階段を踊りながら降りるシーンがありますが、最高にカッコ良かったです。ニューヨークにある階段らしいですが、行ってみたいなー。あんなに足上がらんけど、ボーダーの靴下履いてポーズ取りたくなりました。
関連作との繋がりとか、キャラの矛盾点とかは、ぜーんぜんわかりません。独立した1つの映画としてみると、孤独な男の顛末が、グロテスクだけどシャープな印象で描かれていて。見応えがありました。
ホアキンね、ウディアレンの映画とかではなかなかにメタボなボディだったのに、かなり絞ってて、しかも筋肉つけずに痩せてるから、背骨のボコボコとかめちゃ目立っていて、造形だけで悲しげな男を表現してまして、凄いなぁと思いました。
笑いが止まらない病気って、辛すぎるよね…
ミーハー発揮して見に行ってよかったです。
善良な市民とは
狂演。迫力すごい。映画賞は好きだよねこういう、キャラに飲み込まれたような演者を高評価するの。皮肉じゃなく。私もそうだし。
キャラっていう言葉出したけど、確かにコミックのキャラであるジョーカーからは抜けてしまったと思う。だからいい。これはジョーカーじゃないだあーだこうだ言ってもらって、良くても悪くても皆でダークナイあたりを見直して、DCコミックのカッコよさ再確認してくれれば、そうそれでいいのだ。
あえて触れるなら、アーサーが今後、いままでのような狂喜的で知的で魅力的なカッコいいジョーカーにならないとしても、この騒動によって産まれた沢山のピエロが全員ジョーカーであるって事でいいのではと思う。あのデモを起こした全員がジョーカーになりうるんだよ。こんなにワクワクして、恐ろしいことはない。引き金を弾いた本人に信念などないがゆえに、より一層怖い。
あのエンディングで、もしかして全部妄想だったのかもと思ったりもした。誰かを殺したいと思ったり、死ねって思ったことあるじゃない。そういう皆の中にもある、一つのジョーカーの話だったのかなとか。
個人的には、シリーズやコミックから切り離して見つつ、オマージュと分かるところは分かって楽しめたから、バッドマンシリーズのジョーカーじゃない云々でうっすい議論するのは勿体ない気がする。完全に日本の売り方が良くない。まぁ見てもらえたらいいんだからあってるっちゃあってるけど。
しかし苦しい映画だった。アーサーって自分からは誰も傷付けようとしてないじゃない。あんなお母さんにすら当たったことない。いつも笑って、笑って、抑えて、笑って、頼れる誰かも、国の補助が無くなって、警察まで電車内の市民に拳銃を振りかざし、光に見えたお父さんと、お母さんの正体で、更なる孤独と貧困の果て。
映画を見て、彼を救えると思えた人なんて居るんだろうか。私はあそこまでの貧困を想像できないほど、幸せなところにいる。
今の世の中だと思った。いま、どこの国もゴッサムシティになりつつある。日本だって、来年のオリンピックが終わってからが恐ろしくて仕方ない。誰が引き金を弾くかなんて分からないし、どう進行を止めるかも分からない。ぶち壊して良くなるとも思えないけど、ぶち壊そうとしなくてもあぁなったんだから時間の問題だと思う。
もう一回しっかりみたい。
紛れもなく名作
病的
骨の髄まで愛するか、もしくは唾棄するか
愛するか打ち捨てるか、どちらかしかない映画。しかしこれぞ映画、という感じがする。
最近は、映画なのか道徳の教科書なのかわからないような作品が多かった。
もしくは「大多数の好みはコレ」「無難なのはコレ」といったふうに安全パイをつなぎ合わせたストーリーと派手なCGで構成されたやつ。
それらを否定する気はないです。
そういうのがデートで観に行くには最適でしょうし、まして親子で観るなら主人公にマジのピストルは持ってほしくない。
けれど……、そんなインスタントラーメンみたいな映画「ばかり」でいいでしょうか?
たまには重厚かつ、何度も押し寄せてくる旨味と料理人の奥深い思慮が生み出した至高の逸品を食べたいと思わないでしょうか?
もしそれが毒だったとしても……
恍惚をもたらす毒に体中が侵されてしまうとしても……!
JOKERはまさにそういう映画です。
子どもに観せるなんてとんでもない!
もしデートで観に行って片方が「面白かったね」などと口走ろうものなら、もう一方に「信じられない!もう別れよう」と言われてしまうような映画です。
こんな映画に共感していいのか。面白い、素晴らしいと感じてしまって本当にいいのか。
そう感じてしまう自分は異常なのではないか……!
おそろしい……しかし!もう一度、観てみたい……確かめたい……自分がJOKERの側であるかどうかを!
……と、いったような作品です。
あるレビュアーは「暗いだけのつまらない作品。なにが面白いのかさっぱりわからない」と評していました。
幸せ者……その人はJOKERに共感せずにすむ「人生」を送っているのです。
これをお読みになっているあなたはどうでしょうか?
もう一度観たい!
主役のアーサーはガリガリで皺だらけの顔。
みすぼらしく、突然笑い出す様は薄気味悪くも感じる。
白く、汚いブリーフで髪を緑に染め、上機嫌に踊るシーンは不気味だ。
しかし嫌いな奴を殺したあとに
ピエロのメイクで派手なスーツを着こなし長い階段を踊りながら降りていく姿はゾッとしながらもカッコ良いのだ。
まさにそれがアーサーがジョーカーになった瞬間であり
ホアキンフェニックスの演技が鳥肌ものだ。
繊細で悲しい悪のヒーロー。
映し方も真正面からのカットが多く
所々にずっと前にみた『タクシードライバー』を思い出した。
デニーロが出ているのも影響あるのかな?
重く暗い映画だけど演出や音楽にもセンスを感じる。
あの子、泣かないのよ
と母親に言われたアーサーだが
映画の中では何度か片目から涙を一粒流す。
思うように泣けず、笑いたくなくても笑ってしまうアーサーは涙メイクのピエロそのものだ。
救いはどこにもなく、
あるとしたらジョーカーとして生きることだけなのだろう。
もう一度、細部までじっくりとみてみたい。
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