ジョーカーのレビュー・感想・評価
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善良な市民とは
狂演。迫力すごい。映画賞は好きだよねこういう、キャラに飲み込まれたような演者を高評価するの。皮肉じゃなく。私もそうだし。
キャラっていう言葉出したけど、確かにコミックのキャラであるジョーカーからは抜けてしまったと思う。だからいい。これはジョーカーじゃないだあーだこうだ言ってもらって、良くても悪くても皆でダークナイあたりを見直して、DCコミックのカッコよさ再確認してくれれば、そうそれでいいのだ。
あえて触れるなら、アーサーが今後、いままでのような狂喜的で知的で魅力的なカッコいいジョーカーにならないとしても、この騒動によって産まれた沢山のピエロが全員ジョーカーであるって事でいいのではと思う。あのデモを起こした全員がジョーカーになりうるんだよ。こんなにワクワクして、恐ろしいことはない。引き金を弾いた本人に信念などないがゆえに、より一層怖い。
あのエンディングで、もしかして全部妄想だったのかもと思ったりもした。誰かを殺したいと思ったり、死ねって思ったことあるじゃない。そういう皆の中にもある、一つのジョーカーの話だったのかなとか。
個人的には、シリーズやコミックから切り離して見つつ、オマージュと分かるところは分かって楽しめたから、バッドマンシリーズのジョーカーじゃない云々でうっすい議論するのは勿体ない気がする。完全に日本の売り方が良くない。まぁ見てもらえたらいいんだからあってるっちゃあってるけど。
しかし苦しい映画だった。アーサーって自分からは誰も傷付けようとしてないじゃない。あんなお母さんにすら当たったことない。いつも笑って、笑って、抑えて、笑って、頼れる誰かも、国の補助が無くなって、警察まで電車内の市民に拳銃を振りかざし、光に見えたお父さんと、お母さんの正体で、更なる孤独と貧困の果て。
映画を見て、彼を救えると思えた人なんて居るんだろうか。私はあそこまでの貧困を想像できないほど、幸せなところにいる。
今の世の中だと思った。いま、どこの国もゴッサムシティになりつつある。日本だって、来年のオリンピックが終わってからが恐ろしくて仕方ない。誰が引き金を弾くかなんて分からないし、どう進行を止めるかも分からない。ぶち壊して良くなるとも思えないけど、ぶち壊そうとしなくてもあぁなったんだから時間の問題だと思う。
もう一回しっかりみたい。
紛れもなく名作
病的
骨の髄まで愛するか、もしくは唾棄するか
愛するか打ち捨てるか、どちらかしかない映画。しかしこれぞ映画、という感じがする。
最近は、映画なのか道徳の教科書なのかわからないような作品が多かった。
もしくは「大多数の好みはコレ」「無難なのはコレ」といったふうに安全パイをつなぎ合わせたストーリーと派手なCGで構成されたやつ。
それらを否定する気はないです。
そういうのがデートで観に行くには最適でしょうし、まして親子で観るなら主人公にマジのピストルは持ってほしくない。
けれど……、そんなインスタントラーメンみたいな映画「ばかり」でいいでしょうか?
たまには重厚かつ、何度も押し寄せてくる旨味と料理人の奥深い思慮が生み出した至高の逸品を食べたいと思わないでしょうか?
もしそれが毒だったとしても……
恍惚をもたらす毒に体中が侵されてしまうとしても……!
JOKERはまさにそういう映画です。
子どもに観せるなんてとんでもない!
もしデートで観に行って片方が「面白かったね」などと口走ろうものなら、もう一方に「信じられない!もう別れよう」と言われてしまうような映画です。
こんな映画に共感していいのか。面白い、素晴らしいと感じてしまって本当にいいのか。
そう感じてしまう自分は異常なのではないか……!
おそろしい……しかし!もう一度、観てみたい……確かめたい……自分がJOKERの側であるかどうかを!
……と、いったような作品です。
あるレビュアーは「暗いだけのつまらない作品。なにが面白いのかさっぱりわからない」と評していました。
幸せ者……その人はJOKERに共感せずにすむ「人生」を送っているのです。
これをお読みになっているあなたはどうでしょうか?
もう一度観たい!
主役のアーサーはガリガリで皺だらけの顔。
みすぼらしく、突然笑い出す様は薄気味悪くも感じる。
白く、汚いブリーフで髪を緑に染め、上機嫌に踊るシーンは不気味だ。
しかし嫌いな奴を殺したあとに
ピエロのメイクで派手なスーツを着こなし長い階段を踊りながら降りていく姿はゾッとしながらもカッコ良いのだ。
まさにそれがアーサーがジョーカーになった瞬間であり
ホアキンフェニックスの演技が鳥肌ものだ。
繊細で悲しい悪のヒーロー。
映し方も真正面からのカットが多く
所々にずっと前にみた『タクシードライバー』を思い出した。
デニーロが出ているのも影響あるのかな?
重く暗い映画だけど演出や音楽にもセンスを感じる。
あの子、泣かないのよ
と母親に言われたアーサーだが
映画の中では何度か片目から涙を一粒流す。
思うように泣けず、笑いたくなくても笑ってしまうアーサーは涙メイクのピエロそのものだ。
救いはどこにもなく、
あるとしたらジョーカーとして生きることだけなのだろう。
もう一度、細部までじっくりとみてみたい。
ハピエンでした
世界一怖く世界一面白い映画
満塁ホームラン
必要な社会風刺
決してこの人だけがJOKERになったわけではない。
共通意識が薄れ、共有意識が増えた昨今、共有されないものは淘汰されてしまう現代のLocal Societyが生み出した産物と言わざるを得ないJOKER。
彼も愛情があり、決してなりたくてなったわけではない。
病気のことをわかっていたのだから。
しかし、結果としてアーサーをJOKERに成り上がらせたのは他でもない幸せに暮らせていると思っている人類だ。ホモ・サピエンスという概念を自分の辞書から消し去ったかのように、また彼は不幸だったのだ、というかのように積み重なる負のスパイラル。
結果としてJOKERになった。だが、どうだろう。
彼を賞賛し、仲間意識をあげるものが続々と出てくるではないだろうか。
そんな世の中、JOKERもバットマンも紙一重だと、そう感じた作品である。
人間味があるジョーカーを良しとするかどうか。
理性を保つ事の難しさ
アーサーが思いついたジョーク
解釈は様々ですが、私は本作を以下の様に解釈しました。
─物語最後の精神病院でのシーン
アーサー「ジョークを思いついたよ」
医者「教えてちょうだい」
アーサー「あなたには理解できない」
ここでアーサーと医者との会話は終わり、ジョークの内容を知ることが出来ないまま物語は終わります。
しかしそのジョークの内容とは、物語冒頭から最後の精神病院のシーンに移り変わる直前までの全てなのではないでしょうか。
つまり、アーサーという精神を病んだ男が「自分がもしジョーカーだったら」というジョークを思いついた話、それが本作。
だから本作のジョーカーがこれまでのジョーカーと比較して、誕生の経緯も含めて違和感を抱かせる様な存在であったとしても、それは問題ないと考えました。
没頭できるシュールレアリズム
まず、バットマンのジョーカーもの。
という位置付けの作品ではあるが、ファンタジーもヒーロー感もない。
ダークヒーローのヒーロー抜き。
超現実主義。
じゃあそんなドキュメンタリーみたいな映画をみて楽しいのか?というと、楽しくはないかも。でもダンサーインザダークをみたときのようなインパクトがある。
ホアキンフェニックスを知っているけど、ホアキンが主演だと知らずにみたら気づくかな?
いや、わかって観ていたとて、途中からわからなくなる、気にならなくなる。
あれはホアキンフェニックスじゃない。アーサーだから。
みすぼらしい妄想男のアーサー。喜劇にして悲劇。
こうしてジョーカーが誕生した、という、シュールなまでに現実的に解釈した作品と言えよう。
アーサーが精神疾患をもっているため、ファンタジーじゃないけど夢想シーンはあり、それがサスペンス風味も醸し出す。
調合が難しい作品であったが、観終わってみると、制作に関わっている人々がすきな方ばかり。
ホアキンの1人舞台としても成り立っちゃうんじゃかいかと思いつつも脇がこんなに固められていたのか。
個人的には、バットマンのジョーカーはおふざけひょうひょうとした、ルパンみたいな敵役のイメージだけど、あのキャラに到達する前日譚とみたら深い。深すぎるよ。正直、ハリウッドにもこんな渋みのある作品を大作としてつくれるんだなって感心した。
もう一回観たいかときかれるとうーんなので、星はマイナス0.5
惹き込まれる正当化
凄いバランスで構築された世界観でした。
魅せられていくうちに、
主人公へ同情し復讐心が芽生えていく。
見終わってふと我に返ってから
危機感を覚えたほどでした笑
これは感化させられたらアウト。
自分で答えを探し、考える事の
大切さを思い出させてくれた
素晴らしい作品でした。
俳優を怪演させるジョーカーという怪物
底無しの孤独と貧困に打ちのめされた精神病者が、殺人によって自らのアイデンティティを見出す。ただ、彼の生の目的はあくまで自らの高貴な死であり、その昇華のために殺人を繰り返していく。
ホアキンフェニックスの怪演と音楽・光の演出がすごい。とにかくもう恐ろしく美しかった。
前述しましたが本当にジョーカーが精神病者だったのかは分からない、曖昧にしており、母親の妄想病も実は事実もあった、、?そのあたり錯乱させられ、世界観に引き込まれていったのが良かったです。
ダークナイト3部作を観てから臨み、その上でうーん?と、気になったのは2点。
1.ジョーカーの賢さ
ダークナイトのジョーカーはとにかく賢くてあらゆる手段を使ってもスルリと逃げ出していく。この部分どうやってあのジョーカーになったのだろう?ただ、ラストシーンも何気に逃げ出してるから罪を重ねる中で勝ち得たものなのかしら。
2.王としてのジョーカー
時代が異なるから辻褄は合うんですが、、民衆から崇められるジョーカーはダークナイトのジョーカーとどうしてもイメージが合わない。。
アーサーがジョーカーになったのは何故なのか。ストーリーはそこに尽きます。番組でジョーカーに想いを語らせるのもそこまで明確にしなくても良かったかなぁと思います。曖昧さが良いなと思っていた自分としては。。
最後に、題名にもしましたが、ジョーカーって本当にすごい存在ですね。その日の夜はなかなか眠れませんでした。またダークナイトも観ようかな。
最も素晴らしい悪役の条件とは、謎に包まれていることだ
hahaha!!という大声が聞こえて、この映画は始まった。
笑い声なのか、泣き声なのか、理解しようとすればするほど分からなくなる。
その声の主こそJOKERである。
彼のアップから視点が変わり、冷めた目で彼を見る女性が出てくる。
彼の感情が読めない。観客の視点は、カウンセラーの女性とリンクする。
映画の冒頭から彼は狂っていた。
だがしかし、その後の展開は不気味なほどに、起承転結が順序よく描かれている。
コメディアンを目指す男のどん底人生。
溜まっていく社会への恨み。
悪へ落ちる転機。
次々と人を殺し始め、ついに悪として覚醒する。
彼がダークヒーローであることを象徴するかのように、市民が彼を崇拝するクライマックスには圧倒される。
だが、何か間違っていないだろうか?
復讐のために次々と人を殺すことに納得してしまっていないだろうか。
ある男が社会で爪弾きにされ、虐げられ、惨めな思いをしている様をじっくりと観たからこそ、「この悪は生まれるべくして生まれたんだ」と感動してはいないだろうか。
「如何にしてJOKERという悪役が誕生したのか?」
そんなことをこの映画を見て、欠片でも理解した気でいないだろうか。
hahaha!!
と、大きな笑い声がする。
精神病棟の真っ白な部屋の中、カウンセラーの女性を前にして、その男はこう言い放つ。
「一つジョークを思いついたんだ」
そう、これまで語られてきた全ての出来事は単なる彼の妄想話であったのだ。
これで、結局JOKERという男のことは謎のままである。
もし、ここまでの映画の展開が本当であると信じ、JOKERという男を理解した気でいるなら、最後のジョークの意味は彼の言葉の通り。
「あんたには、わからないさ」
なのである。
悪役はなぜ魅力的なのだろうか?
その答えの一つが、人の想像に及ばない存在であるから、ではないだろうか。
何をしでかすか分からない、だからこそ、その一挙手一投足に注目してしまうのだ。
心優しいアーサーから凶悪殺人鬼ジョーカーへの変貌
バッドマンの悪役ジョーカー誕生の理由を描いた作品。人はどこまで心が折れると、ジョーカーになるのか?
どんな時も笑顔で、人々を楽しませることが使命なのだと、コメディアンを夢見る心優しいアーサーが、狂気溢れる悪のカリスマ、ジョーカーへと変貌する。
なぜ?彼はここまで凶悪で残忍になってしまったのか?
弱者(精神障害)に無慈悲な社会に見捨てられ、自暴自棄になる・・・その過程に、切ない衝撃の真実があった。
その凶悪ぶりは、ショーン・ゲイシー(殺人ピエロと呼ばれた連続殺人犯)を彷彿させる。
終盤の暴動は、格差、貧困、失業、虐待、差別という、社会への不満が爆発し彼を悪のカリスマ・ジョーカーへと駆り立ててしまった。
これは、現社会への皮肉が込められているのだろうか。
ラスト、ブルース・ウェインの母のネックレスが飛び散るシーンをお見逃しなく。
残虐なシーンもあるが、これは物語で、社会への深いメッセージが込められている。
ホテルムンバイは実話で、その残虐さ、恐怖、テロへの怒り、比では無い。
ホアキンが背負う世界の歪み
圧巻。
ホアキンフェニックスの背中が歪み、足がばたつき、手は所在なさげにぶらつく、そういったシーンの連続が映画全体の不穏さを表現していく。
ホアキンの身体、表情を観ているだけで緊張感が張り詰め、観客の目を釘付けにする。
廊下を走る、角を曲がる、だけでひとつのアクションとなり、それらがテンポよく繋がっていく。
映画とはアクションの連続だ。
観ているあいだ良質なアクションの連続に喜びしかなかった。
ジョーカーなるものへの考察、はたまた現代性など、語ることは山ほどある。
しかし、この映画の素晴らしさは、ホアキンフェニックスという俳優の肉体の動きそのものを見続けられる喜びに尽きる。
そしてそれを支える劇音楽の素晴らしさ。
音ひとつでこのシーンの意味を伝える素晴らしい出来だった。
現実と妄想のシームレスさなど、非常に上品な演出も見事。
完璧。
鑑賞後じっくりと考えた結果
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