「「意外な人物が犯人」考」アガサ・クリスティー ねじれた家 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
「意外な人物が犯人」考
巷で人気の作家で、多くの作品も映画化されていて、偶然のアクシデントを無理やり遠因にもってきたり、えーっ、それが動機?とか、そんなことで、こんな大事件を引き起こしちゃうの?とか、いうよりも、アガサ・クリスティらしいゴージャス感や、あいつも、こいつも、そいつも、どいつも、こいつも怪しいみたいな人物の仕立て方とか…僕は良かったと思う。
誰も犯人には思えないけど…といったストーリーの、人物相関図が複雑で深刻なケースより、エンターテイメント感は強いように感じる。
ミステリーで、犯人がすごく意外だと、その唐突感を、自分の中でどのように処理して良いのか悩むことはあるが、この作品の場合、家の中の唯一の少女が、実は大人の家人達を物凄く注意深く観察していて、人を傷つけることに一切の躊躇がなく、人を思うがままに支配しようとする祖父の死を願い殺害しても、子供の無垢な残酷さと前後を考えない行動力なら、あり得るかもしれないと思ってしまうのは僕だけではないように感じる。
そして、最後の場面、こうした殺人事件を引き起こすような子供は、精神疾患があるとして、ずっと施設に入れられてしまうのだと、自動車を運転する大叔母の口から語られるが、今と異なる時代背景を感じながら、悲しい結末へと向かうことになる。
一度、こうした作品が世にに出ると、似たようなストーリーがあちこちで作られる傾向は、昔も今も変わらないと思うが、「意外な人物が犯人」という点では、あれこれ動機付けを複雑怪奇にするより、オリジナリティとしても、スッキリしていて面白いと思った。