ボーダー 二つの世界のレビュー・感想・評価
全128件中、41~60件目を表示
マイノリティについて考えること
「僕のエリ」でもマイノリティ=異形のものとして社会から疎まれる存在を描いていた。
彼らは自分たちを否定する社会を恨み、復讐する。
マジョリティからするとこうした主張すらノイズで、不快感を覚えることだろう。
いま実際に起きている移民や人種、性的な少数者への迫害。その空気を無視したり気付かないふりをするのは罪だ。
エンターテイメントで深刻な話を見たくないなら構わない。
仕事の行き帰りやまちなかですれ違う人に親切ができるように、気付かないフリをしないために、その助走として映画を見るんだ。
痺れました。
最初の数分間で痺れました。奥の深い映画です。映画を観ていると何が正しくて何が間違っているのか、自分自身の感覚が分からなくなります。これぞ映画だと思いました。DVDではなく映画館で鑑賞できたこと、とても感謝します。字幕が流れても席を立つ人はほとんどいませんでした。
どんな言葉を選んでも、正しく感想を伝えられない気がします。
「北欧」というキーワードに引っ張られて鑑賞しました。
タイトルにも書いたのですが、
この作品をどう言い表せるのか非常に悩んでおります。 うーん。。
明るい内容でしたか?
いいえ。
楽しかったですか?
いいえ。
人・風景など、綺麗なものが見れましたか?
いいえ。
北欧神話の世界でも期待しましたか?
…はい。
…うーん。
なんかダメな反応しかでません(汗)。
この作品の意味・意義を見つけ出すには、まだまだ時間がかかりそうです。
すいません。 一度沈没します。
☆
トロル
「となりのト・ロ・ル♪ ト・ロー・ル♪」 …じゃなくて
ドラクエのモンスターではないですか。懐かしい。
北欧が原産地だと初めて知りました。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
二つの世界
現代社会とフォークロア、二つの世界が思った以上に重なっていてドキドキする。
美醜、性差、善悪、自分の価値観が疑わしくなってくる。
思えば主人公の容姿はムーミンに似ているし、住まいの森はムーミン谷に見えてくる。
仲間より正義を選択するところはデビルマンを思い出した。
ファンタジーとリアルのボーダー
友人のレビューに背を押され、隣の県まで行って、最終日に鑑賞。
パーフェクトな描かれ方で、内容のことだけに思いをはせられる、稀有な映画でした。
というのも、
ここのところ、リアルでは映画として成立しないので、設定にちょっと無理をしたため、これ、あくまでファンタジーだよ、となっている映画を多く観ていて。
しかも、綺麗なシーンを撮るため、「細かいことは気にしないでね、だってファンタジーなんだもん」みたいなの、ばっかりだなぁ、と思っていたところ。
北の世界ですから、地味な色合い、暗いトーンの会話。
犬の吠える声もうるさくて、なんとか短い会話を逃さないようにしますが、全くこの短い会話で、状況がちゃんと表れている。いるだろうな、あんな同居人。北欧の男性あるある。そう、以外と綺麗なんだよね、金髪の長髪で、髭の。自分の趣味に走る自由人。結構マメな人。ww
そこからの展開は、無駄なくたるまず、ちゃんと進んでいきます。
こういう映画は、観る人の見る力が、求められるよね。
で。
二人のあれこれのシーンが、気持ち悪い、という人もいるようですが、私は、かえって、そちら側にどんどん引き込まれて、それこそが普通に美しく思えました。
とにかく、美の基準も、性別の概念も、人間という枠も、いろんなことが、ひっくり返されていきます。
少数民族の迫害は、今でも、実はあちこちで起こっていて、これもリアル。
彼らのその特性が、児童ポルノの摘発に生かされる、というのも、ストーリーとして実にイマドキ。しかし、これが、実は別のトロールの特性、ここに及ぶとは! (トロールは、子どもを取り替える、と北欧の昔話で有名 ※「取り替え子」でググってみてください)
(日本でいうと、河童かなぁ、でも、河童が一族として生存しているようなものではないし、ちょっと違うなぁ。。。と思ってみたり)
パパに愛されようと、おいしくない食事でも、人間的な生活にも、順応しようと努力してきた彼女だったのだけど、色々なことが起きて、事実を知り、やはり、自分のアイディンティティに揺らいで、ひとりになって、どんどん荒廃した家になって、服装も動物的になって・・・ あぁ、もう仕事はしてないのなかぁ、なんて、その才能を惜しんでしまいますが、仕方ないのかなぁ、なんて思ったり。
そして、予想どおり、一族としての子どもが授かって、これから、という終わりなんですが、頼むから、そっち側に完全に行ってしまわないでほしいな、というのが私の気持ち。
復讐という理由で、特定の子どもを不幸にするのはやめようよ。きっとしないよね。彼に謝りながらも、ちゃんと連行に協力したわけだし。コミュニティに行っても、彼女なりの良心を持ち続けてほしい。だって、ある意味、取り替えは、本人にも起こっていたのだから。
なんて、内容の感想をかけるのも、この映画が本当に、リアリティを持っているから。
なかなか、こういう映画はないと思います。
私的2019年1番、共感覚、科学的な性...
私的には、2019 年に観た映画の中で1番考えさせられた映画でした。
「共感覚」は私たちヒトに備わっている能力ですが、その不思議さを考えさせられました。
また、「科学的な性」という言葉を最近よく目にしますが、私たちの性の境目の無さについても考えさせられました。
良い意味で、期待を裏切られる映画でした...
独特の世界観。 これは、実際に観て感じるしかない。 私的には、、、...
独特の世界観。
これは、実際に観て感じるしかない。
私的には、、、過程の成り行きも感情も紆余曲折した上で、ラストのシーンで、人間の子ではない同族の赤子を抱いて微笑んだ瞬間のティーナの気持ちが知りたいし、非常に気になります。
CGに頼らない生粋のダークファンタジー。
事前情報ゼロで見ましたが、先読みが全くできずにゾクゾクした。
あーーでも、これ、フィンランドからクレーム来ると思うんですよね。「辺境地扱いすんな!」って。トロルが裸でキャッキャ走り回ってても違和感がない「イメージ」としては、日本の俺らから見ればスウェーデンもフィンランドも大差無いけど。スウェーデンで良いじゃん、デンマークでも変わらんじゃん、さして、多分。
不穏な雰囲気でダークな幕開け。容姿の醜さに反し、結構可愛いとこもあったりするティーナ。と言うか、名前、無茶苦茶可愛らしいやん。彼女の不遇と不幸によって色付けされた「暗さ」に、少しづつ「不穏」が重ね塗りされて行き、ダーク振りが更に暗くなります。
謎に包まれていたヴォーレと関係を結んだ前後に、そこはかとなく漂う不思議な「暗い幸福感」で上向き気分も、冷蔵庫を開けた瞬間から再び暗転。と言うか奈落の底への垂直落下開始。だがだが。「おそらく我が子」を抱いたティーナの心や、さていかに。このラストが衝撃的過ぎて。いや、マジでやばいくらい。
私達が嫌悪するモノを小出しにし、遡上に並べながら、徐々にダークサイドへ導いて行く物語にはゾクゾクしか無いです。CG全盛の時代、画とビビらせる演出に走りがちになるダークファンタジーに溢れる映画界。北欧ものって、ミステリー小説もそうだけど、斬新。いや、エグイ。
作り手の狙い通り、嫌悪感でゲロゲロになりながら、ダークな世界に引きずり込まれちゃったのよ、ランラン。つか、トロルの特殊メイク、やば過ぎだって。
ゾクゾクした。ものすごく。
マイノリティーと人間らしさについて
特異な世界観に引き込まれます
北欧の仄暗さやサイコサスペンスが好きな方には好まれそうな作品
マイノリティーとしてどう生きるか、人間らしさとは何か
「誰も傷付けたくない」
主人公のひたむきさに心が洗われました
この作品に対し、生理的に受け付けないという方もいらっしゃると思います
それがなぜなのか、なぜそこまで嫌悪してしまうのか……客観的に考えることができれば無駄な時間では無かったと思います
文化が育んだ内的世界
開けてはいけない箱。そんな印象の作品だった。中には嫌悪感だけで終わる人もいるのだろう。北欧の積み重なる内的世界が生み出した怪物とでも形容したい感じ。
ともかく、終始静かで不気味で引き込まれる。針葉樹林のダークファンダジーと言えば軽く収まるが、「生物としての絶対」と「知恵からくる嫉妬」の奔流に呑み込まれそうで、観ているというよりはあがらい続ける感じだった。
静かで深い沼、という所だったのだろうか。
とてもよかった
主人公がひどい顔だけど特殊能力の持ち主で、染色体異常と言われて育ったのだが実はそういう種族で、実は里子だった。キャラが立っていて、一緒に暮らすクズみたいな男もいい。もう一人の同じ種族の男みたいな女性器を持った人が、実は幼児ポルノ犯罪にかかわっていたのは、ドラマとしてちょっと安い。
老人ホームで暮らすお父さんが「とげとげしい話し方はやめろ」と拒絶するところは共感する。「普通に話すんだったらいいけど」と言っているところがよかった。
グロテスクなのにどこまでも美しいスウェーデン版『妖怪人間ベム』
フェリー発着港に勤めるティーナは人の感情を嗅ぎ分ける特殊能力で違法な物品を持ち込もうとする人間を確実に見つける有能な税関職員。彼女は幼い頃からその特異な容姿ゆえに孤立し、今は見た目からクズ丸出しのドッグトレーナー、ローランドと暮らしながら、ケアハウスにいる父を見舞う孤独な女性だが、ある日児童ポルノ映像を持ち込もうとした男を捕まえる。その能力を知った警察は児童ポルノ業者を検挙するためティーナに協力を要請するが、同じ頃タッパーに詰めた虫の幼虫と孵化器を持った奇妙な男ヴォーレと知り合ったことから彼女の日常に得体の知れない影が忍び寄ってくる。
原作・脚本は『ぼくのエリ』の原作者でもあるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト。『ぼくの〜』に漲っていた背筋が凍るほど冷たい孤独感と異形の者に対する慈愛の念が本作にも通底していて、幼い頃からティーナが抱えていたある疑問に対して投げつけられる答えが示す希望と絶望、疎外感に苛まれながらも誰を恨むでもなく淡々と生きてきたティーナが警察に協力する中で体験する人間の醜さ、ヴォーレの導きで覚醒したティーナの新たな能力が誘うおぞましくも崇高な運命といったものがじんわりと胸に沁みます。かなり的外れかつ下卑た喩えで言うとスウェーデン版『妖怪人間ベム』、自分自身の生き様について考えさせられるグロテスクでありながらどこまでも美しい作品。これが18禁になってしまうという事実が日本が何十年かけても祓うことの出来ない闇を表しているわけですが、同時に18禁という足枷を敢えて受入れ一切の忖度なしに無修正で公開した配給会社の英断に心から感謝しています。まぎれもない傑作です。
途中までいろいろ予想していたが
正体がわかってからの穏やかに進むと思いきや鬼畜展開、そして主人公の選択とこちらを振り回すストーリー。
「精霊」「天使」のようなもっと観念的な存在かと思ったらあまりに生々しく、むしろ生物としてその生態に興味が湧く。両性具有で男性/女性の度合いが変化する感じか。さらに取り換えっ子であると。罪の匂いを嗅ぎ分けるというか、罪悪感からの緊張や高揚による発汗の匂いを検知しているのかな。主食は…虫?
特殊メイクはすごかった。役者さんも大変だったろうに。
すごい
評価は分かれるかもしれないが、私は、こういう映画が好き。
ストーリーとしての先が見えないある種の混沌とした不安感、画像としての苔の深い森、自然とヒトの有様。
森の中に住んで居る主人公の風貌、雰囲気、得意機能を仕事にしている様子、主人公の見た感じがなせる違和感と彼女自身が抱いている疎外感が、観客の私の心を落ち着かせない。
そんな映画の作り方の期待と不安、想像を超える展開。見終わった時に、映画というモノを堪能させてくれ、興奮と高揚を持たせてくれた。そう言う意味で、すごい。
あらゆる点でのボーダー、つまり境界線はこちら側にあり、しかしながらそんなボーダーが曖昧になっていく世界を目指しているのかなとも思った。
ミステリーやホラーよりも、自己発見の物語。
原作者が、これもスウェーデン発のホラー「僕のエリ 200歳の少女」の人。
スウェーデンの税関に勤める女性ティーナは、ネアンデルタール人のような風貌で人々が奇異な目に晒されてながら、優れた嗅覚の六感で仕事こなす優秀な職員。
スウェーデン郊外にある森の中や泉が、美しく神秘的に描かれて、そこに佇むティーナの心情を和ませる。
18禁の映画なので、残酷描写とかが凄いのかと思ったら、ティーナから男根の様な生殖器が生えてセックスをして、醜い姿に苦悩するヒロインが、実は、神話になっているトロル種族の末期だった。
つまりムーミン族でしたのオチ。(アニメにもなったねえムーミンです)
思えば同じ原作者の「僕のエリ 200歳の少女」も実は〇〇でしたが後半あったので、なるほど納得。
ただヒロインのティーナが、人間とは違うトロル種族で、多くの同胞が、過去に人間から迫害を受けていた部分は、スウェーデンの原住民サーミ人の差別と迫害の歴史とダブる。
そういえば、サーミ人の差別と迫害を描いた苦手青春映画「サーミの血」を思い起こす。
アメリカではインディアンもそうです。原住民を後から来た開拓者が迫害する歴史は、何処の国にもあるから。
ティーナ役の主演女優のエバ・メランデルは、特殊なメイクで、ネアンデルタール人のような風貌の女性を好演。
監督のアリ・アッバシはスウェーデン国籍の中東系らしく、落ち着いた演出で物語を上手に紡ぎ、脚本も手掛けている。
傑作ですが、癖が強いので見る人を選ぶかも。
股から何か出てきてますよ!
ボーダーの意味は、税関職員として働く女性ティーナがスウェーデンの国境線上にいることや、人間とトロルという違った生物の境界線上にいること、さらに彼らは半陰陽のようであるためトランスジェンダー的な境界にも立っていることなのでしょう。
違法な所持品を素早く嗅ぎ分ける特殊能力を持つティーナ。醜い顔であっても、この技術は重宝されているし、職場のみんなや警察とも仲良し。しかも普通に結婚していて、ブリーダーにハマってる旦那も普通に接している。ある日、昆虫採集が趣味であるヴォレと出会い、彼が身体検査を受けたときにチ〇コがないと同僚から伝えられた。臭覚が鋭すぎるために、どこか仲間であるような気がしていたティーナだったが・・・
ドラクエに登場するモンスターのイメージが一番強かったのですが、『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するトロルによって怖いイメージしか残っていません。その後でムーミンがトロールだと知り、トトロだってトロールだという噂もあるため、徐々に可愛いトロール族もいるんだな・・・と妙に一人合点しちゃったものです。
二人とも幼児虐待とか幼児ポルノに対する嫌悪感を持ってることがとても良かった。トロルの心は美しいんです。尻尾は勝手に切っちゃったけど、育てた父ちゃんも心が広いし、旦那だって浮気はしてるみたいけど、悪いことはしていない。ただ、悪人だけは許せないという正義感からつい殺人も・・・。二人の将来はどうなるんだ?などと、終盤にはモヤモヤしてしまいました。
造形は鼻がたかくて額とくっついている感じで、狼男が変身する途中段階の顔に似ています。そのため満月の夜にオオカミになっちゃうのかと思っていたら・・・トロルだもんな。これがムーミンとかトトロに変身するのなら、それはそれで楽しかったのですが、メッセージだけを残して終わってしまった感があります。今晩は、ムーミンとノンノンが楽しそうにセックスする夢を見てしまいそうです。そりゃやばいって・・・
全128件中、41~60件目を表示