ゴーストランドの惨劇のレビュー・感想・評価
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仕掛けは巧いが、鬼畜度は「マーターズ」が上
パスカル・ロジェ監督の前々作「マーターズ」を観た時の衝撃は忘れられない。苦痛が極限を超えて聖性を帯びる展開に唖然とし、道徳や良識に縛らない突き抜けた強烈な表現に“映画の自由さ”を感じたものだ。ただしその次の「トールマン」は暴力描写ではなく意外な真実で驚かせるストーリーテリングに長けたサスペンスだった。今作は再びバイオレンスホラーに戻ったが、鬼畜度は抑えめになり、劇中の“真実”と“虚構”を巧みにコントロールする仕掛けであっと言わせる。終わらない悪夢を観客も追体験することになるだろう。仕掛けを知った後で、散りばめられた伏線を答え合わせ的に観直したくなるタイプの作品でもある。
10代のベスに扮したエミリア・ジョーンズの熱演は特筆に値する。ベスの振れ幅の大きな感情をリアルに表現した彼女の魅力が、作品の出来に大きく貢献した。現在17歳、さらなる活躍が楽しみな女優だ。
【”あの惨劇の夜に囚われた双子の姉妹。”ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの怪奇・幻想小説を可視化したかの如き作品。パスカル・ロジェ監督が作り出した怪奇・幻想の世界に取り込まれる作品でもある。】
■人里離れた亡くなった叔母クラリスの家に移り住むことになったシングルマザーのポリーン(ミレーヌ・ファルメール)と双子の快活な娘ヴェラと怪奇・幻想小説作家、ラヴクラフト好きのべス。
新居に到着した夜、暴漢が家に押し入り、母は姉妹の目の前で暴漢たちに反撃しメッタ刺しにした。
その惨劇から十数年後、怪奇小説家として成功した双子の妹・ベス(クリスタル・リード)が久しぶりに実家に戻ると、母は歓迎してくれたが、双子の姉ヴェラ(アナスタシア・フィリップス)は精神を病み、地下室で何者かに怯えながら生活していた。
◆感想<Caution!内容に思いっきり触れています。>
・冒頭は、上記の暴漢が家に侵入するシーンが展開され、その後怪奇作家として成功したべスがTV出演し、実家に帰って来る。
・だが、観ていると徐々にそれは暴漢たち(太った人形を愛する精神障害の男と、”魔女”)に長年囚われていたベスの妄想である事が、随所でヒントとして描かれる。
まるで、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの怪奇・幻想小説のように。
・それは、劇中のパーティで着飾ったベスが、或る面長の男性に話しかけると、その男性は”この「ゴースト・ランドの惨劇」は私の最高傑作で、これに少しでも加筆修正する者がいたら、私は許さないよ。”というシーンからも明らかである。
その男は、ハワードと名乗るが、ラヴクラフトの本の彼の写真にソックリであるし、ラヴクラフトの正式の名はハワード・フィリップス・ラヴクラフトである。
・つまりは、母ポリーンが暴漢の首を掻っ切ったのではなく、真実は描かれるように、暴漢が母の喉を掻っ切ったのであり、快活な娘ヴェラはそれを見て、地下室に逃げ込みながらも精神異常の暴漢たちに虐待を繰り返され、怪奇・幻想小説作家、ラヴクラフト好きのべスはその事実を受け入れず、”妄想の中で”自分は怪奇小説家として成功した作家であると思い込みながら、生活をしていたのである。
<今作は、序盤から張り巡らした上記の伏線を巧妙に張った作品であり、不快感が尋常でない作品である。
何故に、太った人形を愛する精神障害の男と、”魔女”は新聞に書かれているように、複数の家族の親を殺し、子供も生かしていたのか。
それは、今作でも描かれているように、彼らが飴を売るトラックに乗って移動していた事と、多数の人形を偏愛していた事から類推出来るであろう。
いずれにしても、嫌な記憶が残る作品である・・、と言う事はパスカル・ロジェ監督が作り出した怪奇・幻想の世界に取り込まれたという事であろう。>
セットのこだわりが凄い
ラストに分かるドンデン返しで悲しくなりますね! この監督らしい意地の悪いオチでめちゃくちゃ面白かったです!
しかし一筋縄ではいかない変化球ホラーを作るのは流石って思います。
あと家の中のセットがめちゃくちゃ凝っていて それだけでもかなり楽しめますよ👻
絶望的な恐怖に姉妹の運命は!
鑑賞し終わっての率直な感想…
うぅ。。。疲れた~
でした。
映画を観ていて冒頭からラストまでずっと緊張感が絶えませんでした。手に汗握り思わずぎゅって何かをつかみたくなってしまう映画と言うのはまさしくこういう映画でしょう。この先何が起こるのかが全く想像がつかないので不安感が絶えないのです。
内容がものすごく濃く、展開もめまぐるしく変わるのですが、それでもって約90分という短い時間で描き切っているところも素晴らしい所です。
小道具の使い方も本当に上手いと感じますね。不気味な人形や古びた家の雰囲気(家の構造すらも不気味)、映画で何度も出てきたタイプライター等。怖いと思わせる雰囲気を格段に上げてくれるには十分すぎました。ホラーはやっぱり小道具も大事なんですね。
きつい描写に耐性がある方にはオススメ
この監督の映画がどういう空気感か知っている人には何も言う事はないが
普段普通の映画ばかり見ていてきつい映画への耐性がない人にはオススメしない。(視覚的にストレートな描写はないものの精神的にきつくなるのは間違いない)
ただこの映画は「きついわー」で終わらず特にラストの描写はある種の救いのようなものを感じる。近年サブスクが普通になってホラー・サスペンス系の色んな映画を見てきたがラスト後もモヤモヤしたものが残る作品が多かった中でこの映画はきっちりと幕引きをしつつ希望の光のような余韻を残すラストが良かった。
ありがとう、鏡の中の恐怖人形
母と双子の娘は田舎の叔母の家に住むことになる。
アンティークに囲まれた古めかしいその家はなんだか少し不気味。
引っ越しの荷物を部屋に運び込んでいると、突然2人の暴漢に襲われる。
母の果敢な抵抗により犯人は死亡し、事件は終わったかに思えた。
あれから16年。
妹は小説家になり家庭も持って完全に立ち直っていたが、姉はトラウマからあの家の地下室に閉じこもったままだった。
そして、2人が再会した時、再び悪夢が甦る。
1番苦手なジャンルではあるものの、評判良いので頑張りました。
タイトル然り、とにかくこちらを欺いてくる。
特にすごいどんでん返しがあるわけではないし、全く想像がつかない展開ではないけれど、絶望に次ぐ絶望で我々の常識を一つずつぶち壊してくる。
一瞬見えた希望が見事に打ち砕かれるあのシーンなんか、思わず笑ってしまいそうになったほどの衝撃。
来んの早ぇんだよ‼︎
敵は狂気的で変態で最強。
本当に魔女とバケモン。あんたら何者だよ。
ノッポの囁き声とデブの唸り声のなんとも恐ろしいこと。
2人の関係性とか過去とか、バックグラウンドが分からない分、計り知れない恐怖があった。
人ではないものへ対する恐怖心。
ついスピンオフとか作って欲しいと思っちゃうけど、ここは彼らには不気味なままでいてもらおう。
一つの事件の終結は本当の悪夢のはじまり。
姉と妹で見えている世界は違う。
2つの世界をつなぐ鏡や絵画など伏線もしっかりしていてかなり観応えがあった。
後から考えると、惨劇のあったあの家に住み続けるなんておかしいし、あの家があんな綺麗なままなわけないもんね。
不気味だけど古風な家は地獄と化し、少女たちの美しい顔は痣や瘤だらけに。
地獄としか言いようがないこの世界、もう観たくないけどまた観たい、、、ような。
監督は女の子が嫌いなのか
パスカル・ロジェ監督は過去作、「マーターズ」で世界中に衝撃を与えたが、本作もそれに近いものを持っている。ホラーは思わず顔を背けてしまう事もあるが、本作にそれはご法度だろう。なぜなら細かなところが伏線となっている為である。
作品の巧妙さは監督の過去作と比べても格段にレベルが高い。一度でトラウマレベルなのはいつもどうりだが、二度、三度と鑑賞するとより納得して鑑賞する事が出来る。こういう作品はBlu-ray等をコレクションに並べておきたい一作だ。
パスカル・ロジェ監督は「暴力」をリアルに描くのが上手い。演技する側は困難を極めるだろうが、それは観客も同じである。派手なスプラッタはエンタメ要素で鑑賞できるが、若い女性を痛めつけて満足する男どもが画面に現れると不快度は頂点に達する。どうしても「マーターズ」が脳内にちらつくが、この二作を比べると鬼畜度は圧倒的に「マーターズ」が上。「不快度」は本作が圧倒的に上だ。二作とも女の子が酷い目に遭うという共通点があるが、ホラー映画と女の子は昔から最強のコンビなのは知っての事。しかしながらここまでいじめ抜かれると「そんなに若い女の子嫌いなのか」とツッコミたくなる。
だが、ただ単に不快で終わる事は一切なく、不思議な余韻を残してくれる。それは過去作も共通しており、同じフランス映画でもやはりこのテイストはパスカル・ロジェ監督ならではだ。
さて、次はどんな娘がボコボコにされるのか、楽しみに待つとしよう。
頭のおかしい変質者に家族が襲われる話
ホラー映画にありがちな展開が満載
怪しいキャンディートラック
惨劇があった記事が載っている新聞
不気味な家
何も起こらないはずがない
想像力豊かで小説家になることが夢のベス
彼氏と別れ、ママは妹ばかり可愛がると不満たらたらのヴェラ
そしてママ
女しかいない状況で、頭のおかしい奴が家に押し入ってくるってだけで超怖い
果たして家族の行く末は…
子役時代を演じたエミリア・ジョーンズがとにかく可愛い
姉役のテイラー・ヒックソンは容赦なくボコボコにされてみるも無惨な顔に
少女の顔に手を挙げるなんて本当に胸糞
二人を人形に見立てて暴行する胸糞展開
ストーリーは単純で分かりやすい
犯人の意図や何故、この家族がターゲットになったのかとかは描かれない
理不尽しかない
まぁ、ある日いきなり巻き込まれるからホラーなんだろうけど
観ていて気持ちの良いものではないので、女の子がボロボロになるのが好きだよって趣味のある人以外の視聴はオススメしない
これは凄い
DVD初見@外出自粛。
これは凄い。
この手があったか、な恐さと面白さは10年に1本。
脚本監督パスカル・ロジェ、才気炸裂。
映画を恐く面白くする術はまだまだ有る。
埋め込まれた名作映画の面影の発見も嬉しい。
劇場で見ねばだった。
これは凄い。
とにかく鬱案件な映画
不思議な感覚に襲われる映画。
とにかく怖い。
自分がこの立場になったら一体どうすればいいのか。。。
まさに監禁の恐怖。
頭がおかしくなったお姉ちゃんの妄想がちょいちょい入ってきて、アレ?やっと幸せになれたのかな?っと思わせておいて現実に強制的に引き戻すという、ある意味、幽霊よりも人間が怖いということを改めて思わせてくれる映画。
また、変質者役も普通の変質者じゃないところがネックになってる。
押して引く、引いて押す
並みの恐怖演出は押すだけだが、何度も引く。
引いて束の間の静けさのあと、また押す。
また引く。また押す。
また引くと、引いた先はパラレル。
ふつうは、安全圏にいて、見ていたのは悪夢である。
ここは逆。
じつは囚われたままで、見ていたのは理想。
魔物に捕まってしまった、
魔物はにんげんをバラバラにして遊んでいる、
次はわたしの番だ、
そんなジュブナイルがあったとする。
もし、それを、リアルに演出してしまったらどうなるか。
囚われの身で、再び、押しと引きの恐怖演出。
窮地から抜け出すが、また捕まる。
恐怖と暴力のすさまじい純度。
静けさと騒々しさ。脆い平穏と激しい絶叫。
古い調度。いびつな人形たち。強化されたTexas Chainsawのような母子。
痣、切り傷、瘤、血痕、ぱっくり開いた刀創。
地上二階地下一階、わずか二十坪のロケーションで、その緊迫を描き出す。
観る者は、救われること、救いが消え去ること、その山と谷を、ジェットコースターで駆けるがごとく、ぐったりとなるまで繰り返される。
日本映画で、恐怖だのバイオレンスだのイキっている鬼才にはパスカルロジェの爪垢を煎じて飲んでもらいたい。
ホラーではないが
まずは観る気のある方は感想を読まずに鑑賞をしてください。
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しかし、あの家が気色悪い。
あの人形のセンス、叔母さんとやらは何のつもりなんだ?と引っ越しシーンから「あの家はアカン」と感じるレベル。
実際は叔母さんのセンスでは無かったのだろう。あと女三人で夜中に引っ越しするおおらかさも無警戒にもほどがある。引っ越しの経緯も不確かで途中の店に寄ってなかったら二人は一生お人形さん遊びに付き合わされていたのだろう。
さて、物語は過去の事実から妄想へ転換し、妹が歩んでいたと思っていた事が全て妄想だったと姉の口から明かされる。
明かされた途端に地獄の監禁生活が再び始まるので妹はまた行動静止しかけるが、不屈の精神で頑張ってきた姉に生き残り方をレクチャーされる。姉は妹がフリーズしてる間に地獄を味わった分、次はあなたの番と「決して動かない、しゃべらない」を伝える。姉の独力ではどうにもならなかったのだろう。
対して、暴漢二人組の関係性は全くわからない。
ハゲの巨漢はまともにしゃべれず、明らかに精神遅滞、服薬等はしてない感じ。
魔女みたいなのはシルエットを見れば一目で男とわかる。ハゲ大男を庇っての行動に見えるので兄弟と取るのが自然か?
社会的なセーフティネットに掛からず、身勝手に生きていると看てとれる。
統合失調症、知的障害の域である二人が恐らくは叔母とも何かしらあって、叔母の家をお人形屋敷にしていたのではないか?と。
正直なところ、地域の関係性が薄れている現代、日本でもこんなことが、こっそりと起きていると思うとプライベートを守る最低限の備えはしておくべきと思う。
しかし、助かったと思わせてあのやり口は何だろう。アレを使っちゃダメだよ。ポリス殺ったらダメだよ。
妄想と現実が切り替わりを繰り返し、悪酔いしそうになるが、ラストは呆気ないので逆に驚く。
トータルとしてそれほどの恐怖感はない。
だが、女性はやはり嫌がる内容と思う。
女性には薦めない作品。
過誤記憶と未来の現実記憶が落合うサイコスリラー
私的にはこの映画をホラーでは無く、サイコスリラーと呼ばせて頂く。
叔母の家を相続し、移り住む事になった母親と娘2人。
娘は今時の姉さんヴェラとホラー作家になるのが夢の妹さんベス。
移り住んだ初日の夜ある惨劇が起きてしまう。
悲劇から16年後ベスは作家になり「ゴーストランドの惨劇」を出版。シカゴで夫婦生活を送っていたが、、、
前半は数年後の家族を映し出すのだが、惨劇の後遺症はまだ続いており、謎めいたスリラー感を引き出す。
徐々に観る側を現実と虚構の世界へ導き、「どれが本物なの?まだウラがあるんじゃない?」と思わせる工夫が良い。
そんな中繰り広げられるサイコ的展開。
序盤の新聞は未来新聞だったのか?
何も無い時の匂わせ方や、時計人形設定(そんなもの有るの?)等、個人的煮え切らない部分は有るものの、そこは監督の個性としましょう💦
後何故ゴーストランドなのか分からなかったw
面白いサイコスリラーですが、変質者による女性虐待が苦手な人、嫌う人にはオススメ出来ません。ハイ😓
まさかの展開が完全に予想外
中盤で明らかになる衝撃の展開がとにかく予想外すぎてビックリ。暴漢たちの鬼畜ぶりは目を覆いたくなるほど酷いものだが、それでも「この先どうなるのだろう」という思いが勝ってしまい、テレビ画面から目が離せなくなる。姉妹が置かれた状況の尋常ならざる特殊性を踏まえれば、この巧みな演出を「夢オチ系」のひと言で片付けるわけにはいかないだろう。
姉妹の人物造形やラヴクラフトの使い方
双子だがかなり容姿/性格に差をつけていて(二卵性?)、大人パートでの逆転状態も含めて面白く観た。
ストーリーは一回捻って全貌が見えてきたあと、単に騙りのための騙りにしなかったところも良い。
ラヴクラフト好きというところをちゃんとストーリーに絡めているところも。
残念なのは犯人側の描写が薄すぎる点か。キャラは濃いのに勿体ない。
『マーターズ』が理解の範疇を超えていたが、こちらは人知の領域に収まっているので、それを良しとするかどうかは観客次第か。
最後はちょっとグッとくる。
現実+虚構=恐怖
タイトルとスチルに惹かれ鑑賞。
母と姉妹の3人で叔母がかつて住んでいた家に越してくる。
そこで何者かに襲われる。
その後姉妹の性格は以前と正反対になり…
この設定は面白く観る前からの期待通りだった。
恐ろしい事があったが、後に妹ベスは結婚し子供もおり『ゴーストランドの惨劇』を書き上げ多くの称賛を得て、「幸せな日々を送れていてよかった」と安堵したのも束の間。
悪夢&事件後に病んでしまった妹からの突然の電話でストーリーの急展開!
今まで見ていた妹ベスの幸せな日々は何だったのか…
何が現実で何が虚構なのか…
これも全て彼女の創造した架空の世界か…?
ここからラストまで悪夢のような精神的に追い詰めてくる現実しか続かず、恐怖をあおられる。
また、正直この展開には脳がついていかず、けれどもストーリーはどんどん進んでいくから、観客の頭を混乱状態にさせるという面でも恐ろしい内容の作品だなと思った。
ただ、襲ってきたキャンディトラックの人たちの素性がよくわからないままエンディングまでいってしまったのがもやもやするし、残念だった。
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