ハウス・ジャック・ビルトのレビュー・感想・評価
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芸術と建築
撮る映画が漏れなく どーかしてる… でお馴染みのラースフォントリアー。 途中退席者続出! という文言が映画宣伝のキーワードとしてここまで取り上げられるのはこの人ぐらいだろう笑
ここまで来ると熱心なファンじゃない人(自分もそうだが)からすると 顰蹙を買うこと自体が目的化してるんじゃねーのか という気すらしてくるほどだけど、恐らく監督自身の病んだ内面がどーしたって出て来てしまうのだろう
そういった意味では今回の映画も どーしたって 主人公ジャックは監督自身を投影したキャラに見えてしまう。
病んだ精神の状態をそのまま映画で表現するスタイルは庵野秀明を少し思い出したりもした
本作については、殺人 という行為を通して 自分は芸術家(=建築家)であることに強くこだわるジャックの姿と、タブーを描き続ける事で芸術家(=映画監督)であり続ける監督自身を重ね合わせているように感じた
そいつを最後は文字通り地獄に突き落とすんだからやはりこの人どーかしてる。比喩的な意味では無く正真正銘の地獄に落とすという徹底ぶりに少し笑ってしまった
でも、家を建てては壊し、建てては壊し、を繰り返して最後は地獄に落ちながらも、自分にしか作れない素材で家を作った彼の姿を見ていると、少なくとも監督自身は自分の見えているものに確固たる自信があるのかもしれない
おっぱいを切り取ったり、殺した子供の死体を弄って無理やり笑顔にしたり、まぁ次から次へとよくもゲンナリなアイデアを思いつくもんだと半分呆れるほどだが、それも一人の人間の 自分にしか作り出せない芸術という自己表現の一つなのだろう
自己表現が人生において最も重要な項目であるという点は大いに同意するが、自分は地獄に落ちずに済む方法でしたいものである笑
映画の見方
その昔、
映画は見世物小屋の見世物だった。
いまでは、居心地のよいシートがあてがわれ、ポップコーンが売られ、コンプレッション興行が当たり前になった。
ともすると、自分の直ぐ隣にあるのが
映画であったりしないだろうか。
あらためて自分自身に、
この映画も正統な見世物の後継であることを言い聞かせたい。
自分の身の上に起こることも
家族にしてしまうことも
地獄に落ちるのも。
しかし、
この世に起きたこと、起こること
すべてが見世物に絡め取られてしまう。
そんな、危険な芸術要素を散りばめている。
ヤンキー・
ジャンピング・
ジャンキー・
ジャック
グレン・グールドな映画と評しておく。
アンチビルドであると。
見る人を選ぶ
ネタバレあり。
駄目な人は駄目。所謂恐怖映画なら赦されていることを、わざわざ掘り起こして嫌悪感を想起させる。
トリアーエロスを求める人も、これは明後日方向。
少し早めの自叙伝?途中のフラッシュで色々でてファンは楽しい。
星一つ減らしたのは、グレードを変な人扱いしてリスペクトが薄いこと。変な人を変に描くのは好きでない。
マット・ディロンがカッコ良い
前情報無しで、シリアルキラーをマット・ディロンがやるんだ、でも152分一か八か、結果、ホラー好きなあたしは面白かった、兎に角、サイコパス、最初誰に殺人の話をしてるかと思いきや、途中から何となく理解、子供さえ、何の感情も無く殺害、おいおい、おされ映画かと思いつつも、賛否両論だそーだけど、あたしは好き、大好きなD・ボウイのフェイムが随所でかかる、退屈はしなかったあたしは。マット・ディロン歳だけど、痩せてカッコ良い。
乳房の小銭入れ
恐るべきはラース・フォン・トリアー!
彼もまた地獄行きが決まっている人間の一人だろう。これまでも散々罪を重ねてきたが、今作もまたあまりに罪深く、そして嫌になるほどの傑作だ。
殺人鬼ジャックを演じたマット・ディロンと地獄への案内人バージを演じたブルーノ・ガンツ。彼らがトリアーの道連れとなって地獄に落ちないことを祈るばかりだ。
それにしても彼はこれからどれだけの罪を重ねていくのだろう。それを見続ける我々も無傷ではいられないのだが……
悪の経典+エヴァ
第1インシデントから第2インシデントまでストーリーの行方が気になりかなり引き込まれた。 その後はジャックとヴァージの会話含めテンションは下降線を描いたように思う。
ヴァージとの会話シーンや最後のくだりをもっとカットすればエンタメ的には良くなった気がする。
けど、やらないと思う。
エンディングテーマ
評価下げてごめんなさい。
こんなに映画館でウトウトしたの初めてで、自分でびっくり。
引き込まれていたのは、序盤のケッペキ描写まで。
その後、「もしかしたらおもしろいんかもなぁ」って思いながらじりしりした時間を過ごしました。
記憶・意識が飛びすぎでストーリーも正確に捕らえられてないと思いますが、告白していた相手は牧師さんなのかな。幻覚の。
エンディングで流れた曲に、ご丁寧に字幕がついていたけど、その内容の通り「ジャックよもう戻ってこないで。消えてちょうだい」って思ってしまい、吹き出しそうになった。
(もう これ以上この映画を観たくない、という意味..)
評価されている方、関わられた方々、ごめんなさい。
個人的な感想です..
材料こそ作品
12年間に亘り殺人を繰り返すシリアルキラーの話。
もちろん狂ってはいるけれど、理由を見てとれる一人目から始まり、いきなり癖になる二人へと繋がるも、ウォークインフリーザーまでの件に面白味があった序盤。
ここからかなり難しくなって行き判ったつもりになるようなところもあるけれど、アートの様なファンタジーの様な感じで基本は理解が追いつかず。しかも長い。
実行シーンはやはり盛り上がるし、建てたものははなかなか来るものもあったけど。
判らない、共感出来ないからこそのサイコパスという意味では正しいのかも知れないが、シュール過ぎて自分にはハマらなかった。
堕落
「ハウスジャックビルト」
まずこの映画の嫌な部分は主人公の話す持論が今作の世界観の中では妙な説得力を持つこと。そんな道徳・倫理観完全無視の悪趣味で苛烈な「芸術」が観客の胸中を抉る。そして、全ての非道行為を己の論理に従い芸術の域にまで昇華させようとする彼の傲慢性。
また、退出者続出というのは、グロテスクなシーンがどうこうというよりは残虐な描写や行為そのものが観る者に与える不快感・嫌悪感。それらが引き金になっているのではないだろうか。だがそればかりではなく前半ではコミカルなシーンも見られる。それはサイコスリラーの中にあるブラックユーモアと言えば聞こえはいいものの、結果を知ってしまうとこれらはとても笑えるものではなくなる。
元々主人公はサイコパスの気質があったとはいえ、一線を超えるまではそれとなく一般社会に溶け込んでいた(はず)。しかし、一線を超えたときに歯車は暴れ狂い堕落する。その結果として芸術家・Mr.洗練が誕生する。
惨いシーンとは裏腹にデビッド・ボウイの「Fame(名声)」が流れる。このコントラストもさることながら、主人公が求める名声への欲望を如実に表現している。シリアルキラーには
欠かせない要素である。劇中に起こる事件の順番は彼の思いつきであり時系列もグチャグチャ。
その中でも笑えるのは被害者の面々。一人目は初対面で車に乗せてもらっているのにもかかわらず主人公を侮辱しまくるし、二人目はあんなあやしい不審者に言いくるめられて家の中に入れちゃうし、三人目はまだしも、四人目も四人目であんなサイコ彼氏を信用しちゃう。そんな誰も彼もが女性っていうところがまたトリアー監督の意地の悪さというか笑
主張が多くハッキリとしたテーマを一つ選出するのは難しいが、圧倒的で並の外れたセンセーショナルな作品に仕上がっていることは間違いない。
まあ、本当に恐ろしくて凄まじい映画を見た。
テーマを詰め込み過ぎて結果的に物議を醸すだけになってしまった?
よく分からない、というのが正直なところです。
前宣伝の中で、途中で席を立つ人続出、というのがあったが、それが決して大袈裟でないことは納得できました。
テーマが幾重にも重なる難解な映画、とも言えるし、テーマを詰め込むあまり焦点が定まらなくて、結果的にただ物議を醸すだけになってしまった〝タチの悪い〟問題作、とも言えると思います。
素朴な感想として……出演者の中には、出来上がった作品を見て、「こんな映画だったら出なかったのに」とか「騙された!あんなに◯◯な映画だとは思ってなかった」とほぞを噛んでいる人が何人かはいたのではなかろうか?
狂気と暴力の視覚化
建築設計技師のジャックが、ふとした衝動で人をあやめ、悦びに目覚めて連続殺人犯になっていく過程と手口を、丁寧かつリアルに描いた作品。
サイコパスとかそんな範疇を超えて、「いくら作り物の世界でも、これ見せたらダメでしょ!」って猟奇的なグロが延々と続く2時間40分。
おまけに、ジャック自身が淡々と独白解説するスタイルのため、やたら時間が長く感じる。
テンポの悪さが不快感を増し、面白みがなくなる。
スプラッタホラー系が好きな人にはオススメしない。
被害者が60人超えたあたりで、退屈とイカレ具合に付き合いきれなくなり、観てるこちらの精神が壊れそうに。
狂気と暴力のビジュアル化と、地獄へ落ちる大罪の描写が目的だと思うけど、ひどい吐き気と目眩がしましたわ。
面白かった!
誰でも心に闇を持ち、悪しき感情や妄想、傲慢、卑屈、自己嫌悪は一旦そこに押し込める。そしてその闇の中から「正しく生きたい!」という原初の欲求(光)が生まれ、激烈に発動するのだ。
何でもかんでもSNSに発信し、つまびらかに自分の感情にスポットライトを当てる現代人。心の闇が問題なのではなく、きちんと闇を持たないことが問題だと思う。
閑話休題
ドラクロワもブレイクも、自分の闇や悪魔と葛藤しながら様式を破壊し、欲望を昇華させた芸術家だ。
ところが欲望の彼岸には「享楽」がある。享楽は闇を必要としない。光と闇の境界線がないから、葛藤がまるで無い。だから享楽者は決して芸術家にはなれない。
マット・ディロンにいつも寄り添うブルーノ・ガンツは葛藤を生じさせない。従者のようだった。
いくら生涯をかけて「理想の家」を構築しようとしても芸術が生まれるはずがない。
フイルム写真は、薬品を使って光の中から陰影を浮かび上がらせる、どこか魔術的なイメージを持つ。光と闇の境界線を感じさせる象徴のようだと思った。
ラスト。葛藤も感動も持ち得ない主人公は有機的なマグマではなく、モノクロの最も濃い黒点に同化した。
サイコものでありながらコメディ要素も含む、一筋縄でいかない作品!
"ミスター洗練"
そんな感じからもう何年も経っているけれど、本作こそがM・ディロンの復活作だ!?
芸術性や哲学的なモノが入り乱れた結果、最も危険で変態なのが"L・V・トリアー"だと。
色々な映像を挟み込みながら、自分の監督作品を何本か入れている辺りはビックリしたり。
B・ガンツは「ベルリン・天使の詩」の天使役を思い出させるような立ち位置!?
完成させてしまった?家に入れば、そこは地獄への入り口だったのか。
Mother Gooseの詩
2019年に入りユマ・サーマンの映画を観るのは3本目でどれもこれも"a box office bomb"になりそうな映画ばかりで、鼻をつんとあげてしゃべるオーストラリアの女優ニコール・キッドマンのように出演作品は決して当たらないということになりそうだ。
本作は、ジャックというシリアルキラーの物語をまるでモキュメンタリー映画のような撮影の仕方で、わざと画面を揺らして手振れ感を出したり、ズームにしたと思えば引きで撮ったりと観ていると段々ウザいものとなる。
アメリカのアマゾンではすでに公開されていて、いいか悪いか両極端な評価となり、☆1と☆5が均等に40%と別れている。
最初、ジャックともう一人の男との会話から始まる。それから物語が始まるのだが、最初のほうはシリアルキラーとしての凄惨な殺し方を見せたりするのだが、途中で始まる二人の押し問答のような会話を聞いていると訳が分からなくなる。ラストにはコーキュートスのような世界観に誘うブルーノ・ガンツ演じるヴァージという人物が登場すると意味不明となってしまう。しかし一見の価値があるのは、この俳優のすごいところが何気なく見ることが出来る。なぜそこまでしたのかこんな映画のために聞きたいくらいだ。
アメリカの新聞紙Chicago Tribuneの記者がこのように述べている。「この映画は連続殺人鬼のつまらない映画の歴史の中で最も退屈な連続殺人の映画かもしれない。」
グレン・グールドの映像がたびたび出てきたが彼の言う「芸術の目的は、瞬間的なアドレナリンの解放ではなく、むしろ、驚嘆と静寂の精神状態を生涯かけて構築することにある」というところからきているのか?デビッド・ボーイのフェイムがいちいち流れるし。
3人ほどマンハンティングするところが出てくるが、惜しいのは人の皮をはぐシーンが出てくるのではないかと期待したが、期待を裏切られた。つまり、中途半端な映画だと個人的に受け止めている。しかも2時間半もある。
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