ハウス・ジャック・ビルトのレビュー・感想・評価
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うっわ、乙一ワールドやがな…
Body Houseって…Body は複数形にならんのか、と的外れなところが気になる俺。乙一のBody Houseは生きたままの子がいたけれど。どっちも勘弁して欲しい。
強烈なヒトゴロシ場面の乱れうちは、人が潜在的に隠し持つ残虐性を刺激してくれるったらくれるんだけど。胸糞悪い。嫌悪感。
一人目のご婦人は「そうだよ、少し黙れよ」。だが二人目の未亡人のオバ様で、彼のヤバさが表面化。いや、警官、免許証くらい見ろよ。あとは、もう、地獄の底への直滑降。ライリー・キーオのヤラレカタが一番嫌だった。乳房の周囲にマーカー。その時点で、何が起きるかわかるじゃないですか。もうね、途中退席してトイレに行こうかと思いましたが、それも何なので、スクリーン左外を眺めてやり過ごしたのに.....持ち歩くなって!小銭入れとか、勘弁して欲しかった。マジで。
あー、やべぇー。苦手なのに、何で見るかな、俺。逃げたくなるくらいだったので、多分、高評価しても良いと思います。
「殺人が芸術」だなんて、下手に言いたくは無いけれど、「Perfume」よりは、こっちの方が「嫌いじゃ無い」です。
☆自己フォロー
小銭入れじゃなくて財布ですね。札が入ってた…
デカかったんですね。そう言う問題あるじゃないけど。
次も観たい
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』以来トリアーのファンになり、鬱三部作もすべて映画館で観てきました。彼の抱えているテーマに強く興味を引かれています。そのテーマとは「女性性、またはそれへの恐怖≒憧れ」です。作品の出来映えや美しさに関わらず、このテーマによって、彼は私にとって常に最も「気になる」映画監督でした。
『アンチ・クライスト』、『メランコリア』、『ニンフォマニアック』の三作は、一般に鬱三部作と呼ばれますが、私の中では女性恐怖症三部作と呼んでいます。「女性性≒移り気・不安定さ、非論理性・情緒性、自己犠牲・献身性、依存性・共感性…etc.」といったものへの畏怖・興味と、自らの鬱症状・不安感が絡まり合ったものがこの三部作だったと思っています。
ただ作品を重ねるにつれ、女性も人間の一種であり、女性も男性も等しいこと、同じように愚かな生き物であることが表現されるようになったと感じたので、鬱三部作は観客の興味を持続させる連作としても、彼自身の治療としても、成功したのではないかと思いました。
そのような経緯を辿っての新作、『ハウス・ジャック・ビルト』。意外にも主人公は男性です。そして語られる芸術論にしても、女性への態度や強迫性障害にしても、ジャックはトリアーの代弁者であるようです。そして、彼の対話の相手であるヴァージは、トリアーの良識の代弁者なのでは、と感じました。
思うに、彼はいつも興味の対象を主人公として、物語を立てているのではないでしょうか。またそれでなくても、この映画は殆どが内省・自問自答の形でできているようです。彼の興味の対象が、自分の抱えている恐怖や、それを投影した外部的なもの(女性性)から、自身の創作態度・理想とする芸術観へと移ったのではないかと感じました。
愛のない芸術など有り得ない、とヴァージは言いますが、ジャックは芸術は計り知れないほど懐深いものだ、と言います。芸術論に関してはジャックの方が雄弁なようです。きっと彼にとって、幼い日の憧れである草刈りの光景も、写真のネガに見た「ダーク・ライト」も、同様に切実な真実であるのでしょう。
本物の建築家になりたくて、「家」が作りたくて、人間の家を作ったジャック。トリアーは本当は何を作りたいのだろうと思いました。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が、私の中では変わらずトリアーの最高傑作です。凄惨な表現はあっても、現しているのは人類愛でした。一人の人間の美しさを讃える作品でした。またそんな作品を観てみたいとも思います。
また驚いたのは、この作品が至極冷静に、明晰に作られていることです。自省とは、自分を客観視する行為です。そして客観視できなければユーモアは生まれません。この映画は全編通してユーモラスで、ダジャレばっかり(ex. robberyの容疑で逮捕しにきたRobを、robeを羽織り騙して殺す)で、ほとんどコメディのようでした。赤いバンの真四角さが、間抜けで滑稽に見えました。彼は観客を笑わせ、楽しませることができるのです。
演出や仕掛けも面白かった。セオリーに沿った丁寧な演出もあり、セオリーをぶち壊すような発想や展開もあり、全く飽きませんでした。地獄に下ってからもやりたい放題で、楽しくて仕方なかった。
音楽やアニメーションの面白さ。挿入されるイメージにコラージュ的な作用があります。ジャックがバンの前でフリップを捲っていくシーンがたまらなく好きでした。
更にマット・ディロンが素晴らしかった。彼以外にジャックを演じてほしくないと思わせるほど。ジャックの魅力の半分を彼が作っていました。
そして痛快なラスト、痛快なエンドテーマ。ジャックを地獄に落とし、ジャックに出ていけと歌う、この締め括りは彼の自嘲のようにも見えました。
こんな面白い映画が観られて良かった、彼がこんな明るく朗らかな(?)作品を撮れて良かった、と心も軽く映画館を出られました。
彼の次回作が観たい。彼にはもっと映画を撮ってほしいです。
殺活でスッキリ
ジャック、家、無理だろ、ダセーから
反キリスト教的要素に惹かれてしまう監督個人の超極私的映画
暗い中、ふたりの男の会話が続く。
ひとりは事象建築家の連続殺人鬼ジャック(マット・ディロン)、もうひとりは正体不明の男ヴァージ(ブルーノ・ガンツ)。
ヴァージは「これは告解ではない。だたの話だ」という。
ジャックから語られるのは5つの出来事。
数ある殺人の中でのたった5つのこと・・・
といったところから始まる物語で、第1の出来事は、自動車が故障して立ち往生している高慢な女性(ユマ・サーマン)、親切心を出して手助けしたジャックだったが、衝動的にジャッキで殴り殺してしまう。
ジャックがジャッキで女を殺した・・・
英語でいうと「Jack killed her with her jack」だ。
ジャックもジャッキも同じjackなので、言葉あそび。
タイトルの「THE HOUSE THAT JACK BUILT」は、マザーグースの
This is the house that Jack built.
(これはジャックのたてた家)
This is the malt
That lay in the house that Jack built.
(これはジャックのたてた家に ころがってたモルト)
This is the rat
That ate the malt
That lay in the house that Jack built.
(これはジャックのたてた家に ころがってたモルトを 食べたネズミ)
・・・と、どんどんと続いていく言葉あそびから採られている。
根底には、ラース・フォン・トリアー監督のキリスト教的素養と反キリスト教的素養が寝っ転がり、全体としてはダンテの『神曲』をモチーフにしているようだ。
ただし、『神曲』に関わる部分は、こちらの素養がないので、あまりわからない。
映画は、陰々滅々した男同士の会話と、ショッキングだけれども淡々とした殺人描写が交互して繰り返され、その途中途中に、監督がイメージする藝術が挟み込まれていく。
このモンタージュ手法は途中までは面白いが、第3の事件あたりから飽きてくる。
「飽きてくる」というのは不謹慎か。
でも、緩急の変化がないので、感覚的に麻痺してくるのは確か。
そんな中、目を引かれるのは、ジャックの子供のころの思い出。
陽の光を浴びて黄金に輝く野っぱらを、村人たちが大鎌を振って、同じリズムで草刈りをするシーン。
幼いジャックは、それを川か池のそばでみている・・・
「草むらの中に逃げ込むのは、実は捕まりたいと思っているからだ」とヴァージがいう。
そして、このシーンは、第5の出来事後の地獄巡りのシーンでも再び登場し、ヴァージはその野っぱらを指して、「楽園」だもという。
このシーンで、ふと思った。
ジャックは、あの大鎌で首を刈られたかったのでは?と。
キリスト教的素養がありながらも、反キリスト教的要素(この映画では暴力・殺人)に惹かれてしまう監督みずからのアンビバレンツを、ジャックとして描いてる「超極私的映画」。
ジャックのように地獄に堕ちたいなぁ、堕ちるのが当然だぁ、と監督は思っているに違いない。
追記>
ヒトラーの映像、やはり出ました。
出たとき、「出たぁ! やっぱり」と思いました。
ゲーテが思索した樹が、強制収容所の一部になっている様子には、驚かされました。
無駄に殺人が続くのは
この映画は見ない方がいい。嘔吐してしまいそうになるぐらい、無意味に一人一人と遺体を積み上げ大事に蒐集するのだから始末に悪い。それが芸術だと思っているから余計に始末に悪い。
その先は遺体を冷凍保存し彼の夢を創作物を構築して法悦するのだから呆れてしまう。
そしてその先が更になんじゃこりゃ〜!
欲望は尽きることはない。
この映画は見ない方がいいに決まっている。
2019年ベストムービー!⭐️
車用のギャジで女性の顔面を殴りつけて殺したり、兄弟の子どもを撃ち殺したり、女性の乳房をナイフで切り取って殺したり、死体の山で家を建てたり…衝撃的なシーンの連続です(笑)…かなり生々しいので、苦手な方は観ない方が良いかも知れません。
ナチスの映像や宗教的なシーンが挟み込まれたりで、無差別殺戮とか愛とか快楽とか、もっと普遍的なテーマがこの作品にはあるようです。天使?のような声もあらわれ、主人公ジャックと延々と対話し続けます。
一見しただけでは、なかなか分かりにくいテーマですが、その映像の衝撃度に圧倒されて観終わりました。目を背け、戦慄するような表現がこの作品には必要であったという事なんでしょうね…。
*パンフレットを購入しましたが、監督のまあまあ長めのこの映画に関する発言や、色んなキーワードについての解説など、この作品の鑑賞後には読み応えのある一冊でした。この映画が、よく分からなかったという方には、参考になるかも知れません。
闇と光
Hit The Road Jack
トリアー映画はもう見ないと決めたのに
どう評価していいか正直分からない映画
殺人を通じて芸術を表現するシリアルキラー、と言えばなんだかありがちな感がありますが、本作はそんなテンプレを大きく飛び越えた、良くも悪くも悪趣味極まりない一本になっています。
正直テンポはひどく悪いし、あんだけ証拠隠滅が雑なまま何十人も殺して捕まらないわけがないし、途中から唐突にイメージ映像増えるしで、なんじゃこりゃって気持ちは常にありました。予告で途中退室続出って煽ってますけど、単に退屈なだけだったんじゃないかと…
しかし同時に、執拗にねちっこく描かれた主人公のこだわりが、頭にこびりついて離れないのもまた事実。それを表現するマット・ディロンがまた好演。何考えてるのか全く分からない、常に不穏な空気しか感じない不気味な主人公から目を背けられませんでした。
というわけで、一応折衷案的に点数はつけましたが、正直言ってプラスにもマイナスにも振り切りまくっていて評価不能ってのが本音です。
ちなみにグロ表現ですが、場面としてはそこまで多くないのですが方向性がめちゃくちゃに悪趣味。グロには慣れてる私もさすがに本作は胸焼けしました。グロ耐性ない人は絶対に見ちゃダメです。
狂気に満ちたブラックコメディ
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