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福島県白河市の伝統名物“白河だるま”をモチーフにした“ダルライザー”の活躍を描いたご当地特撮ヒーロー作品。
私は郡山市住まいだが、仕事などで白河市に行った事は何度もあるし、勿論ダルライザーの事は知っている。ベースの白河だるまを買った事もあるし、それから白河ラーメンも美味しくて有名なんだよね~。
さて、ご当地ヒーロー作品と言うと、いつぞや見た沖縄の『琉神マブヤー』が頭を過ってしまい、どうしてもユルくておバカな作風のイメージが。
しかし、本作は決して地元の県だからと言って贔屓ではなく、いち特撮ヒーロー作品としてなかなかよく出来ていると思った。
東京で売れない役者をしていたアキヒロは、妻の妊娠を機に夢を諦め、福島県白河市に帰郷する。父親とは確執、妻やこれから産まれてくる子供の為にも安定した仕事に就く。そんなある日、オリジナルのキャラクター・コンテストを知り、応募。落選したものの、審査員の一人が気に入り、ヒーローショーの舞台に立つ事に。
ベタな設定・展開。
コミカルなシーンもあるが、おバカ的ではなく、等身大で共感出来るドラマ仕立てに好感。
本作は云わば、“ダルライザー誕生篇”。
その誕生に、奥さんの存在が大。
実はまだ夢を諦めきれずにいたアキヒロ。
そんなアキヒロの背中を押し、キャラコン応募を促す。
白河だるまモチーフやスーツのデザインも助言。
本人の“ダルママン”というダサいネーミングから、“だるま”と“ライズ(=起き上がる)”を掛け合わせた“ダルライザー”という改名まで。
奥さん無くしてダルライザー誕生せず。
理想的過ぎとは言え、内助の功である。
白河市に不穏な異変が起こり始める。
“ダイス”なる集団が出没。恐るべき計画を始めようとしていた…!
ヒーローvs悪の集団の図式をしっかり踏まえているが、ポイントは、ダルライザーもダイスも特殊なスーパーパワーを持っておらず、生身の人間である事。
闘う為にトレーニングするダルライザー。
ダイスは知能派集団。
ダイスの計画はちとSFチックではあるが、考え込まれたものであり、昨今の映画でよく描かれる題材である。
平等か、自由か。
人は皆、平等であるべきと言うダイス。
ダイスのリーダーの脳波を白河市民に送り、皆を平等に同じ考えにしようというのだ。そうすれば、格差も差別も無くなる。
また、ダイスのリーダーにはある悲しい過去が。単なる異常な悪役に非ず。
それに対しダルライザーは、人は自由であるべきと訴える。
例え生き方が不器用でも間違いを犯しても、それを正し受け止める。自分や子供たちに。
白河だけに留まらず、何だか凄いスケールのテーマである。
アクションはさすがにハイクオリティーレベルとは言えないものの、あの『バットマン ビギンズ』でも採用されたアクション振付師、フスト・ディエゲスによる格闘技“KEYSI(ケイシ)”はなかなかの頑張り。
そう、そのボロボロヘトヘトになりながらも、踏ん張り頑張る姿は胸熱涙ぐましいものがある。
決して諦めない。
何度でも起き上がる。
だるまのように。
悪と闘うだけがヒーローじゃない。
子供たちを笑顔にする。夢を与える。
白河から誕生した何度でも起き上がるだるまヒーローは、きっと世界にだって通用する!