火口のふたりのレビュー・感想・評価
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ふたりのことが愛おしくてたまらなくなった
柄本佑と瀧内公美による本物の愛の物語。二人だけの時間に入り込み、彼らの思いのすべてを知った。凄い説得力だった。
愛する人を抱きしめたい、そんな気持ちにさせてくれる、等身大で実に素直な愛の秀作。今年の日本映画のベストの一本だろう。
一晩だけって言ったでしょ?
先に読んでみた原作小説は、舞台が九州で、映画と同じように焼け没栗に火の付いたいとこ同士の濃厚セックスの世界。東日本大震災を他人事に描いているのは不満だったが、富士山を女性に例え、セックスに没入してしく男女をそれに重ねる表現は上手いなあと思った。
映画は、瀧内公美の自然体は魅力的だけど、ただ禁断のセックスに溺れるふたりなだけだった。せっかく震災の現場である東北に舞台を代えたのに、そのアドバンテージを活かしきれていない。セックスがしたくてセックスしか考えられないってのは、ある。だけど、何でタイトルが「火口」なのかの意味が映画には感じなかったのは残念。
【背徳のセックスは蜜の味・・。 現代邦画で、唯一無二の地位を確立した瀧内公美さんの品のある美しさに魅了される作品である。】
ー 人は明日に希望を持てなくなると、野生動物のようにシンプルに、セックス、食、眠りに耽るのだろうか。ー
・荒井晴彦はこの作品にどのような想いを込めたのだろうか。セックス描写と会話だけで、勝負しようとする気概は伝わった。特に、直子の数々の言葉が記憶に刻み込まれた。
・「共喰い」で驚嘆し、「幼な子われらに生まれ」で再度、脚本の凄さに瞠目した荒井晴彦監督・脚本作である。
・瀧内公美は「日本で一番悪い奴ら」で演じた美しい女性警官の妖しい目が印象的であったが、「彼女の人生は間違いじゃない」での、凛とした美しさ、淫蕩な姿に一発で魅了された女優さんである。この作品でも彼女の役者魂は健在であった。
<瀧内公美さんは、邦画女優の中で、独自なポジションを担っているが、是非、トップに駆け上がって欲しい素晴らしい女優さんである。>
■2022年8月26日追記
・誰でも、御存じの通り瀧内さんは、邦画女優のトップクラスに躍り出た。僥倖である。才能ある俳優さんが、その才能を認められたのであるから・・。
やっぱり荒井晴彦監督
荒井氏の80年代「キャバレー日記」(脚本)、にっかつがロッポニカになっての「噛む女」「リボルバー」(脚本)、最近の「さよなら歌舞伎町」(脚本)だって観ようによっては「娯楽」だけど、この作品も「自分もちっちゃな人間だぁ」という共感を感じて、ちょこっと前向きになりました
登場人物は2人だけだから、じっくりと2人の動きを追っていくことができました 瀧内公美さん、一昨年の「彼女の人生は」でも東北の震災を経て、人生が大きく変わった福島の公務員の役、今回は震災の被害が少なかった秋田の住民の役 震災が「東北」と括られても、福島・宮城・岩手の大きな被害の人に対して、秋田など日本海側の被害が少なかった人にとっては、複雑な思いがあるのでしょうか 私も大阪ですが、阪神淡路大震災が関西全体というとらえ方をしないのに、東北には「東北はひとつ」といった気持ちがあるのかもしれません そんな東北の震災の住む人々の背景が「無事でいることが申し訳ない」という思いを持たせ、彼女の人生に影響を与えているのでしょうね
ラストはみなさんが書かれているように、ちょっと希望の持てる内容で、ちょこっと前向きになりました 劇場に根岸吉太郎さんのコメント記事が貼ってあり、あの時代を思いおこさせます(8月29日 シネリーブル梅田にて鑑賞)
ぱっと見だとポルノっぽいけど、さにあらず。 物語の根底には、東日本...
ぱっと見だとポルノっぽいけど、さにあらず。
物語の根底には、東日本大震災で直接的な被害はなかったが、仕事がなくなり、家庭を失い、という間接的被害を受けた東北の人たちの心の傷があります。
そして、つらいときに誰といたいのか?
生きるとは?
好きって?
愛とは?
結婚とは?
セックスとは?
といった、生と性の根源的なことを問う内容でした。
だから、エッチなシーンが多いのだけれど、エッチではないというか。
ラストの方には、しみじみと余韻を覚えるほどよかった。
しかし、最期のシーンと、エンディングの歌詞とが、ギャグかよ!って突っ込みたくなり、ある種の照れ隠しかもと思いました。
離れられないと思える相手に出会える奇跡
柄本佑が少し前から気になっていて、主演2人が表紙になってる文庫を先に見つけて鑑賞を決めました。
離れられないと思える相手に出会える奇跡。魅力的な俳優さんが演じていて、しっとりした話とは違うかもしれないけれど、2時間ほろ酔いみたいな気分で鑑賞しました。主演のお2人があまあまな恋人同士というよりほんとに血縁を感じさせるような空気感でリアルでした。
バスはバレます絶対(笑)原作の新幹線派です。
なかなかの映画!!
女性の私は、劇場に入りにくかったけれど、たくさんの女性のお客さんがみえた。
ススキの野原で抱き合う二人の映画のパンフレットに惹かれて、是非観たかった。
中性的な魅力の柄本佑さん、サバサバした感じの瀧内公美さんの全力の演技は、変ないやらしさを感じなかった。
性欲はタブー視されるけれど、食欲と同じ‥って思わせる。
変ないやらしさを感じなかった理由の一つは、二人の対等的な関係性だろう、って思う。
なかなかの映画だった。
セックスばかりしてる映画だけど、涙腺に訴えてくる場面も多々。素晴ら...
セックスばかりしてる映画だけど、涙腺に訴えてくる場面も多々。素晴らしかった。山本直樹の漫画っぽい。最近の邦画ってセックスちゃんと描けないんだよな。この作品は映画としてちゃんとやっている。
いいけど甘い
最後はもうひとひねり出来なかったのかな。
賢治は実は再婚していたとか、直子はシングルマザーになりたがっていたとか
あと、SEXシーンは甘い。挿入角度が合っていない。あんな接合では無理。
適当に腰を振っているだけ。
身体的でないと分かり合えないもの
食べて寝てひたすらセックスする映画、というと言葉は悪いが...言い訳しながらもただただ欲求を満たすふたりの物語。
登場人物は本当に柄本佑と瀧内公美しかいない(ただし意外な「声の出演者」がいる。冒頭一発で分かるその演出の遊び)。
ふたりの関係性はもはや、「元恋人」では表現しきれない分かち難いもので、それこそが身体的関係に深く結びついている。身体的関係で繋がっているふたりではなく、おそらく身体的関係「でしか」最終的に繋がれないふたり。
そして究極表現の筈のセックスが美しくないのもこの映画の良さだ。情事に耽るふたりのどことない滑稽さ(実際かなり笑えるシーンもいくつかある)。男女の欲求と、罪悪感と、情念。皆つくりものみたいに描かれていないのが良い。
ふたりに共感できるのかといえばしにくいものがあるが、震災に関するふたりの会話(実はそれがラストに繋がるのだが)がひどく乾いていてよい。人間そんなものだよな、と思うしそれを罪だとも思わない。ただ生きるだけだ。
しかし、原作未読なのだが、あのラストはびっくりした。未来があるのかないのかさっぱり分からないラストだ。普通の作品なら間違いなくラスト手前で切るよな、というくらい微妙といえば微妙なのだが、なぜか、あのふたりなら合うな、と思ってしまった。色々先は大丈夫か?と思うが、それすら考えず日々生きろということであろう。
柄本佑も瀧内公美も生々しかった。台詞が説明的なのはまあそうだが、二人芝居なのでさほど気にならないというか、あのふたりは会話することで生きる気がした。見つめ合って、言葉もなく抱き合うのでは意味がないのだ。
愚かなふたり
冒頭の会話が説明すぎるきらいはあったが、舞台設定をわかりやすく示してくれて親切だとは思った。それでも唐突な変態セックスには、いい歳した大人が何故こんな愚かなことをと思ってしまったが、要するに若気の至りではまり込んでしまった性癖は一生引きずるのだと思った。愚かにも止められないのだ。のちにそれは兄妹同然の従兄妹であることの負い目が根本にあるらしいことがわかってきて、そこで私は、設定こそそうはなっていなかったが、おそらく二人は子供と言えるくらいの頃から睦み合っていたのだろうと想像した。だからこその負い目であり暴走であると。だから善し悪し以前にそういうことは近づいたが最後、近づかないのが賢明なのだと思った。身体の言い分はどうにもならない。身に染みる。
ラストは物悲しいファンタジーで、安っぽい感じはあったけれど、愚かな二人には似合っていると思った。
素敵な素敵なふたり。
よかった。
とてもとても素晴らしいラブストーリーでした。
ただのセックスシーン満載の作品ではなかった。
大人の、生々しい人間の、弱さを抱えた人間の、人肌のやさしさの伝わる映画でした。
挫折をしたり、心を病んだり、立ち直りかたが見つからなかったり…。
自然災害まで頻発する現代の日本をだらしない愛で生き抜いていく、素晴らしい作品でした。
柄本佑、大っ嫌いでした。理屈っぽくて(笑)
でも、今回ほんとによかった。瀧内公美に感謝しろよ(笑)
瀧内公美、ほんとにかっこよかった。
中年に差し掛かる女性の身体を胸を張ってさらしていた。そして、そこここにいる普通の女性の繊細な心を丁寧に表現していた。妹のようなかわいさと冷めた大人の女性を行ったり来たり、素晴らしかった。実は笑顔がほんとにチャーミングな人だ、と改めて思った。
婚約者がいるのに、とか倫理的にちょっととかそりゃああるだろう。
でも、人のぬくもりがやっぱり恋しいな、って思える素敵なふたり、作品でした。
自分の深いところにあるもの
これまで経験したことがない未曾有の災害が近々、日本を襲うとしたら、やっぱり本当に好きな人と過ごしたいと思う。
セックスもしたい。
それが、僕の身体の言い分で、頭の言い分でもある。
好きってなんだろう。おセンチなのもあるけど、裸で抱き合った時に肌が擦れあってゾクッとする感覚も大切だったりする。
ただ、これは、男性目線の僕の感覚だ。
だから、女性の感想とは違うようにも思う。
女性は、女性で観て感じて欲しい。
セックスのシーンは、どこかぎこちなくて、自分自身のようで苦笑しそうになる。
原作の小説の中で、新幹線の場面は、個人的には一番エロティックだと思っていたが、映画ではバスの中だ。どうして、人に聞かれてるかもとか、見られるとか思うと人は興奮するのだろうか。
やはり気になってしまう。
まったりした時間の中の二人の会話も二人が溶け合うようで愛おしくなる。
湯船のお湯の下に見える乳房も独特のエロティシズムがあるような気がした。
「火口のふたり」は自分自身を再確認するような映画だ。
一番深いところにあるが、実は最も熱く激しい部分、そう、マグマのような。そして、二人は…マグマは、火口まで上昇し…。
セックスは、生命を繋ぐ行為でもある。
最期の賢治と直子のやり取りにもそれを感じる。
未曾有の災害があるかもしれないから投げやりなのか、生命を繋いでみようと考えたのか、答えはきっと人それぞれだ。
セックスシーンは良いけど。
印象的な台詞が多くあったのですが、小説の朗読劇のような雰囲気で、あえて棒読み口調にする演出なのか、人物像としっくりこないというか腑に落ちてないように聞こえました。そこが文学らしくて良いところなのか、判断に迷います。
現代に捧ぐ
秋田十文字映画祭で鑑賞。
荒井さんの脚本監督
川上撮影監督初めてのデジタル
柄本と公美
秋田全編ロケーション
素晴らしい映画。
現代の人達に見せつける物語。
エロスと狂気の狭間にいる火口のふたり
何があっても、変わらず生きれる強さ。
現代に捧ぐ映画です。
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