「傑作とは言い難いが多幸感に溢れてる! オブラディ・オブラダと人生は続くのだ♪」イエスタデイ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作とは言い難いが多幸感に溢れてる! オブラディ・オブラダと人生は続くのだ♪
ある日突然「ビートルズ」が存在しない世界へと転生してしまった主人公が、ビートルズの楽曲を借用して成功を収めるのだが…というラブ・コメディ。
監督/製作は『トレインスポッティング』シリーズや『スラムドッグ・ミリオネア』の、オスカー監督ダニー・ボイル。
脚本/製作/原案は『ラブ・アクチュアリー』『アバウト・タイム』のリチャード・カーティス,CBE。
ヒロインのエリー・アップルトンを演じるのは、『シンデレラ』『ベイビー・ドライバー』のリリー・ジェームズ。
また『はじまりのうた』『オーシャンズ8』の、名優ジェームズ・コーデン,OBEが本人役で出演している。
オスカー監督のダニー・ボイル×ロマンティック・コメディの大家リチャード・カーティスという鉄板の座組で制作された、異世界転生ものラブコメ。
オブラディ・オブラダ、ライフゴーズオーン〜♪てな具合な、お気楽な一作であります。
オリジナルアルバムやライブアルバム、アンソロジーなどを一通り揃えているそこそこのビートルマニアの自分としては、映画全編を通して製作陣のビートルズ愛が伝わってきてとても楽しめました♪
ビートルズの楽曲をふんだんに聞くことができたので満足はしたのですが、正直映画の出来としてはあと一歩といったところ。
ビートルズはただの人気バンドという枠を超えた、世界のカルチャーに多大な影響を与えた存在であるのは間違いない。
作中でも、ビートルズが存在していないことにより、コークもシガレットも『ハリー・ポッター』も存在していないことになっています。
ビートルズが存在していないことで、世界の有様は変化しているはずで、特にポピュラーミュージックの歴史は大きく変化しているはず。ビートルズの不在により、どの様な変化が音楽史に起こったのかをしっかりと描いて欲しかった。
オアシスが消えたのなら、エド・シーランも消えるんじゃない?と思ったり…。
あと気になるのは、物語の根本なのですが、ビートルズが存在していない世界線の現代に彼らの楽曲が突如として登場したとして、世界を巻き込む程のブームを起こすことができるのでしょうか?
世界にクラシックやジャズ、カントリー、フォークや初期のロックンロールの様な音楽しか存在していないとすればあり得るかもしれませんが、『イエスタデイ』の世界にはストーンズもエド・シーランもレディー・ガガもデヴィッド・ボウイも存在しています。
また、ロッキーとシーランのやり取りを見るに、この世界の音楽シーンは現実世界と同じくヒップホップが主流の様です。
このように既にビッグなスターが登場しており、ヒップホップが影響力を持っている世界で、ビートルズの楽曲を発表してもそこまでの注目を浴びるとは正直思えません。ビートルズという音楽を下敷きにして、世界のポップミュージックは進化してきたのですから。
その原点を今更新曲として発表しても、一部の音楽マニアにしか刺さらないでしょうね…。
本作のヒロインであるエリー。彼女を演じているリリー・ジェイムズ。彼女があまりにも魅力的すぎる!!あんな美女がマネージャーとして支えてくれていたのに、ジャックは10年間も何をしていたのか!?
あの2人が恋人ではないという設定に違和感がありました。別に恋人同士でいいじゃん。ジャックが馬鹿みたいに売れてしまって2人の間に溝ができるけど、ラストで心が通じ合ってハッピーエンド。この方が自然だと思うけどなー。
リリー・ジェイムズは非常に魅力的でしたが、エリーの「私と仕事どっちが大事なの?」的な態度には正直げんなり。それと、ギャビンがあまりにも気の毒。まぁ、あいつもすぐ別の彼女作ってたけど。
ジャック同様、ビートルズの記憶を持ったまま転生したあの二人は結局何だったのだろうか?もう少しあの人たちの説明をお願いします。
ジョン・レノン登場はやはり感動。この映画、ココがやりたいだけだったのではないかとも思っています。
せっかくまだ2人もビートルが生きているのですから、彼らも映画に登場していれば評価が上がったのですが(ポールはこの映画の企画にあまり乗り気ではなかったらしいので無理だったのかも知れません…)。
70代のジョン、ポール、リンゴがペニー・レインでジョージの思い出を駄弁っているシーンとかあったら最高だったのに!
ジャック自作の曲、「サマーソング」ですが、これはもっと作中効果的に使用すべきだったと思います。
ラストシーンは「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」ではなく「サマーソング」で締めるとか。ラストライブでこの曲をエリーに捧げるとか。そういう印象的な使い方をして欲しかった。
割と良い曲だったのに、ちょっと扱いがもったいないと思います。エド・シーランのマネージャーにディスられて可哀想…。
ビートルズの楽曲がたくさん聞けるので、ビートルマニアにはオススメの映画!反面、ビートルズに興味がない人には退屈かもしれません。
取り敢えず、ビートルズに巻き込まれる形で消滅してしまったオアシスが可哀想だと思いました。この世界線のリアムとノエルは何やってるんだろう?
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素晴らしいレビュー、ありがとうございました。確かにポールとリンゴに出てほしかったけど、ジョージのそっくりさんも調達するのは大変だったんですかね?
ビートルズがいなかったら79年の一発屋ナックもいなかったと思います www
ビートルズ居ない世界で、果たしてあんなにビートルズの楽曲が受け入れられたか…そうですね。一番のこの映画の弱点かも知れないです。海辺の彼の登場には私さえも声出してビックリしました。おっしゃる通り、それを一番したかった映画かも!