マイ・ブックショップのレビュー・感想・評価
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かっこいい老人のお手本
ビル・ナイ演ずるブランディッシュ氏が素敵。
特に「あなたとは別の人生で出会いたかった」という告白がかっこいい。
「大人の事情」でやりきれないことばかりで、めっちゃ暗くなりそうな物語の中で、子供達の活躍が救い。彼や彼女達が画面に現れるだけでほっとする。
音楽が素敵。チェロの独奏だと思うけど、イギリスの海辺の小さな街の風景とよくマッチして、映画の雰囲気を形づくっている。
作品中では語られないけれど、ガマート夫人とブランディッシュ氏の間には、その昔いわく因縁があったに違いない。
表情と仕草だけでそう思わせるパトリシア・クラークソンの演技が凄い。
そうか、これはたぶん恋愛映画なのだ。叶わない恋。叶わなかった恋。亡き夫への思慕。
ゆっくりとページをめくる様に始まり終わる物語
好きな映画。良いとか悪いとか言う以前に大好きなヤツでした。
まずは画の話。予告編を見た時から、色使いは良いなぁと思っていましたが、冒頭のシーンで「線」の引き方(スクリーン上の)の美しさに目を奪われました。海岸の石垣、背後の林の上縁が作るライン、歩く人物の軌跡。左右に流れるラインが平行せず、角度を持たせて配置した上で色を塗る。そこから先は画面上に描かれる線と色を眺めるだけでウットリで。イヤぁ、めちゃくちゃ良い。
色も好き。煉瓦色に緑の屋根。フローレンスとクリスティンの衣装。海と海岸線の四季。特に、ダークシーグレーの海と暗色のフローレンス達の服装での心象表現とか、好き。書棚の宇宙感は言わずもがな。
次に台詞。話し言葉と言うより、文章を読んでる様な、ブランディッシュの語り言葉の美しさに惚れる。彼に取っては全てがSmall thingなのか。世捨て人の口から出て来るこの言葉は、一番大切なモノを指す時にも使われました。「美徳とは勇気」。
関わって来た者全員が、悪意の敵。歯向かう事もせず立ち去るだけのフローレンスと、少女の破壊工作。美徳が勇気なら、悪徳は悪意への非反抗。これヌーベルバーグっぽくないか、と思っているうちに時は流れて、マイ・ブックショップの種明かし。
本を破り捨てて火にくべていたブランディッシュに届けられるのが華氏451で、ロリータの箱を開けるのがブロンドの少女と言う、象徴性の分かりやすさはサービス。
エミリー・モーティマーが愛らしくて良かった。年齢には触れないけれど。
第二次大戦を空軍で戦ったと言うブランディッシュ。誇り高い戦士の最期が自宅前の発作ってのが、俺的には哀しかったりして。
本と勇気。じんわりくる傑作。
曇り空とイギリス田舎町の本屋。 本屋という夢を実現した、強い心を持つ未亡人のフローレンスと、フローレンスから夢と勇気をもらった少女と老紳士。権力との静かな戦いが描かれている。 グレーなトーンの中、町と人々の心に豊かさをもたらす書店の存在と、フローレンス達の権力に屈しない心が、作品にしっかりと色を与えていたように思う。 この作品の宣伝用ポスターデザインが好き。
素敵!でもカタルシス不足。
まず正直、「えぇー!ラストこう着地しちゃうの!?」と物語としては個人的に消化不良感が否めない。
でも素敵なところもたくさんある作品ではあった。
戦争で夫を亡くした本好きの主人公・フローレンスは長年の夢だった、町で唯一の書店を開店させる。
クリスティーンという聡明で気の合う少女も雇い、経営は一時はうまくいくかと思われたが、彼女が書店を開店させた物件を狙っていた町の有力者に妨害され、
結局は店を手放し、町を離れることを余儀なくされる。
フィクションの中でくらい善意の側に勝ってほしい(勝たなくてもせめて救済はほしい)身としては、フローレンスが町を去るラストにモヤモヤが残る…。(たとえ彼女の志や勇気はクリスティーンに受け継けついだとはいえ。)
ちなみにこの作品、割と嫌な奴等が出てくるのでこれから観る方は心したほうが良いかも。
でも、イギリスの田舎の風景の閉塞感と美しさ(灰色の海、風にそよぐ穀物。どこか日本みも感じる)は良かったし、主演女優さんはチャーミングで素敵だった。
劇中の書店や登場人物の衣装もお洒落で素敵。フローレンスやクリスティーンのお洋服がとても可愛くて印象的だった(作中で不評だった赤い(深い栗色)ドレスも素敵だった)。
あとは私の心を打ち抜いた初老の読書家・ブランディッシュさん。彼の不器用な愛にきゅんきゅんした。
切ない瞳、不器用な掌へのキス。フローレンスの力になりたくて、引きこもり気味だったのに外に出て単身ボガート夫人邸に乗り込む(でも最終的に暴言を吐いて立ち去る)健気さ。
ふたりでお茶するシーン、海で会話するシーン、ひそかにスクリーン前でときめきが止まらなかった私であった。
見所はあるんだけど、ストーリーのラストはああなるにしてももう少しフローレンスに救いが欲しかったなあというのが個人的な想い。
孤独な闘いをしている人の勇気が崇高な意思と行動を呼ぶ
ガマート夫人とその周辺だけでなく、街の人たち全部も敵に回しているように見えてしまうかもしれませんが、フローレンスにとって、ガマート夫人とその取り巻き的な働きをする人たちや冷たい銀行員を除けば、決して敵ではありません。 実際にその人たちが本を買ってくれてるから(ガマート夫人の画策が具体的になるまでは)経営が成り立っていたのだし、ロリータを250冊も仕入れるほど、街の人たちに対しての手応えと期待があったのですから。 ただ、多くの人たちが「真昼の決闘」のように、いざという時、強い者には逆らえず、立ち向かう人を見殺しとまではいかなくとも、見て見ぬ振りで窮地に追い込んでしまうのだと思います。 だからこそ、ビル・ナイのあの宣言(見て見ぬ振りはできない、自分にできる闘いをする、ということ)がフローレンスにとっては途轍もなく「崇高な意思表示」となるのです。 ヒーロー映画のように最後に勝つ見込みのない、そのうえ理不尽で孤独な闘いを強いられ、やられっ放しであっても、人としての尊厳と優しさを失わなければ、それ自体が〝勇気〟なのだということが、静かに描かれる中で深く観るものの心に沁みわたってきます。そして、そのような勇気が他者の崇高な意思と行動を促すということも教えてくれます。 今日の銀座シネスイッチも観客の多くが50代後半以上と思われる方でしたが、この先進国における、高齢化の進展と高齢者の孤独、という共通課題に対しても勇気を与えてくれたのではないでしょうか。 いくつもの物語と出会いに満ちた『書店』と『映画館』には孤独はない。本好き、映画好きでいられる限り、耐えられないような孤独は回避できるような気がします。 (なのでそのくらいのお小遣いはこれからも許容してくださいね、奥様方‼️)
読書好きの心をくすぐる本屋さん
読書は一人ですることの多い作業だけれど 本の中の同じ世界を体験することで 時間と空間を超え 本を通して人と繋がることができる。 だから、 本に囲まれていると 一人ではないんだと安心できるのだと思いました。 本が大好きな店主が1冊ずつを選りすぐり 思わず手にとりたくなるような 本を並べている小さくて素敵な本屋さんに 行ってみたいです。
読書の意義
本への愛おしさが込められた作品で静かに進みながらも心に染みる。ラストは少女の思いもよらぬ悪事に驚嘆したが同時にスッキリもした。読書によって得られる物は計り知れない。活字離れが進む現代への警告とも感じ取れる。 2019-92
えー。納得いかん!本人が戦えよー。
フローレンスの中の人は、メリーポピンズリターンズでジェーン役だった人ですね。
あとはビルナイとパトリシアクラークソンという、私好みの役者が揃っております。
夫婦の夢だった書店経営を、夫なき後のフローレンスが一人で頑張る!というストーリーなんですが。
書店経営ね…
私は元書店員なので、この儲からない悲しい商売については余計なことを色々考えてしまいます。
そら多分1950年代のことだろうし、UKとJAPANとでは書店の流通の仕組みが違うでしょうが。ね。
まぁそんなことは横へ置くとしても、この映画は、全体としては悪くないんですよ?でも色々納得いかんわーと思う感じでした。
まずは、ガマード夫人はなんでそんなにオールドハウスにこだわるの?7年とか空き家だったところをフローレンスが借りて(買って?)何が悪い?
あの場所でアートーセンターとやらを作る必然性について、まっっっっっったく言及がなかったので、完全なるよそ者いじめにしか見えず…実際そう(ただのいじめ)なのかもしれないけどさー。
完全なるよそ者いじめなのだったらば、フローレンスはなんでもうちょっと反撃しないの?
弁護士変えるとかしたらもうちょいマシなんじゃん?
せめてクソ銀行とかクソ弁護士にやり返すとかないの?
唇噛んで終わりってさぁ…
そしてBBCの職員だとかいう、いけ好かないオヤジよ、あいつはなんなん?何がしたいのよ?ガマード夫人に倣ってフローレンスをいたぶる理由ってなんなん?よそ者いじめは地元民の嗜みなん?
ブランディッシュさんについては、奥ゆかしき懸想に、「青林檎与えしことを唯一の積極として別れ来にけり」という短歌(by河野裕子)を連想しました。微笑ましい。
でもさ、ガマード夫人に文句言いにいってその帰り道に死ぬとかさ、なんてこと!辛すぎる!と叫びました。
大体ガマード夫人との過去もまーったくわからんままでしたしね…
数々のモヤモヤは、クリスティーンが放火をしてガマード夫人の野望を砕いたことで決着をつけるわけですが。
子どもにやらせて終わりかい!!!と、私は怒りを感じる次第です。
多分ナレーションが現代のクリスティーンかなって、予想はしてて、そこは当たってよかったですけどもね。
色々納得いきませんでした。
【本と文学を強く愛する気持ちは確かに引き継がれた・・。】
- 1950年代の英国の田舎が舞台。夫を亡くした女性が本屋のない街に東奔西走して、念願の本屋を開店するのだが・・・。ー ・何度も映される本屋の看板と内部の設えや荒涼とした海岸の風景が魅惑的。 ・保守的な人々に嫌がらせをされる女性を救おうと立ち上がるビル・ナイ扮する英国紳士の佇まいも素晴らしい。 <物語が進むにつれ、やるせない思いが募っていくが、最後、そう来たか そういうことだったのか!という見事なエンディングに溜飲が下がった作品である。> <2019年4月14日 刈谷日劇にて鑑賞>
好きな事を邪魔する奴らには天罰を!
映画鑑賞意欲の幅が広がっている時でもなかなかアンテナに引っ掛からないジャンルですが、予告編上映で観てから、興味が湧いて、鑑賞しました。
で、感想はと言うと、思ってたのと違ってちょっとびっくりしましたが、面白いです。
心地好い雰囲気に田舎社会特有の排他的な陰湿さが混同した、ちょっと稀有な作品。
ポスターや予告編を観る限りでは、本好きの女性が田舎町で本屋を開くが、本に興味の無い住民達は冷やかな目をしながら無関心を装うが、良質の本に徐々に住民達は本に興味を示し、町に読書の文化が根付いていく…みたいな感じかと思いきや、村八分的なお話でびっくり。
主人公の未亡人、フローレンスが文化的に価値はあっても、長年の空き家を改装して本屋を開店するまで良いとしても、その空き家を前から狙っていた富豪で町の権力者のガマート夫人があの手この手でこの家を手に入れて、芸術センターを作る為にフローレンスを追い出そうとする。
イギリスの田舎町の曇った天候が、この町の閉鎖感を終始暗示させているが、自然豊かな情景が作品の穏やかさを醸し出していて、なんとも言えない心地好さがあります。
その分田舎特有の閉鎖的な人間関係と余所者や新しい者には排他的な空気が陰湿で、昔でも外国でも変わんないんだなぁ~と思ったw
主人公のフローレンス役のエミリー・モーティマーがチャーミングで本好きな芯の強い女性を演じていて良い♪
名優 ビル・ナイ演じる老紳士のブランディッシュがフローレンスの良き相談相手であるが、淡い恋心は大人と言うより紳士な対応で、まさしくジェントルマン。
ガマート夫人も絵に描いた様な鼻持ちならない嫌な奴で仲間の様で長い物に巻かれろを地で行くミロも絵に描いた様な小悪党。
もう、早くこいつらに天罰がくだらないかなぁと思いましたw
その中でもフローレンスの良き理解者でお手伝いのクリスティーンがナイス!
子供ながらに歯に着せぬ物言いに筋の通った行動と言動、そして子供の純粋さを最大限に使った仕返しが溜飲を下げた感じです。
要するに良い奴はスッゴく良い奴で嫌な奴はスッゴく嫌な奴とハッキリしてます。
クリスティーンの反撃的な報復に報われた様な感じがしながらも、それでもフローレンスが可愛そうでやるせなさは残るけど、伏線の張り方が上手いです。
町の個人店の本屋が少なくなっていく中で、本を読むと言う行為自体も個人的にも以前より少なくなりましたが、ネットで検索なんて事が無かった時代は何気なしに入った本屋で本を探してる時間やお気に入りの本が見つかった瞬間は実は至福の時間でもあったんですよね。
本を探すと言うよりも“本と巡り会う”と言う言葉がぴったりなそんなささやかな時間を潰す悪党どもに沸々と怒りがこみ上げてきますが、作品のテーマと真意は好きな事を続ける事の困難さではなく、その思いの果てにある至福の時だと思いますし、作品にはゆったりとした雰囲気を醸し出されてます。
まったりとしていて、毒のある稀有な良い作品でもあります。結構当たりな作品かと思いますので、お薦めですよ♪
重い色の空
1960年あたり、英国ロンドン近郊の田舎町での物語。静かで綺麗な映像だが、内容とかさなり、どこか重さを含んで描かれる。 本筋ではないが、風景が印象的。海に面して、丘に囲まれて狭小な平地。そこに、中世から取り残されたかのごとく、石造りで作られた小さな田舎町。海風が強く、雨もよく降る、オールド・イングランドのイメージが色濃く残る世界だ。北部の埃っぽく荒々しい自然とは少し違った、湿度の高い海辺の街の雰囲気で、ロケ地を訪れてみたくなった。 そこは、貴族と平民の区分が明確に存在する小さな世界だ。そこで戦争未亡人のフローレンスが、亡夫の思い出を胸に、街に無かった書店を始める。近所の生意気な少女を助手に雇い、読書家である丘の上の引きこもり老紳士との交流を得ながら、書店は軌道に乗り始める。 だが、その街のわがまま貴族夫人の嫌がらせを受けてしまう。それでも負けずに、書店経営を続けるのだが…。 戦争と昔のしきたりが暗く影を落とした中で、前向きに生きようとする主人公と、それを応援する人たちとの交流が暖かく、描かれる。厳しい状況の中で、優しい物語となっている。冒頭に繋がるラストシーンは、豊かな余韻を残してくれる。観て損は無い良作だ。
嫌なヤツが徹底して嫌なヤツ
いやー、重々しい!ねちっこい! 田舎町の本屋ってキーワードから連想されるホッコリ感はほぼ無し; 本屋モノってより田舎の有権者の嫌がらせに耐える話。 嫌なヤツが徹底して嫌なヤツ。 表情、動き、言動……すべてにイラッときます。ある意味見事。 敵ばかりの四面楚歌状態な本屋。数少ない見方も次第に……。 かんなりの絶望感と悔しさに駆られました。 しかし最後のアレで……意外と重くなりすぎずに映画館を出れたのが救われた。 全体ではグッと心掴む部分はなかったかなぁ。 最後のオチは好き。
フランス映画で無くスペイン映画
最初はフランスかと思いきや違う・・・ 観終わってからスペイン映画と知りました 美しい映像と一生懸命な主人公に好感がもてます これでもっと気持ちよく終われたら思いますがこの最後で良かったのか?
勇気をもらえる作品
ちょっとしたユーモアが効いてて、とても観ていて小気味よい作品。昔とはいえ今も残ってるであろう排他的な精神や、圧力。そんなことにくじけてたまるか!な勇気をもらえた気がする。
本屋さんの内装もとても素敵。本屋好きにはたまらない!ただこのタイトルで想像していた話とはかなり違った、いい意味でも悪い意味でも。でも勇気もらえたし、エンディングが最高だったので良しとします◎
個人的にはビルナイがやはりとても素敵で大満足(^^)
本が好きな人への贈り物
「本が好き」「亡き夫が好き」「面白い本を読者に届けたい」…… その「想い」と「勇気」だけを武器にひたむきに働く、戦争未亡人の姿を描いていました。 自分の【本が好きだ】って気持ちを刺激して、涙腺が緩くなってしまいました。 落ちはイマイチすっきりしなかったけど、嫌がらせばかりする権力者に一泡ふかせるところは好きだなぁ。 3月9日公開で、1ヶ月の間も、地味にロングラン! それだけの価値はあったと思います。
どこの街でも人間のダークな部分は変わらない
イギリスの片田舎のお話。
本屋のアシスタントをしていた女の子が程よく生意気で可愛い☺︎
全体的にキャスティングが良く、登場人物も憎まれ役もとっても合ってた(゚-゚ミэ)Э
その時代の衣装や、建物、小物などなど、あちらの文化が随所に出ているのも良かった
(๑・㉨・๑)
ストーリーが、、辛い。。逆転を望んでしまう、、だが、、しかし、、
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