新聞記者のレビュー・感想・評価
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登場人物の描き方ってこんなんでいいの?
現政権へ物申す立派な志の作品として見させて頂きました。あれこれ、首相絡みの想像が難しくないエピソードがいくつもあり、細菌研究の顛末は別としても、そのための資金が首相のお友達の企業に流れている・・・とか。その勇気には拍手をしたいと思いますが、残念ながら映画としての満足度はそれほど高くありませんでした。
特に内閣府の人たちの描き方はまるで二流のSF漫画みたい。優秀な職員たちが無表情にSNSにネトウヨのような書き込みをしてるなんてありえないし、ただただ隠ぺいと情報操作を部下に押し付ける田中哲志演じる上司の描き方は、さんざどこかで見たパターン以外何ものでもありません。まっとうな神経を持った人間が、死んだ神崎と松坂桃李以外いないような内閣府って何?。国会中継で議員に叱られたてアタフタしているだけが官僚ではなく、実際は頭の良いちゃんと仕切れる人がたくさんいるわけで、せめてそういう人たちの有象無象のリアリティのある人間関係の中に、この問題を放り投げてくれたら、もっと恐ろしい主題が浮かび上がって来たのではないかと残念です。
新聞社もそう。これだけの社運を揺るがすような政権への反旗を朝刊の一面を使って行おうっていうのに、あまりにもそこに葛藤がなさすぎる。北村有起哉のデスクが当初は上からの圧力に屈して手を引けと言っていたのに、証言者が実名を出していいと言っただけで、少し記事を直させて翌日には発行してしまう。社長にはどうやってOKを取ったのか。政治部の記者にもいろいろな意見の人がいるわけだし、絶対に反対もあるだろうにどのように説き伏せたのだろうか。官邸からの反論を想定して負けないだけの次の手を考える。そういうところを丁寧に描いてくれたら、見た人は納得してくれたんじゃないかな。この結末に持っていくには、そうした様々な真反対の意見をギリギリまで集約した結果でなければ、やはり陳腐な印象しか残らないと思います。
政治に詳しくなくても…
DVDで鑑賞しました。
観たいと思ったきっかけが、アカデミー賞にノミネートされたことと、前にSUNNY強い気持ち・強い愛を観たのをきっかけに韓国版も視聴して、シム・ウンギョンさんの演技に魅了されたからでした。
私は、こういった社会派の映画って難しいなぁと思うタイプなのですが、実によく描かれていて、最近のニュースも取り上げられていたので、凄く入りやすかったし、わかりやすかったです。
去年、沢山映画を観ましたが、この映画が1番良かったです。映画館で観ればよかった。
光と闇を見事に描き切った。
「動」と「静」の対峙
邦画では珍しい、政府(内閣情報調査室(内調))の越権的諜報活動を告発する、ある“新聞記者”を描いた社会派ドラマで、独立系配給会社作品としては唯一、今年の日本アカデミー賞に6部門でノミネートされている秀作です。
その事件は午前2時に起こり、以降、新聞社と内調が交互に舞台となり、物語は殆ど夜に進みます。冒頭の新聞社と内調を各々映し出すシーンは、双方で本作のエスタブリッシング・ショットを構成していると云えます。新聞社及び主役の女性記者を捉えたショットはほぼ全て手持ちカメラで撮られ揺れている一方、内調及び内調関係者はフィックス又はパンされた安定した画になっています。
新聞社と記者達は、地図も道標も無く常に行き先を求めて熱く揺動している一方、内調はスタッフの顔が見えず、皆が声もなくパソコンに向かって粛々と機械的にルーティンをこなすモノトーンの冷え冷えとした環境、いわば「動」と「静」という対照的な両者の対峙と対決が本作の舞台設定であり、これが映像として見事に鮮やかに撮り分けられています。
また本作の事件は常に夜の闇の中、即ち色のない、暖かみのない欝々としたモノクロの世界で起こるのも象徴的です。歴史は、決して衆人環視の日常活動の中では動かず、人々が寝静まって認知することのない時間帯・場所で胎動し展開するという寓意が観衆には植え付けられていきます。
本来、本作は全くアクションがなく、ラブロマンスもなく、笑いも涙もない、執務室での遣り取りや記者の取材、及び電話の会話主体で進むという、平板で映像に抑揚や変化がつけ難い、どちらかというとTVドラマに向いたスジですので、さして動きのない映像を手持ちカメラによって、いわば強制的に違和感ある画調に拵えて観衆を催眠させ、即座に内調の安定した画調で覚醒させて観衆を一所に留めず揺さぶり続けることにしたのでしょう。
更に寄せと引きを繰り返し、細かくカットを割ることによって、非常に心地良いテンポに編集されているため、物語の中核となる記者の取材活動=謀略の謎解き自体は単調な映像にも関わらず、観衆には自然に緊迫感が高められていました。
ただ、生命の危機につながる切迫した手に汗握るようなスリル性には乏しく、勧善懲悪にもなり切っていないので、やや不完全燃焼感の残るスジかと思います。
本作で最も出色だったのは、内調のエリート官僚役の松坂桃李の演技、就中“眼”が物語の進行につれて明らかに変化していく処です。前半の官僚らしい怜悧で冷静な眼が、中盤、嘗ての上司に関わる頃から眼に血が通い始め、徐々に使命感が沸き立ち、早々に憤怒に変わっていきます。しかし生気の失せた、恰も死んだ魚のような眼で迎えるラストは、個人の熱情が冷徹な組織論理に組み伏せられてしまう現実を見せられ、殺伐とした荒涼感を残します。全く見事な演技の出来栄えです。
日本も終焉かもしれない
フィクションでも怖い
この映画の本質
何だかレビューを見ていると何が何でも政府の隠蔽を認めたくない所謂ネトウヨが声高らかに書き込んでいますが、本編の中で出てきたフレーズをちゃんと見ていなかったんですかね。
『誰よりも自分を信じ疑え』
このフレーズをちゃんと見ていた人ならば、少しは自分の意見に自分自身の耳を傾けることができると思うのですが...
もっと言えば、僕個人的には、真実なんてどうだっていい。
大事なのは、現に人が死んでいる、傷ついている人がいる、それがこの現象すべての本質じゃないのか。
この国が守られるのであれば隠蔽でも何でもしてください。マスコミも暴きたいならどんどん暴いて下さい。
政府もマスコミもどっちもどっち。執拗な取材で人を追い込んでいるか、隠蔽で追い込んでいるか、やり方が違っているだけで、誰かを傷つけているのは同じ。
無辜の人間を巻き込まないで頂きたい。だたそれだけ。
あともう一つ、僕がいつも報道やこういった作品に触れる時に思い出す名言がある。
『この世に事実というものは存在しない、あるのは解釈だけである』
右翼も左翼も、自分を信じ過ぎない様にして頂きたい。
ラストシーン
政治的な風刺を含むが故に
避けてしまう人も多いのではないか?
時の政権に批判的なニュースが山ほど流れた事を併せて考えると、妄想や陥れる為の画策だと逃げ口上を聞いても政治的ベクトルが同調してなければ納得出来る筈もない。
もりかけ…山口…と未だに現在進行形の話と似たワードが飛び出してくる展開は苦笑いしかでない。
作品で予想されるような事が現実に出てくるが「わきが甘い」の一言で済まされるものだろうかとは思う。
作品内で揉み消しの形などは不起訴でこれ以上掘り下げるのは止めろと圧力がかかるのは実際にお目にかかる事はないが、明らかに奇妙な事が起こり過ぎるとこうなるのも仕方ない。
「嘘か本当を決めるのは国民だ」と判断を任せるのは昔からの手法ではあるが御用マスコミって分かってて受け入れるしかない世の中は恐ろしい。
作品の政治的ベクトルはともかく、観る人の感性を試す作品にはなると思う。付き合いの深い人と観ると関係が壊れるかもしれないと言う意味では少し恐い作品だ。
この作品について「この作品はおかしい」と同調を求める人も「こんな事が起こっているからおかしい」と周りに同調を求める人も色々居る。
観てから何がおかしいか?作品のセリフ「判断は国民がする」と併せて考えれば良いと思う。
軍事的な事や本当に必要だった事業を隠さなければならないのは何故なのか?まともに説明出来ないのにどうやって国民の理解を得るのか?事が起こらなければわからない。そう言った事の中身が利益と必要性が半々位なら良い。
この映画は極端な人間、セリフも出てくるから抵抗感あるだろうが、邦画作品は海外作品と違い権力側は負けるケースが少ない。
頭に長いものには…がちらつく私は主人公たちの熱さは命知らずに映ったが、羨ましさも感じた。
これはフィクションです
無力にあがく
残念でした
社会派作品は心情描写を疎かのしがち
うーん。
観た時の自分のコンディションもあると思うが、僕はイマイチでした。現実に寄せた部分とフィクションとの境界線がはっきりとしており、双方が足を引っ張り合っているというか、ノイズに感じてしまったかな。
各方面でこの作品は、現実に寄せた部分に関して「よくぞこれを作った」という点で評価を受けているようだが、そこに異論は全くないものの「政治的圧力で捻じ曲げられる事実」という事象を映画なり音楽なり何なりで表現するためには並大抵でない相当な覚悟が要るのが今の日本なんだなあという思いが先行してしまう。
誤解を恐れずに言うと「この程度」でも、作り手は相当な覚悟を持ち、それを賞賛する我々というこの現状に若干の憂いを感じてしまいました。
桃李くんは良いよやはり。口を動かさないで話す感じとか。
松坂桃李素晴らしい!
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