「カナリヤの鳴く声が良かった。」人間失格 太宰治と3人の女たち だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
カナリヤの鳴く声が良かった。
この映画の1番よかったところは、主題歌がカナリヤの鳴く声だった点です。スカパラ×チバユウスケ!なつかしー!!と思ってテンション上がりました。
太宰も三人の女たちにもぜーんぜん共感とか感動とかないので、心中の約束とかのくだりは勝手に○ね!とか思ってました。
この映画を見て、ずっと思い出していたのは、高3の時の担任教師です。50前の既婚男性ですが、弁護士になる夢に挫折し、不承不承に県立高の国語教師をしており、職員会議だの部活動の顧問だのってゆう役割はあからさまにさぼり、その姿勢を労働者の権利と称して高校生にナルシスティックに語る、心底きらいな教師でした。
その担任教師は、太宰治と石川啄木が好きだったんですよ。
で、教室の後ろの黒板に、日本の名作文学から引用した名言を定期的に書くということをしていたんです。
その名言で私が唯一覚えていた言葉が、「人間は、恋と革命のために生まれて来た」だったんです。担任教師はしっかりと太宰治と書いておりました。
おぼこかったわたしは、文学史に出てくるような文豪も恋とかゆうんやという親近感から覚えていたんですが。
その名言がなんと愛人からのパクリやったと知ってね。
ウケるwwww!となりまして、件の担任教師を哀れんだ訳です。お前の敬愛する太宰治て、ただのアホやぞと。
太宰の作品は、走れメロスしか読んだことないんです。メロスにしても森見登美彦の「[新釈]走れメロス」が面白くて、原典を読んだだけです。人間失格はチャレンジしたんですが5ページくらいで放置しました。
なので太宰文学のなんたるかを語る権利はないんですけどもね。
太宰が題材になった映画はいくつか見てるし、文学史が好きなのでそこそこエピソードは知ってるんです。もちろん浮気性で心中好きの薬物依存者ってことは知ってました。
それにしてもぺらーっぺらーな人物として描かれていまして、気持ちよーく悪口言えるゲスぶりに逆に感心しちゃいました。近くにいたら徹底的に観察して、悪口を酒の肴にして楽しんだことでしょう。
あんな男がそんなすごい文学を残した?嘘つけーって思ってます。奥さんほんまに?ちゃんと読んでないからこそ思うのでしょうが。
役者はみなさんハマってました。
高良くんが三島由紀夫をやってましたが、あなたはみんなの前で死ねるのか?とかゆうてましたね。そら三島は言えるわな、公衆の面前で割腹自殺したんだものね。
ふみちゃんもエリカさまも宮沢りえもよかったです。
太宰の長男役の男の子、ダウン症の子だなと思ったのですが、実際太宰の長男はダウン症だったらしいです。
ということで、登場人物を貶して楽しめれば面白いでしょう。そうでなければ…です。
蜷川実花的ビジュアルはそこここに見られますが、そんなに効果的だったとは思えません。
静子の部屋の美術は良かったです。