「パニック映画として見ごたえのある作品」Fukushima 50 N Tさんの映画レビュー(感想・評価)
パニック映画として見ごたえのある作品
批判的なレビューを見ると、「人災の部分が描かれていない」「東電を美化しすぎ」「政府批判が足りない」といった意見が目につきます。確かにドキュメンタリーとしてはその通りかもしれませんが、単純にパニック映画として観ればそれなりに面白いんじゃないでしょうか。
大きな事故や災害を描いた邦画としては、「日本沈没」や「海猿シリーズ」等がありますが、それらは所詮作り話のエンターテイメントです。一方、本作は実際の事故を描いている上に、事故の様子をリアルタイムで見ていた身としては他人事とは思えない緊張感があります。私は関西在住なので当時の出来事はテレビでしか知りませんが、東日本の方にとってはなおさらの事でしょう。被害を受けた方々が多くいる中で「面白い」と評価するのは少し気が引けますが、濃い2時間を楽しませていただきました。
ただ、気になる点もいくつか。まず、登場人物の身なりがきれいすぎる。私も仕事の関係で災害現場(台風)での作業経験がありますが、シャワーも浴びられない状況で1日でも作業すれば汗と脂と疲労でドロドロになります。ヘルメットとガスマスクを着けていた登場人物の髪の毛がサラサラでセットが決まっているのはリアリティに欠けます。また、映画が始まってすぐに地震が発生しますが、冒頭に少しでも日常パートがあれば、日常が突如崩壊する恐怖や、命がけで戦う原発職員達への感情移入がもっとできたのではないでしょうか。
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