劇場公開日 2020年3月6日

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「画一的事務的大手メジャー邦画感に埋没する実在の人物達」Fukushima 50 よしさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5画一的事務的大手メジャー邦画感に埋没する実在の人物達

2020年10月2日
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すまん物申させてくれ。事務的大仰演出 × クサい演技。豪華キャストなんだけど本当にごくごく一部の主要キャスト以外演技が残念。左から右に"文字通り"順番に流れる = 前の人の発言を待ってから言っていくセリフの割り振りも事務的で、その他大勢への演出が雑な気がしてしまった。まるで卒業式で後輩が贈る言葉を一人ひとり順番に言っていくように、「(心の声)〇〇が△△と言ったら自分の番だぞ…」みたいな。言ったら「はい、よくできました」みたいな、お遊戯会じゃないんだから。キャラクターの描き分けもそれぞれの温度差もなく、まるで皆同じヤツ。タイトルにもなっているくらいで50人皆実在の人物やモデルがいる筈なんだから、もっと敬意を持って描き分けてくれ!!!!!
もちろん集団心理みたいなものもあるだろうけど、例えば上司に食ってかかるやつもいれば後ろに引いている人もいるだろ。なんで皆同じ熱量で隣の人が言うのをしっかりと待ってから綺麗に同じくらいの文量一行ずつ言っていくんだよ、と。そんなの現実じゃありえないから!しかもそれがキャラクター名ちゃんと付いているような、演じ手もそこそこには有名な人がやってるようなキャラクター達にも起こっているから、もはや手癖だろと笑うしかない。そんな画一的押し問答と(専門的なことを扱うので不可避でもあるが)絵に描いたような説明セリフが、ダメ邦画あるあるの過剰な情緒性と混ざり合って、なんとも言えぬ代物になっている気がした。
原作未読だけど監督脚本が違っていたら…と考えてしまった。オファーした人たちは(すっかりネタ映画?問題作?日本アカデミー賞愚の骨頂)『ホワイトアウト』見ていなかったのかな?モブキャラ等の人数含む規模感を束ねてきた経験(実際には束ねられていない気もするが)と一応興行収入の実績から、出資者的には安牌な選択肢なのかもしれないけど、感情がまるで付いていかない。型にはめられ過ぎていて浅く薄っぺらい。本当は真摯な態度で作っているのかもしれないが感じ取る側として、なんか全体的に上っ面な気がして興醒めしちゃう。それくらい演技がクサい、演出がダサい。ごめんムリ拒否反応が。
ザ・大手メジャーの邦画という感じで、好きになれなかった。逆に海外との差を見せつけられるように、奇しくもドラマ『チェルノブイリ』がいかに傑作かを感じた。CGなどで差がつくのは仕方ない部分もあるが、もっと根底・本質的な部分で。と、正直かなり物申したい作品。あとタイトルにもなっているフクシマ50というのが世界からの呼称ってのは分かるんだけど、作中何度も出てくるアメリカ・海外報道パートどうにかならんかったものかね。あれ出てくる度に、多分途端に冷めちゃう人もいたろう。佐野史郎は明らかに笑わせにきてる。渡辺謙のキャラクターは良かったかも。ここに書き綴ったことは無論本作への評価であり、事実として私たちが、また次の世代が学ぶべきものはたくさんある。だからこそより一層本作の上述したような点は悔やまれる。《現場》本部長!

勝手に関連作『チェルノブイリ』『シンゴジラ』『ユナイテッド93』(←本来こうあるべきだという例に)、たとえ原作が良いとしてもお構いなしにつまらなくするポスタービジュアルのダサいお涙頂戴メジャー邦画

とぽとぽ