岬の兄妹のレビュー・感想・評価
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泣いた
兄の演技に
恐る恐るトラックの運ちゃんに話しかけてる姿、ウンチ出して学生に立ち向かう姿、妹の妊娠を知り結婚してやってくれないかと頼みにいった姿…
売春とか兄妹だとか社会保障とか、あたりまえの倫理みたいなの全部取っ払ってみえたものは「覚悟」
2人で生きるという覚悟が見えたから泣いた
兄は妹を施設に預けることなく絶望感から殺してしまおうなどと考えることもなく…狡さや醜さや馬鹿っぽいところもあるけれど、ただ真っ直ぐに2人で生きていこうとしてるように見えた…だから泣いた
きっとこの映画を毛嫌いする人はいっぱいいると思う
一般的にはおかしなところあるし
でも私にはドンピシャ
人間のあらゆる欲を混ぜ合わせて、性欲、食欲、排泄欲…ぐちゃぐちゃにした中の唯一混ざらないピュアで健気で心えぐられるものを見せてもらった
兄の演技に⭐︎5つ
好みの作品ではある
トンガっていた頃の、
山田洋次監督の馬鹿三部作、
キム・ギドクやイ・チャンドン、ポン・ジュノ、その他、
似た設定の作品は数多くある。
好みとしては、
ど真ん中の作品だ。
設定の向こう側に見えそうなものが、
見えなかった。
作品の奥の方に見えても良さそうなものが、
自分には見えなかった。
難しい表現、描写が必要なテーマに不器用なまま、
ぶつかっていく姿に、
『神戸国際ギャング』で姉に客を取らせる弟に向かって菅原文太が放つセリフを思い出した。
スピーチレス…
お勧めの映画を聞かれた時にこの作品を進めたいけど、何て言って勧めたら良いか言葉が見つからない…それくらい見終わった後は衝撃的過ぎて何も出てこなかった。
ある程度大人で精神状態が良い人(悪い時に観るとダメージ受けます)是非観て下さい。
和田光沙さん、もっと色んな作品に出て沢山の人に知ってもらいたい女優さんです!!
和田光沙さん!
日本映画にオスカー的なものがあるなら、
主演女優賞間違いなしと思います。
障害のある女の子が性に対してあまりに無知なところ、知らないがゆえの限界なき無邪気さ
どうやって自分のものにされたかは分かりませんが
とにかくものすごい演技でした。
脚本、画面の構図で時々兄弟をものすごく小さく見せるところなど、
作り手の思い入れを感じる
すごい映画でした。
現実はジョーカーよりも残酷で…
パラサイトや万引き家族よりも生々しい。
もはや"エンタメ"としての枠すらかなぐり捨てた本作は、これら3作とは全く異なる魅力に溢れていた。
邦画インディーズでこれだけパンチのある作品は"野火"以来だ。
あれ程旨そうにハンバーガーを貪り食う人間を見たのは初めてだ。
格差社会の貧困を描いた名作は数あれど、これほどまで"生"を描いた作品は他にない。
障害というハンディキャップを負いながら社会から切り捨てられ。職を失い電気ガス水道も止められた2人。
それでも生きたいと願った。
生きる為の手段が理性的にどんなに間違っていようとも、誰が生への渇望を否定することができよう。
どん詰まりの人生。どんなにみっともなくても我武者羅に生きろ!
偽善にまみれたこの世界で"生"への希求は鮮やかに輝いている。
社会派じゃない所が良い
気になる箇所は幾つかあった。特に警官の友人から社会保障を巡る話が一度も出てこない所はモヤモヤを残す。ティッシュの銘柄がKYなのもちょっと寒い。
その辺を差し引いても近年の日本映画でこれをやってる人多分いないんじゃっていう意味でも傑作。とことん貧乏でバカで、人間としては欠陥だらけなんだけど、最後の最後の所でギリギリ憎めない兄貴。精神障害の負の部分を観る人に突きつけながらもどこか明るく癒しさえもたらす妹。
性的な過去を巡る兄と妹の微妙な関係性も含めて今村昌平の映画のようだった。
ラストは妹が死ぬとしたい気もする所だけど、予算的に無理だろうな。決して悪いラストじゃないけど、代替品な感じは否めなかった。
白眉は妹がヤクザとセックスしてるのを見せられると同時に少年時代に妹のオナニーを目撃した事を思い出すというくだり。このシークエンスがあるから、社会保障に頼らないという筋がギリギリ成立している。
「兄は妹の幸福のために売春をやめなかった」とも取れるし、「自分もそんな事で興奮するクソ野郎だから踏ん切りがはっきりついたのだ」とも取れる。共感させるのではなく、目を見開かせるという手段の映画がもっと観たい!
私は無理
ぬるま湯コンプライアンスの中で目が腐っていたのだろうか?
かつて活劇はこんなに自由だっただろうか?
足の悪い兄と、自閉症で知的障害者の妹を売春させて生きていく生活。
そこに福祉という日本の生きる温情が全くない。
友人の警察官ですら、犯罪と知りつつ止めさせない。
こんなのは日本じゃない。
いっそ日本じゃなかったのなら、こんな不憫な国がまだあるんだなぁと傍観できたのかもしれない。
ただただ、怒りと憐みの感情しか湧かず、
いやいやこれはアンチテーゼで、最後は絶対にハッピーエンドに違いないと、
ただそれだけに期待していた90分、
それは儚く打ち破れた。
演じた俳優さんは本当に素晴らしかったし、
予算をかけずにこんな濃い90分を作りあげたのはすごいと思う。
ただ…。
もっと他にもできたんじゃない?
この内容に福祉入れて、120分にしたって良かったと思う。
観ている側に何かを考えさせるならまだしも、
救いがない気持ちにさせてどうしようというのかと思ったりもした。
監督の狙いがいまいち伝わってこない。
それだけで、この作品はどんなに賞賛されても私は手放しで喜ぶわけにはいかない。
加えていえば、友人を警察官にすべきではなかった。
警察官ならそういった人たちを守る法律があることを知っているはずだ。
だからどうしても違和感しか残らない。
一蹴させる
数年前に「最貧困女子」という本が出版されましたが、その解説にセックスワーカーは知的障害や精神障害を抱えている女性が多いとありました。今作を鑑賞して本の解説を思い出したと同時に、なぜ最貧困になるのかという理由が理解できました。私は最貧困の人達が障害者手帳や生活保護等で生活していると思っていたのですが、そうではありませんでした。良夫と真理子は、そもそも福祉の存在を知りません。彼らの周りには説教をする人間はいますが、福祉に繋げてくれる様な良識のある人間がいません。頭が悪いと言いますが、賢く生存する術を教えてくれる人も皆無です。PCやスマホを使ったり、何かを調べたり、そういった私が普通にできていることも生活環境に左右されるものだと知りました。
女性は身体を売れば何とか生きていけるという意見がありますが、今作はその意見を一蹴させる作品です。また、良夫の視点から真理子を描いているので、女性やセックスワーカーが受ける痛みを男性でも想像しやすい作品だと思います。性的な表現で女性蔑視を感じさせる邦画が多い中、今作はそんなことを感じることもありませんでした。鑑賞後、どうしようもない居心地の悪さが取れないのですが、この感覚は、イ・チャンドンを鑑賞した後に近い感覚です。
油断して観ると大ダメージを食らう映画
TSUTAYAでずっと貸し出し中だったので中々観れなかったけど、やっとレンタルできた。
公開時、話題になった作品なので、それなりの覚悟を決めて観たつもりだったけど、それでもかなりのダメージを受けたので、油断して観たら大ダメージを食らうと思う。
障害を持ち貧困に喘ぐ兄妹という題材から、社会的な映画だと思われそうだし、実際そういう一面もあるけど、この映画の本質は「心」について描いた作品なのだと感じた。
フィクションと分かっていても、観終わったあと「どうすればよかったのか」を考えずにいられない。
この岬から
時々日本のインディーズ界から、韓国映画に匹敵するような力作が生まれる事がある。
あのポン・ジュノや山下敦弘の下で学び、低予算で90分ほどながらまるで3時間の重量映画を見たようなKO級、日本映画も捨てたもんじゃないと思わせてくれる、俊英・片山慎三監督の鮮烈デビュー作。
ある寂れた港町。
造船所で働きながら自閉症の妹・真理子を養う良夫だったが、不自由な片足を理由に解雇されてしまう。
そんな時良夫は、真理子が町の男相手に体でお金を得ていた事を知る。
最初は激しく叱責するが、生活はド困窮。妹を使って、売春の斡旋を始める…。
とにかく描かれている題材全てがえげつない。
貧困。生活は底辺どころか、クソ溜め。
障害。片足が不自由な兄と、自閉症の妹。
犯罪。法に反する売春の斡旋。
暴力。他の売春斡旋業者から袋叩き。
性。客から連絡を受け、体で稼ぐ。
他にもいじめやとあるシーンでのう○こ攻撃のお下劣描写。
それらを生々しく、赤裸々に。
人によっては反吐が出るほど受け付けないだろう。
確かに不快で胸クソ悪いが、ズシンと重苦しく響く題材、監督の入魂、無名のキャストの熱演で引き込まれた。
良夫は典型的なクズだ。
自分より“下”の立場の者には強く出、自分より“上”の立場の者にはペコペコ弱々しく。
ズル賢く、何より妹に売春を斡旋させるという人道外れ。
でもクズなだけであって、悪人ではない。
不自由な片足で解雇されたのは同情に値するし、妹を使って売春斡旋させている事に少なからず葛藤や罪の意識も滲ませている。
兄として人として、道から外れた事をしているのは分かっている。だけど、こうでもしなきゃ生きていけない…。
自閉症の妹・真理子は無垢で天真爛漫だが、ただそれだけではない。
鍵を掛けておかないと一人で勝手に家を出てふらふらする事はしょっちゅう。
本当に手を焼き、その無垢で天真爛漫さが見てて時折イライラもさせ、良夫の苦労も分かる。
一方がクズ人間で、一方が同情出来るのではなく、両者にそれぞれがある人物描写が秀逸。
無名ながら、それらを体現した松浦祐也と和田光沙の迫真の熱演は言うまでもなく。
人間の醜さをさらけ出した松浦も素晴らしいが、自閉症という難役に加え、際どい濡れ場の数々も体当たりで披露した和田に圧巻。
また、兄妹をよく知る友人の警官役で、『男はつらいよ』の三瓶ちゃんこと北山雅康が好助演。良夫に対して言う、「お前は足が悪いんじゃない、頭が悪いんだ!」の台詞が辛辣ながらも友を思い、響く。
売春で食っていく中で、兄妹の心に変化が。
斡旋を続けながらも罪悪感を感じる良夫に対し、真理子は「お仕事する!お仕事する!」と積極的に。ある一人の客に好意を抱いたような素振りも。
また、真理子の売春は何でもOK。本番や最後まで、アレも付けず、○出しも。故に…。
妊娠が発覚。
こんなクソ溜めのような最低最悪の中でも宿った“生命”。
良夫は藁にもすがる思いである客の下に頼み赴くが…。
突き付けられる痛々しい現実。
障害持ちの兄妹、明日の身も分からない困窮…無理もない。
選択肢は一つしかなかった。
一体、どうしてこんな惨めな人生を…?
何処で道を踏み外した?
売春の斡旋を始めた時から?
解雇された時から?
地方の貧困地で生まれたから?
自分たちの人生はそう生きていくしかない宿命(さだめ)なのか…?
生きていく事は辛く、苦しい。
それでも生きていきたい。
生きていかなければならない。
生きていれば…
宙に舞う売春斡旋のチラシの美しさ、段ボールを剥がし薄暗かった部屋を差す眩い陽光、夢で見た走れる嬉しさ…。
こんな人生を照らす光や希望が、いずれ、きっと…。
でも、今はまだ。
また変わらぬ日々が始まる。
この岬から。
それはまるで、これから日本映画界に挑んでいく片山監督の姿そのものに見えた。
一線を越える
窓にぶら下がってまで積極的に越えてしまっている。まるでそこに線が引かれていることを判別する思慮すらないようだ。ハンデのありすぎるこのふたりであれば、どの時代にあっても社会の底辺に追いやられるのかもしれない。社会保障に頼る術すら得ない、社会に生きる場所が見出せない。こちらもどうやったら救い出せるか、方法が思いつかない。現代の貧困がテーマというよりも、もがき生きる人の様を描いているように感じた。これでも生きるべきか、生が与えられるべきかという問いかけに呼応する堕胎シーンは、こちらの倫理観を揺さぶってくる。
不正な金を得て、自らに日の目を与えたり、中学生相手に優越感を得たり。しかし勝手な期待に社会は応えない。矛盾が増幅する。終始騒ぐ妹はそのノイズの中で感情が届きにくいが、そこは見事に演技、演出されていて、彼女の機微が伝わってきて実に切なかった。
ブランコに股がる少女のシーンは、このシーンを撮ること自体の倫理性に疑問を感じた。
片岡監督、新星であることは間違いない。
ムービーウォッチメンで本作を知り、調べると片岡監督は、ポンジュノ、山下敦弘の助監を経験してると!これは一刻も早く観ねば!と新百合ヶ丘まで遠征しました。
観終わっての感想は、⬆︎の事前情報が若干のノイズになってしまったかも。。「(俺が思う)ポンジュノ監督っぽい」っていう部分と「(俺が思う)山下監督っぽい」っていう部分を僕自身が勝手に汲み取ってしまい、作品全体としてかなり歪な作品に感じた。もし、事前情報無しで「片岡作品」としてまっさら状態で観たら、衝撃がもっと強かったかも。まあ、その事前情報を知らなかったら映画自体観てなかっただろうけど笑何度か繰り返し観たら「片岡監督っぽさ」というのがわかるかもな。。いやそれもダメだ。。何故ならこの作品、もう一度見たいという気が起きない。。
しなしながら、片岡監督、これから目が離せない、これだけは確かだろう。
「生活保護を何故受けない?その時点でリアリティが無い」という感想を見かけたが、負のスパイラルってそういうものでは無いだろうか。側から見て「こうすれば良いのに」ってことも中々出来ないような状況だったり環境だったり。まして良男さんは卑屈方面に相当我が強そうだし。。
そして最後の着信、あれは希望なのだろうか?あの状況で良男さんが出ちゃうのは大事な電話だから、おそらくあの人からであろう。しかし、その前に起こった絶望を思うと、決して希望とは言えない。
とにかくイカれてる。そして、見た後自分に襲いかかる罪悪感のようなもの。最近傑作ばかり観てるので言葉の重みが無くなってるが、やっぱり言いたい、傑作だ💩
面白いのだけれど、映像、俳優陣の華がない
映画を作成する上での基本条件、予算。
メジャー作品でない限り、制限があるのは承知している。
しかし、その壁を乗り越えるカタルシスをどのように観客に伝えるか、感じさせるかが映画製作者としての課せられた課題であろう。
この作品は、それを感じることが出来た。それは見事である。
が、矢張り作品としての華が無い(綺麗な女優さんがいないとかそういう事ではない。)
映画とは、観客に対してあるレベルを保ったレベルで社会派映画であれば問題提起をすべきであり、この作品はメッセージ性のレベルは高いが訴求感という観点では、些か弱い。
自主制作作品であれば、成程と思うが、この作品はシネコン系で掛かった映画である。
この映画の作製に関わった方々にはもうひと踏ん張りして、これでどうだ!という映画を是非、低予算で見せていただきたい。
応援する気持ちを込めて、記します。
<2019年4月5日 劇場にて鑑賞 車で1時間半かけて観に行きました>
どん底生活の底なし感に胸が潰れそうでした
ある港町に暮らす足に障碍を持つ兄・良夫と自閉症の妹・真理子の二人のどん底のような生活を描いた人間ドラマ。仕事を失い生活苦に陥った人々の行き着く先をこの作品は容赦なく見せつけてくれます。そんな兄が選んだ方策は人の道から外れたものでした。しかし、罪悪感に苛みながらそのような決断をしたにも拘らず、彼らは救われるどころか、更に余計な厄介事を抱え込んでしまうとは何と運命の皮肉で苛酷なことか。しかしそれでも兄妹は自ら死を選ばぬ限り生き続けなければならない... 最後の場面はそのような暗澹たる運命を受け入れる兄の覚悟を写していたように思いました。真理子役・和田光沙さんの体当たりの迫真の演技はこの作品に無くてはならなかったもの、本当にお見事でした。
泣き笑いがとまらない
あまりの悲惨に視てられなくてなんど席を立とうとしたか、その度にスクリーンに魅いってしまい機を逸し、終劇まで釘付けで泣き笑いが止まらない。醜悲笑涙とへヴィ級の拳がコンビネーションブローの固め撃ち。エモい、エモすぎて心が痛い。痛みを伴う忘れ得ぬ映画体験でありました。魂砕きの凄玉を見るときは心身のコンディションを整えて!トラウマ覚悟で!物凄いから。
貧困と障害という負のスパイラル
京都の出町座に初めて行って、すごく雰囲気のある映画館で好きな感じ。
引きずる足の障害を持つ兄と発達障害!?自閉症!?の妹と文化住宅で暮らしており、兄が障害を理由に解雇され金回りが苦しくなって、お試しでやってみて味をしめた売春で生活費の補てんをしようとする。
一発逆転のような収入があるわけでもないし、かと言って資格や能力があるわけでもない。ましてや、発達障害の妹養っていかなくてはならないだけに、自由に動けるわけでもない。
もう八方塞がりで閉塞感と、不法行為と分かっていながらも売春をしないといけないほどに追い込まれた状況では、全面的にダメとも言い難い、答えのない解決方法を鑑賞者はあれこれと想像しながらみれた。
妹の体当たり演技とはまさにこのことで、主演女優賞にノミネートしてもおかしくないのでは、と。自閉症の発声や同じ言葉を繰り返す癖、落ち着きがなく頭を振りながら焦点が合っていないような表情、役作りは完璧だった。
痛々しく、つらい。救われない?
自閉症の妹と身体障がい者の兄、他に身寄りがなく生きるのに精一杯の兄妹。まだ若いのが救いとはいえ、これからの人生どうやって生き抜いていくのか、生きる術は見つかるのだろうか、なぜ二人ともと思うと、辛さだけが残る。
心身にハンデキャップを背負った人を弱者と言うつもりはないが、この映画では、活路が見いだせないままのエンディングなので救われない。最後のシーンは何を暗示していたのかがわからずじまい。何を見せたかったのか。ジ・エンドなのか?
現実世界でも類似の境遇の家族がいるだろうということが想像され、後味の悪さだけが残る。
妹役の女優が体を張りながら、自閉症の演技をやり抜いたことにプラス一点かな。
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