バイスのレビュー・感想・評価
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Good Modern Historical Drama
Seeing Will Ferrel on the producer credits is a surprise considering the serious skewing of American politics in this analysis of former Vice President Dick Cheney's contributions to turbulent culture of the US today. Handled similarly with direct monologues as in The Big Short, Vice arguably hits the nail on the head pretty well in showing why the country has changed so much in the last 20 years.
リベラル派からの一方的な攻撃ではない。
ディック・チェイニーやブッシュ政権、共和党への痛烈な皮肉と攻撃にも見えるが、劇中で触れているように、一個人や一陣営を非難するための作品ではない。矛先は、外面のイメージや曖昧な印象だけを見て事態を理解しようとしない大衆に向いていて、むしろチェイニーという人物(とその妻)についてはある種の魅力を感じ、面白がっているようにも思える。つまり本作は、社会派のブラックコメディではあるがプロパガンダ映画ではないのだ。
もちろん根底には『マネーショート』の金融業界に対する怒りと同種の、国家権力への怒りがある。では悪者がいなくなれば世の中はよくなるのか? 繰り返し繰り返し悪者をのさばらせるシステムを成り立たされているのは誰なのか? そういう俯瞰の目線があるからこそ、たやすく日本にも置き換えられるし、ぶっちゃけ笑ってられないくらい日本の現実について考えさせられる作品であったと思う。
権力とは何なのか
お飾りの役職だったはずの副大統領の立場で、アメリカを牛耳って魅せたチェイニーはどういう人物なのかについて、丹念に迫っている。クリスチャン・ベールのなりきり芝居は今回も素晴らしい。エイミー・アダムスが演じる妻のリン・チェイニーもユニークだし、スティーブ・カレルのラムズフェルド、サム・ロックウェルのブッシュ大統領もそっくりだ。
見た目の再現度が高いゆえにこんな滑稽なことがまかり通るか、という驚きを隠せない本作だが、多くの人々はなぜ彼の大言壮語に乗ってしまったのだろうか。権力とは本当につかみどころのない、フワフワとしたものだが、本作を観ると本当に実態のない思い込みに過ぎないのではないかと思えてくる。
直接関係ないのだが、ナチの大尉の軍服を着ただけで権力者になりすました兵隊を描いた『ちいさな独裁者』を思い出した。権力は幻想にすぎない。だから大言壮語の上手いやつほど権力に近づけるのかもしれない。同時代の空気を知るには『記者たち』と合わせて観るのも良い。
この時代に生まれるべくして生まれた珍種映画と呼びたい
ブッシュ政権下で副大統領を務めたディック・チェイニーの半生を描いた本作は、実のところアメリカ国民にとっても「知られざる物語」だったとか。祖国をイラク戦争へ導いた張本人とも言われる彼だが、その政権を掌握していく過程と、一転して家庭人たるその素顔に、我々の心はただただ翻弄され続ける。
作り手たちの共通認識として「決して悪人と決めつけず、その人生をいったん肯定した上で描く」というものがあったそうで、だからこそシェイクスピア劇をも思わせる「人間そのもの」の探求として観る者を魅了するのだろう。本作の性質上、クリスチャン・ベールの役作りばかりが取りざたされるが、実のところエイミー・アダムスやスティーヴ・カレルも凄い。成りきっている。またそれ以上に、アダム・マッケイがもたらす壮絶な台詞量とそれを余すところなく伝えるリズム、語り口に圧倒された。この時代に生まれるべくして生まれた珍種映画と私は呼びたい。
画面の向こうのキャスター役、ナオミ・ワッツの起用がユニーク
アルフレッド・モリナ(個人的には「スパイダーマン2」のタコ怪人の人)やナオミ・ワッツの起用法がユニークで思わずニヤリ。本作の中で、ブッシュ政権を批判するコラムを寄稿した元外交官に報復するため、その妻がCIAエージェントであることをリークするようチェイニーが指示したエピソードが出てくるが、この実話をドラマ化した「フェア・ゲーム」の主演がワッツ。彼女の起用は同作への目配せだろう。
「華氏911」の影響か、チェイニーやラムズフェルドらネオコンの面々は腹黒い政治家という印象だったが、クリスチャン・ベールやスティーブ・カレルが演じているせいか、妙に愛嬌や魅力があって困る。サム・ロックウェルによるブッシュのボンクラ感も最高だし。
同じブッシュ政権の問題を扱った「記者たち 衝撃と畏怖の真実」と比べると、こちらの方が楽しめた。2作を併せて鑑賞すると実態がより立体的に見えてくるのは言うまでもない。
傑作になれたかも。
ジョージ・W・ブッシュ大統領の下で副大統領を務めた、ディック・チェイニーを描くドラマ。主人公が大学中退後、ニクソン政権下でインターンとして働き、ブッシュ政権下で実権を握るまでを描く。
チェイニーの伝記映画であり、米国の政治ドラマであり、長女は父親と同じ保守系の政治家となり、次女はレズビアンを告白する家族のドラマでもある。様々な出来事が描かれ、飽きることは無いが、焦点が定まっていないともいえる。
チェイニーになりきったクリスチャン・ベールの変身ぶりがすごい。物語自体は興味深いエピソードが多く、最後まで見ることができる。
表面的で軽過ぎると言えなくもないし、深い独自の洞察や、政治的・社会的なメッセージを求める人には、不満が残るかも。題材自体は非常に興味深く、面白い話ではあるので、作り手がもっと研究していれば、傑作になれたかも。
つまらない
ストーリーもつまらないし 写真もつまらない
伝記ものはつまらないし デジタル写真がつまらない
物語が面白くなるようにもっと工夫をしていただきたいものだ
例えば いきなり危機が訪れるとか
主人公のポテンシャルを見せて こいつなら 成し遂げられると思わせてくれるとか
エピソードの1つ1つが面白いとか
俳優の魅力的な部分を最大限に引き出しているとか
この映画には何の工夫もない 退屈な あらすじがき通りに退屈に物語を進めているだけだ
Sロックウェルのモノマネ演。
近過去米国史。
何故か才に長ける政界でトントンのし上がる。
それが目的化し、ところで政治で何をする?が抜けている。
という主人公キャラが特別面白くはない、
別に、な一本。
Sロックウェルの激似モノマネ演だけが収穫。
チェイニーを押し上げた決定的な一打
「バイス」を観たのは、結構前の事になる。すごく面白かったんだが、書きたいことがいっぱい有りすぎて、何を書こうか迷いに迷って、2週間くらい経っていた。
「バイス」は伝記映画であり、ブラックコメディであり、おじいちゃん映画でもある。
リン・チェイニーの物語としても興味深く、こんなに切り口の多い映画もちょっと珍しいんじゃないだろうか。
しかし、筆頭に挙げるなら演出の思いきりの良さが相応しいだろう。登場人物の目論見や内心の感情などがそれを象徴する「ストーリーとは無関係な映像」によって補完される。
言うなれば「※イメージ映像です」みたいなシーン。
これらが挟まれることによって、シリアスな話運びはわかりやすく可視化され、コメディとして万人に受け入れられる映画が成立している。
ブッシュJr.とのやり取りではフライフィッシングのシーンが挿入され、会話の流れとは無関係なチェイニーの笑顔も挿入される。その笑顔はルーレットで賭けたマスが的中したかのような「してやったり」の笑顔だ。
副大統領という何の権限もない人でありながら、しかもブッシュJr.という強烈なキャラクターが大統領であった時の副大統領でありながら、ここまで有名な人も珍しい。
こんなに強烈な人物が大統領と副大統領を務めていたんだから、この頃のアメリカが話題に事欠かなかったのも納得だ。
あんまり良い話題はなかったのだけど。
ブッシュJr.、チェイニー、ラムズフェルドを演じた3人の演技も最高だった。
主演のクリスチャン・ベイルは勿論のこと、サム・ロックウェルは別に似てるわけではないけどブッシュJr.にしか見えない素晴らしさだし、スティーブ・カレルはヤバそうな奴を演じた時のテンションの落差に深みがある。
過剰な演出に負けない濃い演技陣による人物描写が痛烈な風刺に笑いをもたらし、映画で描写される出来事を身近な問題として再認識させるのだ。
長時間の労働によって余暇を奪われ、自分達の生活がかかっているのに政治から締め出された「国民」に、限りある娯楽の中で政治への関わりを訴えるエンディングも、一筋縄ではいかない皮肉さ。
面白いけど、面白く観ている場合ではない。
面倒くさい政治の話題を避け、政治を自分の事としてとらえなくなった先に、「バイス」は存在するのだから。
「天地人」という考え方がある。天の時、地の利、人の和が戦略の三要素として重要だという。
チェイニーがここまでの事を成すにも「天地人」は必要だった。
国民が考えることを止めた、その「天の時」さえなければ「バイス」は産み出されなかったであろことを忘れてはならない。
歴史の資料じゃなく映画だから皆
この映画を史実のわかりやすい資料として捉えてディック・チェイニー元副大統領の残した影響を考えてしまいそうになります。続けて「ゼロ・ダーク・サーティ」を観たくなりました。そうして映画表現による感動とともに、これらの映画を現実の史実だと認識してしまう。
ここに映画ばかり観て、歴史の勉強が不足している私の拙さを感じます。できる限り歴史を正しく学び、これはあくまで映画であると強く意識する必要があります。自戒繰り返し
それほど観いってしまいました。遠い国でありながら9.11事件を強く記憶しているように、アメリカは日本にとって大きな国であり、その政治というのは世界を左右する緊張感があります。
この映画はリベラルによる、ディックの所業の告発ではないか。クレジットの途中、「この映画はリベラルに寄りすぎではないか」との質問に私は咄嗟に挙手をしました。この映画は告発ではないですよね。けれども、根拠なきイラク侵攻やグアンタナモの今にも触れ、「この人がやりました」みたいに思わせられあってのもあるし…勉強してきます。
低いガサガサの声はバットマン語の時に身に付けたんでしょーね。
クリスチャン・ベールって変身しないとダメね
ゲイリー・オールドマンが『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で、オスカーを獲得したことには、何となく違うものを感じていた。簡単に言うと「原型がない」特殊メイクで演技をすることに価値を感じないから。
アンディ・サーキスが素顔で出演して演技をしても評価されずに、『スターウォーズ』とか『ロード・オブ・ザ・リング』あたりが絶賛されるのとは対極で、クリスチャン・ベールは「太って」「髪をそって」変わり果てた姿で演技をしたということらしい。あえて不摂生した姿が、チェビー・チェイスそっくりなのは何という皮肉か。だったら彼をキャスティングすりゃいいじゃん。とにかく、この映画でゴールデングローブ賞を獲得し、オスカーにノミネートされたことは、一定の評価ととれるだろう。
私としては「原型がない」。以外の何物でもない。ちょっと乱暴な例えだが、フレンチの達人が和食を作ってもおいしい。遊んでても結果が伴うみたいな評価のされ方はおかしいと思う。
この映画は、政治を皮肉って笑える映画を目指したらしい。権力者を茶化して笑いを取るのはチャップリンが捨て身の演技でやってのけた。それに比べれば、クリスの演技は大したことない。一本調子で、薄ら笑いを浮かべ、アメリカというシステムが生み出したモンスターを演じても、ひとつも面白くない。それとも怖がってほしかったのかな?
クリント・イーストウッド作品『アメリカン・スナイパー』は、静かに胸の内に語り掛けてくる。見終わった後の、何とも言えない感動は、しばらく波のように押し寄せる。この映画は、対極だ。何の感動も押し寄せてこない。
おまけの映像は、「権力者がこんな横暴を尽くしても、民衆は『ワイルド・スピード』の新作ほどには興味を持たない」という皮肉たっぷりのメッセージ。
みんな分からないの?王様は裸なんだよ。って言いたいんだろう。
2019.4.9
大統領はアホだと言えば、国家機密漏洩罪で逮捕される‼️❓とゆうジョークがあります
かなり皮層的な内容です。
本当のことを知らないのか、政府に忖度しているのか不明ですが。
ただ、キャストの演技は秀逸です、特に妻役の女優。
ブツシュが愚かであること、イラク侵攻は石油狙いであること、これだけは誰でも知りうることですが、これを描写したことが評価されたのでしょうか。
テレビの録画ですが、テレビで十分な内容でした。
権力の監視
権力の恐ろしさを痛感した。権力を得たものは自分の思い通りに世界を動かしていく。権力を濫用させないための監視がいかに大切か。政治に関心を持ち、プロパガンダに惑わされないようにしなければいけない。権力を監視するのは我々の責務である。
イラク戦争当時にネオコン政治家たちのやっていたことを、ユーモアも交えながら丁寧に描いている。
アダム・マッケイ監督による2018年製作のアメリカ映画。原題:Vice、配給:ロングライド
未だ生きているらしいチェイニー元副大統領を始め、ラムズフェルド元国防長官、ジョージ・W・ブッシュ元大統領らネオコン政治家たちを、ユーモアを交えながらも強烈に批判しており、とても驚かされた。日本では殆ど考えられない映画だ。しかも、制作に人気俳優ブラッド・ピットが関わっている。
ただこの映画のおかげで、他国侵略であるイラク戦争を大量破壊兵器保持の偽情報を理由に引き起こしたブッシュ政権の背景を少し理解できた気がした。ブッシュ大統領があんな感じとは知らなかったが、調べてみると大学時代は典型的金持ちのバカ息子だったとのことで、映画の描写はかなり事実に近い様だ。
共和党右派によるFOXニュースや御用学者等の最大級活用による自分達に都合の良い世論形成の描写も生々しい。CNN等とバランス取れている様に錯覚していたが、視聴者数で言えば断然FOXニュースなのか。意外だったが、日本の状況とも類似する。成る程というか、トランプ大統領誕生の理由も教えられた気がした。
クリスチャン・ベールがチェイニーを演じていたことを見終わった後に知り驚愕。あまりの変身ぶりに視聴中は全く気づかなかった。妻のリン・チェイニーが随分と良い奥様ぶりで好感を抱いた。彼女を演じたのが「メッセージ」主演のエイミー・アダムスであることも気づかず。演ずる役に思いっきりなりきる一流俳優たちの姿勢に感嘆。
映画の若い語りべが事故に遭遇し、彼の心臓がチェイニーに移植される展開にはビックリ。やはり権力を使って優先的に心臓移植がなされたのか?流石に当時話題にもなったらしい。
映画を通して、軍事産業や大企業に迎合する米国政治、ひいては資本主義国家の政治の問題をあらためて突きつけられた気がした。やはりそれに異論を主張できる健全な映画を含めてのメディアの存在が非常に重要であることも併せて再認識。日本でも権力者を丁寧に描く、、この手の映画を是非見てみたいものである。
製作ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ジェレミー・クレイマー、 ウィル・フェレル アダム・マッケイ、ケビン・メシック、製作総指揮ミーガン・エリソン 、チェルシー・バーナード、ジリアン・ロングネッカー 、ロビン・ホーリー、ジェフ・ワックスマン。脚本アダム・マッケイ、撮影グレイグ・フレイザー、美術パトリス・バーメット、衣装スーザン・マシスン、編集ハンク・コーウィン、音楽ニコラス・ブリテル、特殊メイクグレッグ・キャノン。
出演クリスチャン・ベール(ディック・チェイニー)、エイミー・アダムス(リン・チェイニー)、スティーブ・カレル(ドナルド・ラムズフェルド)、サム・ロックウェル(ジョージ・W・ブッシュ)、タイラー・ペリー(コリン・パウエル)、アリソン・ピル(メアリー・チェイニー)、リリー・レーブ(リズ・チェイニー)、リサ・ゲイ・ハミルトン(コンドリーザ・ライス)、ジェシー・プレモンス(カート)、ジャスティン・カーク(スクーター・リビー)、エディ・マーサン(ポール・ウォルフォウィッツ)、シェー・ウィガム、ビル・キャンプ、ドン・マクマナス、ナオミ・ワッツ、アルフレッド・モリーナ。
政界のどろどろ具合をユーモアたっぷりに描いた作品
政治ドラマということで少々抵抗があったが、全体を通して明るくテンポ良く映像も凝っていて、楽しく観れた。
悪名高い人物とはいえ、奥さんに支えられながら出世を遂げていくディックの姿は、非常にほほえましく映った。
クリスチャン・ベールの名優ぶりも全開だ。
アメリカ人の解説を聞きながら観たいですね
この手の映画はアメリカ人以外にはもともとの予備知識がないので、本当の面白さはわからないでしょうが、むしろわからないので結構サスペンスを感じることもできます。
TVマンガ的な画面構成と映像手法を取り入れているところが目新しくて、リズムとテンポに大きく寄与しています。ただ、終盤まで快調で5点決まりと思っていたら、テロのあとは話題が集約されてしまって若干一本調子に陥ったようなので4点です。
そっくりショー(笑)
とにかくクリスチャン・ベールやサム・ロックウェルが激似で驚きました。
『正義の戦争』はありえませんが、映画自体は上出来でした。
難を付けるならば、後半の展開が、多少分かりにくかった程度。
大事なことは面白く
いやもう単純にエンタメとしても成立してるし
政治的な問題提起っていうか、そういう領域でやるっていう覚悟というのかな。
まずはこの二面を両立させたってとこに拍手したい。
ディック・チェイニーという人をただの悪人として断罪するわけじゃないのも好感が持てて
”民衆”の目線っていうのかな。政治なんてしらねーから踊っとけみたいなカットがあったり。
割とフラットに、でもなんか温かみを感じる監督の視線が感じられるようだった。
この作品の良いところでもあるんだけど、”事実”と言っちゃうことの生臭みというか。
あの軍事行動に正当性がないとしたら…って提示は、
”アメリカン・スナイパー”とか”ゼロ・ダーク・サーティ”などなど
今まで制作されて評価されてきた作品を否定しかねない破壊力があったと思う。
本当に大事なことは面白く言わなきゃ伝わらないですよっていう。
そういう映画のもつ力を感じさせてくれた作品だった。
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