蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
全421件中、61~80件目を表示
世界を音楽で表現できる人達
世界が音楽で溢れてる。
なんかそんなことを素人の俺にも納得させてくれる映画。
それぞれの天才達の音楽への取り組みかたがメリハリ効いてて面白い。
ピアノ、音楽が題材であるけれど、それを表現するのに映像がうまく活かされてる。
世界を音楽で満たすのは天才達。
映画館で見たかった。
音楽村の若者たち
文庫にしても厚さ2cmで上下巻の大作、そもそもクラシックは長いので完奏は無理でしょう、そこで登場人物やエピソードの割愛やハイライト編集に頼らざるを得ませんね、加えて読み物なら読者の感性次第で補えますがなまじ具現化してしまうので上手に映画化するのは超難関だったでしょう。
出場者はライバル心剥き出しかと思ったら和気あいあい、お互いが触発しあって演奏を熟成してゆくプロセスは実に微笑ましい。特に月を見て、ドビッシーの「月の光」やベートーベンの「月光」、意外だったのは「It's Only a Paper Moon」まで聞かせてくれる大サービスにはやられました。
まあ、ドラマ・ツルギ―としては敵役も必要なのでしょう、横柄な審査員や上からものを言う指揮者など音楽村の権威主義が鼻につくのはクラシック界の残念な実状かも知れませんね、鹿賀丈史が上手すぎて、「セッション」のJKシモンズ登場かと身構えてしまいました。
亜夜ちゃんが過去のトラウマで本選に尻込みしているのは分かりますが、肝心なところで気を揉ませるのは悪趣味ですね、母との思い出、音の謎々での雨音や馬の蹄のリズムの象徴としても嵐の黒馬の映像は不気味過ぎやしませんかね、その辺がポーランド留学で映画を学んだ石川監督のユニークな感性なのでしょうか・・。
ピアノ重視で鑑賞。
未読、俳優に特に興味なし、ピアノ重視で鑑賞。
なかなか4人もの演奏を一度に同じ曲で聴けることはないので貴重なシーン『春と修羅』は4人4様の演奏で興奮しました。
もっと適当というかなんとなくの映像なのかと思ってたので演奏シーンがしっかりしていておどろき。
演技と演奏の息がぴったりでコンサートに何回か行ったことのある金子三勇士さんと藤田真央さんのマサルと塵は本当の二人を見ているかのようでした。
ストーリーと演技が淡々としている分ピアノの感情が溢れ出ていて素晴らしかった。
2時間余の映画で1人ずつの演奏シーンは短いんだろうなと思ってたけど本のファンも俳優のファンもピアノのファンも納得の絶妙なバランスだったのではないでしょうか。そりゃカデンツァはもっと聴いていたかったけど。
パンフレットも読み応えたっぷりでした。
この映画ではサントラではなくインスパイアードアルバムというのが4人それぞれで出ていて、2枚買いたいと思っていたけど4枚とも購入決定。
期待外したらどうしようとちょっとこわかったけど観てよかった。
文学性を映像表現で唯一無二の作品に、平等にあたるスポットも好み
正直、期待をしていた訳ではなかった。愚行録も劇場で観ていたが、重苦しくて仕方なかったから。そんな一抹の不安を蹴飛ばす良作だった。
まず、音楽映画に留まらない人間ドラマが繰り広げられていたことである。主軸の4人のピアノマンにスポットを当てながらも、彼らを支える人たちを隔てなく当てることで、その厚さを生み出している。タイトルに含められた意味が機能するように、寡黙な亜夜を導くような存在が陰と陽で照らされる。他の2人のピアニスト、支配人、調律師など全ての人にドラマを感じる。次に、演奏シーン。本格的な演奏はプロとの合わせ技らしい。そんな、人間ドラマに全く引けの取らないからこそ、火花散る熱き戦いに心が震える。
繊細さと大胆さを兼ね備えたスタリッシュな映画。文学的な良さを映像表現の特長で魅せる圧巻の1本。また観てもいいかも。
原作を読んで出直してきました
原作を読んで再鑑賞のレビューです。(2023/3/21)
2年前、原作どころか、内容も知らないまま観た結果、内容についていけなくて、もう二度と観ないだろうなとすら思っていました。
でも、ずっと気になっていました。最近になってようやく原作を読みました。
感動しました。
境遇も内面も異なる4人のピアニスト達が苦悩や葛藤を抱えながらも自分の音楽を追求し、新たな境地を切り拓いていこうとする姿に心が震えました。
世間の評価とは別の次元で自分自身と闘い、4人が互いに影響し合っている。
スター、異端児、元神童、努力家
彼らの生い立ちや一人ひとりが背負うも物をわかった上で映画を観ると感動もひとしお。
特に「生活者の音楽」を掲げる高島明石から滲む静かな情熱が胸を打ちます。
夫として、父として、社会人として、そして、音楽家として…コンクールに臨む重圧。演奏後のやりきった表情。遠くから天才達を見つめる眼差し。彼らとの違いを目の当たりにするのだけれども、そこで区切りを付けるのではなく、音楽への想いを新たに彼の道に光が射すような温かい気持ちになりました。
“世界が鳴ってる”
初鑑賞時は気にも留めなかったこの言葉ですが、今考えると、塵や亜夜は本当に凄い事をやろうとしているのだなと思います。
世界は音楽に溢れてる。
でもそれを聴く事が出来るのは天才の中でもほんの一握り。
凡人の私には別世界なのだけど、世界が鳴らしている音を感じようとする気持ちを止めたくないなと思いました。
最後に…
原作を読んで映画の印象が180度変わりました。原作を読んだ事で、ようやくきちんとこの映画に出会えた気がしてとても嬉しいです。
*****************************************************
*****************************************************
以下、初鑑賞時のレビューです。(2021/2/11)
素敵な音楽に出会えるのでは!と期待して観たのですが、映画の中に入り込めませんでした。音楽は思っていたのと違ったし(あくまで私が思っていたのと違っただけであり音楽が悪かった訳ではありません)、主人公にも共感できませんでした。
誰もが知ってるクラシック曲や、心にガツンと響くような旋律を期待していたのですが、ほとんど知らない難しい曲ばかりでした。格調高いピアノコンクールが舞台なので、万人受けするわかりやすい曲は使えなかったのかもしれませんが、1曲くらいはキャッチーなメロディを聴きたかったなというのが正直な感想です。
主人公にも感情移入できませんでした。なぜあんなに不安げなのか。母の死を乗り越えられていないからなのか。スランプの時期だからなのか。
ピアノを辞める覚悟で臨んだはずなのに、なぜ直前で逃げようとしたのか。でもまた戻ってきたのはなぜか。雨の中のあの黒い馬は何を意味しているのか。原作未読の私には色々謎だらけでした。でも、わからないからこそ天才の持つ感覚や苦悩の複雑さを感じる事ができたのかなという気もします。
良い部分もありました。月夜の連弾シーンは印象的です。ピアノで語り合ってる感じがして、これこそが音楽の素敵な所だなと思います。
コンクールに臨む4人の関係性も素敵だなと思います。ライバル同士なんだけど、それ以上にお互いが無くてはならない存在で、いい意味で響き合っていると感じました。
春と修羅のカデンツァも4人それぞれの技術や心情がよく表れているなと思いました。
音を楽しむ=音楽 なんだよね。
映画館で観たかった作品、時が経ち上映期間も終了してしまい観れず、レンタルになったのも知らずにいました💦ふとレンタル店で立ち止まった目の前にあった、この作品。
そういえばと思い、レンタルして早速鑑賞しました。
映画館で上映していた頃の観たい気持ちももう、ちょっと無くなっていたので、軽い気持ちで良い作品だと良いなくらいで観た数分後には、もうどっぷりと浸っていましたよ。
最初から楽しそうにピアノを弾く少年や、母親を失ってからピアノが弾けなくなってしまった主役、名門校在学中の秀才や家族に応援されて生活者の音楽を届けたいという思いで参加する父親。
その主に4人それぞれが、ピアノ素人の自分にとっても、計り知れない程の腕(指!)を持っているのだとは、この素人目でも充分理解出来る。
でも、途中までは、なんとなく普通のコンクールの様子と、主役達の過去や葛藤、練習風景を描いた作品ではあるのだけれど、、なんだろう、最終選別⁉︎の前の、オーケストラとの音合わせで指揮者として、鹿賀丈史が出てくる辺りから、ガラッと空気感が変わり、緊張感とこれから起こるであろうとんでもない風景が予想されるのですよね。
皆んなが天才的なピアノ演奏する事は言うまでもないのだけど、それぞれの過去や想いがピアノの鍵盤を打つ指にガッツリと降りてきてるんですよ!
音合わせの時に異常な空気感を漂わせていた、あの指揮者が自分の指揮するオーケストラとピアノが合っていると感じる瞬間のあの笑みは、観ているこっちをも気持ち良くさせてくれるのです。
何が良いかって、最終的に残った天才達は、相手を蹴落とそうとするのではなく、お互いが良い演奏が出来るように助け合っている様子も観ていて、なんか良かったなぁ。
劇中の終盤、母と娘でピアノを弾いている中で、音を聴きながら言葉で言い表し、鍵盤をたたくと、それが徐々に音楽に変わるシーン、母の優しさと音楽の優しさがシンクロする所はとっても良かった。
また、3人で寒空の海を走るシーン、遠雷を見ながら何を思ったのか、、雷の音も蜜蜂のはばたきも彼らにとっては譜面に描き落とせるものだし、生活の中や自然の中にある全ての音は、それぞれが重なると音楽になるのですね。
楽器や音は好き、だけど音楽に携わってこなかった自分にとってもこの映画や他の映画を観て音を楽しみ、ずっと音楽が好きでいたいな。
と思わせてくれる作品でした。
見終わったあと、月が出ていたら
ドビュッシー ベルカスク組曲 月の光
を聴きたい。
個人的にはオーシャンズ11の同曲も好きです笑笑
蜜蜂と遠雷、オススメです。
のだめは越えられない
やはりクラシック音楽を描いた映画には
“解説役”が必要だと思う。
原作には出てくる奏ちゃんがいないと、アヤのキャラクターや言葉が理解しきれず、天才ぶりが伝わりきれていないんじゃないかと感じた。
マサルのイメージが原作とは違ったが、キラキラ王子具合が完成されていたのが良かった。
ただ、ナサニエルとの信頼関係は描いて欲しい。
1番残念だったのは松坂桃李の演奏シーン。
発表会か?というくらいぎこちなく、間に合わなかったのなら撮り方を変えればいいのに…
好きな俳優さんだっただけにガッカリ。
そのせいか明石の印象がとにかくダサくなってしまった。
そして明石の妻は綺麗すぎる。
ぼろ家にあんなに綺麗な夫婦は違和感がありすぎて、家族でのシーンが嘘臭くみえる。
一方、鈴鹿央士は
初めて映画に出演したとは思えない演技だった。
というか鈴鹿央士と風間塵の相性がすごく良かったんだと思う。
それにピアノの弾きっぷりが最高。
春と修羅がぼんやり終わり過ぎていて
観客の反応をもっと見せて欲しかった。
なんだか不完全燃焼な気持ちになってのだめカンタービレを一から観始めました。
ピアニストの卵達の苦悩と喜び
選ばれし才能と環境に恵まれた若者3人と独学で演奏家を目指す30歳の青年を中心に、大きな音楽コンクールで生まれる様々な物語を素晴らしい演奏と共に味わえる音楽作品。
演技も音楽もとても良く、どんどん物語に引き込まれていき、山場のシーンでは主人公に「だめーっ」と手に汗を握って応援してしまった(笑)。
考察?は苦手ながらも
原作をここまで映像化したのは立派
奏でられる音によって表現されるそれぞれの人物像
映像化不可能と言われた恩田陸さんの小説を映画化。
導入以降は説明的な場面はほとんどなく、それぞれの人物像をそれぞれが奏でる音によって表現していくような、とても音楽が大切にされている映画。
純粋に音楽が楽しくて堪らない塵と、塵と同じような気持ちでピアノを弾いていたかつての自分を見失ってしまった亜矢が、月を眺めながら連弾する場面がとても美しく印象に残りました。
ピアノが突き刺さる
一言「難しい世界じゃのお」。
原作のボリュームに手が出ず、ならば映像ならと思ってチョイス。
コンテストのトップに君臨するたまに必要なものって?。
難しいメロディーを引きこなす技か、それとも心打つ音色を奏でることか。
それぞれの弾き方の個性が、その中になった気がします。
でも正直、4人の人間模様を描くあまりに。
それぞれのキャラへの思い込みが、ちょっとできなかった。
説明がさらっとした感じで。
主人公・亜夜の、「弾けなくなった症候群」も。
松岡茉優さんが、クールビューティーすぎて(「ちはやふる」はそこがよかった)。
どうも悲しさ・辛さがいまいち伝わらなかったです。
これピアノ経験者の方だったら、評価はまだ上がりそう。
私ピアノは弾けないし、ゆったりした曲の方が好きなんだな。
若手4人を囲む俳優陣が、豪華でしたね。平田満さん・鹿賀丈史さん・斉藤由貴さん他ほか。
なので淡々としたストーリーに、メリハリがついた形になっては居ました。
原作を読んだ方の意見は、どうだったのかなあ。
タイトルなし(ネタバレ)
WOWOWにて鑑賞。
そこまで期待してなかったけど、面白かった。
ピアノ映画だけあって、音楽だいぶ力入れてますねー。
松岡茉優、鈴木先生やあまちゃんの時から見てるけど、
だいぶ大物になったなぁ。目力、オーラ凄すぎ。
鹿賀丈史は、面白いんだよなー
予習不足、音楽に対する知見不足
原作未読、ピアノについても小学校低学年で親の期待を裏切ってしまった自分にとってこの作品に臨むにあたっての勉強不足を後悔しました。
原作で語られている(らしい?)4人それぞれの生い立ちや人となりを知ってから見た方が何倍も楽しめたのではないかと思います。
でもそんな状態でも4人の天才音楽家(ただ松坂桃李さんだけはこっちよりみたいで少し安心!)たちのそれぞれの苦悩と、世界最高峰のピアニストにより送り込まれた特に異彩を放つ超天才 風間塵との融合(って表現が適切じゃないかも?!)により新たなゾーンに入る
天才たちの成長物語として納得できる作品でした。
それぞれの若手俳優さんたちが奮闘している中、脇役の「スケバンまで張ったこの麻宮サキがなんの因果が落ちぶれて今じゃマッポの手先さ!」斉藤由貴さん、(小野寺の姉)片桐はいりさん、「アレ・キュイジーヌ!」鹿賀丈史さん、「銀ちゃんカッコいい」平田満さん、それぞれいい味出してました。
ヒロイン松岡茉優さんは『万引き家族』での体当たり演技も感動しましたが、演じる役どころが作品ごと全く違うのに本当にその役に入り込む演技には驚かされます。NHKなどTVドラマは観ていなかったので、エン転職の着ぐるみバカリズムさんと絡むバラエティ系のタレントさんだとばかり思ってました。(すみません、でもトヨタホームCMの吉田羊さんとの絡みは好きですよ)
表情で演じ切ることのできる類まれなる女優さんですね。『勝手にふるえてろ』も近日中に観ようと思っています。
原作と映画両方楽しめる
原作を読んでどのように映画では表現されているのか気になり鑑賞した。
原作では上下巻あり、演奏部分も事細かに描かれているが、映画では2時間という尺の中だったということもあり原作では風間塵がむしろ中心となっているのだが、内容は栄伝亜夜の苦悩と復活を中心としたストーリーであった。登場人物にそれぞれ個性があり、深みがあるので、ストーリーはやはり原作のほうが面白い。ただ音楽に関しては素人目に見ても楽しめて、コンテスタントの方々の苦悩と音楽への愛情がしっかりと伝わってきた。
原作が素晴らしく、また音楽を映画にするということで制作するのは難しいテーマであったかもしれないが、完成度は高くできていたと思う。
映画を観た方は映画を、映画を観た方は原作を読んでほしい作品であった。
レビュー
全421件中、61~80件目を表示