劇場公開日 2019年10月4日

  • 予告編を見る

「文学性を映像表現で唯一無二の作品に、平等にあたるスポットも好み」蜜蜂と遠雷 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5文学性を映像表現で唯一無二の作品に、平等にあたるスポットも好み

2021年2月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

楽しい

興奮

正直、期待をしていた訳ではなかった。愚行録も劇場で観ていたが、重苦しくて仕方なかったから。そんな一抹の不安を蹴飛ばす良作だった。

まず、音楽映画に留まらない人間ドラマが繰り広げられていたことである。主軸の4人のピアノマンにスポットを当てながらも、彼らを支える人たちを隔てなく当てることで、その厚さを生み出している。タイトルに含められた意味が機能するように、寡黙な亜夜を導くような存在が陰と陽で照らされる。他の2人のピアニスト、支配人、調律師など全ての人にドラマを感じる。次に、演奏シーン。本格的な演奏はプロとの合わせ技らしい。そんな、人間ドラマに全く引けの取らないからこそ、火花散る熱き戦いに心が震える。

繊細さと大胆さを兼ね備えたスタリッシュな映画。文学的な良さを映像表現の特長で魅せる圧巻の1本。また観てもいいかも。

たいよーさん。