ホワイト・クロウ 伝説のダンサーのレビュー・感想・評価
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美への飽くなき探求なのか?
ルドルフ・ヌレエフは二度ほど舞台を観たことがある。カリスマ的魅力がある人だった。汗だくになって踊っていた姿が忘れられない。そんな彼の若き日の姿に感慨を覚えた。亡命していたことは知っていたが、詳しいことは知らなかった。列車の中で生を受けたこと、貧しいこと、始めたのが遅かったこと。それらのハンデをものともせず、プライドを持って走り続けたんだなぁと思った。フランスには美術館だけでなく、何よりも自由があった。でも亡命したら、故郷には二度と帰れないかもしれない。そんな中で彼の下した結論は、やはり間違っていなかったと思う。レイフ・ファインズがなぜこの映画を撮ったのか? ヌレエフの心情がよく理解できたからなのかもしれない。静かだが、胸に迫ってくる映画だった。
ヌレエフさんきむずかしいね。
ルドルフヌレエフさんのことは、殆ど知りません。
英国ロイヤルバレエ団にいたような…パリオペにヌレエフ版●●みたいな演目あったような…といううっすらとした記憶。
そして名前から亡命したソ連の人かな、くらいな印象でした。
正直存命時の活躍や踊りを見たことがないので、再現性については何の感想ももてませんが、バレエものの映画が市内でやるなら観るという自分ルールに従い、見に行きました。
レイフファインズが監督しながら演技もやっています。
映画の世界では、舞台がロシアだろうが中東だろうが日本だろうが、映画内言語は英語っていうパターンがあるあるです。
制作国が米英で、英語話者が多い場所での上映をする予定だと、まあそうなるよねってなりますし、なんせジャックドゥミが監督してフランスで撮ってるのに、映画『ベルサイユのばら』のセリフは英語でしたからね(制作は日本…どやそれ)。
つまるところ映画内言語は、世界名作劇場でアルプスにいるハイジが日本語しゃべるのとおんなじだとおもって納得しているのですが。
レイフファインズ監督は、がんばりました。
ソ連でのシーン、ソ連の人々の会話はなんとロシア語でした。
ファインズ自身もバレエ教師役だったんですが、ロシア語しゃべってたんですよー。
ロシア語のレベルについてはもちろんさっぱりわかりませんが、すごいやーん!チャレンジしてるやーん!と感動しました。
また、バレエダンサーの役が、本当にみんな踊れる人ばかりで、上半身だけで引きを写さないとか、カメラ揺らして踊りがよくわからなくするとかがなくって、うれしかったです。
バヤデールかなんかのバリエーションが出てきたと思います。
ヌレエフさん役の人は、どっかの国のバレエ団でプリンシパルだそうです。
プリンシパルを担う人を見ると皆さんお上手!程度の審美眼しかないのであれですが、理屈っぽい感じがよくでていてよかったです。
映画では殆ど触れられませんでしたが、つかバレエ教師の妻に誘惑されて肉欲に溺れたりしていたのであれって思ったのですが、ヌレエフさんは確か同性愛もお好みだったはずです。バイセクシャルだったんでしょうかね。もちろんどっちでもいいし、どっちでもなくてもいいんですが。
ヌレエフさんたちが所属するキーロフバレエが外国をツアーで回ってて、最初に来たパリで、西側の人たちとあって気ままに楽しみ、その様子がソ連側には許されなくって、ロンドンには行かせてもらえず監禁されることが予想されたのでヌレエフさんは亡命したのでしたー。
という話です。
時制が混ざっててよくわからなくなります。子供時代、キーロフのバレエ学校時代、パリで楽しむ時代の3つです。子供時代は多分画角も違ったしすぐわかるけど、バレエ学校時代とパリ時代は時々どっちかわからなくなったような、ならなかったような、です。
パリで仲良くなった恋人に死なれたお金持ちの女性は、アデルエグザルなんとかさんですね。『アデル、ブルーは熱い色』に出てた。
キーロフバレエの同僚でパリのホテルの同室くんが、セルゲイポルーニンでした。セルゲイもけっこう踊ってます。眼福。だだセリフがほとんどない!
空港での攻防はなかなかサスペンスフルで良かったです。
ヌレエフさんはとにかく自由にしたかったんでしょうね。
それは本当は全然悪いことじゃないけと、社会主義国家では悪目立ちするんだろうね。
レストランで差別されたって怒鳴ったシーンは、意味がよくわからなかったです。そんな怒るとこ?と思いました。
私が無知なだけかもですが…
悪くはなかったです。
おもちゃの電車に見る母への思い
自由な時代に生きていることのありがたさを噛みしめる作品だった
冷戦時代に活躍したソ連のバレエダンサー ヌレエフの実話の映画化
監督は、俳優のレイフ・ファインズ
前半は、田舎町の貧しい農家に生まれたヌレエフが生きていくために、さらなる高みを目指してバレエダンサーとして生きていく姿が描かれる
しかし、トップダンサーになると、いろいろな欲望が生まれてくる
ヌレエフは、西側の文化も積極的に学び、将来のために英語も学ぶようになる
しかし、当時のソ連でそんなヌレエフの考え方が許されるはずがない
ヌレエフは、パリで公演するバレエ団のメンバーに選ばれるが、常に監視がつくような状態だった
バレエダンサーとして、さらに羽ばたきたいと思い、様々な芸術に関心を示していたヌレエフだったが、彼に許された自由は限られていた
それはまるで、鳥かごの中の鳥のようで、彼を見ていると
「もっと自由にさせてあげたい」という気持ちでいっぱいになった
そして、後半、彼は生き抜くための選択をするのだが、そこから先はスリリングなサスペンスのようだった
そんな過酷で激動の人生を送ったヌレエフだったが、彼の家族への思いがとても印象的で、心に残っている
その思いを象徴しているのが「おもちゃの電車」だ
走っている電車の中で生まれた彼は、どんな時も、大人になっても、おもちゃの電車を持ち歩いていた
それは、彼にとっての「家族の思い出」なのではと思った
幼い頃にバレエ団に入れられた彼には、家族写真もないけれど、電車を見ては田舎町に暮らす母のことを思い出していたのではないかと思う
そんな彼が、パリで高級なおもちゃの電車を求めていたのは、田舎町で貧しい暮らしをしている母に贅沢をさせてあげたいと思っていたからではないかと思う
しかし、そんな彼の思いは叶わない。
彼の母が亡くなってから10年足らずで、ヌレエフ本人も亡くなってしまったところに、そんな彼の母への思いが見えるような気がした
その時のヌレエフの人生を思えば、今、自由に生きられることが、どれだけありがたいことなのか
そして国の思想が、個人の人生を台無しにすることがあってはいけないなと思った
ダンサーはつくづく美しい生き物
ポルーニンさんはもちろん、主役の方(トップダンサーなのだと他の方のレビューで把握)も、みんなみーんな美しい❤️画面に映るバレエダンサー率高く、それだけで目の保養でございました。
期待していたダンスシーンが少なかったのは、よくある”主人公の葛藤をダンスで表現lみたいな、ベタな演出をしない監督の美学か? わかるけど、スーパーダンサーを使ってるのだから、もう少し見せてくれてもいいのにね。
亡命シーンも意外と地味目。キレイで丁寧につくってるし、センスも悪くないけれど、映画としては少し食い足りないと思いかも。
男性ダンサーの強烈な美
無音の練習風景では、床を蹴る、飛ぶ、回る、ピタッと止まる、同時に美しく弧を描く指先。ライブステージでは見ることのできないズームアップされたダンサーの動きを堪能できます。勿論、舞台の見所もたっぷり用意されている。
あまりにも有名なヌレエフの亡命が歴史上成功すると解っていても、彼の心の動きを浮かび上がらせながら手に汗握るラストへ。
【愛と哀しみのボレロ】でジョルグ・ドンが演じたヌレエフとは全く違う魅力。
今すぐもう一度観たい映画!
映像・音楽・ストーリー。全て素晴らしい作品です。
尊大・傲慢・反逆児。
ヌレエフはまさにこの通りのダンサー。でも、1本筋が通った男。
ヌレエフのバレエの先生が言う。「今は皆、技術ばかりに気を取られ物語を作ろうとしない」。私の胸に響いた。実は私はバレエ要素が必須のフィギュアスケート観戦が大好きだった。でも最近は観なくなった。興味が薄れた理由がまさにこれだった。映像・音楽…とても美しい作品でした。
Going my way.
【前半はバレエ好きな人向け(ダンスシーンなど秀麗)、後半は一気に面白さが加速する作品】
- セルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリー映画(秀作)を観ていた事と、耽美的な赤江瀑作品が大変好きな事と(”ニジンスキーの手”など)、描かれた時代は違うが「禁断の恋 マチルダ」が面白かったので、久しぶりにバレエ映画を鑑賞した。-
◆感想
・前半はセルゲイ・ポルーニンの彼独特の高い飛翔を含めたダンスシーンなどが美しいが、やや単調。
・後半、パリ公演にヌレエフ達が旅立ってから、物語は一気に面白くなる。
今は無き、ソビエト時代が描かれているのも感慨深かったし、レイフ・ファインズが監督だけでなく重要な役で出演もしていて嬉しかった。
<フライヤーにも記載されているが、ホワイト・クロウの意味も初めて知った作品である。>
<2019年5月18日 伏見ミリオン座にて鑑賞 満席だったなあ・・。>
濡れにぞヌレエフ
ヌレエフ氏には大昔にケン・ラッセルの映画で出会っているはずだが、ほとんど覚えていない。
こういう実在のアーチストを描いた映画でいつも気になるのは、演じている役者がどこまでそのパフォーマンスに迫れているのかということ。この映画では実際のバレエダンサーが演じているということなので、もちろん技術は確かなのだろうけど、それでも天才と言われたダンサーの特質をそう簡単に再現できるものではないと思う。ま、私自身はヌレエフのダンスにまるで無知なので、どこがどう違うとも言えないのだが。天才歌手とか天才ピアニストとかを扱った映画でも然り。先に話題になったクイーンの映画みたいに元の音源を使えばその点はうまく逃げられる塩梅になる。
この映画に関して言えば、それほどダンスシーンが多いわけでもないので、ただ天才肌の人間というのはいけすかない性格が多いのかなという印象の方が強かった。
「ルナ・パパ」「ツバル」で大ファンになったチュルパン・ハマートヴァが出ていたとは!途中まったく気づかず、エンドクレジットを見て初めて知った次第。やはりかつての面影とは…。
天才の強さってこうなのか
沢山のバレエ場面を期待していたが見事に裏切られた。でもそれが良かったように思う。
貧しく教養もない生まれ、田舎育ち、人に合わせることができないし、しようとしない性格。そういう自分を変えようとせず、全部引き受けて、新世界に飛び込む勢いと若さ、何より自由への希求に心動かされた。
うーむ…
時々ストーリーに繋がりが感じられない展開になる。字幕でしか追えないので、翻訳のせいなのか、脚本か?ただ自分はヌレエフを演じた俳優がバリシニコフに見えてしまって、誰の映画だっけ??と思うことしきり…
そしてケンラッセルの「ヴァレンチノ」に想いを馳せる。
ヌレエフの男同士のタンゴにゾクゾクさせられた!
完成度が高い伝記映画
31st TIFF コンペティション
ソ連時代にバレエダンサーが公演中に亡命した伝記映画。
歴史を語ることに徹底した絵づくりは秀逸。3つの時間軸が入り組んでいて、多少戸惑うところもあったけれど、その入り組んだ作りもかなり意図的なものと見ることができたので、相当完成度の高い映画と感じた。
物語は昔よく見聞きした事柄が並び立てられているような印象で、多少退屈な気持ちになってしまった。しかし、終盤の緊張感は見事で、それほど激しいわけではない出来事にハラハラドキドキの連続だった。
妥協のない美しさ
東京国際映画祭にて。コンペディション部門。
(名前だけは知ってる)ヌレエフの若き頃の伝記。多分ヌレエフもレイフ・ファインズも碌に知らないで観にきた奴は私だけだったのではという気もしなくもない...。
伝記というより、若く才気あふれる芸術家の情熱や葛藤を切り取った映画という印象。ダンサーを役者に起用しているため、画に嘘というものがまるでない。全く妥協のない映画であった。それでとにかく綺麗。切り取り方が徹頭徹尾美しかった。
しかし気合いを入れて観ていないと時系列の飛びについていけない。そこは観る者が頑張るしかない。まあそれはどの映画であっても言えることであろう。
亡命のシーンの緊迫感がすごい。あのシーンに持っていくまでの子ども時代の回想だったんだなあ、という気がする。あの場面のヌレエフの表情の撮り方が凄かった。あの表情ができるオレグ・イヴェンコは凄いなあ。あと低い声が魅力的なアデル・エグザルコプロス。どっかで観た...とずっと思っていたが「アデル、ブルーは熱い色」でした。
レイフ・ファインズは自分が出ない映画を監督したいそうだが、とてもよい演技してましたね...。
日本では2019年公開予定。
東京国際映画祭で観てきました。
とても美しい作品でした。心を奪われました…。
非凡な人間てやはり目を惹くのだなあ。
自分勝手な振る舞いに周りは傷つけられたり振り回されても、結局魅了されてしまう…。
主役を演じるオレグ・イヴェンコは、トップダンサーなのでバレエシーンが素晴らしいのは当然ですが、映画での演技が初心者とは思えませんでした。
表情や身体の動き、指先の動きまで、繊細で美しく無駄がない気がして目が離せませんでした。
ぜひ今後、俳優業に進出して来て欲しいです。
今回監督を務めたのは、俳優として出演もしているレイフ・ファインズ!彼の他の監督作品もぜひ観なきゃと思いました。
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