テルアビブ・オン・ファイア

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劇場公開日:

テルアビブ・オン・ファイア

解説

パレスチナ系イスラエル人のサメフ・ゾアビ監督が、複雑なパレスチナ情勢を皮肉とユーモアに包んで描いたコメディドラマ。1960年代の第3次中東戦争前夜を舞台にした人気メロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」。その制作現場でインターンとして働くパレスチナ人の青年サラムは、撮影所へ通うため毎日イスラエルの検問所を通らなくてはならない。ある日、妻がドラマの大ファンだという検問所の主任アッシから脚本のアイデアをもらったサラムは、制作現場でそのアイデアを認められて脚本家へと出世するが……。主人公サラム役に「パラダイス・ナウ」のカイス・ナシェフ。2018年・第31回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品。

2018年製作/97分/G/ルクセンブルク・フランス・イスラエル・ベルギー合作
原題または英題:Tel Aviv on Fire
配給:アットエンタテインメント
劇場公開日:2019年11月22日

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(C)Samsa Film - TS Productions - Lama Films - Films From There - Artemis Productions C623

映画レビュー

3.5不謹慎ギリギリを攻めた気概に拍手

2019年11月30日
PCから投稿

笑いの良し悪しを図るのはとても難しいけれど、決してコメディとしの精度が高いとは感じない。もっとハネていいアイデアだと思うし、パレスチナ問題という難しいモチーフをよくぞここまで!という褒め方も、ちょっと下駄を履かせている気がしなくもない。ただ、ある種、身も蓋もないオチの乱暴さと居直りは完全に予想を超えていて、いささかマジメすぎるコメディという全体の印象をひっくり返すほどに、テーマに対する作り手の覚悟と本気が見えてきた。回りくどい言い方になってしまったが、現実の重みに屁をくらわすような痛快作ですよ、これは。

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村山章

4.5パレスチナ・イスラエル問題を喜劇に昇華させた天才技

2019年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

幸せ

かつての東西ベルリンや南北ベトナム、そして現在の朝鮮半島のように、かつてひとつの国・地域だった土地が政治的軍事的な事情や外国勢力の介入によって分断される悲劇。イスラエルでもまた、政治・軍事で優勢なユダヤ人が分離壁を作ってアラブ系のパレスチナ人を押し込めている状況が半世紀も続いている。それほど根深く深刻なパレスチナ問題を、皮肉とユーモアをたっぷりまぶしたコメディで描く映画が登場したことに驚嘆する。

イスラエル近代史に明るくなくても十分楽しめる。ドラマ制作スタッフのパレスチナ人主人公と検問所のイスラエル軍司令官の奇妙な交流、そして劇中ドラマでは1967年のテルアビブでイスラエルの将軍に接近するパレスチナ女スパイの活動と恋?が描かれ、この複雑な状況を楽しみながら学べるようにできているから。ラストは「こんな終わらせ方があったか!」と驚き、また爆笑して、希望を感じ取ることができるはずだ。

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高森 郁哉

3.5平和への道のりを軽いタッチで描くとこうなる。

2024年10月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

パレスチナ人がエルサレムでの人気ドラマの脚本家のアシスタント→正規の脚本家になるものの、イスラエルの検問所のアッシの介入で脚本が二転三転していく。

パレスチナ→エルサレムの撮影所に通うためには検問所を通過しなければならないが、とうとう必須のIDを取られて、アッシの脚本を思い通りにしたい思いが先行していく。

パレスチナ側とイスラエル側の行き来には検問所を通らないといけないこと、そのことが前提でのストーリーであるが、コメディであるものの平和を目指そうという思いは伝わってきた。

韓国と北朝鮮、インドとパキスタンの両国の人々の交流、友情や愛情などがテーマの作品はあるが、まさにそのことを彷彿とさせる。

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キッスィ

3.0テーマが伝わってこない

2024年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

パレスチナ人がイスラエルの司令官と脚本を作っていくという設定は面白い。しかしパレスチナ問題を皮肉ったというテーマがあまり伝わってこない。もっとパレスチナ問題に踏み込む社会派映画かと思いきや、単純に脚本を巡って揉めるドラマの製作現場の話しに思えた。「オスロ合意」等のパレスチナ問題で出てくる用語を入れることで、そういった社会問題部分を取り入れたのだろうけど、無理やり入れただけという印象。ラストシーンのイスラエルを悪者にするような演出も安直でがっかりする。あと全体的に淡々としていて盛り上がりにかける印象で、あまり面白く無い。

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根岸 圭一