グリーンブックのレビュー・感想・評価
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ドク・シャリーの笑顔
アマゾンプライムで見てから、アカデミー賞作品賞、助演男優賞、脚本賞受賞作品と知りました。
60年代にあった黒人の人種差別がテーマになっていますが、良質のバディムービーにすることで、見終わった後爽やかな気持ちにさせてくれました。
無表情のドク・シャーリーが、ピアノを弾き終わった後だけに見せる笑顔が素敵でした。
胸が熱くなる映画だ。
黒人差別がまだまだひどい時代、世界的に有名な天才ピアニストのドクター・シャーリーが南部へツアーに出るときの運転手を雇う。運転手は腕っぷしが強く用心棒的に採用されたトニー・リップ。ガサツですぐ手が出る乱暴な性格だが家族を愛する頼りになる男だ。天才ピアニストは北部で富裕層のパーティに出ていればずっと稼げるのに黒人差別の色が濃い南部へツアーに行くことには理由があった。ツアーで行く先々では嫌な思いをすることばかり、よくあることだと我慢しているがトイレだけは別だ。家のトイレは白人専用とばかりに黒人は庭にある簡易便所を使うよう言われる。また、レストランに招かれているのにそのレストランでの食事を断られるシーンがある。そのレストランでの演奏をもってツアーが終わるのに、ここまで我慢してきたのに、そのレストランでの演奏はせずに、場末の酒場へ行くシーンは最高の山場だ。なぜタキシードを着ているのか、いぶかしがるカウンターのウェイトレスに、トニーが「この人、世界的なピアニストなんだぜ」と言うと「なら説明は要らないからやってみせてよ」とステージ上のピアノを指差した。この場面はめちゃくちゃ良い。クラシックしか演奏しないドクターシャーリーがロックを演奏するとバーは大盛り上がりだ。そしてトニーが家に着くとそこはクリスマスパーティの真っ最中。帰ったはずのドクターシャーリーが戻ってきて最後の場面。感動!
ドクター・シャーリーの演奏、作曲は賞賛され、「彼の技巧は神の領域にある」と言わしめた。トニー・リップはコパカバーナに戻り支配人になったそうだ。この物語は彼らの、終生友情で結ばれた実話だ。
「グリーンブック」とは
ヴィクター・H・グリーンという黒人の人による自動車で旅行する黒人のためのガイドブックだそうです(現在は廃刊)。この映画を観るまで知りませんでした。
最初、映画の中で途中シャーリーと泊まるホテルが違うことになる、てなセリフが出てきて、何も知らない私はてっきりスターが良いホテルに泊まり、運転手はクラスの違うホテルに泊まることを指すのかと思ったら、その逆。当時黒人の人たちは自由に移動することさえままならなかったという(詳細はWikipediaの「黒人ドライバーのためのグリーン・ブック」をご参照のこと)。
映画を観終わったときは単純に良い映画だと思いました。
ただ、この映画、トニー・リップ(本名トニー・バレロンガ)の実の息子であるニック・バレロンガが製作・脚本を手がけており、映画「グリーンブック」のWikipediaによると
『いわゆる典型的な「白人の救世主」の描写』
との批判もあることから一方的(白人側からの)な内容だったのでは?とも思うのです。
映画ではシャーリーがどういう家庭に育ったのか描かれていません。Wikipediaでシャーリーのことを調べてみれば、映画の内容についてシャーリーの遺族から抗議を受けている点について合点がいきます。
旅が終わる寂しさ
心あたたまるロードムービー。
◇白人運転手トニーと黒人ピアニストのシャーリーのロードムービー、バディムービー。
◇トニーはゴロツキだ。腕っぷしが強くて口も達者、悪知恵も働くからトラブルもよく解決すると評判だ。そこをシャーリーに見込まれてコンサートツアーの運転手になる。おしゃべりなトニーと割りと無口なシャーリーとの車内でのやり取りが楽しい。粗野なトニーと品行方正なシャーリーは衝突するが、対照的な2人が少しずつ近付いていく感じが良い。
◇トニーは黒人のことも黒ナス呼ばわりする人種差別ヤロウだが本人はあまり自覚してないように見える。しかし人種差別が色濃く残る1960年代の南部、トニーは差別されるシャーリーを目の当たりにする。ある時、トニーはカッとなって殴ってしまうが、シャーリーに 「暴力では何も解決しない」 とたしなめられて自制するようになっていく。トニーの変化していく過程が面白い。変化はもちろんシャーリーにも表れて、2人の間に友情が芽生えていくのが心あたたまる。
◇最後のほうでトニーの妻ドロレスがシャーリーに言うセリフにニヤリとさせられた。
☆アカデミー作品賞は当然である。♪ヽ(´▽`)/
2022/3/23(水) 🌤️☁️ 青梅
人種差別を越えて絆を深める二人の男
車に乗った白人と黒人という地味なフライヤーからは予想できない、全編、心地良く鑑賞できる実話ベース作品だった。大事件は起きない。台詞に無駄がなく緻密なストーリーで二人の男の旅路で起きる出来事を丁寧に描いていく。自然に作品世界に入ることができる。緻密なストーリーが奏功して観客の気持ちは徐々に高揚していく。そしてラストは心温まる感動に浸ることができる。
本作の舞台は1962年のアメリカ。主人公は、高級クラブの用心棒トニー・リップ。彼は、クラブの改装中に、黒人ピアニストのドクター・シャーリーの運転手に雇われる。そして、二人は人種差別が激しいアメリカ南部への演奏ツアーに旅立つ。人種、性格、価値観が全く異なる二人は、衝突しながらも徐々に親密になっていくが、人種差別の壁に直面していく・・・。
従来作とは異なり、粗野な白人ドライバーと雇い主は黒人天才ピアニストという設定が効いている。シャーリー役のマーシャラ・アリは人種差別の被害者である黒人ピアニストの孤独と苦悩を流石の演技で表現している。一方、粗野だが心優しく人間味溢れるトニーは当初、人種差別に無意識だったが演奏ツアーでシャーリー側から見た人種差別の実態を知る。被害者側の苦悩を知る。
当時、人種差別は合法化されていた。例えば、本作でも登場するがレストラン、トイレなどは豪華な白人用、粗末な有色人種用に分かれていた。故に白人にとって人種差別は普通のことであり加害者意識は希薄だった。加害者意識の希薄な加害者と差別に苦悩する被害者。どんな差別にも当てはまる普遍的な構図である。
演奏ツアーを通して、トニーは次第に覚醒していく。シャーリーの苦悩を理解できるようになる。人種差別に真摯に向き合うようになる。トニーは己の無意識に気付きシャーリーと徐々に絆を深めていく。そして、二人は人種差別を越えて、相互理解、相互信頼できる友と呼べる存在になる。
作品全体としては、日常的な出来事を巧みに積み上げて見心地、後味の良い感動作に仕上げている。人種差別シーンもあるが喜怒哀楽のバランスが絶妙である。実話ベースの緻密な脚本の賜物だろう。作品賞とともに脚本賞受賞も納得の良作である。
本作は美談=良い話だが人種差別の現実はそう簡単には変わらない。本作のような話が日常的になり、人種差別という言葉が死語になる、人種共生の日がいつか必ず到来することを信じて止まない。
シンプルだけど、良い映画だった
大人向けの良質な映画
1960年代の人種差別が根付いている頃の物語
人種差別により、黒人だからブルーワーカーだ。黒人だからホテルには泊まれない。黒人だからホテルのレストランを利用できない。黒人だから不当に逮捕される、
この様や理不尽なルールが色濃い時代の、心温まるヒューマンドラマの映画。
映画の良さは、自分が体験できないことを疑似体験できる、行ったことがないところ、行けないところに行くことができることにある。
宇宙に行きたいな〜と思えばゼログラビティを見る。
冒険したいな〜と思えばインディージョーンズをみる。
また、百聞は一見にしかず。
聞いたことあること、読んだことあること、などを
それを映画を通して体験できることにある。
つまりは映画を見ることにより人生においての知識を養うことができる。
改めて映画の意義や良さを感じさせてくれた作品でした。
内容は、皆さん書かれている通り。とても素晴らしい作品。
私の所感は、人種差別下の黒人と白人の立場において、ボスと雇われ者が入れ替わっていて、まさにこの時代、差別が横行している時代に生きる2人が清くも素晴らしく、とても温かく思えた作品でした。
最高傑作。学校で子供たちに見せるべき
最高傑作です。これは世界的にも名を残す名作です。
100人鑑賞したら95人は「最高の映画だった」と感じるでしょう。観客の心を鷲掴みにするとはまさにこのことなんだろうテンポもよくドライブ中の二人の掛け合いがたまらない。クスッと笑える部分もありつつ、考えさせられる部分もある。最高だ。
育ちや人種、性格も正反対な二人が仕事をきっかけに一緒に長い時間を過ごし、よき相棒となっていくのは微笑ましかった。
好対照な凸凹コンビだし、だからこそ奇跡的に生まれた絆がより一層輝く。
そしてこの映画の完成度には驚いた。黒人差別を違和感なく伝えていた。黒人が使ったコップをさりげなく捨てたり、なんとなくて白人から袋叩きにされたりなど。現実にこんなことがあったと思うと胸が苦しくなる。
私は実際に見に行ったことがないので確信ではないが、昔よりも今は黒人差別はなくなっているという。今の時代はLGBTや人種差別など多くの差別問題がある。そういう不平等をなくすにはこのような映画が必要だと思う。
全世界の老若男女が見るべき最高傑作である。
見る映画がなくて迷っている人だけでなく、見たい映画を後回しにするほどいい映画である。
ぜひこの感想を見た方には見ていただきたい。
バディー×ロードムービー×社会問題
文句なく素晴らしい映画
示唆に富み、すべてが珠玉のエピソード
示唆に富み、旅先で起きることのすべてが珠玉のエピソード
2人のキャラクターが生き生きと、見事なコントラストで描かれていて、全く飽きさせない。これはロードムービーの傑作だ
実在する人物ということで、もちろん脚色や誇張もあるだろうが、セリフのひとつひとつに磨き込まれた重みがある
使用された音楽も当時のヒットチャートをふんだんに盛り込んだ豪華なラインナップ。たたし、ピアノの演奏シーンが、思ったほど見事じゃなかった、合成か?どうも身体から首だけが浮いているように見えて仕方ない。残念だ。それから、当時パワーウインドウの車があったのなら、それを自慢するセリフがないと不自然だ。ま、瑣末なことはどうでもいい
『最強のふたり』によく似たテイスト。あの映画もハリウッド・リメイクを果たした
見終わった他の観客の反応はもうひとつだったようだが、これ以上何を望むというのだろう
確かにどっちが主役なのか、あいまいではあったと思う。マハーシャラ・アリが助演男優賞を獲得したのでヴィゴ・モーテンセンが主役ということなのだろう。名前のクレジットの順番もそうなっているが、映画さながら主従関係が複雑。トニーが主役というのなら、彼がどれだけ苦労してこのツアーを成功に導いたかというお話になる。それってどうなんだろう?
ところで、ある映画評に、「このロシアで学んだ黒人ピアニストには、もうひとつ秘密がある」みたいな書き方をされていたので、わざわざ命がけで南部に出かけていく目的が他にあって、それはきっとスパイ行為かなんかだろうなと勝手に想像力を働かせてしまい、身構えて見ていたので完全にスカされた。余計なこと書かなきゃいいのに
2019.3.1
「人間の肯定」を魅せてくれる傑作
ジャズピアニストとして名声を得た育ちの良い黒人シャーリーと、粗野なイタリア系白人ドライバーのトニー。
正反対の個性を持つ二人が、実に人間味のある友情関係を築いていく。 プロセスの描き方が自然で、後味の良い感動にひたれる。 アカデミー作品賞と脚本賞の受賞は、文句なしで納得。 何度観返しても楽しめる、極上のロードムービーだ。
激しい差別が渦巻く南部のツアーに乗り込んだシャーリー。
世間知らずで頼りなく見えるが、様々な災難に遭っても挫けない。 彼を守っているのは、信念を貫く強さ以上に、人間を信じる純粋さだ。
一方のトニーは、場数を踏んで現実を身につけた男。
無学で無頼。 時には、暴力で問題を解決する。 そんな彼がシャーリーと信頼関係を築いていくことになるのは、人間に対する肯定感で通じ合っているからだろう。
優しさで人間を否定しないシャーリーに対し、暖かい家庭と多くの経験の中で多様性を身につけた大人のトニー。 様々なエピソードを観るうちに、この二人が、違うようで実は同じステージに立つ同類だということが分かってくる。
鑑賞後の後味が良いのは、いつまでも忘れずにいたい「肯定的な感動」を味わえるからだと思う。
ピーター・ファレリー監督の「いとしのローズマリー」を観た時、 作品に関わったスタッフ全員のチームワークの良さを強く感じた。 同監督の映画創作の根底には、「人間を肯定的に描きたい」という強い思いがあるのではないだろうか。 グリーンブックは、そんな監督のこだわりが見事に結実した完成品である。
人種差別を正面から捉えた傑作
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