グリーンブックのレビュー・感想・評価
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属性ではなく、相手を知れ
粗野で品がない、黒人に偏見のあるイタリア系白人のトニー。
知的で上品な音楽家、己にプライドを持っているゲイの黒人のドク。
正反対でお互いちょっとどころじゃない苦手なタイプの男2人。
雇用関係で互いに色々と飲み込んでの2人旅。
お互いがたくさん抱えていた偏見やポリシーを旅での出来事や対話を通してお互いを理解していく。
お互いが理解できれば偏見を通して相手を見ることがなくなり、友情が芽生え始める過程は真理ではあるものの、その難しさを感じる。
それ故に彼らの関係性は微笑ましく尊い。
時代を考えるならなおのこと。
スッキリ見れるバランスの良い作品。ただし人種問題については一歩引いてみた方がいい。
ゴロつきのイタリア人と妙に上品な黒人との組み合わせ。
何しろ脚本がよい。色んな意味でバランスよく描かれている。細かいところにちゃんと伏線が貼ってあるので、人の対比だけでなく、時代背景もイメージしながら見れる。
人種問題を扱う映画はどうしても深い闇を描かれがちで、心してみないと重くなってしまうが、この作品は2人のキャラでいい感じに留まるので、比較的安心してみてられる。
しかし逆に言うと、こんなもんじゃない、という意見はありそうなので、あくまでも入り口、一つの視点、くらいに思った方がいいだろう。
個人的にはバーでピアノを弾くシーンはヒヤヒヤした。(それも制作側は予見してなのか、バーを出た後のドクのちょっと浮かれた感とニックの対応が、その感覚を消化させてくれた。こういうところも脚本が上手い)
ロマンチスト
ドクターとトニーの共通点は、ロマンチストなところだろうか。。。
いろんな差別とか、お互いの境遇とか一通り共有して仲良くなるのは想像できたけど…このロードトリップはトニーにとっても、ドクにとっても満ち足りていたと思う。
トニーは尊敬する友達が増えて、手紙の書き方を覚えた。
ドクはトニーから、寂しい時は自分から先に働きかけることを学ぶ。
トニーの妻はドクから手紙を教わってることをお見通しという!笑
差別打破へ女性への期待が込められたラストシーンか…
以前、やはりTVで観たが、
民放の短縮版だったような記憶がある。
その時の私の感性が低下していたのか、
そうではなかったのかは分からないが、
当時は余り感情移入出来なく、
短縮化に罪深く無理栗な編集があったものと
勝手に思い込むほどの今回の鑑賞になった。
結果として、
アカデミー作品賞他の受賞や
キネマ旬報第5位(読者選考第2位)の
評価に値する名作と納得出来た。
この作品は1962年の物語。
1964年の公民権法成立前で、
白人黒人二人の立場のひっくり返り以外は
従前からの差別環境そのもので、
二人の世間から浮いた感じは如実だ。
黒人ピアニストは仕事を通じて
古い差別慣習の打破を目指しながらも、
一徹さだけでは済まない現実的な対応も
あり得ることを知り、
己の孤独心も雇われ白人と
彼の家族の存在に癒やされるようになる。
一方、雇われ白人は
黒人の人間性と
彼の差別環境を目の当たりにして、
己の偏見を正し、彼を己の家族に招き入れる
ことに幸福感まで抱くようになる。
主役の二人のお互いに良い刺激を与え合い
成長する姿は、
心理学者の島崎敏樹さんの
“愛とはお互いの人格を高め合う行為”
との言葉を思い出す。
また、直前にヴィスコンティの「家族の肖像」
を観たが、“孤独と家族への想い”の観点では
同じテーマ性も感じた。
ラストシーンの印象深い名画も数多いが、
この作品も見事だった。
黒人ピアニストを抱擁しながら、
夫からの手紙が彼の作文と見抜いていた
雇われ白人の妻が
「手紙をありがとう」と囁くラストは、
女性の洞察力の鋭さを示すだけではなく、
肌の色の違いを乗り越える見識を持った存在
であることを示唆しているようで、
差別打破への監督の期待が込められた
見事な描写に思えた。
『ニガー』と言うな!
色々と考えさせられる
とにかく色々と考えさせられる一本。
黒人の中で一流のピアニストとしていること、その上更にマイノリティであることの生きづらさ。
クラシックピアニストとして活躍したいと思いつつ、違うエンターテイナーとしての道が提示されていること。クラシックの世界はその後どれだけ変われているのか。
南部でツアーをやると決めたドクの思い。
そしてどこまで我慢して、どこまで自分の信念を貫くか。
レストランで食事を許されず、最後の演奏の演奏を蹴った後、木枯らしのエチュードを弾く姿が印象的だった。
何よりも良かったと思ったのが演奏を見守るトニーの表情。その表情がドクの才能の全てを伝えていたように思う。
トニーの妻のドロレスも素敵な女性だった。
勇気が人の心を変える
傾向と対策をチェックする本と云えば赤本ですが、海の向こうにも、あったんですね。
先日、アメリカ中間選挙前の様子を、テレビで見ました。意見の異なる人々が、議論を交わせる時代が終わり、対立する時代になってしまったことに、失望するヒト、ここから更なる進化を目指すヒト。様々なヒトが、よってたかってアメリカなんだなぁと。
「アメージング グレイス」
「それでも夜は明ける」
「グローリー」
「デトロイト」
枚挙に暇がないとは言ったもので、対立と融和を模索する歴史が、アメリカの歴史とでも云いましょうか?。
差別はダメ。ヒトは皆、平等。それが当然と、学校で教わったような気もしますが、それよりも、差別はある。対立もある。ただ、それを超えて行ける知恵と勇気が、君らの宿題だと、学校で教えたほうがいい。
差別?。クールじゃねぇな。ヒトを見かけで判断するあんたの目は、節穴か?。くらいのノリで成長したいものです。
アジア系のヒトが暮らしにくくなったとか、選挙の話を気軽にできなくなったとか、いろいろありのアメリカですが、そこから成長できるポテンシャルもまた、アメリカなのかも。解り合えなくても、解り合おうとする。たとえそれが、大いなる幻影だとしても。
お騒がせな元大統領が、再びお騒がせな2年間にしそうですが、未来を悲観するくらいなら、今を変える勇気を探す。その手掛かりとなるグリーンブックは、案外この映画なのかも。
分断と対立の種は、一つだけではありません。多様性と民主体制を体現する試練は、これからも続くようです。と云うか、試練の連続が成長であり、勇気の証なのかな。
お手元のグリーンブックに、皆様はどんなメッセージを残します?。
何度見ても良い!
変化していくトニーが柔軟でいいよね。
1960年代ってこんな差別があったんだ!ってびっくりしたし、今はいい時代になったんだなぁって見てて思う。
最後の演奏の日、バーで楽しそうにドクがピアノ弾くの見てジーンってなる。いい友人ができて良かったね😭
黒人に対する差別意識の変化
最初は黒人作業員のグラスを捨てるほど黒人に対する嫌悪を示していたのに、最後にはニガーという発言を注意したり、ドンを親戚一同に紹介していたシーンが印象的だった。
こっそりグラスを捨てる冒頭のシーンと、親戚一同に紹介する最後のシーンは、家庭内という共通の場面の中で、ヴァレロンガの心境の変化を妻の視点から対比させ描いているように感じた。
ストーリーの中で、黒人ピアニストのドン・シャーリーを、ピアニストとして歓迎する一方で、黒人として差別的な態度(同じ席で食事をさせない、同じトイレを使わせない等)をとる人々に矛盾を感じた。
孤高とは
人種差別を題材にした映画を観るのが初めてだったら、好きな作品になっ...
カッコ良すぎて涙したw
心地良くも奥深い作品
王道で満足
こうすると映画って面白くなるよねという、アメリカ映画が培ってきたセオリーに忠実に沿ったような王道のような映画。
セリフ回しの魅力や、主人公の豪快なキャラクターや、そもそも白人と黒人の友情を描くという点もアメリカ映画のテッパンセオリーと言えるだろうと思う。
これは決して批判的な見方をしているわけではなく、普通に狙い通りに私は泣いたり笑ったりとこの映画を最初から最後まで楽しんだ。
僕はドンシャーリーの音楽を聴いた事もなければ、この映画が実在したミュージシャンを描いているという前提知識も無い状態で楽しんだのだが、
シャーリーが登場し、ミュージシャンだとわかり、上品な人物像が把握できてきて、あのピアノとチェロとベースのトリオという珍しい編成で演奏されるクラシックでもなくポップスでもない音楽に驚くという、リップスが味わったであろう感動がしっかりと味わえた。
強いて難点を挙げるなら、このクオリティの映画にしてはチェロとベースの役者さんの弾き真似がちょっとレベル低かったことぐらいか。
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