グリーンブックのレビュー・感想・評価
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根深い人道問題を温かく優しく描く
いかにもアカデミーが持ち上げそうなテーマだなぁ、とちょっと敬遠ぎみだったのですが、バディものが好きなので鑑賞。
思いの外シニカルにならずに見れました。
人種問題に傾倒しすぎず、友情や尊重など人同士の関係性に寄せた描き方だったからかも知れません。
正反対のコンビ、やがて生まれる友情、クリスマスの救済と、よくあるシチュエーションながら、こちらのひねくれ心を刺激せず、スッと入り込んできます。
まず、バディ物としての出来が良い。
二人のキャラクター対比。エリートでインテリで裕福でクール、スマートでスタイリッシュで孤高の黒人ピアニスト。無学で肉体派で貧乏、陽気でがさつで恰幅良く、人情家で大家族なイタリア系運転手兼用心棒。プライドを崩さず暴力を嫌うシャーリーと、腕っぷしと場数で世渡りするトニー。学園物に例えれば、お堅い生徒会長と熱血ヤンキー。間違いなしの鉄板設定!
水と油の二人が、共に行動する内、互いのスタンスを学び、受け入れ、尊重するように。
黒人からも白人からも疎外されるシャーリーの深い孤独を知り、お喋りで強引で律儀で家族思いなトニーの温かさを知り、育まれていく友情。
バディ物の醍醐味です。
更に、二人を繋ぐ音楽の豊かさ、美しさ。クスッと笑えるユーモアの数々。
色鮮やかなそれらを交えながらも、背後に一貫して描かれる、暗く陰惨で徹底した黒人差別の現実。
主題であるそれに止まらず、民族間の偏見、学歴間の差別、富裕層と低所得層間の差別など、人と人との間に横たわる様々な軋轢。
全てを越えて、一人の友人として互いを愛する事のできた結末が、胸に温かな希望をもたらしました。
友情物語としての色合いも濃く、社会的問題提起としてはぬるい、という受け止め方もあるかも知れませんが、私には後味良く心地良いさじ加減に思えました。
心を大きく揺さぶられ感動して大泣き、というよりは、寂しさも悲しさも優しさも温もりも、じんわりと染み透り積もっていくという感じ。
排他的個人主義が高まる昨今には、必要かつ有効な薬となり得る作品では?
最高の友情ロードムービー
アカデミー作品賞、助演男優賞受賞。色々とコメントがあったが、映画としてはど直球友情ロードムービー。
この時代の背景を描き込む、というよりふたりの友情をひたすら描き込んだストーリー。トニー・リップの息子が脚本&プロデューサーな訳で、そういう意味では極めて個人的な物語と言って良いと思う。
コメディ色が強く、育ちが全く違うふたりのやり取りはいちいちおかしい。伏線も小気味よく効いている。(そこで回収するか!というのが結構あった)
ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの演技は最高でした。役のために14kg太ったというヴィゴ・モーテンセンの食いっぷり、粗野だけどやるときはきっちりやる男感、正直さ。対照的に気品に満ちた美しさを備えつつ常に憂いを帯びているマハーシャラ・アリ。登場時のあんな衣装を着こなせるのはマハーシャラ・アリしかいないだろ...と思いました。
とにかくふたりの掛け合いがウィットに富んでいて、泣けるというよりとにかく笑える。笑って観て、心に残る、そんな映画。ふたりの人生の一瞬にお邪魔させてもらったような。
最後の奥さんの台詞は笑ってしまった。あとケンタッキーフライドチキンが食べたい。
グッとくる名言満載
ヴィゴの増量は色気あり
アメリカの人種差別を扱った作品というと、残忍なシーンがあったり心がエグられる思いになる作品が多いので日本人には敬遠されがちですが、この作品は年代性別問わず皆が楽しめます。
粗野で腕っぷしと口が達者なイタリア系白人トニーがインテリで気品ある生真面目な黒人ピアニストドクター・シャーリーの人種差別が色濃く残る南部ツアーに用心棒兼運転手として同行するところから展開していきます。
マハーシャラ・アリ演じるドクター・シャーリーは、繊細で品格がありながら黒人である事で、北部でも南部でも細かい場面で傷ついてきて、ずっと自分の所属する場所を見出せない孤独を体現しており、ピアノを弾くシーンは、まさに気品あるピアニスト感じさせ鳥肌が立ちました。
そのドクター・シャーリーを乱暴でありながら、粗野な優しさで守るトニーをヴィゴ・モーテンセンが増量してアジがありカッコいい!
「バイス」で増量したC・ベールが話題でしたが、ヴィゴの方が自然で色気もある。
ストーリーも人種差別の痛々しい話にせず、笑いあり感動あり、そして何より名優同士の演技で見入ってしまいあっという間に見終わってしまいました。
こんなに見て良かったと思う作品は、久々でした。
秀逸な配役に拍手。作品賞受賞も納得した。
こんなにも温かく心が豊かになる映画も珍しい。
内容は非常にありがちなロードムービーではあるが、他のどの映画よりも二人の距離感であったり、ゆっくりとそれぞれの心情等を描写している点が非常にわかりやすく良かった。
それでいてコメディ要素が上手くまとめられており、劇場でもあちこちでクスクスと笑う様子が見て取れたのも観客が2人に引きつけられていたからであろう。
それでいて人種差別問題もしっかりと描写されており、黒人の扱いに対する黒人の視点や白人の視点、イタリア人の視点、またそれに対する愚かさ等も感じ取ることが出来たのと考えさせられた。
このような内容ではあるが、決して暗くなく、また重くなく非常にさわやかで気持ちの良い作品に仕上がっている。
その根底にはトニー・リップの相手を思いやる心やドン・シャーリーの屈託のない笑顔があると感じる。
また劇中の音楽も非常に心地よく、聞き飽きない感じであった。
最後にフライドチキンのくだりは見ていて非常に笑ったし、大好きw
お互いの生まれや育ちや教養・ましてや肌の色なんて何の意味も無い事をひしひしと感じさせてくれるシーンであった。
またラストの抱擁するシーンは何とも言えない気持ちで包まれた、奥さんのコメントは出会った事も無いドン・シャーリーと愛する夫を理解しているからこその一言にまた胸が熱くなった。
良い作品に良い時間を過ごさせてもらった。
ボヘミアンやアリーを抑えての作品賞だけど…
心温まるいい映画
久しぶりにいい映画を見ました。
まず分かりやすい!
主役二人の演技が素晴らしい。
トニーが指輪物語のヴィゴモーセンとは全く気がつかなかった!
一見、孤高の気取った黒人ピアニストのドクターシャーリーは、黒人差別とは、縁がなさそうなのに、敢えて南部に赴き、黒人差別と向き合う。
それまで、理不尽な仕打ちにも冷静に対応してきたシャーリーが、トニーから、自分の方が黒人のような暮らしぶりだと言われて、怒って車を降りて雪の中を歩き出す時、シャーリーの孤独な心が剥き出しになったようで切なくなるシーンでした。二人が本当の友人になれた瞬間でも。
クリスマスに久しぶりに家族の元に戻っても、シャーリーの事が気になるトニー。最後にシャーリーが、トニーの家に訪れて抱擁し合った時には涙が溢れてしまいました。
我々も有色人種である、だからこそ……
今年度のアカデミー作品賞を受賞した今作である。
人種差別が残る60年代アメリカ南部を舞台に黒人ジャズピアニストのドクターシャーリー(マハーシャラアリ)とイタリア系白人運転手のトニーバレロンガ(ビゴモーテンセン)の2人がツアーを続けながら友情を育むヒューマンドラマ映画である。
トニーとドクターとゆうかなり凸凹コンビが友情を育むところを見ている人にもユーモアありながら分かりやすく伝えているところがかなりよかった。また、彼らだけでなく、周りのキャラクターにもかなり好感度がもてた。個人的にはドクターの演奏トリオの1人のドイツ人とトニーが酒を交わすシーンでトニーが「ダンケシェーン」とドイツ式で交わしたシーンがかなり良かった。
助演男優賞をとるほどマハーシャラアリーは良かった。序盤はかなり無機質で人間味溢れるトニーとギャップが激しいなと思っていたが、物語が進むにつれ弱々しい人間味溢れる演技ができるのは彼しかいないと確信した。また、代行かもしれないがかなり彼のピアノの手つきもよかった。
我々も白人の方からみると今でも黄色人種と思われるかもしれない。だが、そんな私達だからこそみて思う所も多々ある。白人の中にもトニーはイタリア系の移民であるしドイツ系の人だっている、そんな移民が多いアメリカならではの映画であったと思う。先程言った通りそんな私達だからこそ観てほしい。
笑って泣ける友情のドラマ
何度も笑って、ラストはほろりと泣いてしまった。
トニーが言った「寂しさには先手を打て」という言葉がドクターの心をきちんと動かしていて、最後にドクターをクリスマスパーティーに向かわせたんだな、と思うと、泣きながら笑顔になってしまった。
影響しあって変化して、成長していく二人の姿がとてもあたたかく、良かった。
観た人をハッピーにする映画。
ハードルを上げずに観るべき佳作
アカデミー作品賞を受賞したので、どうしても観客の期待は膨らんでしまう。
でも、あまりハードルを上げすぎてしまうと、肩透かしを食らうかもしれない。
超エリートでVIP待遇を受けながら、人種差別からは逃れられない黒人ピアニスト。
白人ではあるが、比較的低い階級で金欠にあえぐ、イタリア系の下町っ子。
この2人が、人種差別の色濃い南部を旅するというのだから、設定は最高。
ただ、実際に展開されるストーリーは想像の範囲を出ない。
監督も、ファレリー兄弟の兄と聞き、コメディとしての期待もかかるが、クスッとできる箇所は散見されるが、爆笑はない。
でも、観て損する映画ではないです。
アカデミー作品賞という肩書がなければ、もっと純粋に楽しめたかもしれない。
既視感=普遍のテーマ
コメディと感動のバランスが絶妙
基本的にはコメディだと思う。
トニーはひたすら食べ、ひたすらしゃべる。
反対にドクはずっと黙り、さらにトニーの言動を正す。
類似作品で言えば、「ミッドナイトラン」や「サイドウェイ」あたりだろうか。本作はさらに人種差別を突きつける。
ドクは紳士服店で、レストランで、警察署で、あからさまな差別を受ける。
こうした差別が「過去のこと」と言えるのだろうか?
アフリカ系は、白人よりずっと多く職務質問を受けるらしいぞ。
クルマを運転すると、ほぼ毎日のように免許証と登録証を見せろ、と言われる、と。
日本に住む日本人の私には、彼らの苦悩は分からない。
でも、こうした苦悩を抱える人がいることを、自分の子供には伝えたい。子供に見せたい映画の1本にまた素敵な映画が加わった。
That's absurd. Wo〇s
始め、観るのをやめようと思っていたが、それならレビューを書くな!と言われそうだが......。
Orpheus in the Underworld. It's based on a French Opera.
And those were't children on the cover.
Those were demon in the bowels of hell.
......No shit. Must have been naughty kids.
2時間以上もある本作、イタリア人でない人がイタリア語を話すと彼らはどう思うのだろうか?一応幼い時から話せるらしいのだが、私には理解できなくて鼻について仕方なかった。このシナリオ、どこかで同じようなものがあったような.....。ピューリッツァー賞やアカデミー作品賞を含め四冠に輝いた「Driving Miss Daisy」とシチュエーションが見通っているところが散見する。最初に2人がお互いに意思疎通がうまくできないでいるところから始まり、時間がたち、お互いに接するうちに打ち解けていき、その最後には友人としてお互いが認め合うところなど大筋ではよく似ている。またアメリカを象徴するようなそしてアメリカ人なら一度は所有したい金持ちのステイタスを表す車、キャデラックが登場している。またストーリーの根底をなす、白人と黒人、白人とユダヤ人という人種は違えども差別的構図などは、仕方ない反面も見られるがどうしても似てしまう。差別的警官も同じ感じで、太った禿げたステレオタイプの警官が出てくるのは、あまりにもひつこすぎる。
知的な黒人は、ピジン英語を黒人たちに使い、コケイジョンには、ノーマル?な英語を使う。ハッハッハッ.......。
I tell you.
Because genius is not enough.
It takes courage to change people's hearts.
この映画を観ていると黒人差別を描いているようで実は、イタリア人を暗にバカにしているのではないかと疑いたくなるようなところもあり、特にトニー・“リップ”がものを食べるときに"くちゃくちゃ"とわざと音を立てて口に頬張ったり、車の外にゴミをほかしたりしても気にも留めないところはやりすぎ感丸出しとなっている。
アメリカアマゾンでは、すでにレンタル配信が始まっていてレビューを見ているとほとんどの方が支持をしている。つまり、プロの批評家よりも一般の観客のほうが、支持が高いことがうかがえる。
ニューヨークタイムズの記者がこのように言っている。「このシナリオは基本的にシャーリーを黒人に変えることで、つまり、それが主題になって誰に形を変えようと、その話は白人の観客にとって魅力的なものになっているところがある。それは、けっして許してはいけない。」
蒙昧な私の頭では一生理解できないと思われる作品となった。ただうれしいのは、近年ディズニーが長編アニメーション部門で一人勝ち状態が続いたが今回は、そうは問屋が卸さなかったようだ。
ちなみにここに登場したキャデラック・ドゥビル60年製は、その名前からフランス語で町の意味らしいのだが、南部の町にひっかけているのかな......?
オスカー、有色人種、最初で最後の主演女優賞の方の言葉、「オスカーを獲ったからって、つまらないものは、つまらない。」だって........!
今のアメリカへの劇薬になるか、、
いわゆるバイブルベルトに演奏ツアーに出る黒人ピアニスト、
というのも実話ながら強烈ですが、
軽口なイタリア系を運転手に雇うってのも、
実話ながら映画的要素が満載、、、
当然、序盤〜中盤は運転手トニーにはムカつきこそすれ、
感情移入はできないんですが、
ドクター・シャーリーに綻びが出始めてからは
マネージャーらしき面が表面化、
2人を後押ししたくなってきます。
そうなるのは脚本の良さもあるでしょうが、
やっぱり役者のうまさだと思います。
見せる・魅せる、退屈させない。
映画の基本だと思いますね。
そしてこのテーマ、
むっかし〜からある人種差別の根っこは、
現代ではさらに世界中に膿のようにジクジクしているのであり、
そのアホ大統領のせいでソレの急先鋒であるアメリカで、
アカデミー作品賞を取らせるのはすごく意義があると
感じたのです。
ラストのトニーの奥さんのセリフで見事にオチがつきました。
いい映画でした(ΦωΦ)/
良き〜
人生で初めて試写会当たっちゃった
試写会ならよくあることなのか偶然なのかお客さんがたくさん笑ってて劇場の空間が暖かかったな〜
って思ったらエンドロールでお喋りしだすからよく分からん。けど映画館でも気にしないで声だして笑うのいいわー
黒人差別系の映画ってひいいいい🔥🔥🔥ってなるのが多いけど、コミカルなシーンが沢山あって重くなりすぎないのが良かったな〜あんな感じのユーモア大好き。けどしっかり差別について考えさせられるっていうか、軽く扱ってるんじゃなくて、けどいい意味でライトな感じ?笑 うーんうまく言えないや笑
トニーがいろんな意味で良くも悪くも真っ直ぐで、ドクちゃんは変に捻くれてて、
黒人差別(固定概念とか無意識の差別とか)の他にも色々沢山この映画には意味っていうか良い所があってきっとテーマは黒人差別がなんちゃらってだけじゃないのよーって私は感じた
差別とかそういうのが割と私の関心のあるトピックだから考えこんじゃうけどね。
黒人白人の色んな権限やら生活水準(?)やら人間力(???)がトニーとドクでごちゃごちゃだったからこそ黒人とは?白人とは?差別とは?って面白いな〜
けどこの映画を黒人差別とか人種差別は良くない!!って言っちゃうのはなんだかもったいなくて、もっとこう、人間の部分っていうか、
女って?男って?国籍って???自分のアイデンティティってなに??的な。答えは相変わらずよく分からないけど考えるの楽しい。人間みんな違うし、けど、みんな人間だし
ドクのI’m not enough BLACK, I’m not enough WHITE. Who I am??
今までの寂しさ孤独さ世間に対しての怒り、疑問が爆発するシーンがもう、、はあ、、、、
おっちゃん二人の掛け合い好き。
お手紙、ケンタッキー、銃、ピアノにウィスキーグラス、、、
音楽と食べ物が最高でした、、
映画前売り券の特典がレターセットだったのはこういうことか〜素敵かよ〜
終わり方も暖かいな〜
好き!!!!
最高のクリスマス映画
今までの人種差別映画だと、黒人と白人の二項対立ものが多かったように思いますが、本作は違います!
黒人コミュニティーにとけ込めない高貴なDr.シャーリーと、白人でもイタリア系の移民で、貧しい暮らしをしているトニー。
肌の色で境遇をひとくくりして悲劇を代弁したお話ではなく、もっとミクロに、シャーリーとして、トニーとして、1962年アメリカの実情に直面していきます。
もちろん、当時の黒人の方の悲劇を伝える要素もありますが、シャーリーの悩みは他の黒人では感じ得ない、シャーリーだけのものです。肌の色などで、画一的に物事を判断するのではなく、もっと焦点を絞って、「ひとりひとりの人間のために何ができるか」という視点の大切さを本作品は教えてくれます。
なによりも社会的なテーマでありながら、きちんとエンタメしている作品です。「最強のふたり」に似ているといえば似ているのですが、笑えるところできちんと笑えて、泣けるところできちんと泣ける良い映画でした。
そもそも、アメリカで公開されたのは2018年11月21日、紛うことなき「クリスマス映画」ですし、多めにみるところは多めにみるのがストレスなく見れます。
それにしても、アメリカはこんなにも素晴らしい作品が「クリスマス映画」として見れるなんて、素敵な国ですね。
フライドチキンとスパゲッティ
1962年、米国ニューヨーク。
イタリア系移民のトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は一流ナイトクラブ・コパカバーナの用心棒。
暴力沙汰の末、店に火を付けられ、改装のため休業と相成った。
そんな折、舞い込んできたのが、運転手の仕事。
ボスは黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)。
彼で回る南部での演奏ツアーの運転手の仕事だった・・・
といったところから始まる物語で、時代はJFK暗殺の1年前、米国にはまだまだ露骨で明確な人種差別が残っていた時代の話。
60年代の黒人差別の話といえば、最近では『ドリーム』や少し前なら『ヘルプ 心がつなぐストーリー』が記憶に新しいところ。
ここんところ頻繁に製作されているように思えます。
いわゆる道中もの、ロードムーヴィで、相棒・バディもの。
アメリカ映画では「鉄板」ともいえるジャンルで、この映画も男ふたりの道中が可笑しい。
大笑いはしないが、「ある、ある」的な、相いれないふたりのやりとりがスマートに描かれていて、なかなか好感。
監督は『メリーに首ったけ』のファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー。
お下劣描写で笑わせていた初期から比べると、ダンゼン洗練されていて驚かれます。
役者陣ふたりも好演。
この映画のために増量したヴィゴ・モーテンセンは、イタリア系じゃないはずだけれど、ガサツなイタリアンにピッタリ。
マハーシャラ・アリのスノッブな黒人ピアニスト役も、型どおりとはいえ、これまたドンピシャ。
偏見を持っていた白人男性が、より善き方向に変わり、彼が変わることで、差別を受けていて側の黒人も変化する・・・
普遍的なストーリーを巧みに描いた佳作で、アカデミー賞作品賞に相応しい、嫌味のない作品に仕上がっています。
なお、この映画で一番おもしろかったやりとりは、
「黒人だからといって、フライドチキンが好物だと決めつけるな」
「オレはイタリアンだけれど、毎日、ミートボールスパゲッティを食っていると言われても、腹は立たない。ま、試しに、このフライドチキンを食ってみな」。
奇跡なんて起きない
鑑賞後、こんなにも温かな気持ちになる映画は久しぶりでした。
何もかも正反対の2人の人間が同じ空気、同じ世界を見ながらゆっくりと心を通わせていく。ストーリーはもちろん、音楽、セリフ、風景全てが素敵だったと思います。
1960年代のアメリカを2人の姿を通して見ることで世界の理不尽さや人間の愚かさを強く感じました。ただそれと同時に、対話し理解し合う人間の素晴らしさ美しさを見ることができた。
大きな人間愛が作品にはあったと思います。
ただ、どんなに2人の人間が互いを愛し理解し合うっても世界は変わらない。
だから、奇跡なんて起きてない。
奇跡は起きないんです。
その事実が、より鮮明に映し出されていたのではないかな…と思います。
誰にでもオススメできる作品。
公開後、もう一度鑑賞したいと思っています。
Green Book
今年の映画賞にも軒並みなを連ねるこの作品。これをいうとすこい批判的に聞こえてしまうかもしれませんが、この作品もまた人種差別を扱った作品です。誰もが理解できるような、とてもシンプルなストーリーに歴史的背景、音楽を盛り付けた万人受けするであろう作品。
コメディということで、多くのシーンで笑えるのですが、そのユーモアもかなりプレーンで気兼ねなく笑えます’。オスカーノミネート作品で比較すると、”女王陛下のお気にいり”の少しゲスな笑いや、”ブラック・クランズマン”のような少し風刺の効いた笑とは違い、子供でも笑えるようなところがこの作品のいいところです。あまり他の作品と似ているとか言うのは好きじゃないのですが、2012年のフランス映画”最強のふたり”と同じようなテーマ、トーンです。地位が逆転しているところが面白いところなんですけどね。
ヴィゴ・モーテンセンはもうロード・オブ・ザ・リング時代のあのかっこいい姿はなく、ビールっ腹のでたおっさん役。そして、マハーシャラ・アリは天才ピアニスト役。あまり音楽のシーンは見ものとは言えませんが、2人の会話シーンは面白いですね。特に車の中のシーンはこの作品の最も中身の詰まったシーンです。それにしても、マハーシャラアリはすごいな。ハウス・オブ・カードで知ってからというもの、結構いい人の役が多いんですが、めちゃめちゃ悪役とかやってほしいな。目が怖い。あまり感情がないシーンでの彼の表情はかなり印象が強いです。
この作品、映画賞にたくさん名を連ねてるのですが、映画の質としてはあまり高くなかった気がします。テーマが黒人社会と人種差別の歴史なだけに、注目を集めてますが、なんかそれだけな気がしてしまって残念でした。
エンディングなんて特に、何で雪降らせなくちゃけなかったんだろうと言うぐらい見え見えのVFXショットに興ざめ。家族の関係性にもほとんど起承転結がなく、手紙でロマンチックだーって言うぐらい。さらに、フランクのキャラクターも最初はかなり濃いキャラクターを持っていたのですが、急にめちゃめちゃいい人になってしまうところも、あまり感情を動かされませんでした。
クリスマスムービーなのかな?というぐらいとても平坦で、分かりやすい。笑える作品です。中学生とかに見せてもいんじゃないかなと思いました。
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