グリーンブックのレビュー・感想・評価
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悪意のないがさつさは可愛い
個人評価:4.3
ムーンライトとはうって変わったマハーシャラ・アリのエレガントな演技が心地よい。また粗野なトニーがとても可愛く描かれている。悪意の無いがさつさは可愛いのだと気付かされる。
この物語でとても良かったのは、ストーリー展開のリアルさ。この時代、どんな偉人が声を大にして訴えても差別の意識はかわらない。それは本作のモデルとなった人物も同じで、世の中を変える事はできない。
最後のステージの街でも志半ばで帰路につく。世の中を変える事が出来ないのは、彼も例外ではない。しかし唯一変える事が出来たのはトニーの心。その事を最後に丁寧に演出してくれ、心温まる気持ちになる。
黒人差別をストレートに描く作品だが、同ジャンル作品によくある立ち込めるような重く暗い空気は無い。エンターテイメント性に溢れ、多くの人を楽しませながら、大事なテーマをきちんと伝えてくれる。
難しいだけが作品賞じゃない!これが映画なんだ。
洗骨以上、ボヘミアン以下?良い映画
違いはあっても、友情は築くことができる
「グリーンブック」(原題:Green Book)。
7,902人(2019年)と言われる投票権をもつ会員が選んだ、今年のアカデミー賞作品賞である。"白すぎる"と言われたり、"MeToo"と訴えられた結果としての、痛くも痒くもない選択になってしまったのかなぁ・・・と。
むしろ、尖った魅力的な作品がネット配信ばかりになることと、必死に闘っているような気もする(笑)。あくまでも個人的な印象だ。
カンヌのように審査員の個人的見解が色濃く反映されるものとは違っていいとは思うが、バランスを気にしすぎると、なんら特徴のない結果しか生まれてこない。
パルム・ドールの「万引き家族」以外の選択肢なんてあるわけのない、日本アカデミー賞の茶番を見るにつけ、権威に弱い日本人らしさを象徴していて、微笑ましかったり・・・。
「グリーンブック」は悪くない。人種差別問題を取り上げつつも、その苦しさや怒りを強調することなく、コメディの形を取ることで、心やさしくなれる映画である。
1962年、人種差別が強く残るアメリカ南部へ演奏ツアーをする、黒人ジャズピアニストと、運転手兼・用心棒として雇われたイタリア系白人運転手が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を描く。"グリーンブック"は、黒人用旅行ガイドのこと。
国や宗教、人種や性別、LGBTQなど、劇中でも"実に複雑だ"と表現される諸事情を、あえて受け入れつつ、"暴力では解決できない"と諭す。
違いはあっても、友情は築くことができる。個々で分かってはいても、なかなか全体主義はままならない。
作品の随所で、多くの笑いが起きる。気の利いたセンス。
アカデミー賞脚本賞も受賞しているので、"今年のいちばん面白いストーリー"でもあるのだが、脚本を手掛けたニック・バレロンガが、主人公トニー・リップ(本名トニー・バレロンガ)の実の息子だという事実に感動する。
黒人ジャズピアニストを演じたマハーシャラ・アリ(Mahershala Ali)のピアノを含む演技力の高さ。まだ出演作品数は多くはないのに、「ムーンライト」(2016)に続いて、2年で2度目の助演男優賞も納得である。マハーシャラ・アリは、公開中の「アリータ:バトル・エンジェル」でも敵キャラ役で、不敵な笑みを浮かべているので、これからがますます楽しみだ。
近年、トム・クルーズ作品以外は、年2・3本しか翻訳をしない戸田奈津子が字幕を担当している(なので、英語セリフを聞いたほうがいい)。
(2019/3/1/TOHOシネマズ日比谷/ビスタ/字幕:戸田奈津子)
今年一番の映画、誰もが納得の作品
ケンタッキーが食べたくなる作品(?)
アカデミー賞作品賞&脚本賞受賞。
1番大事な2つの賞を獲ったので、そこそこ期待して観に行ったら、その期待値を大幅に超えてきた!
黒人の天才ピアニスト、シャーリーのツアーに運転手として同行したガサツで偏見の塊のようななイタリア系トニー。
最初は偏見丸出しだったトニーが、シャーリーの才能と勇気に心を動かされていく物語をユーモアを交えて描く。
舞台は、黒人差別渦巻く60年代。
黒人の主人公の命の危険を感じてヒヤヒヤしっぱなし。ホントに酷い時代だわ…
名作『最強のふたり』を思い出すような、笑って泣けて心が温まる新たな名作でした(^^)b
さて、監督はおバカ映画でおなじみのファレリー兄弟の兄の方ピーター。初めて1人で撮ったって、もしかして今まで弟の趣味でおバカ映画撮ってたのか!?
ってゆーか、ヴィゴ・モーテンセンがめっちゃ太っててびっくりΣ(゚д゚;)
期待どおり
人種差別があっての話だから日本人には?
予告から気になっていましたが、アカデミー賞受賞なのでさっそく。
予告通り、人種差別と友情のお話です。
とてもいい話。実話ということで感動もひとしお。
が、日本人には根本的な人種差別を理解できないと思うので本当に理解出来ているか不安。
人種差別は、単にかわいそうとか、人種差別反対と簡単には言えないと思います。大坂なおみの時も、どっちが人種差別してるんだよ思いました。
私も、アトランタオリンピックの年に南部のジョージア州アトランタ郊外にホームステイしていたことがあります。
ホストファミリーは白人のおじいさんと、同居人の日本人のおじさん。この2人はとても仲良し。
南部の街には未だに南北戦争の南軍の旗が沢山あって、不勉強な私は何かと聞いてビックリしました。
近所のスーパーに行った時に、白人のおじいさんが、このスーパーはcolored=有色人種のお店だから行かない方がいいと言われました。
「私は行ってもいいのか?」
と聞くと、「オフコース」と笑顔で言われて、ん?ん?今差別されたのか?と不思議に思いました。
この映画を観て、それがどういう意味なのかようやくわかった気がします。
この白人のおじいさんはとてもいい人で、日本人と一緒に暮らしていたり、日本人の私をホームステイて迎え入れたり、とってもいい人で、今でも感謝しています。
が、人種差別が普通の世界だと、悪意の無い差別もあるのかと思いました。私も、日本人として、韓国人や中国人差別しますしね。
「個人としては好きだけど、まとまると嫌い」
ということですね。
差別する側とされる側の両方を理解しないといけないと、心から思いました。
そういう意味で、日本人は本当に差別を体験することは無いので、この話を理解出来ているのか?と思います。
単純に映画として面白いです。
礼儀正しい黒人ミュージシャンと、イタリア系のマフィアみたいな話し方と態度の白人(厳密にはラテン系なので差別もされています)が、徐々にに通じあっていく。
いい映画だといい話だと思いました。
残念な話だけではなく、声が出そうに笑ってしまうシーンも多い。
ただ、ストーリーは予想通りだし、終わり方も予想の範囲内かな?実話だからしょうがないけど。
いい話だなあとは思うけど、感動とか、涙とかはないかな。
あとアメリカ人は差別とかマイノリティが好きですね。差別の話とか、マイノリティの話が人気があるのは、そういうことが多いからなのでしょうね。
エンドロールを眺めながら
考えてみたこと
この映画は、楽しくもあり、滑稽ででもあり、そして怒りに震える場面もあれば、その辛さをや悲しみが、自分の理解を超えていて、胸が押しつぶされそうにもなる。
まるで、自分が映画の中にいるようだ。
「教養のある人間は、自分のピアノを聴きに足を運んでくれる。でも、それ以外は、自分は黒人としてしか扱われない。自分は白人なのか、黒人なのか、そして人間なのか分からなくなって、孤独に生きているんだ」
ドクターが土砂降りの雨の中で振り絞る言葉だ。
僕たちは、多様性を理解しているふりをしてるだけじゃないだろうか。
いつも、どこかに怒りを抱えて、それを無関係な人や、弱いものに向けてはいないだろうか。
そんな問いが頭の中を廻る。
そして、この映画のもう一つの重要なテーマは、自分からもう一歩、歩み寄っては、踏み出してはどうかと、語りかけるところだと思う。
勇気とか、優しさとか、そのようなものだろうか。
トニーが、ドクターに、自分の方からお兄さんに便りを書いてはどうだとお節介をやく。
ドクターのように、理路整然と話してるわけではないが、ドクターには妙に説得力を持って響いていた筈だ。
また、色々な事を僕たちに語りかける。
人種差別は当然ダメだ。
感情的になって暴力に訴えるのだって良くない。
暴力は暴力的な対応を招くようからだ。
でも、不正や不正義にはちゃんと抵抗すれば良い。
僕は、ちょっとくらい、偉い人を利用してインチキしてでも、懲らしめても良いんじゃないかと思う(笑)が、出来るだけ、キチンと話し合う方がよりベターだ。
僕たちは人間だからだ。
本当の友人の言葉は金言だ。但し、いつもじゃないけど(笑)。
この二人のやり取りは、いちいち聞き入ってしまうくらい、今の僕たちにも色々語りかけてくるような気がするのは、僕だけじゃないと思う。
品位を保ち続けることが勝利につながる
旅を通して学ぶモノ…
差別を友情とプライドで乗り越えるロードムービー
タイトルなし(ネタバレ)
【勇気が人の心を動かす】
☆☆☆☆(1回目)
☆☆☆☆(2回目)
2回目を鑑賞。レビューを加筆しました。
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『グリーンブック』のアカデミー賞受賞に対する評価がかまびかしい。
その急先鋒に立つのは、【あの!】スパイク・リー。
脚色賞を受賞した際には飛び上がって喜び、お馴染みのフレーズを叫んだリーだったが。この作品の受賞にはらしさ全開で噛み付いた。
更にリーを後押しする様に、他の作品を推していた人達も一斉に「おかしい!」と声を上げた。
おそらく、反旗を翻した人の多くが。今年の象徴と言える《ブラックパワー》で溢れ返ったアカデミー賞の締め括りとして、違う作品を推していたのだろう。
この作品を批判する声として多かったのは〝類型的な白人と黒人の友情〟話にすぎない…とゆう意見。
確かに、そんな様子が伺える面は否めないなあ〜とは思いつつ。教養の無い白人を、教養の有る黒人が諌め、尚且つ威厳を保つ様に諭す。正しい行いを促す。(まるでリーのあの言葉ですね)この話の展開が、私は観ていてとても面白かったのですが…。
尤もそんな事ではなく、差別に耐えながらも威厳を保つ人物でありながら。行く先々の土地の風習等から事件に巻き込まれ、結果的には白人の力を借りなければ問題を解決出来ない(アホ丸出しの様な描かれ方の)人物で有り。なんだかんだと、最終的には白人社会に融合してしまう…と言った。【白人から見た理想的な黒人像】の脚本に対しての不満なのか?は、リーやその他の否を公言している人達でも1人1人で意見は違うのかもしれませんが…。
結局この作品は作品賞以外にも脚本賞を受賞しています。
確かに或る種の《類型的》な話の流れによる作品…と言った意見が出るのは分からないでもないのですが。これまでのアメリカ映画で描かれて来た、肌の色の違いによる行動原理や言葉遣い。それらをこの2人を通し、対象させているように描き。更には肌の色の違い等による対立が、将来に向かいどう有れば払拭されて行くのか…を提示していた様に感じられ。充分に受賞に値する脚本だと思いました。
この旅をするのが《ニガー》と《イタ公》と《ドイツ野郎》と3っ揃ってるのもアクセントになっていますね。
最近記憶力が年々乏しくなって来た為に。今回も作品の中で、ドクターが肌の色に対する大事な台詞を語っていた…と思うのですが。作品を観終わった直ぐにはもう忘却の彼方に(p_-)
是非、もう一度観て確認したいところ。
余計な一言を言わせて貰えるならば。助演男優賞を受賞したものの、主演男優賞は『ボヘミアン・ラプソディー』のラミ・マレックでした。
…ヴィゴ・モーテンセンにあげたかったなあ〜(´-`)
彼のここ数年の演技は素晴らしい。特に『涙するまで、生きる』は本当に良かった。未見の方は是非とも。
ところでこの作品の字幕はなっちなんですが。
※ 「もっと大きな声で叫べ!」
「うるさくて眠れない!」
…って見えたのだけど。(勿論、記憶力が乏しいから正確ではない)
なっち〜!どうゆう意味〜!
俺の見間違いかな〜(・・?)
もう一つ、トニーがドクターを訪ねてカーネギーホールへ行く場面。
女性に聞いた時に「上よ!」との字幕。
もしも聞き間違いで無ければ、「ボブ・ホープ」…と言ってなかったかな〜(u_u)
最後に一言。
運転中は前をしっかりと見ようぜ!
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※ 2回目を観て確認
字幕ではやはり「もっと大声で騒げ、眠いんだよ!」…となっていた。
なっち〜意味わかんないぞ〜(`・ω・´)
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2回目を鑑賞
「暴力には意味がない!」
作品中にドクターはトニーに幾度となく諭す。
冒頭のクラブで、トニーはチンピラを暴力でぶちのめす。中盤でもピアノを巡る諍いから男を殴る。
一概には単なる粗野な暴力男では無いトニーだが。暴力からは何も生まれないと考えるドクターとは、考え方の違いからしばしば意見が対立する。
誰も見ていない
それを良い事に、立ち小便はするし。車から物を投げる。例え売り物で有っても、拾ったモノは《落ちていた》とゆうのがトニーの解釈だ。
それに対してドクターの考えとしては、正しい行いが大事で有り。絶えず沈着冷静で居て、決して人の道を外れてはならないとゆう事。
これは幾多の差別に合い、その都度冷静に対処しつつも、悔しさを噛み殺して来たドクターの信念に基づく考え方による。
だからこそトニーにはそれがもどかしい。
腕っぷしは強いが、何処か一匹狼的なところが有るトニー。どうやら群れる事は気に入らない様に見える。だからこそ、これまでに培って来た《デタラメ》による交渉術で、ヤバイ奴らの間をスルっと交わしながら生き抜いて来た。
確かに考え方に違いは有るものの、2人の心の奥底には似た様な感情が渦巻いていたのかも知れない。
初見の時のレビューは、多方面から聞こえて来る否定的な意見に気を取られての鑑賞の為に、見過ごしていたのですが、2回目を観て気が付いたのが幾つか有りました。
トニーは作品中に3回暴力を振るう反面で、ドクターは差別から2度の暴力を受ける。(3回目はトニーの機転で回避)
のだが…!
映画の中でドクターは、言葉によるやんわりとした差別を3回受けていた。
警察官に検問や尋問を受けるのも3回。
1度目は、トニー自身が生き抜く上で自然に身に付けた《デタラメ》で切り抜けるものの、2回目はトニーの暴力によって逮捕されてしまう。
そして3回目…。
またか! そう観客が思ったその時に、B級天使からの魔法が観客に降り注ぐのだ!
「メリークリスマス!」
この魔法のプレゼントが実に嬉しい。
更に、映画は最後の最後に観客に向かって素敵なプレゼントを配る。
奥さんへの手紙は4度出て来るのですが。その内ドクターによるアドバイスは3回。でも要領を掴んだトニーにドクターは最後は「完璧だ!」と言う。
この手紙の一連の流れは、最後に素敵な奥さんからの一言で映画本編を締める為に仕組んだ技ですね。
この脚本の巧みな部分の本領が発揮されており。やはり充分に賞に値する脚本だと改めて思いました。
【勇気が人の心を動かす】
この旅でドクターは変わった。
黒人では有っても、絶えず威厳を保ち。沈着冷静で有る事で、黒人が白人と対等の立場を得られる…かの様な信条を持っていた。
トニーは、そんなドクターが。それによって逆に自分自身を追い込んでしまい。逆に黒人独自の世界からも孤立し、孤独な日々を送っていた事が気になって来る。
次第にほっとけなくなったトニーは、ドクターの心の奥にづけづけと踏み込んで行く。
始めは受け入れながらもやり過ごしていたドクター。だが雨の中、遂に肌の色の違いによる憤る自身の本心をトニーにぶつけたのだ。
それが有ったからこそ、彼はそれまでの生き方を少し変えてみる気になった。
それまでは底辺だと思っていた黒人社会のディープな世界に思いきって飛び込むドクター。
どんなに才能が有っても、白人社会で黒人がピアニストとして成功する事は出来ない。だからこそ、心の中にはルービンシュタインを忘れないし、最後には玉座に座るのを辞める。
もう無理する必要は無くなった。彼には本当の友が見つかったのだから。彼はもう孤独に生きる理由が無くなったのだ!
そしてトニーも、この旅で大きく変わった。冒頭では差別用語を使い、あからさまに黒人蔑視の様な態度も見せる。ドクターに対しても、車を降りる際には財布は置きっ放しにはしない等、完全には信用してはいなかった。
それが旅を続けて行くうちに、ドクターが数多くの辛い出来事を経験し。それでもその悔しい気持ちを胸の内に押し込めながら、肌の色の違いによる差別に対して威厳を保とうとする。
その人一倍の反骨精神が、一匹狼な自分と同じ匂いを感じたのだろう。
だからこそドクターが弱味を見せ、心情を吐露した時に彼の心は動いたのだった。
帰宅したトニーは一言言う。
「ニガーはよせ!」…と。
2019年3月1日 TOHOシネマズ流山おおたかの森/スクリーン6
2019年3月5日 TOHOシネマズ流山おおたかの森/スクリーン9
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